左右の聴力差が大きい方を補聴器で改善する
こちらでは、左右の聴力差が大きい方を補聴器で改善する内容について、簡単にまとめていきます。
左右の聴力差が大きい方とは、このような聴力の方になります。片方は、まだ聞こえる感覚が残っているのですが、もう片方は、全く音を感じない、主にこのような方になります。
このようなケースは、特に聞こえない側からの聞こえが死角になりやすく、その方向からの聞こえが困りやすくなります。そちらの方が聴力低下が大きいので当たり前と言えば当たり前なのですが、そういった方の場合、全体的に聞こえを改善する方法として、バイクロス補聴器というものがあります。
こちらでは、簡単にこちらについてまとめていきます。
改善の要所
さて、こちらで対象としていくのは、このような聞こえの方です。こういった聞こえの方の場合、困りやすい要素として、聞こえる耳側からの聞こえにくさはあるのですが、それ以上に聞こえない耳側から話されたり、呼ばれたりするとほぼ気がつくことができません。
特に聞こえない耳側からの音は、死角になるほど聞こえていないことが多く、私自身は、デッドポイントと呼んでいます。聞きづらさで多いのは、聞こえない耳側の斜め前と斜め後ろです。この辺りは特にわからない、文字通り、音がしていたとしても気が付かないことが大半です。
ですので、まだ聞こえる耳側も改善しつつ、聞こえない耳側も改善していくのが望ましいのですが、問題は補聴器による聞こえの改善には、限度があることです。
今現在、聴力が下がりきってしまっている場合、そのような耳に補聴器をつけてもほとんど補聴器の効果を感じないことが大半です。
補聴器は、耳の状態が9割で、聴力低下が大きい場合、あるいは、内耳と呼ばれる耳の中の神経へのダメージが大きい場合は、補聴器をつけてもまるで効果が得られないケースがあります。
そういった方のために今現在は、バイクロス補聴器という少し変わった機器があります。
バイクロス補聴器とは、聞こえる耳側は、補聴器として機能させ、聞こえない耳側は、音を転送させるクロスという役割を担うことで、聞こえる耳側で、聞こえない耳側の音も受け取るようにした変わった機器です。
少しわかりづらいので、記載しますと、このような状態ですね。聞こえる耳側は、そのまま聞こえる耳側として、補聴器で聞こえを改善し、聞こえない耳側は、補聴器では改善ができないので、聞こえる耳側に音を転送する。そのようにして、左右の音を片方のまだ聞こえを補える耳側のみで聞く機械になります。
今現在、どうしても耳の状況によっては、補聴器では補えない、低下した耳側に音を入れて聞こえを改善するというやり方では改善できない方がいますので、こういった機器が出てきました。
バイクロス補聴器と片耳装用
こういった聞こえの方の場合において、補う方法には、厳密には2つあります。それは、片方のみ補聴器をつける(まだ補える耳側だけ補聴器をつける)と、バイクロス補聴器を使って聞こえを改善する、の2つです。
違いに関して、簡単にお伝えすると、聞こえにくい耳側からの音を受け取れるようにするか、しないか、の違いになります。
このようにするとわかりやすいでしょうかね。聞こえる音の範囲に関して、片方だけ聞こえを改善するか、それともなるべく聞こえない耳側からの音も受け取れるようにするか、の違いということです。
ここで、恐らく一つ疑問が浮かんでくる方がいるかと思います。片方のみ補聴器をつければ、聞こえない耳側の音も聞こえるのでは?ということです。
実は、私たちの耳は、頭があることで、騒がしい中での聞き取りをよくしているのですが、頭があることで、左から右、あるいは、右から左に音が移行する際に10〜13dBほど減衰します。
ですので、実際に補聴器をまだ聞こえる耳側につけたとしても、聞こえない耳側から少し離れたところから話されたりすると気づかなかったり、たとえ隣でも声が小さい方が聞こえない側から話されるとかなりわかりづらくなります。
本来は、頭があることで、色々と聞きやすくしているのですが、実は、片方のみ聞こえている方は、頭があることで、聞こえている耳側はいいのですが、聞こえない耳側からの音は、かなりわかりづらくなっています。
こういった経緯があり、片方のみに補聴器をつけても改善ができなかったため、バイクロス補聴器というものが生まれました。
改善の際に大事になること
バイクロス補聴器で聞こえを改善していく場合、大事になってくるのは、補聴器の調整です。補聴器の調整とは、低下した聴力のところに音を入れて聞こえを改善していく作業そのものになります。
で、バイクロス補聴器の場合、聞こえる耳側も聞こえない耳側も補聴器の調整によって、大きく変わるため、ここで、なるべくきちんと入れられると良いところまで入れられると、聞こえの改善度は上がりやすくなります。
どのように表現するとわかりやすいのか、そこについては迷うのですが、無理やりわかりやすくするために、補聴器を使った状態での聞こえを調べることができる音場閾値測定というもので表現させていただくと、以下のようになります。
今現在、補聴器(バイクロス補聴器も含む)で改善できる数値は、だいたい30dBぐらいまで改善できるようになってきています。この数値は、正常の範囲が、0〜25dB、一般の人が聞こえている範囲が0〜10dBになりますので、正常の範囲にだいぶ近づいてきている状況です。
で、少しポイントをお伝えしますと、音声に関しては、500〜2000Hzが影響しやすい状態ですので、この辺りに関しては、改善目標値、あるいは、その数値付近までは改善できると良いです。ここまで改善できるとできるほど、聞こえの改善には、貢献しやすくなります。
また、2000Hz以降の高い音に関しては、アラーム系の聞きやすさと音声の明瞭性に関して関わってくる部分になり、ここも目標値まで上げられると良いです。ただ、中には、あげすぎると音が響きすぎたり、高すぎて逆にわかりづらくなることもありますので、ほどほどに。
あとは、低い音なのですが、低下している分を補ったり、仮に聞こえている部分があれば、普段の聞こえている部分より、聞きにくくならないようにしていけると良いですね。
そうなると全体的に聞こえを改善していくことになるのですが、このように聞こえそのものを全体的に改善できるようになると、まだ聞こえやすい耳側も聞こえない耳側の音も聞きやすくなります。
バイクロス補聴器の場合は、ほぼ聞こえの改善度がここで決まりますので、補聴器の調整については、なるべく良い状態にしていくことが、聞こえにくさを減らしていくことに繋がります。
ご利用になったお客様の声
生まれつきの感音性難聴の方
- 改善:バイクロス補聴器
- 機器:耳かけ形補聴器
- 備考:元々、片方のみ補聴器を装用
生まれつきの難聴+メニエール病の方
- 改善:バイクロス補聴器
- 機器:耳かけ形補聴器
突発性難聴、原因不明の感音性難聴の方
- 改善:バイクロス補聴器
- 機器:耳かけ形補聴器
この他のお客様の声(総合)
まとめ
さて、こちらでは、左右の聴力差が大きい方を補聴器で改善するということで、こちらに関して、簡単にではありますが、まとめてみました。
ポイントとなるのは、あまりにも聴力低下が大きかったり、内耳の損傷度が大きいと言葉の理解度というものがだいぶ低下してしまい、補聴器をつけてもまるで効果が出ない方がいます。そのような場合は、バイクロス補聴器という補い方がある、ということです。
だいぶ変わった機器で、かつ、片方の耳で、左右の音、と言いますか、全ての音を聞くという感覚がなかなかイメージできないと思うのですが、そういった機器を使うことで、より改善できる部分があります。
このような聞こえの方の場合、聞こえている耳側も聴力低下していますので、その耳も改善するのですが、それ以上に聞こえない耳側の方からの音は、たとえ聞こえる耳側に補聴器をつけても聞きづらいままであることが大半です。
そういった現状があったことから、バイクロス補聴器というものが生まれたのですが、今現在は、こういった機器もあります。というご紹介だけ、させていただきました。
何か参考になる部分があったのであれば幸いです。