当店の取り扱い製品(フォナックに関するご紹介)

深井 順一|パートナーズ補聴器

このお店で扱っている補聴器メーカーは、フォナックという名前のメーカーになります。

補聴器に関して、ご存知の方、詳しい方は、聞いたことがあるかもしれないのですが、初めての方、そこまで詳しくない方だと聞いたことがない方も多いかと思います。

こちらでは、そんなフォナック補聴器に関して、簡単にまとめていきます。

補聴器メーカー、フォナックとは?

主にスイスにある補聴器メーカーです。

スイスといえば時計。そのような製造業(特に精密機器系)が盛んな国でもあります。

フォナックは補聴器のブランド名で、会社の名前は、ソノヴァといいます。日本にある会社の名前は、そのままソノヴァジャパン株式会社になります。

補聴器はヨーロッパが強く、世界6大メーカー(フォナック、オーティコン、ワイデックス、GNリサウンド、シバントス、スターキー)のうち、5社(フォナック、オーティコン、ワイデックス、GNリサウンド、シバントス)は、ヨーロッパにあります。

補聴器メーカーは、ほとんどがヨーロッパにあります。

補聴器の6大メーカーは、それぞれ

  • フォナック:スイス
  • オーティコン:デンマーク
  • ワイデックス:デンマーク
  • GNリサウンド:デンマーク
  • シバントス(旧シーメンス):ドイツ
  • スターキー:アメリカ

このように見ていただくと、デンマークが多いのですが、この辺り(ドイツやらデンマークやら、オーストリアやら)は、音楽に関する大学から音響学を専門とする大学、研究機関、民間企業が多く、世界における音の都として知られているためです。

例えば、世界3大オーケストラといえば、

  • ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(オーストリア)
  • ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(ドイツ)
  • ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(オランダ)

が出てきますが、地図で見てみると、全部近辺にあることがわかります。

ですので、地理的にこの地域は、音関係のものが発展しやすい環境下にあります。

こういうのは結構大事な要素です。これは言い方を変えれば、いい製品を作り続けることができる土壌があるということです。なのでヨーロッパは補聴器が強いわけですね。

そんなフォナックですが、製品群は、様々なものを揃えており、一般的な耳かけ形補聴器から、耳あな形補聴器、

Bluetooth付の補聴器、充電形の補聴器など、様々なものもあります。

こちらに関しては、今現在、形状(補聴器の形)は、ほとんどのメーカーで違いがなく、大きく変わるのは、中の性能(機能、聞こえ方や聞こえの改善度など)が変わることが多いです。

フォナック補聴器の3つの特徴

私自身が感じているフォナック補聴器の3つの大きな特徴は、

  • 世界シェアNo1
  • クロス補聴器、バイクロス補聴器の性能No1
  • 改善に貢献しやすいケース、しづらいケース

の3つです。

世界シェアNo1

日本では、マイナーなこの補聴器メーカーですが、実はフォナックは、世界シェアNo1の会社になります。日本の場合、補聴器はいろいろな場で取り扱っているのですが、ヨーロッパ、アメリカなどの場では、オージオロジストと呼ばれる国家資格を持った方々が補聴器を選定します。

オージオロジストは、世界であれば、医師、弁護士、公認会計士などと肩を並べられる最高難易度の資格で、限られた人しか持っていない資格でもあります。そういった方々に最も選ばれているのが、このフォナックです。

この補聴器の特徴の一つは、オートセンスOSと呼ばれる周囲の環境を補聴器が感知して、それぞれの環境に適した音に自動的に最適化してくれることです。

フォナックさんから引用

実は、私たちの環境には、いろいろなものがあり、静かな環境、騒がしい環境、反響しやすい環境、車の中での環境、それらの部分での最適な聞こえの改善方法は、異なります。

例えば、静かな中では、邪魔する音が少ないため、そのまま聞こえさせればいいのですが、騒がしい環境でそれをすると、周りの音が入り過ぎて逆に聞きづらくなってしまったりします。

ですので、その場、その場の聞こえをなるべく上げるために、オートセンスOS、言ってみれば、最近流行りのAIですね。それを使って、なるべく良い状態になるようにしてくれます。

また、音の感覚としては、クリアで自然な感覚。という評価が多いです。

補聴器にはいくつかのメーカーがありますが、音の感覚は、メーカーごとに異なります。音が強く、ガツン!と入るメーカーもあれば、フォナックのようにクリアで自然な感覚。というのもあります。

ここは、好みがありますので、これに良い悪いはないのですが、ガツガツ音を入れるというよりも自然でクリアに聞こえを改善させる。聞こえるけれどもそこまでうるさくない。という不思議な感覚です。ですので、疲れづらく、長く使われるケースが多いですね。(補聴器によります)

良いことばかり伝えるのは、フェアではありませんので、フォナックの製品的な欠点を言いますと、音質を良くし、さらにはオートセンスOSというAIを使っているせいか、補聴器の性能に傾き過ぎて、少々価格が高くなりがちなこと、そして、少々、電池の持ちが悪いことがあります。

基本的に性能は上げすぎると、動作中のエネルギーが多くなり、電池の持ちは、悪くなります。電池の持ちと性能は、トレードオフ(どちらか片方しか選べない)の関係にあります。

これらのことから、まさに補聴器の性能で選ばれているのがフォナックという補聴器の特徴です。

ですので、世界で見ればシェアNo1ではあるのですが、ただ日本での評価は、少々低いです。日本においては、補聴器は性能ではなく、価格で選ばれるケースが多いためです。

これがフォナック補聴器の特徴の一つです。

クロス補聴器、バイクロス補聴器の性能No1

フォナックは、世界No1メーカー(ブランド)であるのですが、その特徴の一つは、クロス補聴器、バイクロス補聴器の性能No1という部分もあります。

クロス補聴器というのは、片耳のみ難聴の方に使われる特殊な補聴器のことで、このような特殊な機械になります。

片耳のみ難聴の方の中には、低下した聴力の方に補聴器をつけても聞こえを改善できないケースがあります。そのような方に使われるのが、このクロス補聴器です。

この補聴器の大きな特徴は、低下した耳側に音を入れて聞こえを改善するのではなく、聞こえない耳側に来る音を聞こえる耳側に転送して聞こえを改善することです。

聴力低下が大きすぎたりすると低下した耳側に音を入れても(低下した耳側に補聴器をつけても)聞こえの改善ができないため、このような聞こえる耳側に音を転送する機器ができました。

これがクロス補聴器です。

そして、その亜種版がバイクロス補聴器です。

バイクロス補聴器は、先ほどのクロス補聴器と似ており、片方はまだ補聴器で補えるけれどももう片方は補聴器では補えない方に使われる機器です。

クロス補聴器とバイクロス補聴器は、形(中身)は同じになります。中の設定で、クロスにしたり、バイクロスにしたりと変えています。

基本的に考え方は同じで、片方の耳側は、補聴器で聞こえを補い、補聴器では聞こえを補えない側の音は、補聴器で聞こえを補える耳側に音を転送して聞こえを改善させます。

クロス補聴器は、主に片方は健聴で、もう片方が難聴(補聴器では聞こえを補えない耳)の方に使われ、バイクロス補聴器は、片方は補聴器で補え、もう片方は補聴器では補ない耳の方に使われます。

このシステムの研究を昔からやっていたのがフォナックになります。今現在は、他のメーカーもやっていますが、他のメーカーは、数年ほど、フォナックは、何十年も前から行なっていました。

その部分に関する品質は、高水準になります。

改善に貢献しやすいケース、しづらいケース

ここに関しては、特徴の一つとして、記載していくのですが、フォナック補聴器は、比較的、多くの聴力、症状をカバーできる製品ではありますが、中には、弱いケースがあるのも事実です。

お客様にとって良くないものを提供することは、私としても不本意ですので、こちらについても予め、お伝えさせていただきます。

貢献しやすいケース

聞こえの改善に貢献しやすい聴力型は、両方とも同じような聴力、耳の状況の方。さらには、左右の聴力差がある方は、主に貢献しやすいケースになります。

両耳とも似たような聴力の例。両耳に補聴器をつける場合、左右のバランスを整える必要があるのですが、このメーカーは、左右の音のバランスを整えるのが結構上手です。
耳によっては、左右異なる病気になるケースも。聴力が違うと左右のバランスを整えるのが難しくなりますが、このメーカーは、こういったケースでもバランスを整えるのが上手。

補聴器を調整する側の視点になってしまって申し訳ないのですが、このメーカーの良いところの一つは、左右のバランスの整えやすさです。

左右のバランスを整えやすいということは、両耳に補聴器を使っても自然に感じやすい。ということであり、この点は、補聴器を使う側としては、結構、大事な要素です。左右で聞こえ方が変わるとだいぶ異質に感じたり、違和感を感じてしまうからです。

もっとも、このメーカーの場合は、クロス補聴器、バイクロス補聴器という改善方法もありますので、左右の聞こえが異なる方の改善に関しては、だいぶ強い状態ではあります。

他にも、いくつか聴力型はあるのですが、水平型、高い音が低下している方(だいたい70dB〜80dBぐらいまで)、は聞こえの改善に貢献しやすいです。

水平形の例。だいたいこのようになだらかな聴力形を水平形と呼んだりします。
高い音が聞こえづらくなっているケースには、いろいろありますが、低下量が70dB、80dBまでは、比較的、補いやすい傾向があります。

症状としては、いくつかあるのですが、感音性難聴の方(原因不明から生まれつきまで)、老人性難聴(加齢及び、遺伝など)の方、突発性難聴の方、メニエール病の方など、幅広く対応しやすいのがフォナックの特徴ではあります。

改善に貢献しやすい症状、または比較的貢献しやすい症状。

これらのものは、比較的、聞こえの改善に貢献しやすい聴力、症状になります。

貢献しづらいケース

大きく分けて、2つあり、

  • 聴力低下が大きく、かつ、耳あな型補聴器をお求めの方
  • 低音障害型感音性難聴、高音急墜型の聴力

の2つになります。

まず一つは、聴力低下が大きく、かつ、使いたい補聴器として、耳あな形補聴器をお求めの方です。

聴力低下が非常に大きいケース。補聴器がないと何も聞こえないような状況です。

このような場合、耳あな形補聴器を使う場合、こういった補聴器を使うのですが、

大きめの耳あな形補聴器のことをフルシェル形の耳あな形補聴器と言ったりします。

補聴器の音の出力は、弱くはないのですが、このメーカーより、もっと音の出力(音の強さ)を出せるメーカーがありますので(GNリサウンドさん、シバントスさんなど)、おそらく、そのような方の場合は、そちらの方が良い補聴器を得られるかと思います。

耳かけ形補聴器であれば、きちんと出力が出るものがあるのですが、耳あな形補聴器の場合は、他のものと比較すると少し弱い状態でしょうか。この点はすみません。

二つ目が、低音障害型感音性難聴、高音急墜型の聴力になります。

今現在、補聴器において聞こえの改善がしづらい聴力というのが、だいたいこの2つになります。低音障害形感音性難聴と高音急墜型の聴力です。(難しい字ばかり使ってすみません)

高音急墜型の聴力。高い音になるにつれ、まるでジェットコースターのように墜落するように下がっている聴力型になります。
低音障害とは、その言葉通り、低い音が聞こえづらく、音が高くなるにつれて、聞こえやすくなる聴力型のことです。

高音急墜型の聴力の場合は、下の方に↓のようなものがあるかと思うのですが、これは、聴力検査の機器で一番大きい音を出したとしても、全く反応がなかった時につけられるものです。(スケールアウトと言ったりします。文字通り、スケール(調べられる範囲)をアウト(外れた)という意味です)

この数は多ければ多いほど、音を感じていない場所(周波数)が多いということです。一言で言えば、聴力低下が非常に大きい状況ということですね。(下に矢印がないケースは、まだ改善しやすいです)

上記の2つのケースは、どのメーカーでも聞こえの改善は難しい傾向があるのですが、あくまでも私の経験上の評価としては、低音障害形感音性難聴の方の場合は、だいたい5〜6割ぐらいの方が良くなり、高音急墜型の聴力の方は、4〜5割くらいの方が良くなっています。

ですので、これらの症状の方がいらっしゃいましたら、対応することは可能なのですが、もしかしたら、そこまで聞こえの改善に貢献できないかもしれません。

低音障害型感音難聴の方と高音急墜型の聴力の方は、耳の状況(聴力のほか、耳鳴りがあるかどうかなど)によって、改善に関する難易度が変わります。ここは、耳の状況によるとしか言えず、すみません。

なるべく改善できるところは、精一杯改善するのですが、まだまだ改善しづらい部分があることをご承知いただければ幸いです。

まとめ

フォナック補聴器に関しては、以上になります。このお店では、このメーカーの製品を使って、なるべく聞こえの改善状態を最善の状態にできるよう改善をしています。

もし、お会いする機会がありましたら、その際は、よろしくお願い致します。

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