2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

【全体的に聞きやすく】両耳とも中等度難聴の方を補聴器で改善しました


40代女性。左耳突発性難聴、右耳も最近、聞きにくくなり、当店に補聴器のご相談へ来られました。耳の治療に関しては、一通り行なったのですが、残念ながら改善できず、耳鼻科に行った後のご相談です。

当店でご相談し、聞こえに関して、全体的に改善を行いました。

では、どのように改善して行ったのでしょうか。その点に関して、載せていきます。同じような症状の方は、ご参考にしてみてください。

お客様の状態

お客様の状況としては

  • お名前:M・Kさん
  • 年齢:40代
  • 性別:女性
  • 聴力:両耳とも中等度難聴
  • 症状:左、突発性難聴。右、不明
  • 備考:突発性難聴は、4年前に発症。右は、最近聞きにくく。

となります。聴力は、

このようになります。両耳とも中等度の難聴で、このくらいの聴力の場合、

  • 対面でのお話は3〜5割ほどの理解
  • 離れたところからの呼びかけには気がつかない
  • 騒がしい中での会話は、聞きづらい
  • 複数の人とのお話もわかりづらい

というようになります。中等度難聴くらいから、全体的に音が聞きにくくなりますので、会話そのものがしづらくなり、困る方が多くなります。

耳の状況ですが、40歳ごろから聞こえにくさについては感じており(左側)、4年ほど前に突発性難聴を発症(左耳)。治療を行いましたが、残念ながら聞こえにくついては、完全に改善することはなく、聞きにくさが残る状態になりました。

そして、右側については、最近聞きにくくなり、耳鼻科で診てもらったけれどもよくなることはなく、このままの状態でした。

ご自身の状況としては、やはり全般的に聞きにくく、家の中でのお話、職場での会話、電話、やりとりがしづらく、それらの改善のためにご来店になられました。

状況改善に関する考え

補聴器で耳を改善していくにあたって考えについて載せますと、こちらの方の場合は

  • 両耳装用でなるべく聞きにくくならないように
  • 音に関しては、しっかり入れて改善させる
  • ただし、厳しい場合は、その手前までにする

の三つが重要になってきます。

①両耳装用でなるべく聞きにくくならないように

まず初めに行うのは、耳の確認です。聴力については、上記に記載した通りですが、補聴器は、そのほか、語音明瞭度測定(語音弁別能検査)という音声を耳で聞こえる位置まで持ってきた場合、どのくらい理解できるのか。を調べるものがあります。

突発性難聴になって聴力低下した場合ですが、この数値がかなり低い場合があり、状況によって改善方法を変えていく必要があります。

数値を素早く出すため、適切な音量(しっかり聞こえる音量)からスタートし、調べた結果が、こちら。

数値を素早く出すため、適切な音量(しっかり聞こえる音量)からスタートし、調べた結果が、こちら。50%以上か、以下かで判断が分かれる。

調べてみると、結果としては、このようになり、補聴器の適性である50%(私の場合は、60%で見ています)以上になることから、両耳装用し、よりよくしていくこととしました。

②音に関しては、しっかり入れて改善させる

補聴器をつけて改善させていく場合、聴力の程度から、どこまで改善できれば良いのか。その目安があります。おおよそではありますが、こちらの方の場合

補聴器には、補聴器を装用した状態で、どのくらい聞こえているのかを調べる測定がある。その測定での目標値は、この通り。

補聴器には、補聴器を装用した状態で、どのくらい聞こえているのかを調べる測定がある。その測定での目標値は、この通り。

このようになります。補聴器の場合、音を入れてどれだけ改善できたか、目標となる部分まで改善できているのか。その点が一番聞こえに影響するようになります。

この部分をしっかり入れられると、補聴器の効果は高くなります。どの補聴器を購入するかを考えるよりも、しっかり音を聞こえさせることの方が、聞きやすさは改善できます。

③ただし、厳しい場合は、その手前までにする

しかし、どんな人も目標となる部分まで改善できるとは限りません。特に何らかの疾患により、聴力低下したケースでは、常時、響いた感覚が出たり、こもった感覚が出たりすることもあります。

そのような方は、補聴器を装用すると、よりその感覚が強くなることもあり、その場合は、使える範囲内に抑えます。

使える範囲内とは【日常生活上の音を聞いても使い続けられる】という状態です。音は、様々なところで発生しており、近代の我々の生活は、結構騒がしい環境下であることが多いです。

特にM・Kさんの場合、突発性難聴により聴力低下しており、お話をお伺いして見ますと

  • 常時、こもった感覚
  • 響いた感覚

があるとのことでした(主に左側)。それらの部分を意識し、聞こえを改善させていきます。

実際のご相談

実際のご相談に関しては、まず、状況に関して確認し、上記のことについて説明しました。その後、補聴器を実際に試聴し、どのように聞こえが改善されるのか、実際に響いた感覚などは、強くならないかを確認していきました。

補聴器には、補聴器を装用した状態を調べられる測定があったりするのですが、

このようなものですね。

初めに貸し出しした状況ですが、耳にかける補聴器を貸出しし、

このような状態でした。これは、補聴器を装用した状態で測定する音場閾値測定で調べたものです。

先ほど、目指す目標がこのくらいとお伝えしました。その場合で比較すると

このような状態です。初回の状態で、結構すぐそこまできており、幸い、お店の方では、全体的に音が大きくなり、聞きやすくなるとのことで、不快に感じやすい紙の音についても耐えられる範囲内でした。そのまま貸し出しすることとなります。

2週間ほど日常生活上で使っていただくと、

  • ある方が聞きやすい
  • ご家族とのお話もしやすくなった
  • 職場でも聞きやすくなった

とのことで、補聴器について考えていくこととなります。しかし、初めの段階では、頭痛がすることや頭が重くなることがあり、少し休ませながら、使用されていた状態でした。

それでもあると良いとのことで、考えていくこととなります。

補聴器の選定

補聴器の選定に関してですが、選択肢として、

このようになります。

耳かけ形の種類、M・Kさんの場合は、RIC、標準耳かけ形が対象になる。

耳かけ形の種類、M・Kさんの場合は、RIC、標準耳かけ形が対象になる。

両方とも耳かけ形か

耳あな形の場合、対象になるのは、CIC形、カナル形の二つが対象になる。フルカナルは、もっと聴力が低下した方が使用する形状。

耳あな形の場合、対象になるのは、CIC形、カナル形の二つが対象になる。フルカナルは、もっと聴力が低下した方が使用する形状。

両耳とも耳あな形です。

結論から記載しますと、両耳とも耳あな形に決まりました。

耳あな形にした理由ですが

  • マスクやメガネの邪魔にならないように
  • 汗をよくかくため、故障を少なくするため

の二つを考慮したためです。

しかし、耳あな形の場合、いくつか欠点があり

  • 自分の声が大きく感じるように
  • 自分の声がこもった感覚を感じる
  • たまに耳の中が痛くなることがある(型の不一致)

があります。これらのものが使用できる範囲内なのか。それを確認する必要があるため、まずは製作してみて、よければ購入。という形をとりました。

このようなやり方をしているのは、初回の頃、頭が重くなったり、頭痛がしたこともあったためです。本当に使い続けて大丈夫なのか。それを判断していくために、試しながらさらに改善していきます。

最終チェックと補聴器の状態

何度か来店を繰り返し、補聴器の調整をしていくと

  • こもる感覚は、大丈夫
  • 耳の中が痛むことはない
  • 自身の声の大きさは、耐えられる範囲内

とのことで良好でした。そして、頭痛や頭が重くなることは、初めの頃のみであり、その後は、起こらない。とのことでした。

最終的な補聴器の調整は、ここまで改善。目標とする位置までですね。

状況によっては、補聴器のボリュームで、音を一段下げたりすることはあるようですが、基本的には、このくらいの状態で聞いており、音の評価としては、大きくもなく、小さくもなく、使用できる状況。とのことでした。

全体的に聞きやすさを改善できたため、これで調整に関しては、終了となります。

お客様の評価

お客様にご相談されて、どうだったのか。アンケートをとり、お伺いしてみました。

どのようなことでお悩みでしたか?

実際に補聴器をつけてみていかがでしょうか?

このお店で購入(相談)した理由は、なんでしょうか?

実際のアンケート

アンケートのご協力、誠にありがとうございます。

改善のポイント

さて、こちらの方の改善のポイントは

  • 音をしっかり入れられたこと
  • 耳あな型の使用状態がよかったこと
  • 音への耐性が思いのほか、よかったこと

の三つです。

音をしっかり入れられたこと

改善のポイントとして、一番大きかったのは、この部分です。補聴器でしっかり音を出し、その状態で聞き続けられたことです。

測定結果が改善目標となる部分までしっかり改善できていると補聴器の効果は自ずと高くなります。それをしたとしても耳が治るわけではないのですが、補聴器での改善度を高くすることができます。

この部分は、上記の測定を行いながら、実際にどう聞こえているのか、どのくらいまで改善できているのかを確認しつつ、聞こえの修正をしていけるとよりよくなります。

耳あな形の使用状態が良かったこと

耳あな形補聴器を使用すると、

  • 自分の声がこもる
  • 自分の声が大きい
  • 噛む音が大きい(食事の時の音が大きい)

というようないくつか欠点が生じます。この欠点を軽減させる方法もあったりするのですが、それを行いすぎると、今度は、音が抜け過ぎてしまい、逆に音そのものが聞こえにくくなります(補聴器の音が耳に伝わりづらくなり、音が聞きにくくなる)。

こちらの方の場合は、幸い、使える範囲内で、そこまで強く感じることはなかったため、聞こえの改善に繋げることができました。

このようにできると耳あな形は、聞こえを改善しやすく、上記のデメリット部分(上記の三つ)がなければ、個人的には、一番、耳あな形が聞こえを改善できる機器ではないかと思っています。

なお、耳あな形を使っていて、上記の三つが厳しい場合は、耳あな形補聴器は断念し、耳かけ形補聴器へシフトした方が聞こえの改善及び、使い続けることは、容易になります。

どの補聴器を買うかではなく、聞こえの改善は、どのようにしたらいいかを考えていくのが一番重要ですね。

音への耐性が思いのほか、よかったこと

こちらの方の場合

  • 突発性難聴を発症していたこと
  • 初めの頃は、頭痛や頭が重くなることがあったこと

これらがあったため、そもそも補えるのか。というところも懸念していました。しかし、試聴期間をある程度長くし、様子を見てみると、

  • 頭痛や頭が重くなるのは、初めの頃だけだったこと
  • 音を入れても改善ができること

これらがわかり、そのまま改善させていくことにしました。思ったより、音への耐性があったことから、改善へ繋げることができました。その点も要因ですね。

なお、目標値まで入れるのが厳しい場合は、そこまで補わず、補える範囲内を目指して、音量を下げていきます。このようにできると、その方の状況に合わせたできる限りの改善ができるようになります。

中等度難聴の改善のまとめ

こちらの方に関しては、両耳に補聴器を装用し、改善させていきました。両耳とも補聴器の適性があったことから行なったわけですが、実際には、明瞭度が少し低めだったからこそ、両耳とも使って少しでも聞こえを底上げできればと思い、両耳装用で改善しています。

音をしっかりと入れられたことから、聞きやすさも改善ができました。100%何でもかんでも聞こえるということはないのですが、今まで以上に聞きやすくなり、何よりですね。一番悪いパターンは、聞こえにくさを改善できず、悪いままいることだからです。

改善のポイントの通りですが、補聴器で聞こえを改善させる場合、しっかりと音を入れることが一番重要です。どの形状にしようか、どの性能にしようかという考えはあるかと思いますが、まずは、基本となる聞こえをどう補うか。そこが最も重要になってきます。

なお、M・Kさんは、最終的に職場に関しても変えられ、より自分にとって良い職場へ移られました。自分ができることに集中し、そちらの方もよりよくなり、こちらとしては、万々歳です。いや〜本当によかった。

ということで、こちらの内容がお役に立てば幸いです。


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

補聴器で耳を改善させる手引き書、作りました

聞こえにくい事でお悩みの方のために、補聴器で耳を改善させる手引き書を用意しました。

  • 自分の症状に合う補聴器は何か
  • 自分の聴力に合う補聴器は何か
  • 補聴器の種類、性能、違いを知りたい

などお考えでしたら、こちらをご覧下さい。補聴器で耳を改善させる内容のみに絞って記載してみました。お役に立てば幸いです。

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