【どのくらい聞きにくい?】難聴レベル別、8つの聞きにくさまとめ
難聴は、耳が聞こえにくくなる事を表しますが、では、難聴のレベルにより、どのくらい聞きにくさが出てくるのでしょうか。この点は、ご自身が聞きにくくなった場合、気になるところだと思います。
そこで、こちらでは、聴力別、難聴レベル別にそれぞれの聞きにくさのレベルをまとめ、どのくらい聞こえにくい状態なのかをまとめてみました。
聞こえにくさが理解できることにより、少しでも、ご自身の状況を把握することに繋がれば幸いです。
なお、以下は、基本的に感音性難聴の聞こえにくさを記載していきます。
難聴レベルに関する基礎
難聴レベル(聴力レベル)には、大きく分けて
- 軽度難聴
- 中等度難聴
- 高度難聴
- 重度難聴
の計4つがあります。
日本の場合、難聴レベル(聴力レベルごとの難聴判断)が、
- WHO基準で考える難聴レベル(世界基準)
- 日本の耳鼻科さん(聴覚医学会)の難聴レベル
の2つがあります。
日本の場合は、若干、②の方が多い傾向があります。計算方法は、同じで、その数値の評価が異なるだけですので、一緒にみていきましょう。
WHO基準で考える難聴レベル
※よくわかる補聴器選びより引用
WHO基準で考える難聴レベルは、上記の通りです。
どの基準でも4分法による平均聴力を出して、難聴レベルを判断していきます。
この平均聴力は、オージオグラム(聴力図、聴力を調べた際に記載する図)から出すことができます。四分法の場合、ちょうど囲んでいる500Hzと1000Hz、2000Hzをそれぞれ、計算して出すことができます。
では、実際に計算してみましょう。
4分法は(500Hz+(1000Hz×2)+2000Hz)÷4の式で計算する事ができます。
試しに上記の図の右耳を例にしてみますと、500Hzは、55dB、1000Hzは、60dB、2000Hzは、65dBになります。
そのため、(55+(60×2)+65)÷4=60dBとなります。
平均聴力を出すことにより、難聴レベルがわかるようになります。後は、それぞれの難聴レベルに該当するものが、なんなのか。当てはめれば大丈夫です。
先ほど計算した結果、60dBでしたので、この場合は、中等度難聴なんだな。ということがわかります。
日本の耳鼻科さん(日本聴覚医学会)の難聴レベル
日本の場合は、上記で考えることが、少し多いです。
WHOの基準と比較すると、少し日本の方が、厳しめの見方になっています。
計算方法は、全く同じで、4分法により、平均聴力をだし、その数値が、難聴レベルの判断に使用されます。
こちらは、先ほどと全く同じ聴力図で、右側は60dBが平均聴力になります。
その場合、こちらも中等度難聴が、当てはまりますね。
このようにして、難聴レベルを出すことができます。
それぞれの難聴レベルの特徴
さて、難聴レベルを出すことで、ご自身に当てはまる難聴レベルがわかったと思います。
こちらは、日本の耳鼻科さん使われる②の聴力レベルの方で、記載していきます。
軽度難聴の聞こえの特徴
軽度難聴は、主にこの範囲の中に入る方で、平均聴力が25〜39dBの方が対象です。
軽度難聴の症状としては、
- 離れたところからの声に気がつかないことがある
- 騒がしい中だと聞き取りにくいことがある
- 複数の方との会話が少ししづらい
このような特徴があります。
対面でのお話しや一対一でのお話しは、割とわかることが多いのですが、お話しする人によって聞きづらさを感じることがあります。
特に声が小さい人やはっきり話さない方などは、その傾向が強く感じやすいです。
そして、騒がしい中や複数の人とのお話しの中では、聞きにくさを感じることがあり、この部分も人により、分かれてくる状態です。
多いのは、距離が離れたりすると、呼ばれているのに関わらず、呼ばれた事に気が付かないことが増えることです。音は、距離が離れると、離れるほど、急激に小さくなるため、気がつかないことが増えます。
軽度の難聴の場合は、自覚が少ししづらく、ご自身で感じるより、周囲の肩から言われるケースが多くなります。
軽度難聴の場合、状況によっては、ほとんど困らなく、状況によっては、困りやすい。と、周囲の状況に大きく左右される傾向があります。
中等度難聴の聞こえの特徴
中等度難聴は、平均聴力が40〜69dBに入る方が対象となる難聴です。
中等度難聴の症状としては、
- 対面会話でもお話しがわかりづらくなる
- 周囲の音がかなり聞こえにくくなる
- 呼びかけに気がつかなくなる
これらがあります。
ここまで、聴力が低下してきますと、対面での会話もわかりづらくなります。
中等度難聴は、普通の声の大きさが小さく聞こえるレベルですので、聞き返したり、何を言っているのかわからないレベルになることが格段に増えます。
騒がしい中でのお話しもわかりづらくなり、周囲の人とのお話しもわかりづらくなってしまいます。そして、呼びかけには、かなりわかりづらくなります。
さらに、聞き返してもわからなかったり、かつ、テレビや電話。それらのものも一気に聞きづらくなりますので、生活をする上で、非常に困るようになります。
日常生活に大きな支障がで始めるのが、中等度難聴です。
この辺りから、一気に補聴器を使用する方が増えてきます。
高度難聴の聞こえの特徴
高度難聴は、平均聴力が70〜89dBに入る方が対象となる難聴です。
高度難聴の症状としては
- 大きな声しか感じ取れない
- 一般的な音の大きさだと言葉が全く理解できない
- 音が聞こえないため、周囲の状況がわからない
という状態になります。
このレベルまで低下してしまうと、一般の人の声の大きさではまずわからず、耳元で大きく話してもらわないとお話を理解することができません。
そのため、会話に関しては、ほとんどできなくなってしまいます。
常に周りの人が大きい声で話してくれるのであれば良いかもしれませんが、大きい声で話せば、相手側は、疲れますし、何よりも、周りに人がいる場合は、大きい声を出せません。
そして、周囲の音もほとんど聞こえなくなりますので、周りの状況も分からなくなってしまいます。
音には、物の存在に気づくという意味合いもあります。
車の音がすれば、近くに車があることがわかりますし、その音が徐々に大きく聞こえるようになってきた場合は、自分に近づいてきているな。というのもわかります。
しかし、音が聞こえなくなると、このような情報が一切無くなりますので、周囲の状況がどうなっているのか。どういう状態なのかを把握することが、困難になります。
声が聞こえないだけではなく、危険な部分までもが多くなってくるのが、高度難聴になります。
この辺りまできますと、聞こえにくいことで生活が困るレベルではなく、かなり支障が出てくるレベルになります。
重度難聴の聞こえの特徴
重度難聴は、平均聴力が90dB以上になる方が対象となる難聴です。
重度難聴の症状としては、ほとんどの音が感じ取れない状態になります。
そのため、このレベルまで低下すると、周囲の状況もお話ししている声も、耳ではわからないレベルになってしまいます。
世の中の情報は、ほとんど目で確認して、理解している状態になるのが、重度難聴の特徴です。
全く音がない世界ではないのですが、ほぼ音がない世界が重度の難聴になります。
聴力レベル別、聞こえにくさ
上記に記載したのは、一般的な難聴レベル別、両耳ともその難聴のレベルだった場合の聞こえにくさを書いてみました。
しかし、実際には、色々な聴力パターンがありますので、そちらに関しても、まとめていきます。
両耳とも聞こえにくい聴力型
高い音が聞こえにくい聴力の方
聴力の中には、低い音は、聞こえているけれども、高い音は、聞こえにくい方がいます。
比較的、多い聴力パターンで、生まれつきの難聴の方から、老人性難聴の方にみられます。
高い音が聞こえにくくなる聴力の特徴は、人や環境により、大きく聞こえの状況が分かれやすい事です。
一般的な人の会話は、わかる人とわかりづらい人に分かれ、特に少し声が小さい方や、はっきりお話ししない方の声は、わかりづらくなってしまいます。
それ以外には、離れたところからの呼びかけは、意外に気がつかないことが増え、会議や周囲の人と囲んでお話しする際も、少し聞こえにくさを感じやすくなります。
また、騒がしいところでも聞こえにくさが強くなりやすく、高い音のアラーム、呼び出し系の音、チャイムなどは、わかりづらい傾向が出てきます。
状況の傾向としては、困りやすい環境にいる人は、困ることが多く、困りにくい環境(家の中や静かなところで過ごす事が多い方)にいる人は、思ったより、困らない方がいます。
低い音が聞こえにくい聴力の方
難聴の中には、低い音が聞こえづらく、高い音が聞こえている聴力の方もいます。
比較的、珍しいタイプの聞こえで、生まれつき難聴の方や病気によって聞きにくくなった方に見られます。
低い音が聞こえにくい聴力の方の特徴は、聞こえているところと聞こえていないところの差が大きいため、一部の音は、聞こえ、一部の音は、聞きにくい。と、状況により、分かれる事が多いです。
一般的な人の声は、女性など比較的、声が高めの方は、まだ聞きやすい傾向があるのですが、低い男性の声は、非常に聞きにくくなりやすいです。
さらに男性の場合は、はっきりお話ししない方の割合も女性に比べ、多い状態ですので、聞きにくさに拍車がかかりやすくなります。
全体的に聞こえにくさに関しては、感じやすいのですが、騒がしいところでのお話し、人と囲んでお話しする時の会話、そして、呼ばれた時などにわからなかったり、気がつかなかったりしがちです。
こちらも、ある人は、聞こえるけれども、ある人は、聞こえにくい。と、状況や人により、分かれやすい聞こえになります。
左右の聴力が異なる聴力型
左右の聴力が少し異なる聴力型
耳の状態によっては、両耳とも同じではなく、左右の聴力が少し異なる聴力の方もいます。
生まれつき難聴の方や左右で別々の病気により、聴力低下した方に見られます。
左右の聴力が少し異なる場合は、聞こえにくい側からの音や呼びかけに、より気がつきにくくなり、かつ、全体的に聞きにくさが強くなりがちです。
対面でのお話しから、騒がしいところでの聞こえも聞こえにくくなりやすく、さらに囲んでお話しする際や呼びかけられる際は、どうしても、聞こえない側からは、わかりづらくなります。
どちらから話されているのか、呼ばれているのかでも、聞こえにくさが変化するのが、左右の聞こえが異なる方の特徴です。
左右の聴力が大きく異なる聴力型
耳の状態によっては、上記のように片耳は、まだ聞こえるけれども、もう片耳が全く聞こえない。というような聞こえの方もいます。
生まれつきこのような聞こえの方もいれば、左右別々の病気にかかったことで聞きにくくなった方に見られます。
このような聞こえの場合、特に聞こえない耳側から話しかけられたり、呼ばれたりした場合は、ほぼ気づく事ができません。
さらにまだ聞こえている耳側も難聴ですので、会話全体が非常にしにくくなります。
基本的に、対面でのお話から、騒がしいところでのお話、会議や人と囲んでお話する際の会話、呼ばれた際、どのシチュエーションをとっても、聞こえづらさを感じやすくなります。
なんとか聞こえる耳側を話し手に向ければ聞きやすくなるかもしれませんが、非常に苦労しやすい聴力型です。
片耳のみ聞こえない聴力型
片耳が軽度〜中等度難聴くらいの聴力
難聴の中には、片耳のみ難聴になる方もいます。
片耳側だけ生まれつき聞きにくい方もいれば、病気によって片耳側のみ聞きにくくなってしまった方に見られます。
片耳のみ聞こえにくい聴力型は、一般的に対面でのお話は、静かな場合は、ほとんど問題ありません。
しかし、聞こえない耳側から話されたり、騒がしい環境だったり、会議やミーティングといった複数の人とお話しする際に、聞こえない耳側にいる人の声が、聞きづらくなりやすいです。
また、特徴として、音の方向感覚も失っていることもあります。
対面でのお話や静かなところでの聞こえは、良い方が多いため、なかなか周囲の人が聞こえにくいことを自覚しづらく、誤解を受けてしまう事も多々ある聴力になります。
聞こえるところと聞こえにくくなるところが、極端に分かれやすい聴力型になります。
片耳のみ全く聞こえない聴力型
片耳のみ聞こえにくいケースで、中には、音を全く感じない、聞こえない方もいます。
こちらも生まれつき片耳のみ全く聞こえない方、病気によって、全く聞こえなくなってしまった方がいます。
そのような場合も、片耳のみ中等度難聴の方と同じなのですが、上記のような特徴があります。
片耳のみ全く聞こえない状態は、対面や静かなところでの会話は、問題なく聞こえるのですが、聞こえない耳側から話されたり、場所によっては、少々騒がしいだけで、聞こえない耳側から話されると、わからないケースがあります。
全体的に聞こえない耳側から話されたり、呼ばれたり、会議の際やミーティングの際に聞こえない側に聞きにくい人がきたりすると、余計に聞きにくさを感じがちです。
こちらのケースも、聞こえるところと聞こえないところの差が大きくある聴力です。
難聴(聴力)レベルのまとめ
各難聴レベル、聴力レベルの違いに関して、記載してみました。
難聴には、感音性難聴や伝音性難聴。という部分もありますが、それ以外にも聴力レベルによっても、聞こえにくさは、変化します。
実際には、両耳とも聞こえにくいのか、片耳のみ聞こえにくいのか、さらに両方とも聞こえにくい場合、左右の聞こえに差があるのか、でも、聞こえにくさは、変化します。
軽度の難聴の方と中等度の難聴の方とでは、聞こえにくさも違いますし、それによる生活の困り度も異なります。
このように聴力によっても、その方の聞きにくさが変わりますので、その部分に関して、理解しやすくなったのであれば、幸いです。
なお、もし聞こえにくさにお悩みであれば、早々に改善させることをお勧めします。
聞こえにくいことで、仕事がしづらい、意思疎通がしづらい、自分に自信が持てない。などある場合は、あまりその状態を長く続けていても、辛い状況が続くだけになりがちです。
幸い、今現在、補聴器での聞こえの改善度は、上がってきており、耳が治らないにしても、聞こえにくさの改善がされることで、現状をよりよくすることは、できるようになってきました。
以下にその改善方法に関しても、まとめてみましたので、お悩みの方は、ご参考にして見てください。
本当の意味で、聞こえにくさの改善に貢献できたのであれば、幸いです。