耳・補聴器のこと

補聴器以外の支援機器を使いこなすのに必要な信用

深井 順一|パートナーズ補聴器

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今現在、補聴器以外にも様々な支援機器が出てきました。音声認識技術を利用したUDトーク、補聴器の欠点だった距離を解決するロジャー、それらのものは、便利であり、かつ、使用できる環境であれば、より聞きにくい方々の状況をよくすることができます。

しかし、これらの機器を使いこなす場合に一番重要になってくるのは、個人の信用になります。普段は、このような話はしないのですが、最近、考える機会があったことと、これからまた別のものも出てくる可能性があることから、使うための思考として、私の考えについてまとめていきます。

参考程度に聞いてみてください。

様々な支援の形

今現在、機械を使用して聞こえにくい方々を支援するものは、主に

  • 自立使用型
  • 他人支援型

の二つに分かれます。手話や代筆は、コミュニケーション手段になるため、こちらでは、機器を使った支援ということで、除いていきます。

また、ここでいう単語は、私が単に分けるために作った言葉で、正式な名前ではありません。

自立使用型

自立使用型とは、自分で使い、自分の状況をよくすることができる機器です。該当するのは、ご想像の通り

  • 補聴器
  • 人工内耳

の二つです。簡単に言えば、自分自身が使うか、使わないかを決められ、かつ、自分の状態をよくすることができる機器になります。

他人支援型

他人支援型とは、相手に協力してもらうことで、自分の状況をよくすることができる機器です。冒頭に出てきた

  • UDトーク
  • ロジャー(FM機器など)

が該当します。これらは、他の方に使用してもらって初めて使用できるもので、他の人の協力が必要となります。

UDトークは、話した内容をタブレットに文字で表現してくれますが、マイクの部分を話手に渡さなければなりませんし、ロジャー(FMも含む)も話手に持ってもらい、話してもらう必要があります。

他人支援型は人に使ってもらうというハードルがある

ここで伝えたいことは、自立使用型は、自分で装用や使うかを決められるのに対し、他人支援型は、相手に使用してもらう、というハードルがあることです。簡単に言えば、自分ではなく相手に使用する決定権がある状態となります。

これは、障害を抱えた人をビジネス対象として運営している施設や聞きにくい方々をよく対応する環境下にある施設であれば、相性は良いのですが、それ以外のところは、そんなに相性がよくありません。

例えばUDトークなどは、障害を抱えた人が通う場所、もしくは、施設などの導入は、相性がいい状態です。というのも、そこの相談員や対応者にとっては、意思疎通がしやすくなることは、非常に良いことです。このような関係は、対応の人や聞こえにくい人、お互いにとってwin、winでしょう。

他人支援型は、聞こえにくい人を対象とした施設や環境下には、適しているのですが、それを個人で使用する場合は、考える必要があります。

使ってもらうための考え

使ってもらうための考えとしては、

  • 上下関係
  • 水平関係

のそれぞれ、もしくは、どちらかを利用することになります。

上下関係

上下関係とは、イメージするならば上司と部下のような関係で、上から使え。もしくは、あまり良い言葉ではないのですが、命令されて渋々使用するタイプです。

このようなケースは、依頼する人の立場を利用して行うことが多く、たまに社会的な側面を利用して使用されることもあります(情報のバリアフリー化とかですね)。

究極の上下関係は、法律で、仮に障害を抱えた人が会社にいる場合、このような機器を必ず配備して、意思疎通をできるようにしなければならない。となった場合は、従わざるを得ません。法律ですから、違反することそのものが罪です。

つまり、言い換えれば上下関係とは、使用を強制させるやり方になります。理解を求め、それを承諾した上で使用されているのであれば問題はありませんが、そうではなく使用を強制させている場合、当然ですが、のちにシコリ、問題が起こりやすい形になります。

水平関係

水平関係とは、横の繋がりです。立場、役職などの上下関係とは異なり、どちらが上か下かがない、横の関係になります。友達、友人、知人、そのような関係といえばわかりやすいかもしれません。

この水平関係を利用する場合、重要になってくるのが、個人の信用です。若干、受ける側(依頼される側)の人柄も入りますが、それよりも個人の信用の方がまだ、大きいのかな。と個人的には、感じています。(と言いますか、受ける人の人柄にすると変えようのない要素になってしまうというところもあります)

なお、たとえ会社であったり、別の環境下であったとしても、水平関係はありえます。基本的に、信用がある人であれば、たとえお客さんと店員の関係でも、水平関係はあります。

個人の信用が重要に

ものを人に使ってもらう。言い換えれば、何かお願いをする場合、重要になってくるのは、個人の信用です。

上下関係では、ややこしくなるため、触れなかったのですが、厳密には、上司と部下の関係でも、信用がある人とそうでない人の扱いは異なるように、人は、無意識にその人の信用、評価というのをしています。

この信用というバロメーターを意識できるか。というところで、補聴器以外の支援機器をうまく使いこなせるか、そうでないかというのが変わってきます。なぜなら、他人支援型の機器は、人にお願いすること(人に使ってもらうこと)で、使えるものが大半だからです。

今現在、うまくいっている例とそうでない例を見てみると、相性が良いか、個人の信用をうまく築けているのか。の二つしか私の方では確認できていません。

であれば、いかに個人の信用を築けるようにするか。というところがもっとも重要な要素になるのかな。と私は、感じています。一応、お願いするための小手先のテクニックは、いくつか知ってはいるのですが、それ以上に、お互いが納得した状態にいかにできるのかの方が重要であり、一方に負担を抱えるようにするものは、長くは続かなくなります。

これからまた様々な機器が出てくるかと思いますが、他人支援型の機器は、相手の協力が必要になってきますので、いかに信用を築けるかが重要になってくるでしょう。

以上、補聴器以外の支援機器を使いこなすには、信用が重要。というお話しでした。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。補聴器の販売員としての知識、技術に加え、一人の難聴者が自分自身の聞こえを改善した知識、技術も組み合わせながら、聞こえの改善、補聴器のご相談をしています。
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