補聴器を使っていて耳からピーピーなる音(ハウリング)を改善する方法
補聴器を使用している時、たまにピーピー聞こえる。という場合は、ハウリングしている可能性があります。
ハウリングとは、補聴器から音がもれ、その音を補聴器が拾うことにより起こる現象です。耳にしっかり装用できていなかったり、音の出力が強いことで、ハウリングしやすい状態になっていることから、起こる事があります。
ハウリングは、聞こえると自分自身も鬱陶しいですし、周りの人にも聞こえる事があるため、なるべく聞こえないようにしていけると、快適に使用できます。
こちらでは、その対策に関して記載していきます。
なお、実際のハウリングの改善に関しては、実際の耳の状況によって変化しますので、その点にご留意ください。
補聴器のハウリングを止める方法
基本的にハウリングを止める方法については、
- ハウリングキャンセラーをかける
- しっかり耳に装用できるようにする
- それでもハウリングする場合、耳かけ形は、イヤモールドを使う
- それでもハウリングする場合、耳あな形は、再作or耳かけ形を検討する
になります。
補聴器の形状や耳の状況によって変化する部分がありますので、以下、分けて記載していきます。
耳かけ形補聴器のハウリングの止め方
基本的には、上記に記載した通り、
- ハウリングキャンセラーをかける
- しっかり耳に装用する
この2つでほとんどのケースは、対応できるようになります。
ハウリングキャンセラーとは、補聴器の機能の一つで、ハウリングの部分だけ軽減する。というものです。
最近の補聴器では、ハウリングのテストを行い、様々な音を出して、どのくらい大きくなるとハウリングするのか。を調べ、効果的にハウリングを抑える事ができます。
ハウリングキャンセラーをつける(起動させる)こと、しっかり耳に装用すること、この2つさえ行なっていただければ、一部のケースを除いて、ハウリングは、だいたい収まります。
このほか、ハウリングが起こりやすいのは、聴力低下が大きかったりする場合です。このケースは、音の出力が強く、一般的な上記の耳せんでは、ハウリングがしやすくなります。
そのため、イヤモールドという耳の型を取り、その人、専用の耳せんを作ることによって、さらにハウリングを軽減させる事ができます。
なお、RIC(リック)補聴器の場合は、このようなものがあります。こちらを使うとハウリングを止めやすくなります。
耳かけ形補聴器の場合は、
- ハウリングキャンセラーをかける
- しっかり耳に装用する
を行なってみて、まだ、ハウリングがするようであれば、イヤモールドを使用することによって、ハウリングを軽減できます。
補聴器のハウリングキャンセラーに関してですが、昔は、こちらを行うと、変な挙動。例えば、高い音全般を抑えてしまったり、こちらを行なった状態で、高い音を聞くとエコーがかかった状態に聞こえるなど、様々な事が起こりました。最近は、性能が良くなってきたこともあり、あまりそのような事はなくなってきました。今現在、ハウリングキャンセラーに関しては、かけ得(かけておくことによるリスクがほぼなく、メリットがかなり高い)状態ですので、とりあえずかけておく。ということもかなり有効です。
耳あな形のハウリングの止め方
耳あな形の場合、耳や補聴器の状況により、大きく変わります。
まず、基本的には、耳かけ形補聴器と同じように
- ハウリングキャンセラーをかける
- しっかり耳に装用する
を行うことによって、多くの場合、改善させる事ができます。
しかし、対応が難しいのは、
- こもりの軽減のため、空気穴(ベント)を大きくしているケース
- 補聴器に対し、使用する聴力がギリギリで、音の出力も大きく出しているケース
の2つです。
こもりの軽減のため、空気穴(ベント)を大きくしているケース
耳あな形補聴器は、耳の形に合わせて製作します。耳が塞がれることにより、自分の声が大きく聞こえたり、頭の中で低く響く感覚を感じる事があります。
その感覚を軽減するため行われるのが、ベントという空気穴を設けたり、補聴器そのものを緩く製作することです。
このようにすることで、軽減させる事ができるのですが、やりすぎると(穴を大きくしすぎると)、これがハウリングの原因になります。
そのため、仮にベントを開けすぎることによるハウリングだった場合は、その穴を閉じる必要があります。そのようにすることで、ハウリングは、軽減できます。
もっとも、穴を開けたのは、こもりや自分の声の響きからだとは思うのですが、その部分に関しては、使用できる範囲内に抑え、ハウリングがしない程度に使えるようになるとベストです。
ハウリングが起こりやすいということは、音が漏れやすいことになり、結果的にしっかりと耳に音が伝わりづらい状況でもあります、
ある程度は、塞ぎ、しっかり聞こえを改善させることも大切です。
補聴器に対し、使用する聴力がギリギリで、音の出力も大きく出しているケース
こちらは、主にCIC補聴器や小型の耳あな形を使用しているケースに多い傾向があります。
こちらになるケースは、大抵の場合において、補聴器の出力が聴力適応ギリギリで、小さいものを希望されたり、聴力が低下してしまい、ギリギリの状態で補っていることによって、起こる事が多いです。
この場合の対処方法は、残念ながら、あまりありません。例えば、CIC補聴器を使用しており、出力ギリギリまで出して、ハウリングしてしまう場合は、補聴器そのものを少し太めに作り、密閉させるようにするか、ベントが空いていれば、それを塞ぐか。またまた補聴器そのものを変えるか。になります。
基本的には、今の補聴器より、もっと高出力のもので、少し形状の大きいものに変えて、ハウリングを抑える。という方法が、このようなケースでは、一番有効です。
小さいものを使いたい。というお気持ちはわかるのですが、小さい補聴器は、ハウリングを止める力もあまりありません。耳あな形補聴器が、軽度〜中等度、高度難聴の方までの対応となるのは、音の出力というよりも、音を大きくするとハウリングのリスクが飛躍的に高まるためです。
それにより、補聴器のハウリングに悩まされたり、音の出力が足りない事で、悩むくらいなら、少し形状は大きくなるけれども、快適に使いやすい補聴器を選んだ方が、活用しやすくなります。そして、ハウリングがなくなることで、聴力もちゃんと補えるようになるため、より良くなる事が多いです。
耳あな形補聴器の場合、特にハウリングは、理解しておくべきポイントの一つになります。今現在、ハウリングが起こりやすいと、そのままでは、かなり使いづらくなるため、抑制機能を働かせます。この機能を働かせると、ハウリングがひどい場合、元々の音の大きさを下げて、ハウリングを抑えるようになります。そのため、ハウリングがしやすい状態というのは、聞こえを改善しにくい状態にもなります。ハウリングがしないように考えていくのは、聞こえを改善させる上でとても大切です。特に耳あな形は、形状的にハウリングがしやすいため、こちらを怠ると、聞きにくさの改善もしにくくなります。その点に注意です。
ハウリングを改善させるまとめ
基本的には、上記の事が行えると、ハウリングに関しては、改善しやすくなります。
- ハウリングキャンセラーをかける
- しっかり耳に装用する
を行なっていただければ、大抵の場合は、改善します。
しかし、それでも改善しない場合は、耳かけなら、イヤモールド、耳あななら、それぞれの方法で改善していけると良いでしょう。
ハウリングに関しては、人によって状況が異なるケースが多く、なかなかまとめるのが大変なのですが、こちらが、ハウリングを改善させる手助けになれば幸いです。