耳・補聴器のこと

Think Clearlyに学ぶ、難しい聞こえのケースにおける改善の対応

深井 順一|パートナーズ補聴器

聞こえの改善や補聴器のことについては、【FAQ】聞こえの改善と補聴器のFAQへ。お客様の改善事例は、聞こえの改善成功事例へどうぞ。

先日、Think Clearlyという本を紹介しましたが、この本の内容は、補聴器で聞こえを改善する際にも役に立つ内容がいくつかあります。

多くは、初めの方に書かれているのですが、難しい聴力の方の場合や経験した事がない聞こえの改善の際、または、普段と様子が異なる聞こえの方、耳の方を対応する際に、この本の思考法が非常に役に立ちます。

自分自身よくやっている事がこの本の中には、わかりやすく書かれていたので、こちらについても、紹介していきます。

補聴器で聞こえを改善する際に役立つ思考法

個人的に役に立つと考えている思考法ですが、

  • 考えるより、行動しよう
  • なんでも柔軟に修正しよう

の2つです。

考えるより、行動しよう

こちらでいう「考えるより、行動しよう」というのは、全く、考えなしに行動する。という事ではなく、考えることは、大事だけれども、思考の飽和点、考える事で、わかる限界点は、結構、早めにくるので、そこから先は、考えるのではなく、行動する事で、確認するしかないよ。というものになります。

この本の中には、示唆に富むエピソードがいくつかあります。

私の友人の話をしよう。彼は、すでに10年以上、起業しようと試行錯誤を重ねている。頭のいい男で、大手製薬会社の管理職というよいポストにつき、MBAも取得している。

起業についての本を何百冊と読み、扱う商品を考えるのに何千時間も費やし、市場調査の資料を山のように集め、これまでに20を超えるビジネスプランを書き上げている。だが、まだ一つも形にはなっていない。

彼の思考はいつも、「起業のアイデアに将来性はある。だがうまくいくかどうかは、計画をスムーズに実行に移せるかどか、そして予想されるライバル企業がどう動くかにかかっている」というところまでは、進むのだが、そこでストップしてしまう。

彼の思考はすでに、これ以上長く思い悩んでも1ミリも先に進まないポイントに達してしまっているのである。いくら考えても、もう新たなことに思いいたらない。

このポイントを、ここでは、「思考の飽和点」と呼ぶことにしよう。

頭の中で検討を重ねることに、意味がないわけではない。短期間でも集中して考えれば、とてつもなく大きな気づきがある。しかし、時間とともに得られる認識はどんどん小さくなり、すぐに思考は「飽和点」に達してしまう

Think clearly P24〜25 引用

考えることは、大切なのですが、やはり考えてわかる事と、考えてもわからない事、というのは、あります。

それを把握しないといつまでたっても頭の中だけで考えることになってしまい、物事が前に進まなくなってしまいます。

上記の引用の友人のケースは、まさにそこに陥っており、考えても、わからない事を考え続けてしまっている状態になるわけですね。

じゃあ、どうすれば良いのか。というところに関しては、タイトル通り、行動するというところになります。行動する事で、わかる事というのは、たくさんあります。

この本の中にも、こんなエピソードがあります。

あなたにこっそり、「文章を書くための最大の秘訣」をお教えしよう。たとえあなたが文筆業にたずさわっていなくても、この知識は役に立つ。

その秘訣とは、何を書くかというアイデアは「考えているとき」にではなく、「書いている最中」に浮かぶという事だ。

この法則は、人間が行う、ありとあらゆる領域の活動に当てはまる。

たとえば、ある製品が市場に受け入れられるかどうか、企業家にそれがわかるのは、市場調査によってではなく、製品を市場に出してみてからだ。

セールスマンが完璧なセールストークができるようになるのは、セールス方法の研究を通してではなく、話術をなんども磨き上げ、数え切れないほど断られた経験があってこそ。

親は子育ての指南書を読むことによってではなく、日々自分の子供を育てながら教育者としての能力を育んでいく。音楽家は楽器の演奏方法を頭で考えるのではなく、実際に演奏しながらその楽器の名手になっていく。

それはどうしてか?なぜなら、世界は不透明だからだ。曇りガラスのようにぼんやりしていて、見通しが聞かない。

先行きを完全に予測できる人はいない。最高の教養を身につけている人でも、先が読めるのは、特定方向の数メートル先までだ。予測できる境界線の先を見たければ、その場に止まるのではなく、先に進まなくてはならない。

つまり「考える」だけではだめで、「行動」しなければならないのだ。

Think clearly P23〜24 引用

この点は、私自身も実感することで、書いているうちに色々な事が思い浮かびます。こちらの内容を書こうと思ったのも、そもそもの部分として、前回、この本を紹介したから。という部分が大きいです。

こちらの内容と補聴器による聞こえの改善に関しては、かなり一致する事が多く、面白そうだ。という事で、取り上げて見る事にしました。

これは、考える事だけでは思いつかなかった事で、実際にやって見た結果、わかった事になります。

どうしても今現在は、情報が多くなってきていますので、考える事が多くなってきているのだとは、思いますが、その考える事により、答えが出る問題なのか。そうではないのか。というところは、非常に大きなポイントです。

上記の通り、考えても、思考の飽和点に着いてしまったら、そこから先は、行動してみて、実際に知る。という事が、必要になります。

この思考は、まさに非常に大切な部分になります。

なんでも柔軟に修正しよう

こちらは、言葉の通り「なんでも柔軟に修正しよう」そのままになります。

何かをするにしても、おそらくほとんどの人は、計画をして、そして、実行に移す。という事をすると思います。

むしろ、計画なしで行動すると、何も考えなしで行動する事、自体、まるで罪のように言われ「考えが足りない」「それじゃダメだ」というように言われてしまう事が、今現在は、多いと思います。

しかし、実際には、上記の内容と似ているのですが、やる前に全ての事がわかることは、ほとんどありません。実際に行動してみた結果、実際の現状がわかり、それで修正する。という方がうまく行くことの方が多いです。

こちらには、それにまつわるエピソードがいくつかあります。

ちょっと想像してみてほしい。あなたはいま、フランクフルト発ニューヨーク行きの飛行機に乗っているところだ。「飛行中、機体が予定されたルート上を飛んでいる」のは、飛行時間全体のどのくらいの割合だと思うだろうか?

飛行時間全体の90パーセント?80パーセント?それとも70パーセント?

正解はなんと。「ゼロパーセント」だ。

飛行機の窓際の席に座って翼のふちあたりをみていると、「補助翼」がしきりに動いているのがわかる。

補助翼の役割は、飛行ルートを絶えず修正する事にある。自動操縦装置は、毎秒何回も予定位置と現在位置とのずれを感知し、舵の役割を果たす翼に修正指令を出している。

私はよく、小型飛行機を自動操縦を使わずに操縦するが、そうすると、こういう微調整は自分で行う事になる。一秒でも操縦桿を放置すれば、機体は飛行ルートをはずれてしまう。

車の運転も同じだ。一直線にのびる高速道路を運転しているときでさえ、ハンドルから手を離せば車は車線を逸脱し、事故を起こしかねない。

同じことは、私たちの人生にも当てはまる。しかし私たちの理想はもちろん、飛行機や車と違って予測や計画どおりに進むスムーズな人生だ。

そのために私たちは、せめて最適な前提条件をそろえておこうと「最初の設定づくり」に精を出す。職業教育も、キャリアも、恋人や家族との生活も、すべてにおいて最初に完璧な条件を整えたがる。なんとかして計画どおりに目的地にたどり着けるように。

だが、あなたも知ってのとおり、物事がうまく運ぶことなどほとんどない。人生は、常に乱気流の中にあって、私たちはありとあらゆる種類の横風や予想外の急激な天候の変化と闘わなければならないのだ。

それなのに私たちは浅はかにも、晴天の空を飛びつづけるパイロットのようにふるまっている。最初の条件設定ばかりを重視し、修正の意義を軽んじすぎている。

Think clearly P29〜30 引用

飛行機の例は、非常にわかりやすく、常に修正し続けて、目的地にたどり着いています。

これは、まさに修正をし続けて、目的地にたどり着く。という事を一番、わかりやすく伝えてくれる事例です。

計画することが無駄とは言いませんが、上記の通り、それがそのままうまくいくことは、ほとんどありません。

だいたいが想定していなかったことが起こったり、何か忘れていたり、そういったことが積み重なり、ほとんどのケースにおいて、その通りに行かないことが多くなります。

そのため、別に計画通りではなくても、現状と目指すべきところだけ、把握できるようにして、常に修正していく(場合によっては、目的すら修正する必要あり)。そのように考えていくことが大事だと、こちらの例は、教えてくれます。

それによって、実際に飛行機は、目的地にたどり着いている訳ですからね。

補聴器での聞こえの改善も同じ

これらの章を見たときに補聴器も全く同じだなと感じました。これは、特に自分自身が経験したことがないような珍しい聴力の方だとか、複雑な耳の状況の方は、まさに自分がやっている事、そのものだ。と思いました。

耳の状況というのは、人によって、異なるのですが、中には、Aという病気の上にBという病気が重なる。などの複合型のようなケースまであります。

そして、このようなケースは、補聴器における一般的な聞こえを改善する際の定石というものが通用しません。つまり、その方、その方において、自分で聞こえの改善方法を導き出していくしかない状態になります。

その際にどうしたら良いか。という事になるのですが、上記に取り上げた通り、頭で考えても、見たことがないようなケースになりますので、答えなど、どこにもありません。

さらに、そんな状況において、改善していく。とした場合、頭で考えても、すぐに思考の飽和点に達してしまいますので、このようにしたら良いのではないか?と仮説を立て、測定機器を通じて、現状を把握していく。それを繰り返す事により、こうすると良いのではないか。という道筋が見えてきます。

このようなケースは、初めから答えやどのようにすれば良いかわかるものではなく、実際に経験しながら、そして、改善を繰り返しながら、どのようにすれば良いかがわかってくる例になります。

これは、一見、聴力的には、普通そうに感じるけど、耳の状況としては、耳鳴りがあったり、自分の声が少し響きやすく感じやすかったり、さらには、音が少し敏感に感じやすい方だったり、少し耳の状況が特殊なケースも該当します。

耳の状況は、誰一人として、同じ方は、いませんので、目標と現状をしっかり確認する。その中で、どのようにしたら良いかについては、見えてくる事が多いなと、個人的にも感じています。

上記には、何を書くかというアイデアは、考えているときに浮かぶものではなく、書いている最中に浮かぶ。という風に記載されていますが、補聴器もまさに同じで、補聴器での聞こえの改善は、どうすれば良いかを考えている時に浮かぶのではなく、実際に改善している最中に浮かぶことが多いです。

というのも、理想の状況というのは、確かにあるのですが、耳の状況や音を入れた時の反応は、人により、必ず変化します。

そのため、無理に理想を押し付けるのではなく、その時、その時の耳の状況に合わせて、柔軟に対応することができた方が、聞こえの改善度もお客さんの満足度も高いように個人的には、感じます。

そのポイントが、上記の2つのところになります。

もちろん、これは、何も聞こえの改善が難しいケースに限らず、どのような聞こえの方でも共通するものになります。

まとめ

Think clearlyに関して、記載して見ました。

この本は、思考法を教えてくれますので、この思考法は、生活から仕事まで、役に立つことが非常に多くあります。

思考法とは、考え方になりますので、多くのものに当てはめて考えられるのが良いポイントですね。

特にこういった思考法が自分の中にあるのか、ないのかでは、自分が知らないものに出くわした際にどう対応したら良いか。という部分で差が出ます。

個人的には、上記の2つが補聴器において、非常に大事だと思っています。私も目標は持ってはいますが、その目標や改善は、人によって、柔軟に変えていました。

その方法に関しては、どうもよかったようで、ちょっと安心ですね。

ということで、こちらに関しても記載して見ました。参考になる部分があったのであれば幸いです。

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深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。補聴器の販売員としての知識、技術に加え、一人の難聴者が自分自身の聞こえを改善した知識、技術も組み合わせながら、聞こえの改善、補聴器のご相談をしています。
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