耳・補聴器のこと

フォナックの新しい製品オーデオP(パラダイス)の発売と、時代の変化

深井 順一|パートナーズ補聴器

補聴器による聞こえの改善は、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善は、お客様の聞こえの改善事例にまとめています。

さて、いきなりですが、実は、当店で扱っている補聴器メーカーが、新製品を発売しました。

その名も、フォナック、オーデオ、パラダイス。RICタイプの補聴器になります。

発売時期は、2020年12月15日くらいで、12月半ばなのですが、この製品を皮切りに、時代が変わる感覚を感じています。

結論からいうと、こちらの製品は、ボタン電池型と充電型のタイプで、性能が変化します。

充電型の補聴器の方が性能がよく、そして、今後、充電型の補聴器が、主流になってくることが考えられます。

※以下の内容は、あくまでも耳かけ形補聴器に限ったお話になりますので、その点にご注意ください。

リンク:Phonak パラダイスカタログ(PDF)

新製品オーデオP(パラダイス)

フォナックは、新製品オーデオP(パラダイス)シリーズを発表し、今現在、私も、この新製品の方の販売や対応をしています。

補聴器の性能は、基本的にICチップと呼ばれるものによって、変わるのですが、新製品が出る場合、注目していただきたいのは、新しいチップを使っているのか、それとも、以前のチップを使っているのか。になります

簡単にいいますと、新しいチップを使っているものは、処理性能が大きく上がり、以前(一つ前)のものと別格のものになっていることが多く、以前の製品と同じチップを使っている場合は、以前のもののバージョンアップ、マイナーチェンジのもの。という風にみていただいて、大丈夫です。

今回のケースは、新しいチップを使ったものになりますので、大幅な製品そのものの改革ですね。

では、こちらは、前作のものと何が違うの?という所ですが、大きく分けて、

  • エコノミー(一番下のランク)でも、12ch
  • 充電型とボタン電池型で性能が違う
  • 新たなセンサー、モーションセンサーが投入されるように

の3つです。

エコノミー(一番下のランク)でも、12ch

こちらは、ボタン電池形のオーデオPの価格表。

個人的に大きな変化点であるのが、こちら。エコノミーでも、12chという所です。

チャンネルというのは、補聴器を調整する際、どれだけ周波数別に分かれているのか。という所をさすもので、聞こえを改善する基本機能の部分です。

この部分は、12chもあれば、ほとんどの聴力で、自由に調整でき、かつ、ご自身が使いやすいように調整しやすくなるのですが、そのチャンネル数が、なんと一番下のグレードで手に入るようになりました。

これは、とても大きな変化で、一番下のグレードでも、基本的な聞こえの改善は、もうしっかりとできる時代になった。と言っても過言ではありません。

従来、補聴器メーカーは、このチャンネル数で、正直、金額を決めていました。

しっかり調整(聞こえの改善を)したいなら、良いグレードのもの。悪い言い方をすれば、お金をたくさん支払ってね。というやり方をしていたのですが、それが、もう一番下のもので、十分に改善するためのチャンネル数の補聴器が手に入るようになりました。

全体的な補聴器の金額自体は、上がったように感じますが、本当の意味で、基本的な聞こえの改善のみできる機能。というものが手に入る金額は、下がってきています。

これは、補聴器で聞こえを改善している身としては、非常に嬉しい変化ですし、補聴器を使う方にとっても、良い変化になります。

充電型とボタン電池型で、性能が違う

ここも大きな変化点です。

今まで、補聴器は、ボタン電池型のタイプで作っており、1〜2年前から、

充電型の補聴器に関して、開発するようになりました。

充電型の補聴器は、個人的には、「こんな風にも使える補聴器もありますよ」程度かな。と感じていたのですが、その予想は、遥かに大きく裏切られる事になります。

今回、このフォナックのオーデオP(パラダイス)から、ボタン電池型の補聴器の性能と充電型の補聴器の性能が、変化するようになりました

こちらは、充電形オーデオPの価格表になります。

補聴器の場合、性能別(ランク別)に金額が分かれてるのですが、オーデオP50(スタンダード)からボタン電池型と充電型での、補聴器では、搭載されている性能の部分が変化します。

その理由ですが、ボタン電池型では、安定した電池の供給がままならないため、充電型の方でないと、性能が良いものは、性能が活かしきれない。という状況のようです。

こちらも、とても大きな変化で、今後、より性能をよくしていくには、安定した電池の供給が必要になることを意味しており、充電型が今後、より一般的になってくる可能性を大きく意味しています。

補聴器メーカーすべてがそうなるかは、まだわからないのですが、少なくとも、フォナックは、そこを既に意識しており、これから、どんどん充電型の補聴器が主流になり、ボタン電池型のタイプは、徐々に開発されなくなってくる可能性があります。

仮にボタン電池型を使っている方の場合は(私も含めて)、充電型に移行する必要がある可能性がある。という事ですね。

なお、具体的には、充電型の補聴器で変わってくるのは、スタンダードからで、のちに紹介する、モーションセンサーによる指向性の変化が主な目立った部分になります。

P30(エコノミー)に関しては、代わりは、ありません。ただ、今後の事を考えると、充電型でもし、操作や金銭面で問題ないのであれば、こちらの方が、良いかと思います。

新たなセンサー、モーションセンサーが搭載

これは、主に充電型のタイプで、かつ、スタンダード以上から搭載されている指向性と呼ばれる機能です。

指向性とは、騒がしい中で聞き取りを阻害されないように、周囲の音を抑制したり、音声がくる方向のところは、そのまま音を通したりして、聞きにくさをなるべくなくす働きをする機能です。

従来のものは、音がくる方向やノイズなのか、音声なのか。それを聞き分け、音声なら通す、ノイズなら、抑える。というような働きをしていました。

モーションセンサーが入ると、動いている時は、その周囲の音を拾うようになり、止まっている時は、従来のような働きをして、自分の動き(動作)によって、音を拾う範囲をかえ、なるべく聞き取りを阻害されないようにする機能です。

これにより、また、一歩、邪魔されにくくなり、より騒がしい中だとか、聞きにくい環境で、支援してくれるようになりました。

この機能に関しては、充電型のタイプで、かつ、スタンダード(P50)からになりますので、少々、値段は、張りますが、そういった機能も搭載されるようになってきた。という事ですね。

今後は、充電型に?

オーデオP(パラダイス)について、簡単にお話させていただくと共に、その特徴に関して、お伝えしてみました。

中に搭載されるICチップが代わり、全体的に補聴器の性能が、以前のものと別のものになっていますので、総合的に良くなっているのですが、特に変わってきたところが、上記の部分です。

特に上記の2つは、時代の変化を感じ、もうランク(金額)によって、基本的な聞こえの改善ができないとか、しづらいとか、そんな時代では、なくなってきた事。さらに充電型とボタン電池型で、性能が変わってきた事。

この2つに関しては、時代の変化を感じます。

補聴器の金額は、まだまだ下がりそうにないところは、誠に申し訳ないのですが、時代は、私が想像する以上に早く、良くなってきている事を感じます。

もちろん、このような時代の変化は、先進的に良くしていこうと考えている人がいるからこそ、このような製品が作られたり、世の中が良くなってきているのですが、その部分は、素直に補聴器を使っている身として、感謝の意を表したいです。

以上、新製品に関して、感じた事でした。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
生まれつきの感音性難聴で小学2年生の頃から補聴器を使用。補聴器の仕事は、2006年からで、2024年現在、18年です。自分自身でも補聴器を使っていることを活かして、お客様に貢献できるお店を目指しています。お客様からは、補聴器を使っている当事者なので、状況や気持ちをわかってもらいやすい、と評価いただくことが多いです。
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