聞こえの改善度と幸福度の関係
どのようにしたら、難聴の体でも幸せに生きることができるのか。これが、私の中にある長年のテーマになります。
私は、補聴器を販売することが仕事ですが、個人的には、聞こえにくさの改善を行い、生活をより良くすること。ここを目的として、今まで仕事をしてきました。
初め私は、聞こえの改善こそが難聴の体でも幸せに生きることに繋がる。と考えていました。
聞こえの改善度が高くなれば高くなるほど、聞こえにくいことによる不自由さ、不便さは、解消されることになりますので、この体でも、したいことやしたい生活がしやすくなる。それにより、幸せになれるのではないか。こういった考えです。
しかし、長年、耳のことや補聴器のことに向き合ってきて分かったことは、聞こえの改善は大切ですが、それ以上に大事なことがある。ということでした。
それは、自分自身の居場所がある方。自分がここにいていいんだと思えるような居場所がある方。そういった方は、難聴の方でも幸せやいきいきと生活されていることが多いということです。
今回は、ここについて記載していきます。
疑問を感じたきっかけ
上記の通り、私は、聞こえの改善こそが難聴の体でも幸せに生きることに繋がる。と考えていました。
ですので、聞こえの改善に最善を尽くすには、どのようにしたら良いのか。そこを自分なりに考えてきたつもりです。
ただ、実際に対応させていただいた方々にお話を聞くと、同じような聞こえの方で、聞こえの改善度も同じような方でも、一方は、すごく明るく生活されている方がいて、もう一方は、そうじゃない方がいる。そういったケースに会うことが度々ありました。
初めは、物事の考え方の違いかな。とか、住んでいる環境が違うからかな。とか、色々思っていたのですが、自分自身の興味としても、どのようにしたら難聴の体でも、幸せに生きることができるのか。ここがありましたので、色々とお話を聞くようにしていきました。
そこで感じたことは、聞こえの改善度は、正直、影響する部分はあるのですが、それ以上に自分がここにいていいんだと思えるような居場所がある方。良い人間関係を築けている人がいる方。そういった方が比較的、幸福度、幸せを感じていることが多かったです。
その居場所(コミュニティ)は、家庭の中だったり、趣味の中だったり、さらには、仕事の中だったり、いろいろなのですが、どれか一つでも居場所がある方、さらに、良い人間関係を一人でも築けている方、そういった方は、幸福度、幸せを感じている方が多かったですね。
ですので、最近は、難聴の方の幸福度は、(恐らく)【聞こえの改善度×自分の居場所の数】なんじゃないかと仮説を立てています。
そして、その重要度は、自分の居場所の数、自分自身が良い人間関係を築けている人の数がどれだけいるか。こちらの方が重要度は高くなります。
この内容の元ネタ
リンク:人生を幸せにするものは何? ロバート・ウォールディンガー
さて、この内容ですが、実は、それを考えるきっかけをくれたものがあります。知っている方は、知っているかもしれないのですが、TEDトークの人生を幸せにするものは、何?というものです。
こちらの内容を一言で言うと、「人生を幸せにするのも、人を健康にするのも、人間同士のつながりである」こちらです。
以下、大事な内容に関して、引用してまとめていきます。
75年にわたる研究からはっきりとわかったことは、私達を健康かつ幸福にするのは、富でも名声でも無我夢中に働くことでもなく、良い人間関係に尽きるということです。
人間関係に関して、三つの大きな教訓がありました。
第一に周りとのつながりは健康に本当に良いという事。家族、友達、コミュニティとよく繋がっている人ほど幸せで、身体的に健康で、つながりの少ない人より長生きするということがわかりました。
第二に50歳で最も幸せな人間関係にいた人が80歳になっても一番健康だったということ。
第三に、良い人間関係は、身体の健康だけでなく脳も守ってくれるということ。
75年間にわたる研究で、定年退職後、一番幸せな人は、仕事仲間に変わる新しい仲間を自ら進んで作った人たちです。
この研究の参加者の多くは、彼らが青年期に入った時、名声や富や業績こそが良い生活をするのに必要なものだと本当に信じていましたが、75年もの我々の研究で繰り返し示されたのは、最も幸せに過ごしてきた人は、人間関係に頼った人々だ、という事でした。
それは家族や友達、コミュニティだったり、様々です
人生を幸せにするものは何? ロバート・ウォールディンガー
この内容を初めて見たときは、かなり驚きました。私自身が感じていたことと全く同じことを言っていたからです。
もちろん、私が感じていたのは、ただの感じていたことで、上記の内容は、しっかり研究してできた成果になります。信憑性は雲泥の差なのですが、やっぱりそうなんだ。と感じざるを得ませんでした。
あくまでも私自身がお話を聞く限りですが、居場所が多い方(良い人間関係を築けている方)は、趣味など。例えば、運動系のサークルに所属していたり、そこで気が合う人たちと触れ合う機会が多かったりなど、いくつかのつながりを持っているケースが多々見られました。
もちろん、人によっては、家族の中の関係が良かったり、さらに仕事場での関係が良かったりなど、色々とあります。
まとめ
さて、今回は、聞こえの改善度と幸福度の関係について、私が感じていることを記載してみました。
こちらの内容はあくまでも私が感じていることで、エビデンスだとか、そういったものはありません。
自分自身、聞こえの改善をすれば、幸せになれる。と考え、その道をどんどん進んでいった結果、どうもそれだけでは幸せにはなれないようだ。と感じた人が思っていることです。
もちろん、ここには、聞こえの改善には、依然として、限度がある点も関係しています。耳は治せない、という現実をどう受け入れるか。という点もあります。
一つ言えるのは、幸福度に関しては、聞こえの改善だけではない。という事です。それ以上に自分がいて良いと感じる居場所がどれだけあるか。そこがカギになるように感じています。
そして、周りの人とどのように良い人間関係を作っていくか。ここですね。非常に難し課題になりますが、そこを考えていくことが幸せに繋がるように感じます。
以上、何か参考になった部分があれば、幸いです。