今、使われている補聴器の形とは?
補聴器には今現在、いろいろと形があります。補聴器の形によって変わるのは、主に扱いやすさです。
では、今、使われている補聴器の形とは、一体、どんなものなのでしょうか。
結論からお伝えすると、
- 耳かけ形補聴器だと、RIC補聴器
- 耳あな形補聴器だとCIC補聴器
がこのお店の場合は、多いです。
このページでは、こちらについてまとめていきます。
今ある補聴器の形
まず、全体像について記載していきたいのですが、補聴器のカタログを見ていただくと、大体上記のようなラインナップになっていることが多いです。どのメーカーもですね。
基本は、耳かけ形補聴器と耳あな形補聴器。この2つがあります。
それぞれ耳かけ形補聴器の中には、耳かけ形補聴器の中で種類があり、耳あな形補聴器の中には、耳あな形補聴器の中で種類があります。
これだけ種類があるとなると、補聴器を使っている方は、さぞいろいろと分かれるんだろうなと感じるかもしれませんが、私のお店の場合は、耳かけ形補聴器の場合は、RIC補聴器が大半で、耳あな形補聴器の場合は、CIC補聴器が大半です。
それぞれ、耳かけ形補聴器と耳あな形補聴器の違いは、補聴器の形によって何が変わるの?にまとめていますので、省略するとして、それぞれの形別に特徴を記載していきます。
耳かけ形補聴器
まず、耳かけ形補聴器についてまとめていきます。
結論から記載するとRIC補聴器による使用がダントツで多く、標準タイプ、パワータイプは、ほぼ使われません。
RIC補聴器
RICと書いてリックと読むのですが、RIC補聴器(リック補聴器)の特徴は、補聴器本体とレシーバーと呼ばれる音が出る部品が分離しているタイプの補聴器です。
そのことにより、形状を小さくでき、さらに補聴器を使用した際の欠点であった自分の声の響き、それを軽減することに成功した補聴器ですね。
ですので、そのことによる使いやすさがウリな補聴器とも言えます。
最近では、そのタイプの充電形の補聴器、そして、ほぼ全ての補聴器にBluetoothが入ることにより、スマホ、パソコンなどBluetoothと接続できるものの音を直接補聴器に転送できるようになったことで、そのことによる聞きやすさも兼ね備えています。
評価される方の状況によるのですが、若い方だと、形状の自然さ(目立ちにくさ)とBluetoothによる接続で、Zoomによる会議もそのまま補聴器でできるため、そういったところを評価されることが多いです。
ご年配の方だと、補聴器をつけた時の自分の声の違和感が結構、強くなりがちなのですが、それを軽減してくれるため、補聴器そのものを使いやすいという特徴もあります。
また、テレビに繋ぐことで直接、テレビの音が補聴器に入る機器がオプションであったりするのですが、それを使うとかなりテレビの音が聞きやすくなるので、そういったところの聞きやすさを評価されることが多いです。
欠点がほぼなく(あえて言えば小さいくらい)、柔軟に使える補聴器なのが、このRIC補聴器の特徴です。
標準形補聴器
ひと昔の補聴器といえばコレ、という形をしているのが、この補聴器です。昔は、この形が耳かけ形補聴器の主流でした。
こちらの良いところは、形状が大きいため、そのことによる操作がしやすいことです。
ですので、RIC補聴器を触ってみて、仮に操作がおぼつかない様子があるような方だと、こちらを使われることがあります。
形状が大きいということは、それだけ扱いやすくもなりますので、そういったところを求める方は、このようなタイプを使われることがあります。
ただ、実際にお客さんを対応して感じるのは、ほとんどの方が上記のRIC補聴器のタイプで使えるようになっているということです。
80代の方でもわりと平気で使っていたりしますので、そのことから、標準形の補聴器の形状は、ほぼ使われないようになりました。
パワー形補聴器
その名前の通り、パワー形の補聴器、重度の難聴の方に向けて作られた補聴器です。ですので、重度の難聴の方が使用される補聴器になります。
逆にいうと重度の難聴の方しか使用されることがないため、ほとんどこのお店では、出ていません。
どのような病気もそうですが、重度のケースというのは、一番、数が少ない状態です。軽度が一番数が多く、重度が一番数が少なくなります。
そして、今現在、重度の難聴の方の場合、補聴器で改善するという選択肢以外に人工内耳という手段も出てきています。
これは、耳を手術することになるのですが、その代わり、補聴器よりも聞こえの改善効果を得られるものです。
そういった状況もあり、この補聴器もほぼ出ることはありません。
このお店でも、重度の難聴の方の場合、人工内耳という改善手段があることを伝えた上で、それでも補聴器の方が良いという方しかお引き受けしていないため、なおさら出ることがありません。
耳あな形補聴器
さて、次は耳あな形補聴器です。
耳あな形補聴器の場合、選ばれるのが目立ちにくいものが良いというケース、そして、自然に使えることが良いというケースが多く、そのことから、CIC補聴器がこのお店の場合は、多いです。
CIC補聴器
CIC補聴器は、耳あな形補聴器の中で小さい部類の補聴器です。耳の穴の中に収まるのが大きな特徴ですね。こんな小さい形でも補聴器って作れるんだとびっくりします。
この補聴器を選ばれることが多いのは、目立ちにくいものが良い、あるいは、自然に使えるものが良いというケースです。
実は、耳あな形補聴器の欠点の一つは、自分の声が大きく響いてしまうため、自声が気になりやすい。というのがあります。
この声が大きくなると自分がしゃべる際に気になってしまい、さらにあまりにも大きくなってしまうと、相手の話よりも自分の声の方が大きくなり、相手の話が聞きにくくなるということも起こります。
ですので、その部分をなるべく軽減してあげられると良いのですが、耳あな形補聴器の中で最もそれを軽減できるのは、この形状です。
欠点である自声の響きは、耳を埋めると埋めるほど(耳の中にものが詰まると詰まるほど)強く感じますので、小さいCIC補聴器の場合、こちら以外のITCタイプ、FSタイプより、軽減しやすいです。
そのことから、耳あな形補聴器の場合は、CIC補聴器が選ばれていることが多いですね。
なお、CIC補聴器は、補える聴力範囲が狭かったりしますので、きちんと補える聴力範囲の方のみが対象になります。その点だけ、ご注意ください。
ITC補聴器(標準耳あな形補聴器)
耳あな形補聴器のスタンダードとも言える形がこのタイプです。昔はこの形がスタンダードでした。(今もか?)
形状が少し大きいため、メーカーによっては、Bluetooth機能を搭載でき、スマホ、パソコンを連動することで、音を直接、補聴器に転送できたりします。
そのことにより、Zoomの音声を直接聞けるようにして、会話したり、スマホからくる音をそのまま受けて、電話したり、Youtube、音楽を聞いたりされている方もいます。
そういった部分を評価される方はこちらのタイプを選ばれることがあります。
一つ注意点とすれば、耳を塞ぐ量が多いので、自分の声の響きがどうか、ということです。
上記にも記載した通り、自分の声が大きくなると不快感が強くなりますので、それが許容範囲であればいいですね。逆に強い場合は、他のものの方が使いやすいと思います。
FS補聴器(フルシェル補聴器)
耳あな形補聴器の中でも重度の方、高度の方が使うタイプです。メーカーにより、FS(フルシェル)とか、FC(フルカナル)とか書かれており、少々、表記がややこしいタイプです。
耳あな形補聴器の場合、どうしてもハウリングという問題が常に付き纏いますので、ちゃんと聞こえを補え、さらにハウリングの問題も改善できることを確認した後でないと、耳あな形補聴器は難しいのですが、それらが解消される方には、合うものになります。
高度の難聴、重度の難聴の方は少なく、さらにハウリングの問題、聞こえの改善上の問題から、重度難聴用の耳かけ形補聴器を選ばれることが多く、そこにプラスして、今現在は、人工内耳という選択肢もあります。
そのことから、最も使用されることが少ない耳あな形補聴器ともいえます。
まとめ
さて、今使われている補聴器の形は?ということでまとめてみました。
各補聴器のタイプの説明をさせていただきましたが、昔と今では大きく変化しましたね。
昔は、耳かけ形補聴器は、標準形耳かけタイプが主流でしたが、今現在は、RIC補聴器が主流です。そして、耳あな形補聴器も標準耳あな形タイプ(ITC補聴器)が主流でしたが、このお店の場合は、CIC補聴器が主流です。
どんどん形が小さくなってきているといえばその通りなのですが、形状を小さくても、きちんと補聴器としての機能を備えているので、そうなってきているのだと思います。
私自身も改めて記載してみて感じたのは、RIC補聴器、CIC補聴器が優秀なので、それ以外が選ばれにくいということですね。この2つが2強であるのは、改めて、それぞれの特徴を見てみるとわかる気がします。
ということで、今、使われている補聴器の形は?でした。