高い音が聞こえづらい難聴を補聴器で改善する
こちらでは、主に高い音が聞こえづらい難聴の方を補聴器で改善する方法についてまとめていきます。
高い音が聞こえにくい聴力は、今現在、改善しづらい聴力型の一つです。低下している聴力の量が大きいと補聴器では補いきれない部分が出てきてしまうからです。
ですので、こちらでは、高い音が聞こえづらい聴力における補聴器に関する全体像から、補聴器の選ぶ部分、そして聞こえの改善に影響する部分まで、まとめていきます。
高い音が聞こえづらい方の聞こえ
こちらの内容が対象になる方は、主にこのような聴力になります。低い音は聞こえていて、高い音になるにつれ聴力が低下するケースですね。
低下する量や傾向によって、少々、聞こえ方も補聴器による聞こえの改善の仕方も変わってきてしまうのですが、こちらでは、おおよその部分に関して、まとめていきます。
このような聞こえの方の場合、まさに聴力の通り、高い音が聞こえないため、音声に関しては、人によって話していることはわかるけれども、何を話しているのかは、わからない、言葉がはっきり聞こえない、となってきます。
そして、音に関しては、小鳥のさえずりや体温計の音などの高い音はわからないため、体温計などは、腋の下に入れて、(音が聞こえないので)しばらくしてから、体温計を出す、といったやり方をしている方が多いです。
音が聞こえにくくなることによって困る要素というのは、主に状況のような場面が多いのですが、対面でのお話に関しては、はっきり話してくれる方はまだわかりやすいのですが、声が小さかったり、滑舌が少し悪かったりすると急に聞こえにくさを感じます。
そして、対面でのお話に関してわからないことが出てくると、騒がしいところ、複数の人との会話では、それ以上に困りやすくなります。
また、距離が離れた場合もかなりわかりづらくなり、音というのは、離れれば離れるだけ音が小さくなり、さらに音は聞こえないと聞こえていないことに気がつかないため、割と呼ばれても気がつかないことが増えてきます。
こういったところで全体的に困りやすくなるのが、高い音が聞こえづらい方の特徴になります。
補聴器で選ぶ要素、改善する要素
さて、ここから実際に聞こえを改善していく方法について記載していきます。
まず全体像ですが、補聴器には、
- 補い方(使う耳、特殊な補聴器等)
- 補聴器の形状
- 補聴器の性能
- 補聴器の調整(聞こえの改善)
の全部で、4つがあります。耳鼻科さんや補聴器屋さんで相談するのは、主にこの4つの部分になります。逆に言えば、補聴器は、分類すると、たったこの4つしかありません。
その中で、
- 補聴器の形状
- 補聴器の性能
この2つに関しては選ぶ要素で、主に補聴器のカタログなり、パンフレットに記載されているものです。目に見えるものが多い、ということですね。
そして、
- 補い方(使う耳、特殊な補聴器等)
- 補聴器の調整(聞こえの改善)
この2つに関しては、相談する要素で、お店や病院さんで相談しながら、よくしていく部分になります。言い方を変えると、初めての方は、目に見えづらい部分になります。
大事なことをはじめにお伝えさえていただきますと、聞こえの改善は、ほぼ補い方、補聴器の調整、この2つによって決まります。
つまり、相談する要素によって、聞こえの改善度は、ほとんど決まる。ということです。ここに関して覚えておき、特にこの部分は、押さえて改善していきましょう。
以下、それぞれの部分で、高い音が聞こえづらくなっている難聴の方は、どのようにしていけると良いのか、記載していきます。
補い方(使う耳、特殊な補聴器等)
初めは、補い方ですね。補い方というと、なんのことだかさっぱりわからない方も多いかと思いますが、これは、補聴器をつける耳のことになります。
右側だけつけるのか、左側だけつけるのか、両方の耳につけるのか、それとも耳の状態が特殊なので特殊な補聴器を使うのか。こういった部分になります。
補聴器で大事なことについてはじめにお伝えさせていただきますと、補聴器は、耳の状態が9割になります。
今現在、補聴器は、どのような聴力でも、どのような耳の状態でも改善できる。ということはありません。
聴力低下が大きければ大きいほど、補聴器による改善効果は下がりますし(補いきれない)、音声が理解できるかどうかは、耳というよりも脳の部分になるため、その識別能力が低下してしまうと補聴器による効果は得づらくなってしまいます。
補聴器について初めての方や補聴器を知ってまだ日が浅い方は、良い補聴器、高い補聴器を買えばいいんじゃないか?というような認識の方もいらっしゃるかもしれませんが、この点は間違いではないものの、それだけで良くなることはりません。
補聴器は、耳の状態が良ければ良いだけ、効果が出やすく、耳の状況が悪ければ悪いほど、効果は出にくくなります。
何が言いたいかというと補聴器の性能やメーカーによって変わるわけではないということですね。
だからこそ、ここのところが大事になってくるのですが、現状、こちらをご覧いただいている方の耳の状況は私はわからないのでなんとも言えないのですがそんな状況で言えることはただ一つ。
もし、両方の耳に補聴器が適合するのであれば両方の耳に補聴器を装用し、なるべく聞きにくさを減らせると良い。ということです。
補聴器の世界でよく言われるのは、片方と両方では、騒がしいところでの聞き取りが違う。というものです。ですので、聞き取りをよくする場合は、なるべく両方がいいですよ。というものですね。
これももちろん間違いではないのですが、それ以上に高い音が聞こえづらい方の場合、今現在の補聴器では、低下した聴力の部分を補いきれない部分が出てきてしまうことが多く、そのことから、補い方は、最善の方法で改善できると良いです。
そうしないと聞きづらさが残りやすくなってしまいますので、聞き取りの改善は難しくなってきてしまいます。
そもそもの部分として、高い音が聞こえづらくなっているケースは、そのレベルにもよりますが、補聴器で改善しづらい、効果を得づらい3大聴力の一つです。
元々の改善がまだ難しい部分が多々残っていますので、改善するのであれば、改善効果が高くなる方法で改善できると良いです。
補聴器の形状
さて、ここから見える部分になります。補聴器のカタログ、パンフレットを見ると、色々な補聴器が掲載されているかと思います。その部分ですね。
補聴器の形状、形によって変わるのは、補聴器の扱いやすさです。言い方を変えると、補聴器の形状では、自分自身が扱いやすいものを選ぶ、ということでもあります。
まずは、全体像からお伝えしますと、今現在、補聴器は、主に耳かけ形補聴器、耳あな形補聴器の2つがあります。
耳かけ形補聴器には、耳かけ形補聴器の中でいくつか種類があり、耳あな形補聴器の中では、耳あな形補聴器の中でいくつか種類があります。
補聴器の形状では、主に形ごとに音の出力、どのぐらい音を大きく出すことができるのか。これが異なります。右側に軽度、中等度、高度……とか書いてあるのは、どのぐらいの聴力の方まで対応できるのか、のグラフです。
で、高い音が聞こえづらくなっている方に合うものですが、これは非常にこのグラフではわかりづらく、合いやすいものを出しますと、
- 耳かけ形補聴器なら、RIC補聴器
- 耳あな形補聴器なら、CIC補聴器
主にこのようになります。
まず、高い音が聞こえづらくなっている方が気をつけなければいけないのは、大抵の場合、低い音の聞こえが良いことです。
125〜500Hzの部分で、60dBの範囲内にある場合、補聴器をつけると、自身の声が低く響く感覚で聞こえたり、唸るような感覚で聞こえるようになります。一言で言うと自分の声の不快感を感じやすくなる、ということです。
これはその部分の聴力が良いと良いほど、その不快感は強くなります。
ですので、ご自身の聴力によるデメリットの部分を減らせると良いのですが、それが
- 耳かけ形補聴器なら、RIC(リック)補聴器
- 耳あな形補聴器なら、CIC(シーアイシー)補聴器
になります。
耳かけ形補聴器にもいくつか種類があるのですが、その中でもRIC補聴器は、自分の声の不快感を感じづらく、耳あな形補聴器の中でも、CIC補聴器は、その不快感は感じづらくなります。
そして、それらの部分を減らしつつ、高い音を補える形状にしていく必要があるのですが、この2つは、高い音も補いやすい形状なので、特にこのような聞こえの方に合う形状になります。
なお、それぞれの形状の違いは、こちらの通りです。
形による違いは、基本的には、扱いやすさになります。耳あな形補聴器は、耳の穴の中に入れることで、メガネやマスクといったものに邪魔になりづらく、電話もそのまま行えます。
その代わり、耳を密閉するので、先ほどの自分の声の不快感に関しては、感じやすくなります。この感覚は、耳かけ形補聴器の方が感じづらくなります。
耳かけ形補聴器は、先ほどの声の不快感に関しては、感じづらくなるのですが、人によっては、メガネやマスクの邪魔に感じ、電話も耳の上に補聴器があるため、上にヅラして行う必要があります。
このあたりは、使ってみて判断するとよく、耳かけ形補聴器を使ってみたけど、思ったより、メガネやマスクの邪魔にならないな、と感じることもありますし、耳あな形補聴器を使っても、このぐらいの不快感であれば耐えられる、使える。という風に感じたりします。
これらの許容度は、人によって異なるため、実際に選ぶ際は、使いながら、試聴しながら、自分自身はどのように感じるのか。を確認しながら決められると良いですね。
補聴器の性能
補聴器の性能に関しては、聴力別による変化がないため、性能に関するものは、全て、以下のページにまとめています。こちらをご覧ください。
なお、補聴器の性能は、良いに越したことはないのですが、聞こえの改善度を重視する場合に、はじめに押さえるのは、補い方と補聴器の調整になります。
それを押さえた上で、性能に投資できるようになると、相乗効果を得られるようになり、さらに聞こえの改善に貢献しやすくなります。
聞こえの改善を重視したい場合は、本質の部分を押さえた上で、お金も投資するようにしましょう。
リンク:【基本】補聴器の性能と買い換えサイクル
補聴器の調整
最後は、補聴器の調整になります。補聴器の調整は、聞こえの改善度に大きく影響する要素で、実際にどのぐらい聞こえの改善ができたかで、総合的な聞きやすさが決まります。
まず、今現在の補聴器には、聴力別に改善できると良い数値というのがあります。どのように表現するとわかりやすくなるのかが難しいのですが、補聴器を使った状態を可視化できる測定、補聴器版聴力検査のようなものがあり、こちらで表現すると、このようになります。
それぞれの低下しているレベルにもよりますが、聴力が70dB未満の場合は、30dB、35dBぐらいまで、それ以上に低下している場合は、聴力の半分から+5dBの範囲、そのぐらいにまで改善できるようになると、補聴器による効果は感じやすくなります。
このグラフは、主に聴力検査の際に使われるグラフと同じで、聴力検査の場合は、下がると下がるほど聞きづらくなるのに対し、この場合は、上がれば上がるだけ、聞きやすくなっていることを示します。
周波数別の補足をしていきますと、音声の改善に貢献しやすいのは、500〜2000Hzのあたりです。ですので、なるべくこの辺りは、しっかりと改善できると良いです。改善できればできるだけ、その分、聞きやすさに貢献しやすくなります。
そして、2000〜4000Hzのあたりは、改善できる量だけ改善できると良いです。高い音が聞こえづらくなっている方の場合、ここの低下量が多いと、改善しきれない部分も出てきます。
聴力によるとしか言えないのですが、改善できればその分、高い音に気づいたり、言葉の明瞭性が上がるため、改善できると良い部分でもあります。
なお、低い音に関しては、大体、聞こえが良いことが多く、その場合は、その聞こえに関して、下がらないようにしていきましょう。
このような聞こえている部分と聞こえなくなっている部分の差が大きい聴力の基本方針は、聞こえているところは聞こえているところで活かし、聞こえなくなっているところを補って、聞こえをよくする。になります。
ですので、聞こえている低い音はそのまま聞こえる状態にし、聞こえなくなっている高い音を補って聞こえをよくする。ということですね。
そうなると結局、下がっているところを全体的に改善する。という考えにはなってしまうのですが、このようにできると良かったりします。
音を入れすぎてしまうと辛く感じてしまうケースもありますので、実際には、補聴器を使う方、そして補聴器を調整する方で、それぞれ相談しながら、良い状態を目指していけると良いですね。
お客様の声
生まれつきの感音性難聴の方
- 改善:CIC補聴器
- 機器:耳あな形補聴器
- 備考:両耳装用にて改善
原因不明の感音性難聴の方
- 改善:RIC補聴器
- 機器:耳かけ形補聴器
- 備考:両耳装用にて改善
生まれつきの感音性難聴の方
- 改善:CIC補聴器
- 機器:耳あな形補聴器
- 備考:両耳装用にて改善、障がい者自立支援法使用
この他のお客様の声(総合)
まとめ
こちらでは、高い音が聞こえづらくなっている聴力の方を対象に、どのように改善していけると良いのかをまとめてみました。
どのぐらい高い音が低下しているのかにもよりますが、今現在、低下している量が大きいと補聴器では補いきれない部分が出てきてしまいますので、その分、他の聴力の方と比較すると、改善度が落ちやすくなります。
今現在、補聴器はどのような聴力でも一定の部分まで改善してくれる、というわけではありません。ですので、耳の状況によっては聞こえにくさが残りやすくなってしまうこともあります。
しかし、上記のようにやるべきことをすればそれなりに改善できる部分もあるのも事実ですので、もしそのような聞こえの方がいらっしゃいましたら、しっかりとできることはしていくことをお勧めします。
と、こちらに関して、記載してみました。何か参考になる部分があったのであれば幸いです。