補聴器の性能って何?性能によって何が違うの?
今現在、補聴器というのは、補聴器の形の部分と補聴器の性能、中の機能のものがあります。
補聴器で聞こえを改善していく場合、この2つを選んで改善していくのですが、基本、このブログで書いているお客様の症例では、性能の話はほとんど出てきません。
その理由は、性能云々より、基本的な改善の考え方の方が大事なこと、性能は、お金が大きく絡むことなので、一概にとても言いづらいこと(性能を基本にすると買えない人が出てくる)、この2つがあるからです。
とはいえ、補聴器の性能って何が違うの?というところは、気になるところだと思いますので、買える買えないの問題はあるにしても、知っておくと良いところでもありますので、今回は、ここに関して、簡単に記載していきます。
補聴器の性能とは?
まず、補聴器の性能とは、言い方を変えれば、感音性難聴の方は、どのように改善すると良いのか、あるいは、どのように改善できると良いのか、という点から作られています。
以前は、簡単に感音性難聴というところについて記載させていただいたのですが、感音性難聴の特徴として、
- 音が聞こえづらくなる
- 音声が理解しづらくなる
というところをお伝えしました。
音が聞こえにくいことによって、音声が理解しづらくなる点はあるのですが、音が十分に入っていたとしても、何を言っているのか、まるでわからない、というケースもあります。
それにプラス、前回は、お伝えしていなかったのですが、感音性難聴の方(感音性難聴に限らず、難聴の方、全般)は、ノイズに弱い、という特徴があります。
専門用語を使うと、感音性難聴になると起こることの一つは、周波数分解能(しゅうはすうぶんかいのう)が低下することです。周波数分解能とは、その名前の通り、周波数別に細かく音を分解する能力になります。
周波数を細かく分解できなくなると、例えば、佐藤さん、加藤さんといった似たようなものがうまく分解されないことにより、まるで2つが混ざったような音声に聞こえたり、佐藤さんなのに、加藤さんのように聞こえたりします。
これは、細かく周波数を分解することができない、それをするのが難しいので、その言葉の似た言葉に聞き間違えやすくなるということです。(細かく周波数を分解できるようになると違いがわかるようになり、区分けができるようになる)
また、細かい周波数別の違いがわからなくなると、特にノイズが入った場合にノイズと音声で細かく分けることができず、音声にノイズが乗ってしまい、それで聞き間違えたり、非常に理解しづらくなったりします。
聞き間違えが起こること、そして、騒がしい中での聞き取りが難しくなってくる理由については、感音性難聴になると内耳という部分の音の神経の部分が悪化し、それにより周波数分解能が低下してしまい、そこから細かな音の違い、周波数別の違いによる判別が難しくなってしまい、よくわからなくなることがあげられています。
ここを補聴器は、なんとかしようと、考えたわけですね。
実際に補聴器が取った行動
難聴において、なぜ聞こえにくい状態になるのか、を整理していくと、大きな要素としては、
- 単純に音量が小さい
- 音声が理解しづらい
- ノイズが入った時にわかりづらい
の3つに分けることができます。このうち、対処できそうだ、となるのは、1と3ですね。
単純に音が小さいのであれば、音を大きくして聞きやすくする、ノイズが入った時にわかりづらくなるのであれば、補聴器側が音声とノイズを分ければいいじゃないか、と考えたわけです。
今現在、補聴器がしていることの一つは、低下した聴力のところに対し、音を入れることです。
補聴器には、いくつかグレードがあるのですが、どの補聴器においてもそこはできるようになっています。
一応、詳しい方、向けにお話をしていきますと、こういった調整する幅のことをチャンネル(ch)と表現したりするのですが、これは、12chほどあれば、十分にできるとされており、今現在は、多くの補聴器がそのぐらいまで搭載されるようになってきましたので、特に気にする必要がなくなってきたところでもあります。
それ以上に金額による変化が大きくなるのは、ここですね。音の抑制機能です。
音の抑制機能を搭載している理由は、先ほどの通りです。感音性難聴は、ノイズに弱く、静かなところであればよく聞こえるけれども周囲が騒がしくなると聞きづらくなる、というのは、まさにノイズ下になると聞き取りが悪くなるからです。
そのため、補聴器の金額は、この抑制機能が多くついたり、その機能が良くなる程、金額が一気に上がってきます。
指向性(画像左)は、音を拾う範囲を指定して、それ以外の音を下げることで、周りの音を邪魔されづらくして、聞き取りをなるべく阻害されないようにする機能です。
また、それ以外の快適性の機能(画像右)は、周囲にある不快に感じやすい音を抑制し、快適に使いやすくする機能になります。が、上記に記載した通り、感音性難聴は、ノイズに弱い状態になりますので、これらの部分は、快適性も上がるのですが、それと同時に邪魔される分も少なくなるので、単純に聞き取りアップの効果もあります。
このように補聴器というのは、基本、感音性難聴に関して、どのようにして聞き取りを改善しようか。を考えて作られたものになります。
単純に音が小さく聞こえるものは、音をより入れられるようにして聞きやすくし、ただ、それだけだと周囲のノイズに晒された時に聞き取りが悪くなってしまいますので、各抑制機能を入れて、なるべく阻害されないようにしました。
その性能差が、金額差であり、性能ですね。
なお、誤解があるといけないのですが、今現在、補聴器にはグレードがありますが、どの補聴器にも聞こえの改善、音を大きくして聞こえるようにする機能は、搭載されています。
性能差(金額差)は、主に抑制機能の有無になります。ですので、安い補聴器だと、全く聞こえが改善できない、ということはありませんので、そこだけは、ご理解いただければ幸いです。
まとめ
今現在、補聴器の性能は、そのまま金額差となって出てくるため、非常に大きな部分になります。ですので、性能による違いは、実際に購入を考えている方からすれば、気になるところですね。
ですので、その点について記載してみたのですが、少しでも理解につながったのであれば幸いです。
上記に記載した通り、補聴器で考えているのは、どのようにしたら感音性難聴(難聴全般)を改善できるかになります。
音が小さく聞こえるので、それを聞きやすくし、聞きやすくした後にノイズによる阻害が起こりやすくなってしまうので、抑制機能をつけ、なるべく阻害されないようにする、そのようにして、補聴器は少しずつ良くなってきました。
もしかしたら「音声が理解しづらい、には、触れてなくない?」という方もいるかもしれませんが、そこは、まだどのようにしたら理解しやすくなるのかはよくわかっていないからです。
ですので、今現在できること、音を聞きやすくし、そして、阻害されてしまう分を抑制することによって、なるべく聞き取りをよくできるようにしています。
これが性能の違いですね。