耳・補聴器のこと

難聴の方の生活を良くするには?

深井 順一|パートナーズ補聴器

聞こえの改善や補聴器のことについては、【FAQ】聞こえの改善と補聴器のFAQへ。お客様の改善事例は、聞こえの改善成功事例へどうぞ。

補聴器を購入する、つける、ことを考えるということは、言い方を変えれば、ご自身の生活を良くする、ということでもあります。

私自身、生まれつきの難聴者であり、補聴器をつけていますが、何も生活を良くする方法は、補聴器をつけることだけではありません。それは、単純に仕事のスキルや生活に関する見直しに関するもの、コミュニケーションなど、多岐にわたります。

私もお店のお客様とお話ししたり、話の話題になることもありますので、こちらでは、ここについて、まとめていきます。

大きく分けると?

難聴の方の生活を良くする、と考えた場合、大きく分けると

  • 耳まわりを良くする
  • 基礎能力を良くする

の2つに分けられます。

耳まわりを良くする

耳まわりを良くする、というところには、

  • 聞こえを良くする
  • 良い状態をキープする

の2つがあります。

聞こえを良くするは、わかりやすいですね。聞こえにくい状態なので困ることが増えるわけですので、聞こえを良くして、その困る頻度、場所、シチュエーションを少なくする。これが、聞こえを良くすることです。

主に補聴器が担っているのもここの部分で、補聴器を求める方は補聴器が欲しいというよりも聞こえにくい状態だと困ることが多いので、その困ることを減らす、無くすために補聴器を考えるという方が大半だと思います。

じゃあ、耳まわりを良くすることは、これだけなのかというと、良い状態をキープするもあります。ご存知の方は、ご存知だと思うのですが、補聴器の効果は耳の状態が9割です。

耳の中の図

耳、実際には、内耳と呼ばれる音を感じ取る神経があるのですが、その神経の状態が良ければ良いほど補聴器による効果は上がりやすいのですが、逆に内耳の損傷度が大きい場合は、補聴器による効果は限定的になってしまいます。

良い補聴器を買えば良くなるとお考えの方も多いのですが、良い補聴器(高い補聴器)よりも良い耳の状況の方が聞こえの改善度、聞こえやすさにおいては影響度は大きいです。

ですので、今、この時が一番良い状態ということですね。ということは、その状態が維持できれば良い状態を維持しやすく、逆にここから悪化してしまうとより聞きにくくなってしまうことを意味します。

なので、できれば良い状態をキープする。そこができると良いです。

これが耳まわりを良くする、になります。

基礎能力を良くする

基礎能力を良くする?非常にわかりづらい名称ですね。私もどう表現したらわかりやすいのかわからないので、ひとまずは、こんな風に表現しています。

これは、何かというと、いわゆる人生を良くすること全般です。例えば、食事に関して、きちんとしたものを食べるとか(甘いものは極力避けるとか、加工肉とか、お酒を減らすなど)、適度な運動習慣を身につけましょうとか、そういった類のものです。

仕事においては、仕事のスキルを磨いたりだとか、人とのコミュニケーションの仕方、または、自分に向いている仕事、向いていない仕事を理解するとか、こういったものですね。

たまに補聴器をつければ全てのことが解決する、とお考えの方がいるのですが、補聴器がしているのは、あくまでも聞こえにくい状態を改善してくれるだけです。

例えば、仕事に悩んでいるとした場合、仕事に悩む理由は、色々とあると思います。それは、職場の人間関係に悩んでいるとか、そもそも仕事の内容が自分の特性、あるいは、性格に合っていないとか、会社そのものの職務、体制が悪いとか、とにかく色々な要因、原因があります。

その中で聞こえにくい状態というは、確かに問題が起こりやすい要素です。聞こえにくいことで人とコミュニケーションが取りづらくなると、それによる問題が多くなってきてしまうからです。

ただ注意が必要なのは、補聴器は聞こえを良くすることをしてくれるだけであり、コミュニケーション能力を上げてくれるものでもなければ、人との人間関係をよくしてくれるものでも、仕事ができるようにしてくれるものでもないことです。

ですので、聞こえにくいことによって起こることは確かにあるのですが、補聴器をつけて、それらのものが改善されるかどうかは人によります。

元々、コミュニケーション能力、仕事のスキル、技術、能力、そういったものがある状態で、補聴器をつけ聞こえにくいことによるマイナスを減らすことができれば、よくなることは大いにあります。

むしろ、補聴器の恩恵を一番に感じている方は、このような方々で、私は「元々、持っている人達」と表現していたりします。

しかし、聞こえにくいことに加え、実は、コミュニケーション能力が低い、仕事のスキルや技術、能力が低い、あるいは、そもそもマナーやモラルがないなどある場合は、良くなることはほとんどありません。

聞こえにくいことでその問題が大きくなってしまっているのは事実ですが、問題の本質はそこではないからです。

ですので、仮にうまくいかない、あるいは、今、うまくいっていないな、という場合は、原因の見極めは、とても大事になります。言い方を変えれば「それって本当に聞こえにくいことが原因なの?」と一旦立ち止まって考える必要があるということです。

どちらにしても耳まわりを良くすることと、基礎能力をよくすることの2つが必要になってくるのですが、補聴器をつければ解決する、ということではなく、もう少し物事を広く見ていく必要があります。

ですので、難聴の方の生活を良くすると考えた場合、補聴器だけでは足りない、というのが、生まれつき難聴で補聴器を使っている私自身が感じていることです。

マイナス面を減らし、プラス面を多くする

人生を良くするには、どうしたら良いのか?これは、実に単純で、マイナス面を減らし、プラス面を増やす、ただこれだけですね。

私自身を含む難聴者の場合は、聞こえにくいことによるマイナスを減らし、基礎能力を良くする、あるいは、日常的な生活の中のマイナス面を減らし、プラス面を多くする、ということになります。

上記の内容は、まさにそこになり、

  • 耳まわりを良くする→主にマイナス面を減らす
  • 基礎能力を良くする→プラス面を多くする

になります。

マイナス面を減らすことは、大きなマイナス分を減らし、ゼロに近づける行為です。

逆にプラス面を増やすことは、ゼロから、どれだけ増やすことができるか、という行為にになります。

まさにマイナスを減らし、プラスの量を増やす。そこが大事になります。これは、プラス面を多くすること、マイナス面を減らすこと、どちらも必要なことになります。

そして、大事なこととして、補聴器はマイナスを減らすことしかしてくれないことです。

持っている方々は、聞きにくさが減ると、プラス面が出てくるようになる。

ですので、上記に記載した通り、元々プラス面を持っている方は、補聴器をつけることでマイナス部分を減らすことで、より良くなります。元々持っているプラス面が芽を出すようになるわけですね。

仮に持っているものが少ないと、減らしてもゼロに近づくだけになる。

しかし、元々、持っているものがない場合は、大きなマイナスが減るだけであり、ゼロには近づいていますが、実感として良くなった感覚は感じにくいです。補聴器をつけてもこんなものなの?という感覚があると思います。

これは、補聴器自体が悪いというよりもそもそも問題の本質はそこではないことを意味しているからですね。そのような場合は、どうしても効果は感じにくくなります。

このように実は、補聴器の効果自体もその人が持っているのか、持っていないのかによっても変わります。

もちろん、実際には補聴器自体が悪い、うまく聞こえを改善できていないケースがあり、より改善することで、よりその方の生活が良くなることはありますので、なかなかどこに要因があるのか、原因があるのかは難しいのですが、こういった部分もあります。

ということで、難聴の方の生活を良くするには?でした。たまにお客様とお話しすることがありますので、こういったことを書くのもいいですね。

この記事を書いた人
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳から補聴器を使用。スティックラー症候群という遺伝性の病気で、その症状の一つとして感音性難聴があります(中等度の難聴)。生まれは静岡県藤岡市、育ちは千葉県市川市。色々なものの見方、考え方を知るのが好きで、本を読んだり、人の話を聞き、自分の生活の改善に活かしていくのが好き。

補聴器を使っている当事者だからこそできる補聴器のご相談、サポートがあります

「補聴器を使って良かったです。これから明るく生活できます」50代・女性

「思っていたよりも使いやすく日常生活がスムーズになった」40代・女性

「診断では、まだより悪化してからのもの、という印象がありためらっていたので、何より自分の聴こえが改善できるということに嬉しさを覚えました」30代・女性

などなど、ご評価いただいています。

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