補聴器の調整って何?補聴器がしていることと聞こえの改善
補聴器による聞こえの改善で、最も聞こえの状態、もっというと良い補聴器になるか、そうでない補聴器になるのかの影響度が高いのが、この補聴器の調整です。
補聴器の調整というと、初めての方は、なかなかイメージしづらいと思いますが、一言でいうと、低下した聴力のところに音を入れ、聞きやすくしていくことです。
ですので、どこまで聞こえを改善できたかで、聞きやすさに関しても変わってくるようになります。無理に音を上げる必要はないのですが、ご自身の聴力から改善できると良いところまで改善できると、その分、聞こえの改善度は高くなります。
こちらでは、あくまでも簡単に、ではありますが、補聴器の調整に関わる部分について、記載していきます。
補聴器の調整とは
補聴器の調整とは、冒頭の通り、低下した聴力のところに音を入れ、聞こえを改善していくことです。
補聴器がしていることは、低下した聴力のところに音を入れ、聞きやすくすることです。その聞きやすくすることに関しては、手動というか、どのぐらい音を入れるかは、機械を操作して決めています。
実際に見ていただくとわかりやすいのですが、今現在は、補聴器はパソコンに接続して、補聴器を調整するソフト(フィッティングソフトと言います)で、音を調節していきます。
補聴器の調整ソフトには、聴力検査のデータを入力したり、数値を入力することで、ある程度、補聴器を自動的に調整してくれます。
で、この内部の部分は、だいぶ自由に周波数を操作できるようになっていますので、こちらで、音を調整し、聞こえの改善に貢献できるようにしていきます。
その際、目指すのは、聴力ごとの改善目標値です。今現在、補聴器では、聴力ごとに目指せると良い改善目標値、おおよそ、ここまで改善できると聞きやすくなるという数値がありますので、そこまで、改善できるようにしていきます。
このようにして補聴器は、難聴の方の聞こえの改善を行うのですが、それと同時に補聴器の調整を通じて、どこまで聞こえを改善するか、あるいは、聞こえを改善させるかで聞きやすさから、使いやすさまで変わるようになります。
良い補聴器にしていくためには?
では、どのようにしたら自分にとって良い補聴器にできるのか、そのポイントの一つは、補聴器の調整状態は、見えるようにすること。こちらが大切です。これは、実際に難聴で補聴器をつけている私自身が感じている事です。
補聴器をつけてみると、どのように音を感じるのか、例えば、音が大きく感じる、小さく感じる、音が高く感じる、なんかこもって聞こえる、こういった感覚的なことはわかるのですが、自分自身がどこまで聞きやすくなっているのか、その点は、よくわかりません。
難聴の状態を想定していただきたいのですが、難聴になると、聞こえにくい状態はわかっても、自分がどれだけ聞こえにくいのか、例えば、低い音が聞こえづらいのか、高い音が聞こえづらいのか、その点は、よくわかりません。
このように音というのは、感覚ではわかりづらい部分があります。そのため、聞こえにくくなった際には、聴力を検査して、どこがどれぐらい聞きにくくなっているのかを可視化します。
ここで大事なのは、聴力検査というものがある、ということではなく、感覚ではわかりづらいから、聴力検査というものを使って、聞こえにくさを可視化しているということです。
これは、補聴器も同様で、補聴器も使っただけでは、自分が果たして、聴力的にどのぐらい聞こえやすくなっているのか、それはわかりません。ですので、可視化して、わかりやすくできると、聞こえの改善には、貢献しやすくなります。
可視化する2つのツール
可視化するツールには、いくつかあるのですが、初めての方でも比較的わかりやすいのが、2つありまして、それは、音場閾値測定と補聴器の調整ソフト内の数値です。
音場閾値測定(おんじょういきち測定)
音場閾値測定とは、補聴器を使った状態で、どのぐらい聞こえているのかを可視化するツールです。一言でいえば、補聴器版、聴力検査ですね。
そこまで時間がかからず、かつ、どの周波数がどのぐらい改善できているのか、を可視化しやすいので、現状確認から聞こえの改善の道筋を見つけるなど、多様の使い方があります。
聴力によって、聞こえの改善ができると良い数値は変化しますので、人によって変わってしまうのですが、例えば、上記のような状態だとします。▲が目標、▲が実際に補聴器で改善できている数値ですね。
このように比べていただくと、今現在の聞こえの状況から、どのようにしていけるとより聞こえを改善できるのか、を見つけやすくなります。
補聴器を調整する際に大事になるのは、補聴器を使った感覚と実際の改善値です。
補聴器を使った感覚として、まだ大きくしても大丈夫そうだ、という感覚があり、仮によくできるなら、よくしたいとお考えだった場合、より聞こえを改善していくために目標値との差がある部分をより改善していこう、と改善方針を出すことができます。
このように現状を把握できるようになると、どのようにしていけるとより聞こえの改善につながるのか、のヒントになるため、ご自身にとって良い補聴器にしやすくなります。
補聴器の調整ソフト
補聴器の調整ソフトの中には、上記のように今現在の音のレベルと、目標となる音のレベルというのを出してくれます。
このようにすると、どの部分は、目標値と同じぐらい出ていて、逆に足りていない部分はどこなのか、を把握することに繋がります。
あとは、先ほどの音場閾値測定と同じなのですが、どのようにしていきたいのか、聞こえの改善を重視したいか、それとも補聴器の使いやすさ、快適性を重視するかで、調整を変えていきます。
改善度を重視したいのでしたら、なるべく改善目標値まで改善した方が良いですし、もし、使いやすさを重視したい場合は、聞こえの改善と使いやすさのバランスを整えていければいいですね。
補聴器に限らず、音というのは、感覚では実際のところ、よくわからないという特徴があります。ですので、このように可視化できると、どこをどう良くすると良いのかの方針を考えやすくなるので、このようにできると、なるべく良い補聴器にしやすくなります。
この点は、補聴器のお店の人なり、病院さん側の工夫の部分になってしまうのですが、このようにできると、よくしやすくなります。
まとめ
こちらでは、補聴器の調整について記載してみました。補聴器の調整は、すごくわかりづらいかもしれませんが、一度、経験されるとイメージはしやすいかと思います。
補聴器がしていることは、聞こえにくくなった聴力のところに音を入れて、聞こえを改善することです。そして、その聞こえを改善する部分の音量の部分と言いますか、改善できると良い部分まで聞こえを改善すること、あるいは、音を調整することそのものが補聴器の調整です。
厳密には、音を調整することと、補聴器をお客様が使いやすいように調整すること、どちらかというと補聴器の整備に言葉が近いのですが、そういった作業もあります。
どちらにしてもポイントとなるのは、良い補聴器を買うというよりも補聴器でどこまで聞こえを改善できるか、それにより、聞こえの改善度が変わるということです。
今現在は、聴力ごとにどのぐらい聞こえの改善ができると聞きやすくできるのか、その点が可視化されつつありますので、そういったものを活用しながら、聞こえの改善ができると、なるべく良い状態にしやすくなります。
特に補聴器は、耳につけただけでは、それが良いのか、悪いのか、もっと改善できるものなのか、それともここで限界なのかがわかりづらい機器です。
ですので、明らかにできる部分は明らかにしていって、できることはしていく。そのようなスタンスが大事です。
補聴器でできないことは確かにあるのですが、それと同時に補聴器でできることもあります。ですので、できることはしていく、ということですね。
と、以上、補聴器の調整について、記載してみました。少しでも理解につながったのであれば幸いです。