補聴器を選ぶ際、性能と使いやすさ。どちらを優先したら良い?
少し前にお客様から「補聴器を選ぶ際、性能と使いやすさ。どちらを優先すると良い」という質問をいただきました。
確かに、補聴器の性能と使いやすさ。この2つは悩みますよね。聞こえの改善が目的な訳ですから、性能は重視したいし、でもかといって、そのために使いづらいものを選ぶのもなぁ……。
このようにお悩みになるケースは、少なからず、あると思います。
この点に関しては、結論から言うと「補聴器の使いやすさ」こちらを優先した方が良いです。理由は、マイナスの側面は、基本的に慣れる事はほとんどなく、さらに良い側面は、だいたい忘れられるものだからです。
大事なのは、何を得るか。ではなく、何を避けるかです。そこを意識できると良いですね。
今現在の補聴器事情
さて、そもそも、なぜこんな質問をいただいたのか。というところから記載していきます。
今現在、補聴器には、大きく分けて、耳にかけるタイプの耳かけ形補聴器。そして、耳の穴の中に入れて使う耳あな形補聴器。の2つが中心にあります。
そして、基本的に耳かけ形補聴器は、作る側からすると形による制限がほとんどなく、開発しやすい。という特徴があります。
耳あな形補聴器は、耳の穴の中に作る。という事で、強く形状の制限が出ます。
仮に同じ性能のものを作ろうとしても、耳かけ形補聴器より、全ての部品を小型に作る必要があり、その開発の難しさから開発が遅れがちです。
その事から、実は今現在、耳かけ形補聴器の方が開発が進み、耳あな形補聴器の開発は、少し遅れている状態です。
もちろん、この点は、補聴器を使っている人の割合として、だいたい3人に2人は、耳かけ形補聴器を使っている。というニーズ的なもの。市場的なものも含まれています。
ここでの問題は、今現在、マスクを使う生活が当たり前になり、耳かけ形補聴器の方が開発が進んでいるため、耳かけ形補聴器の方が性能が良いものが多い。
でも、耳かけ形補聴器だと、マスクやメガネ。そういったものを使う場合、ちょっと邪魔に感じやすいし、仮に使ってみた時にそういった煩わしさを感じてしまう。あるいは、それは、ない方が良い。
こうなった場合、性能(耳かけ形補聴器)を取るべきか、使いやすさ(耳あな形補聴器)を取るべきか。悩む。というケースがあります。
こちらに関する回答は、絶対に使いやすさを取った方が良い。という事です。
使いやすさを優先する2つの理由
こちらに関しては、大きく分けると2つ理由があります。
- 使いにくいものは、長く使うことができない
- 基本的にプラスを増やすより、マイナスを減らす方が充実しやすい
の2つです。
使いにくいものは、長く使うことができない
まず、一つは、使いにくいものは、長く使うことができない。ここがあります。
どういう事かと言いますと、使いづらいものは、使う度に使いづらさを感じてしまいますので、そのことによる鬱陶しさ、さらに、使えば使うほど、その感覚を感じやすいため、初めはいいかもしれないのですが、続ける事でストレスが徐々に溜まってきやすくなります。
特に補聴器は耳に慣れてくると、毎日使ったり、長時間、耳に使うものになりますので、使う度にその使いづらさを感じることになります。
この場合、聞こえが良くなった感覚より、使いづらさが勝ってしまい、聞こえが良くなった。と喜ぶより「使いにくいな……」という負の感情の方が強くなったり、残りやすくなります。
使う頻度が高いものは、ここに気をつける必要があり、かつ、長期的に考えると負の要素が高くなります。
基本的にプラスを増やすより、マイナスを減らす方が充実しやすい
これは、補聴器に限った話ではないのですが、基本的に物事は、プラスを増やすより、マイナスを減らした方が充実しやすいです。
人生においても、病気にならなければ、それだけ、病気に時間を取られなくなりますし、お金も取られなくなります。
いくらお金があったり、時間があっても、大病を患ってしまえば、そのプラスの部分は、マイナスの部分に使わざるを得なくなります。
何かに依存してしまう依存症。さらには、慢性的なストレス。こういったものは、ない方が楽ですし、幸せになる方法というのは、多くのものを得る。というよりも、自分の人生においてマイナスなものを避けることによって、得られる事が大半です。
補聴器も全く同じで、性能よりも、マイナスな部分を極力減らす。そうできると、使いやすい補聴器になりますし、毎日、自然に使うことができるようになります。
聞こえの改善は、確かに大事なのですが、それ以上に大事になるのは、土台となる部分です。使いづらいものは、使う度にマイナスな気分になりますので、そういったものは、できるだけ無くしていけると良いです。
良くなる事より、悪くなる事を避ける方が大事。という事ですね。
悪くなる事を避ければ、良い部分は、自ずと顔を出してくれますので、マイナスの部分を避けることに集中することが大事です。
まとめ
補聴器の選択に関して、迷うものに関して、記載してみました。
今現在、迷いやすいのは、耳かけ形にするか、耳あな形にするか。の2つですね。性能を重視するか、使いやすさを重視するか。の2つです。
考え方として大事な事は、「必ず長期的にみて得をする方を選ぶ」という事に意識を向ける事です。
使いやすい方を選ぶ。というのも、プラスを増やすより、マイナスを減らす。も、どちらも長期的にみて、得をする方を選ぶ。この考え方になります。
聞こえを改善されるけど、使いづらさを感じると、使うたびにストレスがたまり、短期的には良いかもしれませんが、長期的に考えると、徐々にストレスが溜まるようになりますので、長期的には、マイナスです。
ですので、このお店では、基本的にご自身にとって使いやすいもの。こちらを基本に考えています。マイナスの部分が減れば、自ずと良いところは、顔を出してくれますので、スムーズに活用できるようになります。
基本的には、補聴器も人生も、プラスの部分を多くするより、マイナスの部分を減らす方が良くなります。
ここを覚えておけると良いですね。