軽度だからといって障害レベルまで軽度だとは限らない
難聴のレベルには、軽度の難聴、中等度の難聴、高度の難聴、重度の難聴と4つのレベルがあります。
中等度の難聴から、対面でのお話がもうほぼわからなくなりますので補聴器を考えることの是非は、決まりやすいのですが、迷いやすいのは、軽度の難聴のケースです。
軽度の難聴の方は、困らないところと困るところがだいぶはっきり分かれ、例えば、職場とかだと困るけれども、家の中などでは全く困らない。ということが多かったりします。
で、ここからが大事な部分なのですが、軽度の難聴の方の場合、聞こえにくさに大きく困っている人と、そうでない方で分かれてきます。
このようになる理由は、軽度だからと言って障害レベルまで軽度だとは限らないからです。
その本質は、難聴はコミュニケーション障害というのがあります。
障害レベルは、環境×難聴レベル
たまに軽度の難聴の方は、聞こえにくさには困らない。軽度難聴の方には、補聴器は必要ない。というような意見を聞きます。
これに関しては、半分正解で、半分誤りがあります。
まず、障害レベル(聞こえにくいことによる困り度)というのは、聴力だけでは決まりません。
その方がどのような環境にいるか。それにより、大きく変化します。
特に軽度の難聴の方の場合、この環境によって大きく障害レベル(聞こえにくいことによる困り度)が変化します。上記に記載した通り、困るところと困らないところがわりとはっきり分かれるからです。
例えば、仕事をしていて、人と話す機会、人とコミュニケーションをとる機会が多い方は、軽度難聴とはいえど、離れたところから話されたり、会議の際に声が小さい人がいたりすると、急に困ることが多くなります。
難聴の本質は、コミュニケーション障害です。聞こえにくいことにより、相手の方とコミュニケーションが取りづらくなることにより、自信を失ったり、人との人間関係にヒビが入りやすくなったりします。
特に仕事の場合は、お互いの信頼関係、協力体制が大事になり、意思の疎通を図っていくことが重要です。このコミュニケーションに障害が起こるようになると、うまく周りの方と仕事ができなくなってしまいます。
ですので、そういったケースは、たとえ軽度の難聴だったとしても聞こえにくいことによる困り度は、だいぶ高くなります。
しかし、同じ軽度の難聴の方でも、例えば、ご高齢の方で、普段は家の中など、静かなところで生活している。というような方だと、困ることはあまりなかったりします。
静かなところや人と会話する機会が少ない方は、そもそも聞こえにくくても、その聞こえにくいことによって困ることが起こりにくいからです。
このようにその方の困り度は、難聴のレベルだけでは決まりません。
聞こえにくさによる困り度は、環境×難聴レベルで決まります。軽度の方でも環境が厳しくなれば、聞こえにくさによる困り度は、大きくなります。
まとめ
意外と知られていないのですが、聞こえにくいことによる困り度(障害レベル)は、聴力だけでは決まりません。
当たり前の話ですが、人と話す機会が少なければ少ないほど、仮に難聴でも困ることは少なくなります。逆に人と話す機会や人とコミュニケーションをとる機会が多くなると、困り度は、強くなります。
難聴の本質は、コミュニケーション障害です。そして、障害レベルは、環境×難聴レベルによって決まります。(障害レベルが高くなると高くなるほど、コミュニケーション障害のレベルも上がります)
ですので、決して軽度だから聞こえにくさに困らないということはありません。軽度の方でも、環境が厳しくなれば、困る人も当然出てきます。
聴力だけで困り度が決まるわけではないということですね。