補聴器のFAQ

補聴器の性能って、どう聞こえに影響するの?

深井 順一|パートナーズ補聴器

聞こえの改善や補聴器のことについては、【FAQ】聞こえの改善と補聴器のFAQへ。お客様の改善事例は、聞こえの改善成功事例へどうぞ。

さて、こちらでは、補聴器の性能に関して、簡単に記載していこうと思います。補聴器の性能は、補聴器を買う際に選ぶ要素の一つで、金額に大きく影響する要素でもあります。

普通、性能と聞くと聞こえの改善度にも大きく影響するのではないか、お金を出せば出すほど、聞こえの改善度も高くなるのではないか、と想像される方もいらっしゃるかと思いますが、この点は、Yesでもあり、Noでもあります。

影響する部分は確かにあるのですが、聞こえの改善度で大きく影響する要素は、どちらかというと補聴器の調整の部分で、どれだけご自身の聴力から目標となる聞こえの部分まで改善できたかによるものが大きくなります。

少し難しい要素が入りますので、なるべくわかりやすく、順番に記載していきます。

今現在の補聴器

さて、補聴器のカタログについて見てみると、いろいろな形の部分とその下に価格が書いてあることが多いです。

30とか50とか70とか書いてあるのがグレードです。

こちらは、このお店で扱っているフォナックという補聴器メーカーの製品ですが、今現在は、補聴器の形状の部分と補聴器の性能の部分、もっというと補聴器の性能のグレードに関して、選択肢があります。

補聴器を買うと考えた場合に補聴器の形状と補聴器の性能(グレード)で選ぶ必要があります。グレードに関しては、上記に見ていただくとわかりやすいのですが、いくつか分かれており、それにより、金額が大きく変化します。

このグレードの差がいわゆる性能の差になるのですが、この性能を理解するためには、補聴器は、どのように難聴の方の聞こえを改善しようとしているのか、の理解が必要になります。

補聴器がしようとしていること

まず、補聴器においてしようとしていることというのは、難聴の方の低下した聴力のところに音を入れ、聞こえを改善することです。

低下した聴力のところに対し、音を入れ、聞こえを改善する、これは、まんま補聴器の調整の基本なのですが、これが補聴器がしていることの一つです。

これを私は基本機能と呼んでいたりするのですが、この機能は、どのグレードであってもあり、さらに、厳密には、聴力ごとに補えると良い改善目標値というのがあったりするのですが、その点もどの補聴器(グレード)であっても目指せるようになっています。

すると、人によっては、「じゃあ、なんで、こんなにグレードごとに金額差があるんだ?」と感じるかと思うのですが、それは、音を入れるだけでは、難聴の方の生活を改善するということが難しいためです。

補聴器をつけるとわかること

これは、実際に補聴器をつけ、聞こえを改善していただくとよくわかるのですが、補聴器をつけると、良くも悪くもいろいろな音が聞こえるようになります。

それは、今まで聞こえづらかった人の声も聞きやすくなりますし、周囲でしている細かな音も聞こえるようになります。すると、ここで、いくつか問題が起こりやすくなります。それは、騒がしい中だと、周りの音に阻害されて人の声が聞きづらくなってしまうことです。

人混みの中やガヤガヤ騒がしい環境の中で補聴器を使うと周りの音が大きくなってしまい、それで相手の声が聞きづらくなることがしばしば起こります。

この点は、実際に補聴器をつけている方だと実感しやすいことで、静かな中では聞き取りは良いけれども、騒がしい中だと聞き取りづらい、というのは、使っている方は、よく感じることの一つになります。

これは、感音性難聴というのが、音を感じ取る神経の部分が悪化してしまい、周波数分解能が低下することにより、音の識別がしづらくなるため、と言われています。

周波数分解能とは、その言葉のとおりで、周波数を分解する能力のことです。内耳の中の有毛細胞と言われるところで音を感知していたりするのですが、そこの働きが何らかの要因によって機能しなくなってくると、音を聞き分けるということができなくなってしまいます。

ですので、本来だったら、騒音と音声が別々のものなのに、それが一緒にくっついた状態のようになり、うまく区別ができず、聞き分けることが難しくなります。これは、内耳の損傷度が大きくなると大きくなるほど起こりやすく、感音性難聴の方は、多かれ少なかれ起こることです。

このように周囲の音がうるさかったり、音の数が多かったりすると、それに邪魔されてしまい、聞きづらくなるということが起こりやすくなります。

そのため、抑制機能を入れ、なるべく邪魔されないように支援したり、サポートする機能があると、あるだけ、高額になり、性能も良くなります。

音響機器で音を拾うと必要以上にキツく感じやすい音があり、そのため、快適性をあげ、なるべく耳の感覚に近くなるよう抑制機能がある。もちろんこれは、感音性難聴はノイズに弱いことも関係する。

そのほか、補聴器は音響機器になりますので、音響機器には音響機器の欠点があります。例えば、ヒールのようなカンカンする音は、音響機器で音を拾うと必要以上に音を強く感じがちです。

この点は、表現が難しいのですが、内耳には、大きい音に関するクッションの働きをする機能があるのですが、音響機器は、文字通り、何もありません。

ですので、そういった音を抑える機能を追加したり、風の音がマイクに当たったりすると非常に大きな音がするのですが、そういった欠点を軽減するための機能を入れたり……と音響機器上の欠点をなくすための機能も入っていれば、入っているだけ、金額、性能は上がります。

突き詰めると、補聴器という音響機器で聞こえを改善する、とした場合における欠点、問題点を改善できる機能、解消する機能が入っているものほど、高額になる、ということです。

ですので、高額なものほど、補聴器という機械的なもので聞こえを改善した、というよりもまるで人間の耳の感覚に近いような状態で改善できるようになります。それは、音響機器上の欠点、感音性難聴における障害をなるべくサポートしてくれるような機能が入っているためです。

これが性能になります。

どれを買えばいい?

ここで一つ気になることは、どれを買えばいい?という疑問です。より具体的に言えば、どのグレードのものを買えばいいのかです。この点に関しては、誠に申し訳ないのですが、私の方から答えられることはありません。どのような性能が良いかは、ケースバイケースになるからです。

まず、一つ、注意しなければならないのは、補聴器は、高額なもので、かつ、買ったら、一生その機器を使い続けられる、という製品ではないことです。

補聴器の耐用年数は、5年としており、だいたい、長く使われる方でも6〜7年になります。

中には、10年使っているよ、という方もいるかもしれませんが、6〜7年も経過すると、音がしっかり出ているのか、言い方を変えるとその補聴器は正常に動作しているのかどうかが怪しくなります。ですので、機能的には、このぐらいが限度であることが大半です。

ここでお伝えしたいのは、買ったら、半永久的に使えるものではない、ということです。むしろ、補聴器は買い替えながら使っていく製品である。ということですね。

それを考えた上でお伝えさせていただくと、ご自身が買える範囲内のもの、が私としては、良いと考えています。お金を出せるのであれば、出していただいた方がよく、どうしても厳しい方などは、グレードが下のもので我慢せざるを得ない方もいるかと思います。

ですので、ご自身が買える範囲内のもの、というのが私の考えです。一つだけ注意があるとすればケチらないことです。出せない場合は無理に出す必要はないのですが、出せるのであれば、きちんと出したほうがいいです。これは、補聴器を使っている私自身が感じていることですね。

まとめ

こちらでは、補聴器の性能に関して、記載してみました。少しわかりづらかったかと思いますが、簡単に言えば、補聴器の性能というのは、基本機能と抑制機能のグレードで分かれる、ということです。

基本機能は、どのグレードでも今現在はほとんど変わりはありません。基本機能とは、聞こえの改善の元となる部分ですね、まさに聴力が低下した部分のところに対し、音を入れて聞こえを改善する機能です。

この部分は、グレードごとにほとんど差はありませんので、言い方を変えれば、下のものだと聞こえを改善できないということはありません(実際には、聞こえを改善しづらいケースはある)。

じゃあ、どこで違いがあるのか、というと、それは、抑制機能の有無です。

補聴器は感音性難聴の方が使うものになりますので、騒がしい環境下やノイズ下において、聞き取りが非常に悪くなりやすい、という特徴があります。ですので、ここの部分のサポートの有無、機能の良し悪しで金額が非常に大きく変わってきます。

ただ、これだけのことなのですが、少しでもわかりやすくなったのであれば、幸いです。

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深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。補聴器の販売員としての知識、技術に加え、一人の難聴者が自分自身の聞こえを改善した知識、技術も組み合わせながら、聞こえの改善、補聴器のご相談をしています。
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