補聴器は将来セルフ商品になるかもしれない3つの理由
補聴器は将来どのようになってくるのでしょうか。個人的には、タイトル通り、セルフ商品になってくると考えています。完全なセルフ商品になるかどうかは、わかりませんが、大半がこのようになってくる可能性はあると思っています。
セルフ商品とは、自分で購入して、自分で調整する事を指します。現在は、補聴器屋あるいは病院を受診して、聞こえを調べた後、補聴器を試して、購入……という流れです。IKEAやニトリで組立型の家具を販売しているのと感覚が似ています。
今回は、セルフ商品になるかもしれない理由について記載していきます。
セルフ商品になるかも?な理由
私がこのように思った理由は、
- 補聴器のクラウドファンディング
- 補聴器の技術の進化
- 聴力測定アプリの存在
この三つがあります。順番に見ていきましょう。
クラウドファンディングの存在
少し前に、補聴器のクラウドファンディングがありました。クラウドファンディングとは、商品化を考えている企業、あるいは個人が「○○な商品を作りたいです。我々に投資してください」と消費者に訴えかけることで、投資してもらうサービスです。アメリカでは、起業のスタートアップに使用されており、多くの潜在ユーザーから代金を前借りできる画期的なサービスです。
補聴器のクラウドファンディングを見てみると自分自身で調整できる事、小型化した補聴器である事、安く提供できる事、これらを謳い文句に、見事潜在ユーザーを獲得し、製品化にこぎ着けました。驚く事に、それを求めたユーザーは数多く、なんと目標調達資金の350%超えを達成しました。見込まれない商品なら、100%どころか、30〜40%くらいになりますが、この商品は、その10倍くらいにまで、膨れ上がりました。
※INDIEGOGOより引用
画像の数値では、どのくらいの大金が舞い込んだのかわかりづらいと思いますので、円計算してみます。2015年2月16日の1ドルの価格は118.441312円です。293,441×118.441312=34,755,537円。なんと3,400万もの大金を得ています。補聴器を装用するユーザーは、少ないため、補聴器ユーザー市場から見るととんでもない大金です。
この内容は、非常に重要な事です。このような数値が出た事は、なぜそのような結果になったのかを考える必要があります。個人的には、自分自身で調整できる事、安く提供できる事、この二つが相まって爆発的に、資金を得られたのではないか……と考えています。
この内容で注目すべき点は、通信販売である事、そして自分で補聴器が調整できる事です。この二つにより、コストも非常に下げられています。この点も見逃せないポイントです。(補聴器二つで、たしか399ドルです。安っ!)
補聴器のクラウドファンディングについてはこちらをどうぞ。
リンク:補聴器もクラウドファンディングされる時代になったようです
補聴器の技術の進化
現在、補聴器の技術はだいぶ進んできました。このように記載すると補聴器の機能が……性能が……と思われるかもしれませんが、私が注目しているのは、補聴器の調整技術です。今の補聴器は、聴力データを入れれば、コンピュータの方である程度最適化した状態にしてくれます。この技術は年々良くなってきており、今後もさらに良くなってくる事が考えられます。
この技術が進歩してくれば、聴力データを入力し、後はテレビの音量を操作する感覚で、大きくしたり、小さくしたりするようにできるのかもしれません。そうなれば、簡単に耳に合わせられるのではないか……と個人的には考えています。
補聴器は、機能や性能だけでなく調整技術も年々良くなってきています。
聴力測定アプリの存在
年々スマートフォンの性能や供給量が増える事により、スマートフォンを使用するユーザーも増えてきます。そのスマートフォンを利用した聴力測定アプリが現段階であります。補聴器の開発や製造をしているユニトロンが聴力測定アプリuHearを提供しています。
※Appleストアより引用
アプリそのものは、英語、ドイツ語、フランス語になりますので、日本人には、ハードルが高いかもしれません。現在は、わかる人だけが使用できるようになっています。このアプリの精度が気になるところですが、現状でこのようなものも出てきています。今後、もっと簡単にしたアプリが出てくる可能性は、0ではないでしょう。
セルフ化に必要なもの
上記のものは、全て補聴器のセルフ化に必要なものです。クラウドファンディングでは、自分自身で調整できる補聴器の通信販売。補聴器の調整技術に関しては、補聴器ユーザーが簡単に調整できるようにするために必要な技術。そして、耳に合わせるために必要な耳の聞こえのデータ入手。この三つが揃う事で、初めて補聴器のセルフ化が可能になります。
現在の補聴器をそのまま通信販売しても大半のユーザーは、調整できませんし、耳に合わせることができません。しかし、そこに調整を簡易化した補聴器や耳の聞こえをその場で調べることができるアプリがあれば、話しは別になります。簡易に調整できれば、自分なりに合わせる事も可能になるでしょう。
私自身は、補聴器を自分で調整していますが、自分で調整した方が合わせやすいと考えています。もちろん注意事項はありますが、自分の耳を自分で調整した方が耳の事もわかりますし、補聴器の理解も進みます。何より、自分の感覚に合わせられるのは、自分自身しかいないと私は考えています。他人がテレビの音量を調整するより、自分で調整した方が、自分にとって良いように、補聴器も同様だと考えています。
精度に関しては、未だ未知数ですので、今すぐに行われるわけではありませんが、その種は、着実に育っているように思います。
気になる方は、こちらのエントリーもお勧めです。
リンク:補聴器を自分の感覚に合わせて調整することの意外な欠点
世界は繋がっている
ちょっとした懸念材料はあります。日本では、補聴器を輸入するとき、厚生労働省を通し、許可がおりたもののみ輸入が許されます。仮に自分で調整できる補聴器が海外発で出た場合、輸入できるかがわかりません。輸入の段階で弾かれたら、日本国内では、購入できない事になります。
しかし、あくまでもここは、日本国内では……というお話です。既に世界は繋がっており、輸入できないならそのまま買いに行く事もできます。もちろんそこまでする価値があるのか……と言われれば補聴器に対する熱で変わるでしょう。自分自身で調整してみたいと思えば、購入しに行っても良いですし、そこまでする気は起きない……なら現状のままで良いと思います。
得られる方法があるというのは、大きなポイントだと個人的に考えています。もし得られる方法すらなかったら、自分で作るしかありません。しかし、得られる方法があれば、購入する事ができます。この差はとても大きいのではないでしょうか。なかったら購入する事すらできません。
あとがき
クラウドファンディングのエントリーを見ている時に思いつきましたので、記載してみました。補聴器のセルフ化は、良い面もあれば、悪い面も当然あります。そのため、一概には言えないところもあります。しかし、セルフ化すれば、クラウドファンディングで安く提供しているように、大幅な金額の低下(コストカット)、得られるまでの時間短縮が得られます。ここは、補聴器普及の根本的原因にもなっていますので、個人的に注目しています。
今後、補聴器の技術、クラウドファンディング、アプリの発達により、様々な方向から、聞こえの改善ができるようになってくると考えています。そんな中、上記のような補聴器の通信販売も可能になってくるのかもしれません。現在の通信販売のものは、残念ながら決して良いものとは言えず、むしろ安い商品を売りつけ騙す事を目的としているようなものが大半です。
しかし、今まで補聴器屋がやっていた事、医師がやっていた事が簡易化あるいは自動化すれば、補聴器ユーザーそのものが調整できる日も来るでしょう。技術が発達してくれば、それは十分に可能なことだと私は考えています。