【非常に聞きやすくなった】高音急墜型感音難聴の方を改善しました
60代、男性、高音急墜型の感音性難聴の方から、ご相談いただき、聞こえにくさの改善を行いました。
こちらの方は、加齢により、徐々に聞きにくくなり、家庭内や仕事場でも聞きにくさを感じるようになりました。
当店で聞こえの改善を行なった結果、
- 居酒屋(騒がしいところ)でも聞きやすくなった
- 妻との夫婦ゲンカが減った
- 聞きやすくなり、仕事もしやすくなった
との声をいただきました。聞こえにくさが改善でき、何よりです。
高音急墜落型の聴力は、補聴器で改善しにくい傾向がでる聴力なのですが、なるべく改善していくために必要となる内容をまとめていきます。
お悩みの方は、参考にしてみてください。
お客様の状況
お客様の状況ですが
- 名前:F・Gさん
- 年齢:60代
- 性別:男性
- 症状:両耳とも高音急墜型の感音性難聴
- 改善:両耳にCIC補聴器(耳あな型の補聴器)
- 備考:50代の頃から聞こえにくく、一旦補聴器を装用。しかし、使わなくなり、その後にご相談
このようになります。
聴力については、こちらの通りです。
低い音は、聞こえているのですが、高い音になると、急に聞こえなくなってくる聴力型になります。このような聴力は、高音急墜型(こうおんきゅうついがた)と呼ばれます。
F・Gさんは、今現在も会社で働いており、人との交流は、それ以外にも色々とある方となります。
会社の中では、少し距離が離れたところから呼ばれた際に気がつかなかったり、周囲が騒がしくなってくると、特に聞きにくさが出てしまう状況でした。
対面でのお話であれば、ある程度、聞こえるのですが、中には、わかりにくい方もおり、聞きづらさを感じやすい状況のことでした。
聞こえにくさを感じたのは、50代の頃で、その頃に補聴器を購入したのですが、あまり効果を感じず、そのままタンスに。
今回は、今現在感じている聞こえにくさを改善できるのであれば、購入を考えたいとのことでご相談を承りました。
オージオグラム 高音急墜型の特徴
こちらの聴力の特徴ですが、
- 高い音が聞こえにくく特定の音に気づかない(アラーム系)
- 言葉がはっきりしづらいことによる聞きづらさ
- 人によっては、よく聞こえるが、人によっては、かなり聞きづらい
の3つがあります。
聴力図の見方を理解して、状況を把握する
まず、聴力の見方ですが、縦の軸は、聴力のレベルを表し、下にくると聞きにくくなります。
横軸は、周波数の高さで、低い音から高い音まであります。
一般の方は、0〜10dBで聞こえており、正常の範囲は、0〜25dBになります。それよりも、下になると、聞きづらさを感じるようになってきます。
数値が下に行くと、行くほど聞きにくくなり、そのレベルにより、難聴のレベルが分かれています。
F・Gさんの場合は、聞こえているところと、そうでないところの差が大きいため、判断が難しいのですが、軽度の難聴。の部類になります。
軽度と言っても、聞きづらさは、感じやすい状況ですので、あくまでも数値だけで判断した状態となりますが、このようになります。
以下、高音急墜型でおこる事を載せていきます。
高い音が聞こえにくく特定の音に気がつかない(アラーム系)
高い音が、かなり下がっていますので、基本的にアラーム系の音。例えば、チャイムの音や車がバックする時のピーッピーッピーッという機械的な音にかなり気がつきにくくなります。
アラーム系の音は、微妙に周波数が異なる事が多いのですが、多いのは、1000Hz〜2000Hz、3000Hzあたりです。
例えば、体温計の音などは、4000Hzあたりにあり、40dB、45dBくらいないと、聞こえづらくなります。
この数値からすると、すぐ耳元に高い音がするものを持ってこないと、気がつかない状態になります。
アラーム系は、お知らせする系が多く、危険感知のために聞かせたり(車のバックや救急車、サイレンなど)、終わったよ〜(電子レンジ、炊飯器など)、と伝えるためのものまで、様々です。
言葉がはっきりしづらいことによる聞きにくさ
高音急墜型で多いのは、この部分ですね。高い音が聞こえにくくなっているため、非常に言葉がはっきりしづらい傾向があります。
高い音のみ聞こえにくくなると、起こりやすいのは、上記の部分です。
難聴になると、主に
- 人によっては、聞きづらい
- 周囲が騒がしくなると理解しづらい
- 複数の人とのお話がわかりづらい
- 呼ばれても気がつかない事が増える
の4つが起こります。
これにプラスして、働いている方ですと、電話も聞きづらくなる傾向が出ます。
気づきにくいのは、呼ばれても、気がつかない事が増える事でしょうか。なまじ、低い音が聞こえているせいか、自分自身に聞こえていない苦手な音がある。と言うのは、気づきにくい状態です。
音は、聞こえないと存在を感知できないので、これは、仕方がない事になります。
そのため、呼ばれても、気がつかないことにより、相手の方が、不快に感じてしまったり、無視しているように感じ取られてしまう、など、一部の誤解まで、出てくる事があります。
耳が聞こえにくいことは、目で見てわかるものではないため、周囲に聞きにくいことを伝えていない場合は、特に誤解を受けやすい傾向が出てしまいます。
その点が一番、辛いところですね。
高音急墜型の改善の方針
このような聴力の場合、考えるポイントは
- 使いやすい補聴器の形状
- 音を入れた場合に起こること(音の調整で気をつける事)
- 聞こえの調整方針
の3つです。
この3つについて理解しつつ、改善の方針を考えていきます。
結論から記載しますと、こもりやひびきが使える範囲内で、高い音を補っても不快に感じず、効果を出す。となります。
使いやすい補聴器の形状
高音急墜型の聴力の方で、まず考えなければならない事は、補聴器を装用すると、耳が詰まった感覚、自分の声が、頭の内側で、響いたような感覚を非常に感じやすい事です。
これは、低い音、125〜500Hzが、60dBよりも軽い場合に起こりやすく、軽いと、軽いほど、その感覚は、感じやすくなります。
そのため、補聴器を選択する場合は、なるべく、そのような感覚が起こりにくいものを選択して行く必要があります。
なお、この感覚をあまりにも強く感じると、不快すぎて、補聴器そのものを使えないレベルまで、いってしまう方がいます。そのため、この点を意識する必要があります。
音を入れた場合に起こること(音の調整で気をつける事)
ある部分から急に聞こえにくくなっている場合は、その部分に関して、補える人と、補えない人がいます。
高音急墜型の聴力は、まさにその典型例で、高い音に関して、補っても大丈夫な人と、高い音を補うと、不快に感じすぎる人がいます。
補える場合は、そのまま補い、補うと返って苦痛を感じるようであれば、その部分は、軽減させ、入れられるだけいれるようにして行く事が大切です。
また、基本的に高い音のみ聞こえにくい状態ですので、基本的に補いにくい聴力型の一つです。
高い音のみ聞こえにくいと補うのもそのあたりが中心になり、全体的に機械っぽくきこえる感覚にも拍車がかかります。
そのため、聞こえるようになったとしても機械っぽさが強くあまり良い状態ではなかったり、効果そのものも感じないという方もいたりします。補うのが難しくなる聴力ですね。
聞こえの調整方針
聞こえの調整方針ですが、
基本的な考え方としては、このようになります。
できれば、高い音(2000〜4000Hz)に関しては、このくらい補えると良いのですが、上記に記載した通り、補える人とそうでない人がいますので、基本的な考えを理解しつつ、目標まで、入れても大丈夫そうなら、入れていきます。
補聴器には、補聴器を装用した状態でどのくらい聞こえるのかを調べる測定があるのですが、それをおこなったときの改善目標がこちらです。
まず、250Hz〜1000Hzは、補聴器で補える範囲を超えている(補聴器で補える数値よりも耳の方が良い)ため、聞こえにくくならないようにします。
音声が影響しやすいのは、このあたりで、その部分をみてみますと、1500Hz、2000Hzが大きく下がっています。
ですので、音声を理解できるようにするには、なるべくこの部分は、あげられるとベストです。※あげすぎ注意です。あくまでも入れられる範囲内で、行いましょう。
そして、このような聴力の場合、1500Hzが重要になり、この辺りをいかに補うか。それにより、効果が分かれます。それ以外の部分は、補える部分まで補い、聴力に関して改善していきます。
なお、高い音に関して、アラーム系まで、しっかり聞こえるようになりたい。という場合は、35dB〜40dBくらいまで、改善できると、ベストです。
ただ、この部分は、聞こえるようにできて、大丈夫な人と、そうでない方で分かれますので、実際に調整しながら、上げられそうなら、改善していった方が、生活は、便利になりますし、不快に感じるようであれば、不快に感じない部分まで、下げ、使いやすくしていった方がいいですね。
人により、大きく差が出てしまうため、ケースバイケース感が強く、申し訳ないのですが、このように考えて行えると、改善しやすくなります。
実際の対応
こちらに関しては
- 初めて来店された時〜試聴まで
- 高音急墜型の補聴器の形状選定
- 試聴による最終チェック
の3つに分けて記載していきます。
初めて来店された時〜試聴まで
初めて来店された時は、まずは、状況についてお伺いし、補聴器で効果を感じにくいかもしれないことをお話し。
補聴器に関して補足ですが、基本的に補聴器は、枠で囲まれた30dB〜40dBの間くらいまで聞こえを改善させるものになり、聴力図の0dBの値やそれに近い位置まで改善させることはできません。
上記の聴力を見てみますと1000Hzまでは、補聴器での補える改善値と同等かそれよりも聞こえていますので、それ以外の部分を補うこととなります。
説明後は、耳かけ形補聴器を試聴。実際に装用し、こもり、響きに関しては、我慢できる範囲にし、補聴器の調整を行いました。
初回時の補聴器を装用した状態の結果としては、このような状態になりました。
少し、大きいかなと思いましたが、お店で聞く限り、大丈夫そうであること、お連れの方のお話が理解しやすくなっていることから、そのまま貸出しました。
貸出の結果
- ご自宅の中でのお話は、非常にわかりやすくなった
- 会社でもあるとわかりやすく、楽になった
との事でした。
聞こえに関して大きく改善しており、以前の補聴器のような効果があるのか、ないのかさっぱりわからないということはないとのことでした。
補聴器で耳を補うことにより、効果を感じたため、ここから本格的に、どのタイプの補聴器を選ぶか。それらについて相談していくこととなります。
高音急墜型の補聴器の形状選択
上記のような聴力の場合、考えなければならないのは、こもり、響きを軽減しつつ、補うべきところを補うことです。
こもり、響きに関しては、補聴器ごとに異なりますので、使える範囲内のものを選ぶ必要があります。
選択肢としては
- 耳あな形であればCIC
- 耳かけ形であればRIC補聴器
となります。
耳かけ形と耳あな形では、こもり、響きは、耳かけの方が感じにくい傾向があります。
そして、耳あな形補聴器でこもり、響きが比較的少なくなるのは、CICという小さい補聴器です。
CICとは、耳あな形の中でも小さい補聴器で、一番左にある補聴器です。
耳あな形にはいくつか形状があるのですが、この中でこもり、響きに関して少なくなるのは、CIC形になります。
一方、耳かけ形補聴器の場合、こもり、響きを少なくできるのは、RIC、標準タイプの2つになります。
上記で貸出した補聴器は、通常の耳かけ形補聴器でした。
その際、気になったのは、形状の大きさです。また、趣味がテニスとあり、今現在もその趣味をつけられていることから、邪魔になりにくく、かつ汗に関しても考慮することにしました。
そのことから、CIC補聴器に仮決定し、製作して試すことになります。
試聴による最終チェック
CIC補聴器を製作し、実際に試していただきますと、
- 聞こえに関しては良好
- こもり、響きは使える範囲内
- 機械音や大きい音は気にならない
- 耳に入っている感覚は、良好
- 耳から外れる感覚はない
とのことでした。
聞こえに関してですが、補聴器を装用することで
- 家族との会話が円満になった
- 仕事でも聞きやすくなり、良好になった
- 騒がしい飲みの席でも聞きやすくなった
との評価で、耳かけ形を試聴した際よりも良好でした。
取り扱いも問題なく、かつ耳に入れた感覚も良いため、そのまま決定となりました。
なお、補聴器の調整に関してですが、耳かけ形補聴器を使用していただいたところ、少し紙の音が気になる傾向がありました。
上記には、高音急墜型は、高い音を補っても良い方とそうでない方がいる。と記載しましたが、若干、その部分に関しては、入れられる傾向を感じました。
耳あな形補聴器に関しては、少し慣れてきた頃に、このくらいまで改善していきました。
2000Hz〜4000Hzは、少し足りない部分はありますが、その部分を補いすぎると、気になる音が出てしまうため、それ以外の補うべきところはしっかり補い、不快感をなるべく軽減させて、F・Gさんの場合は、改善しました。
これで、補聴器の調整は、終了です。
お客様の声
実際にご購入になられたお客様より、改めてご相談されてどうだったのか。直接、お伺いしてみました。
どのような事でお悩みでしたか
実際に補聴器を使用されてみて、いかがでしょうか
とのことでした。お話をお伺いした時もご家族とのお話がスムーズになったとおっしゃっていましたし、飲みの席でも聞きやすくなっているとのことで、聞こえにくさを改善でき、何よりです。
このお店でご相談(購入)になったのは、なぜでしょうか
とのことでした。当店に関して評価いただきまして、ありがとうございました。
実際のアンケート
アンケートにご協力いただきまして、ありがとうございます。
まとめ
以上、F・Gさんの症例でした。両耳とも聴力が低下しており、かつ高い音が急に聞こえなくなっている方の対応例になります。試聴から初め、実際に聞きにくさに関して改善でき、何よりです。
特に以前、補聴器をご購入になっていましたが、つけても聞こえるようになっているのか、なっていないのかわからないレベルだったようですので、改善できて、幸いです。
補聴器は、聞こえ改善の目標値と補聴器を装用した状態での聞こえを比較し、目標となる部分まで改善させる。それを行えば、聞きやすくなります。以前の補聴器は不在でしたので、どのような状態かわかりませんでしたが、当店では、改善させる部分は、しっかり改善させた結果、聞こえの改善ができました。
もちろん、それを行なっても改善できない部分はあったりしますが、補聴器で改善できる部分までは、改善することができます。そして、実際に聞こえを改善でき、本当に何よりでした。