感音性難聴の事例

【職場で人とのやりとりがしやすく】軽・中等度難聴の方、補聴器で改善

深井 順一|パートナーズ補聴器

聞こえの改善や補聴器のことについては、【FAQ】聞こえの改善と補聴器のFAQへ。お客様の改善事例は、聞こえの改善成功事例へどうぞ。

30代、女性、原因不明の聴力低下(感音性難聴)により、聞きにくくなった方を補聴器にて聞こえの改善を行いました。

こちらの方は、元々耳は、聞こえていたのですが、数年前から聞きにくくなってしまい、仕事場、日常生活上でも不自由が出てしまった方となります。

当店で聞こえの改善を行なった結果、

  • 仕事場で人とのやりとりがしやすくなった
  • ざわざわしていると聞きにくかったところでも聞きやすくなった
  • 講演の会場でも聞きやすくなった

との声をいただきました。聞こえにくさを改善でき、何よりです。

では、どのように改善させていったのでしょうか。彼女の状況から、どのように改善させたのか、それらについて載せていきます。例により、お客さんより許可をもらえましたので、記載していきます。

お客様の状況

お客様の状況ですが

  • 名前:S・Iさん
  • 年齢:30代
  • 性別:女性
  • 症状:両耳とも原因不明の聴力低下があり、聞きにくく
  • 改善:両耳に耳かけ形補聴器を装用
  • 備考:10年ほど前から発症。不自由を感じたのは、昨年の6月から

このようになります。耳の異変は、10年ほど前に起こり、その際は、耳鼻咽喉科に相談し、耳の治療をしていました。この時も聞こえの低下は、あったようですが、そこまで大事ではないことから、経過観察で様子を見ていくこととなりました。

しかし、時が経つにつれ、徐々に聞こえにくさが出てくるようになってきました。それを自覚するようになったのは、昨年の6月頃からとのことでした。

聴力としては

お客さんの聴力図。左右は、同じくらいで、1000Hzくらいから下り始める。1000Hzが聞きにくくなると、結構聞きにくさを感じやすくなる。
お客さんの聴力図。左右は、同じくらいで、1000Hzくらいから下り始める。1000Hzが聞きにくくなると、結構聞きにくさを感じやすくなる。なお、病院で検査した結果となる

このようになります。平均聴力でみますと、軽度難聴の部類になりますが、下がったところのみでみますと、中等度難聴の部類です。一見、軽いように見えますが、高い音が聞きにくくなることにより、騒がしい中での会話や離れたところからの呼びかけなどで、聞きにくさを感じやすくなる症例です。また、特定の人の声が聞きにくかったり、高い音に関して気がつきにくくなる耳とも言えます。

実際の状況に関して伺ってみますと、高い音が聞こえにくくなったことにより、体温計の音や電子レンジの終了の音、いわゆるお知らせ音、警告音が聞こえないこと。普段の状況では、少し騒がしい状況になると聞きにくくなること。職場では、聞き返しや音声が聞きにくいことで、困ることが、増えてきたとのことでした。

これらの状況を改善できるのであれば、補聴器を考えたいとのご相談でした。

改善の方針

改善の方針としては、

  • この聴力の特徴
  • 音を補う方針

の2つに分けて記載していきます。

この聴力の特徴

この聴力の特徴には

  • 補聴器を装用した時に起こること
  • ある部分から急激に聴力低下する例にあること

の2つがあります。

補聴器を装用した時に起こること

上記のように低域が聞こえており、かつ高域のみ聞こえにくい場合ですが、

  • 声の響きを感じやすい
  • 音が高く聞こえやすく、違和感を感じやすい

の2つが起こります。

補聴器を装用する際ですが、少なからず耳をふさぐため、自分の声が大きく感じたり、低く響くような感覚を得るようになります。こちらは、低い音の周波数(125Hz〜500Hz)が30〜40dBくらいまでは、特に感じやすい傾向があります。

その他、高域のみ聞こえにくい場合は、補うところが高域のみになりやすく、補聴器から聞こえて来る音が甲高く聞こえてきたり、キンキン聞こえてきたりし、聞こえてくる音に違和感を感じやすい傾向があります。

高い音のみ聞こえにくい場合、装用する際のこもり、響き、そして、補聴器で音を補う際の、補いにくさ。この両方が出るため、基本的に補聴器があいにくい傾向があります。

ある部分から急激に聴力低下する例にあること

加えて、ある部分から急激に聴力低下するケースにあることですが、急激に低下する部分は、補えても、その部分より先を補うと、音の違和感を強く感じたり、音が変に聞こえたりする場合もあります。こちらのケースで表現しますと

このような聴力の場合、赤い部分は基本的に補える。が、青の部分は、人により大きく異なる。どこを補えば良いか探りながら、ベストな調整を目指していく聴力となる。
このような聴力の場合、赤い部分は基本的に補える。が、青の部分は、人により大きく異なる。どこを補えば良いか探りながら、ベストな調整を目指していく聴力となる。

このようになります。赤の部分は、どのケースにおいても補えるので、補うのですが、青の部分は、補えれば補い、補うのが難しければ、影響を与えない程度に補います。

私自身も未だにわからないのですが、青の部分を補うと強く違和感を感じる方とそうでない方がおり、そうでないのであればある程度いれてあげ、補うときつい場合は、そこまで大きくしないようにします。

音を補う方針

補聴器の世界には、補聴器を装用した時にどのように聞こえているのか。これを見る測定があります。補聴器を調整しただけではどのように聞こえているのかはわかりません。補聴器を装用した状態の現状確認のため、こちらは行われます。

その測定の目標に関してですが、以下のようになります。

重要なのは、1000Hzを35dBまで聞こえさせること。そのほかは、補えるだけ補い、不快感や耳の辛さが出ない程度に補う。
改善のポイントは、1000Hzを35dBまで聞こえさせること。そのほかは、補えるだけ補い、不快感や耳の辛さが出ない程度に補う。

低域は、聞こえていますので、そのままとし、高い音をどれだけ補えるのか、それによって決めます。1000Hzは、相も変わらず、35dBに設定し、それ以外は、補えるだけ補う。それだけとなります。このような聴力の場合、いかに1000Hzを補うかが重要になり、かつ、1000Hz以降も補えるのであれば補い、なるべく聞きにくさを改善させていきます。

実際の対応

実際の対応に関しては

  • 初めて来店された頃から試聴まで
  • 補聴器の形状選定

の2つに分けて記載していきます。

初めて来店された頃から試聴まで

初めて来店いただいた時は、状況に関して、お伺いし、初めに補聴器の試聴から行うことにしました。気軽に試聴ができる耳かけ形の補聴器を耳に装用し、音の調整を行いました。この際、通常の耳せんでは、声が響く感覚が強く出てしまうことから、穴を開けた耳せんを選択。

当店の場合は、各サイズ+穴あけ耳せんを用意している。上記のような聴力の場合、こもり、響きがあっても使える範囲内で、かつ、聞こえがよくできる位置まで持ってくる必要がある。この部分を微調整できる補聴器が望ましい。
当店の場合は、各サイズ+穴あけ耳せんも用意している。上記のような聴力の場合、こもり、響きがあっても使える範囲内で、かつ、聞こえがよくできる位置まで持ってくる必要がある。この部分を微調整できる補聴器が望ましい。

声の響きを軽減しつつ、聞こえをよくできる位置を目指して、装用する部分のパーツも含めて、合わせていきます。

初回の通常設定の音の調整。高い音は、入れると響きや辛さが出てしまうため、軽減しつつ、効果を確保するため、1000Hzは35dBで聞こえるように設定。
初回の通常設定の音の調整。高い音は、入れると響きや辛さが出てしまうため、軽減しつつ、効果を確保するため、1000Hzは35dBで聞こえるように設定。

初回の状況ですが、補聴器の音を設定した結果、使いやすく聞きやすい位置まで調整すると、このようになりました。初めの状態では、紙の音や高い音、周囲の音が大きく、それらを聞きつつ、使える位置を探った結果がこちらです。

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が、ちょっと抑えすぎな気が……ということで、このような設定も用意。上記のものより、高い音は、聞きやすく、音そのものも聞きやすい設定になる。

しかし、上記のものが、数値的にあまり補聴器装用後の違いが感じれないため、もう少し、大きめにしたものがこちらになります。少し、音が大きく感じるものの、使える範囲内とのことで、この設定も補聴器に追加しつつ、試聴をすることになりました。この設定は、主に静かなところである自宅で使用し、少し前の設定は、常時使用する設定とし、日常生活で主に使用する設定としました。

このような音の調整にし、一週間ほど試聴していただいたところ、補聴器の効果に関しては、感じていただけました。自宅の中では、音量が大きい方で使用し、今まで聞きにくかった電子音が聞こえるようになり、気付くことができるようになりました。そして、職場は、日常生活で使用する設定のものでも、会話がしやすくなり、呼びかけにも反応しやすくなったとのことです。

また、車の中でも使用し、今までならない場合、聞きにくさを感じていたのですが、あることでスムーズに会話ができるようになったとのことでした。

しかし、使用している際に気になることの中に、声のこもり、響きがありました。そのため、前回、耳に合わせたものより、より、穴が開いたものをセットした結果

こもり、響きは楽になるものの、補聴器の効果がほとんどない状態に……。補聴器は、耳せん一つで、大きく効果が変化する。なお、こちらは、補聴器の音は、一切変えていない状態での比較となる。
こもり、響きは楽になるものの、補聴器の効果がほとんどない状態に……。補聴器は、耳せん一つで、大きく効果が変化する。なお、こちらは、補聴器の音は、一切変えていない状態での比較となる。

このようになりました。穴は、開けると開けるほど、声の響き、こもりを軽減できますが、その代わり、上記の結果のように補聴器の効果そのものも軽減します。

こもりと聞こえ、どちらを優先するかを伺ったところ、聞こえになりましたので、以前と同じものを使って、聞こえを改善させていくこととなりました。

全体的に補聴器の効果に関して感じていただけたため、本格的に補聴器の選定に移ることになります。

補聴器の形状選定

このような聴力の方の場合、補聴器の選定になるポイントは、こもり、響きになります。形状の選択肢としては

  • 耳かけ形補聴器
  • 耳あな形補聴器

の2つがあります。

耳かけ形補聴器は、こもり、響きを軽減しやすいところが利点ですが、その代わり、耳にかかる感覚や鬱陶しさ、煩わしさを感じる方もいます。そして音を拾う範囲としては、左右後ろ前、全体的に拾う感覚があり、良くも悪くも音を拾いやすい構造をしています。様々な音が聞きやすい分、様々な音に邪魔されやすい形状とも言えます。

耳あな形補聴器は、耳の中に入るため、邪魔になる感覚は、ないのですが、その代わり、こもり、響きを耳かけ形補聴器より感じやすくなります。そして、音を拾う範囲は、前方を中心に拾うようになります。人が元々している拾う範囲を中心に音を拾い、聞こえるようにするのが特徴です。

言い換えれば、こもりや響きにくさを重視するか、聞こえの感覚を重視するかになります。ご相談の結果、こもり、響きにくさを重視され耳かけ形補聴器になりました。もっとも、今まで耳かけ形補聴器で試聴され、その効果を感じていましたので、その結果とも言えます。

購入になったタイプの形状。耳かけ形の中でも中くらいのもの。
購入になったタイプの形状。耳かけ形の中でも中くらいのサイズのもの。プログラムやボリュームなど、様々な操作ができるのが特徴。

補聴器を試聴された時に感じた主な効果に関しては

  • 離れたところからの呼びかけに気がつくようになった
  • 電子レンジや体温計などの高い合図音もわかるようになった
  • 今まで聞きにくい人との会話がしやすくなった
  • 少しザワザワしたところでも聞きやすくなった
  • 車の中でも普通に会話ができるようになった
  • 講演会場などの広いところでの聞き取りが今まで以上に良くなった

などがありました。日常生活や仕事場、どの部分においても補聴器なしより聞こえの改善ができました。実際に補聴器の効果を感じていただけましたので、そのままご購入となりました。

お客様の声

実際にご購入になられたお客様より、改めて相談されてどうだったのか。直接、お伺いしてみました。その結果、

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とのことでした。聞こえが改善でき、仕事中の対応がしやすくなって本当に良かったです。なお、当店にご相談いただいた理由に関しては

co-e-s-i-02

とのことでした。信頼いただき、誠に恐れ入ります。そして、聞こえにくさの改善に貢献でき、何よりです。

なお、S・Iさんより記載いただいたアンケートに関しては、以下の通りです。

アンケートに協力いただき、ありがとうございました。

まとめ

以上、S・Iさんの症例でした。このような聞こえているところと聞こえにくい部分の聴力差が大きい方は、補えるところは、しっかり補い(押さえ)それ以外のところは、補えるだけ補うというやり方を私の方でしています。補う部分でも補聴器の効果が出やすくなる部分は、1000Hz付近であり、こちらだけは、なるべく達成できるようにします。

その結果、ある程度、聞きにくさが改善でき、何よりです。高い音ももう少し補えると良いのですが、音を入れると辛いようでしたので、少し抑えめにしています。しかし、それでも聞きにくさが改善できているのであれば、良かったと思っています。

今現在は、仕事の際によく活用され、使い続けているとのことでした。日々感じていた不便さを改善でき、何よりです。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。お客様からは「補聴器を使って良かったです。これから明るく生活できます」「日常生活がスムーズになった」「人に聞き返すことが減り、コミュニケーションに対するストレスが軽くなった」と評価いただくことが多いです。
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