変化してきている補聴器の調整に求められるもの
これは、ここ1、2年ほど前から、感じていることですが、補聴器の調整について、昔と今と、求められるものが、少しずつ変わってきているな。と感じます。
昔は、個々がそれぞれ独自で補聴器の調整を行い、それの力の良し悪しが、調整の良さを決めていた頃がありました。
しかし、今現在は、研究も進み、メーカーのフィッティング処方式(補聴器を調整する際の考え方のようなもの)やフィッティング処方式そのものを活かす方が、聞こえを改善できる事の方が増えてきました。
そのことから、今現在は、補聴器をフィッテングする場合、ちゃんとその仕様通りに動いているのかの確認や、エラーを起こした時の改善方法。それらの対応ができる人が求められてきているように感じます。
ちゃんと仕様通りに動かせる人。ってことですね。
この点は、私自身が感じているのかもしれないのですが、こちらに関して少しまとめていきます。
今現在、私がしている事
これは、1〜2年程前からですが、私は、基本的に、状況の把握を優先して、行い、その状況をみて、調整する。という当たり前の事しかしていません。
このブログでは、よく「改善目標値まで改善できるといいですよ」と記載しています。
この数値は、補聴器の中にあるフィッティング処方式で、その聴力の改善目標まで改善させると、どこまで改善するか。を自分なりに可視化したものを記載していたりします。
補聴器には、基本的に各メーカーや世界の名だたる聴覚研究所で開発されているフィッテング処方式。というものが存在しています。
それらの場所が研究して、このくらい改善できると、いいですよ。という部分を可視化したものを改善目標値にしているのですが、特に1年ほど前から、明らかに、よくなってきている傾向を感じます。
よくなってきている。というのは、その改善目標通りにすると、音声の理解度が上がりやすかったり、目標とする部分まで、おおよそ改善できることが増えてきている。という事です。
実際には、補聴器を使用する方は、感音性の難聴ということもあり、成果が保証されるわけではない点は、そうなのですが、その点を考慮しても、改善できる量そのものは、明らかに増えてきています。
私自身、昔(5〜6年前)は、自分なりに考えて補聴器の調整をしていたこともあります。
その頃は、感覚を重視して、調整していたりするのですが、そんな風に調整してもラチがあかない事が多く、補聴器に関して、学び直した時に、フィッテング処方式を重視したやり方に変えてきました。
それが、3〜4年前になるのですが、そこから、さらに上がってきている傾向を感じますね。
補聴器の効果を調べる測定を通じて理解した事
基本的に補聴器の場合、音声を聞こえるようになりたい。音も大事ですが、それ以上に、言葉の聴きやすさを求められる事が多いです。
そのため、全体的に言葉が理解しやすくなっているのか。を補聴器を使用して、調べられる測定(音場語音明瞭度測定)があります。
この測定で、比較すると、自分の感覚でやるのと、メーカー及び、中に記録されているフィッテング処方式通りにすると、フィッテング処方式をベースにした調整をした方が、改善できる事が多いです。
この場合ですと、全体的に言葉の聞こえのパーセンテージが上がる状態ですね。
補聴器の場合は、
- 少し小さい声:50dB
- 普通くらいの声:60dB
- 少し大きい声:70dB
になりますので、これらの部分が平均的に改善できていると、良い傾向があります。
人によって、声の大きさは少し変化しますので、なるべく多くの方の声がわかるようにするには、全体的に聞こえるようにするのが、良いためです。
私の場合は、比較的、これらの測定を行う方ですが、メーカーやフィッテング処方式の考えをベースにして、改善する方が、これらの部分でよくなる傾向を感じています。
人<メーカー(研究機関、機械)が加速する世界
今、私自身が感じているのは、この流れは、より加速するだろうな。ということです。
昔は、個人がそのまま考えて、自分なりのフィッテング理論のようなものがあり、改善していた人もいました。
今は、それをするよりも、メーカーや研究機関で開発されたフィッテング処方式の方が、優秀になり、むしろ、それらの場所が推奨するやり方をした方が、改善できるようになってきています。
そうすると、補聴器を調整する人というのは、機械の整備士のように、ちゃんとエラーなく、動いているか。調べるべきところをちゃんと調べ、改善の軌道に乗せられているのか。をみる、本当の意味での整備士に近い形になってくるのかな。と感じます。
現に今現在、私がしているのは、【ちゃんと改善の軌道に乗せられているのか】その確認が大半の業務です。
一番初めは、聴力を調べ、補聴器を使用できる状態でまず、使用してもらいます。
その次は、その状態で補聴器を使用し続けていただき、補聴器を使用した状態を調べて、説明しつつ、どこまで改善できるとよいかの説明。
そして、状況を伺いながら、改善目標とする部分まで、改善していく。本当にこれだけしかしていません。
そのため、調整。というよりも、自分の仕事が、ほぼ【確認】で8割くらいになっています。
耳の状況を調べる、補聴器を使用した状態を調べる、そして、使用状況を調べる。それらを繰り返し、改善の軌道に乗せて、聞きにくさを改善するのが、仕事。というように変わってきました。
これらのことから、これからの補聴器屋さんの仕事というのは、少しずつ変化してくるだろうな。と感じますし、求められるものも変わってくるかな。とも、感じます。