感音性難聴の事例

【改善解説】40代・女性、両耳とも感音性難聴の方、補聴器で改善

深井 順一|パートナーズ補聴器

毎月25日にお送りしているお店からのお便り(ニュースレター、メルマガ形式)のご登録はこちらよりどうぞ。https://l-s-b.org/news-letter/

補聴器による聞こえの改善は、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善は、お客様の聞こえの改善事例にまとめています。

こちらでは、実際のお客様のデータを使って、どのように聞こえを改善していったのか。その解説を行なっていきます。

今回のケースは、40代の女性の方で、両耳とも感音性難聴の方となります。

耳の状況は、よくわかっておらず、遺伝による難聴では?という状況で、今現在、主に仕事の場から日常生活での聞きにくさを感じ始めた事から、お店へご相談いただきました。

お店でご対応させていただいた結果

  • 補聴器をつける事で、周囲の人の話がわかりやすくなった
  • 補聴器がある事で得られるメリットが多い事に気が付いた
  • 聞こえにくい事による不安は、だいぶ軽減した

との事でした。

今まで聞きにくい事で、困る事が度々起こっていたようですが、それがだいぶ減ったようで、こちらとしては、本当に何よりです。

では、どのように聞こえを改善していったのか。その点に関して、そのポイントとなる部分をまとめていきます。

お客様の状況

では、お客様の状況ですが、

  • お名前:H・Kさん
  • 年齢:40代
  • 性別:女性
  • 聴力:両耳とも軽・中等度難聴
  • 病状:原因不明の感音性難聴(遺伝かも、との事)
  • 備考:耳鼻科にかかるものの、治療はできず

聴力に関しては、上記のような状態になります。両耳とも同じような聞こえの状態で、ちょうど聞きにくさが強くなる頃合いの聴力です。

わかりづらい方のために線引きをしますと、このようになります。一般的な方が聞こえている範囲は、0〜10dB、正常の範囲は、0〜25dBになります。

耳の状況に関しては、よくわかっておらず、急激に聞きにくなった。というよりも、元々、聞きにくさがあった状態で、以前は、そこまで困ることはなかったようでした。

しかし、今現在は、マスクをつける人が多い状況ですので、それにより、困ることが増えた。との事でした。

主に困りやすいのは、職場でした。声が小さい人、あまりはっきり話さない方がおり、聞きにくいとコミュニケーションが取りづらくなってしまい、あたふた困ってしまう。

さらに呼ばれても、気がつかない事も多々あり「う〜ん、このままではまずいな」と感じる事もここ最近、増えてきてしまったようでした。

こちら以外にも、ご家族とのお話の際も聞こえていない事があり、その事をからかわれたりする事もあったようで、これにより、ちょっとした疎外感を感じた時もあったようです。

ということで、この状況を改善していきます。

聞こえの改善案

では、ここから聞こえを改善していく内容に入ります。難しい内容になりがちなのですが、なるべく簡易的にお話をしていきます。

①H・Kさんの耳の状況

では、まず耳の状況から記載していきたいと思うのですが、上記の聴力の場合、聞きにくさが出てくるのは、これらの部分になります。

H・Kさんのような聞こえの方の場合、全体的に聞こえにくさが強くなり、対面でのお話も、騒がしい中での聞こえも、複数の人とのお話、さらには、呼ばれた際に呼ばれたことに気がつかない。ということも起こります。

ですので、ご家庭から職場、人とお話する機会が多ければ多いほど、聞きにくさに困ることが増えてきてしまいます。

一般的に聴力低下が50dB付近になってくると急に聞きにくさが強くなってきます。

ですので、これらの部分を全体的に改善できるようになると、一番良いですね。

②どこまで補聴器で聞こえを改善するか

では、それをどのようにするか。それがこちらのパートになります。

補聴器というとどんなものを選べばいいのか、という見える部分を意識されるかもしれませんが、実際に補聴器による聞こえの改善効果は、どれだけ聞こえを改善できたか。という部分によるものが大きいです。

少し難しい内容になってしまうのですが、なるべくわかりやすくこちらでは、記載していきます。

補聴器の世界には、補聴器を装用した状態で、聞こえの状態を調べられる測定があります。

そして、どこまで聞こえが改善できると、効果が出やすくなるのか。という部分は、少しずつわかってきています。

その測定で、お話をさせていただくと、おおよそ、このぐらいまで聞こえが改善できると、現状をより良くしやすくなります。

この数値は、聴力的に言いますと、正常の範囲より、少し下に来るようなレベルです。

正常の範囲にどの聴力も全体的に近づけられるようになる事で、聞こえの改善に貢献しやすくなります。

特に大事になるのが音声が関係する500〜2000Hzになります。

この辺りは、35dBまで全体的に改善できるようになると対面でのお話(普通の大きさの声、少し小さい声など)、そして、離れたところから呼ばれる声、お話。これらの部分がだいぶわかりやすくなります。

ですので、目標となる数値、35dBまでは、できれば改善させたいところです。(無理はしないように)

そして、高い音の部分に関しては、35〜40dBぐらいまで改善できるようになると、離れているところからの音や呼びかけ。こういったものにも、さらに気づきやすくする事ができます。

音声の明瞭性にも繋がりやすくなりますので、過度に行う必要はないのですが、改善できるのであれば、目標となる部分まで入れられると良いです。

すると、全体的に聞こえを改善していくことになるのですが、このあたりまで改善できるようになると、全体的に聞きにくさを改善しやすくなります。

ご自身の使える範囲内と改善できると良い範囲。それらを見比べながら、ご自身の使える範囲内で改善できると良いですね。

③合いやすい補聴器の形

最後は、合いやすい補聴器の形です。

今現在、補聴器の形には、いくつかあります。これらは、聴力によって、使える、使えないが決まるのですが、H・Kさんに関しては、良くも悪くも、全ての形が使えます。

この中で、あえてお勧めさせていただくとすると、

  • 耳かけ形補聴器は、RIC補聴器
  • 耳あな形補聴器は、CIC補聴器

この2つになります。

H・Kさんの場合、低い音の聞こえがほどほどに聞こえており、125〜500Hzの間の聴力が、60dBの範囲内だった場合、補聴器を装用した時に自分の声が大きく聞こえたり、閉塞感を感じたり、こもって聞こえやすくなります。

この感覚は、この範囲の聞こえが良いと良いほど、強く感じやすく、H・Kさんの場合も、例外ではありません。

この感覚は、なければないほど、補聴器を快適に使いやすくなりますので、その範囲の補聴器を使えると、結果的に聞こえの改善に繋がりやすく、かつ、ご自身にとって、使いやすい補聴器を得る事に繋がります。

実際のご対応

さて、ここから、実際のご対応となります。いくつかの段階に分けて、記載していきます。

初回

H・Kさんの場合は、初めお越しいただき、聴力検査した内容が少し古かった事から、改めて、お店の方で、調べ直させていただきました。

そして、耳の状況から、今までの事をお伺いしつつ、補聴器のご相談をしていく事になります。

その際、まずは、補聴器があると良いのかどうかを知るために、上記のRIC補聴器を貸出し、様子を見ていきます。

その際ですが、初めの段階で、ここまで聞こえを改善していく事になります。

音の感覚として、だいぶ入っており、これでも、うるさく感じる事はない。との事で、念のため、ご自身で音量を変えられるようにして(うるさい場合は、ご自身で下げられるようにして)貸出する事になります。

2週間ほど、貸出した結果は、

  • 今まで聞きにく感じていたところで聞きやすくなった
  • 補聴器がある事によるメリットは、大きい事に気がついた
  • 聞こえにくい事による不安や自信喪失がだいぶ減った

という事でした。

今現在、聞きにくさを感じ、困っている状況だったものの、補聴器の値段が結構、高い。という事もあり、本当に自分にとって必要なものなのか。ある事によって、どう生活が変化するのか。その点に関しては、少し疑問を持っていたところがありました。

「補聴器は自分にとって良いのであれば考えたいが……」という状況で、使ってみた感想は、自分自身が思っている以上に自分は聞こえておらず、聞こえやすくなった事で、だいぶ仕事に関しては、しやすくなったようでした。

聞きにくさを感じにくくなると、聞こえにくい事による不安も自信喪失も以前と比較するとだいぶ減り、補聴器に関する不安も減っていったようです。

総合的に考えていった結果、補聴器がある事によるメリットは大きい事に気付かれたようで、そこから、より聞こえを改善していったり、合う補聴器を選んでいく事になります。

補聴器の選定

さて、補聴器に関する選定ですが、改善案でも記載させていただいた通り、閉塞感や自分の声のこもり、大きく聞こえる感覚が強くなりやすい事から、

  • 耳かけ形ならRIC補聴器
  • 耳あな形ならCIC補聴器

が理想です。

結果からお話ししますと、H・Kさんは、RIC補聴器になりました。その理由は、閉塞感やご自身の声のこもりは、できる限り、避けたい。不快な感覚は、ない方が良い。との事からです。

そして、今現在、RIC補聴器の場合、充電形の補聴器とボタン電池形の補聴器があるのですが、この2つのうち、充電形の補聴器の場合、使いにくさが出てしまう事から、ボタン電池形のRIC補聴器に決まりました。

最終調整と補聴器

ご自身に合う補聴器に関して決まり、補聴器の最終調整に関しては、

ひとまず、このような状態になりました。初めに貸出した状態で、一日、8〜10時間ほど使えており、問題なく使えている事。そして、改善目標値まで、聞こえを改善できている事から、この状態で使っていく事になりました。

正直な事を言いますと、もう少し改善できそうな部分は、ありますが、使っていただきながら、追々より良い改善を目指していきたいと思います。

以上、補聴器による聞こえの改善については、一旦終了です。

お客様の改善と声

  • 種類:RIC補聴器(小型の耳かけ形補聴器)
  • 金額:364,000円(税込)
  • 備考:両耳にRIC補聴器をつけ、改善

どの様な事でお悩みでしたか

実際に補聴器をお使いになってみていかがでしょうか

このお店で、ご相談(購入)になったのは、なぜでしょうか

実際のアンケート

アンケートのご記入。誠にありがとうございました。

まとめ

H・Kさんのケースを使って、中等度難聴の方の聞こえの改善に関して、解説してみました。

このぐらいの聞こえの方の場合、大事な部分は、きちんと聞こえの改善を行うこと。ここにになります。少し専門的になってしまって申し訳ないのですが、このぐらいの聞こえの方の場合、まさにどれだけ聞こえを補ているかでほぼ聞こえの改善効果は決まります。

その部分をしっかり押さえて、聞こえにくい事によるお困り事、お悩み事を減らしていけると良いですね。

H・Kさんも押さえるべきところを押さえて、なるべくより良く生活できるよう、こちらで対応させていただきました。それにより、聞こえの改善、さらに生活の質の改善。それらに貢献できたのは、私としても何よりです。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
1986年7月1日生まれ。生まれつきの難聴者で小学2年生の頃から補聴器を使っています。専門分野は、感音性難聴と老人性難聴で、私自身が補聴器を使っている当事者であることを活かして、お困りの方に貢献できるようお店作りをしています。
記事URLをコピーしました