耳・補聴器のこと

片耳難聴でも聞きづらさが出る理由

深井 順一|パートナーズ補聴器

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難聴の状態には、いくつか種類がありますが、中でも結構誤解されやすいのは、片耳のみ難聴の方になります。

片耳のみ聞こえていれば全部とは言わず、ほとんど聴こえてるんじゃないの?とか、片耳正常なら、まぁ大丈夫なんじゃない?と誤解されるケースは、意外にも多くあります。

前回、片耳難聴の方の場合における(厳密には、突発性難聴による片耳難聴)聞こえの改善に関して、症例ケースとして紹介してみました。

この中では、記載しなかったのですが、片耳のみ難聴の方の場合でも、聞きにくさが出てきます。

今回は、片耳難聴の状況の補足として、片耳難聴でも聞きづらさが出る理由に関して、記載していきます。

片耳難聴の実情

実は、片耳のみ難聴の場合、困る部分と困らない部分が結構、如実に分かれます。

正面からお話しされるケースや聞こえる耳側から話される場合は、だいぶ聞こえやすいのですが、まさに聞こえにくい耳側から話される場合は、状況によっては、聞こえづらさが出てきます。

例を出してみますと、 仮にこんな感じの聴力があったとしますと、右側は、正常のラインになりますので、普通に聞こえており、左側は、全く何も聞こえないという状態です。

こうなった場合、右側から話されるものや正面から話されるケースは、そのまま聞こえている耳側で聞く事ができるので、そのまま聞こえます。

ただ、左側から来るものは、頭を通り越して、聞こえる耳側に音を届けないといけないので、この間に実は、だいぶ音が減衰します。

この音の減衰は、思っている以上に非常に大きく、周波数にもよりますが、10〜13dBぐらい減衰します。

すると、今度は、普通ぐらいの音の大きさのものが、小さく聞こえるようになるため、聞こえる耳側では、ぎりぎり聞こえる、あるいは、音が小さくてはっきりしない。というような状態になりやすくなります。

このように頭そのもので音を遮断するようになっているため、片耳のみ難聴の方でも聞きにくさが出ます。

厳密には、正面や聞こえる耳側で音を受け取れるものは、遮断されませんので、そのまま聞こえるのですが、反対側の場合、聞こえない耳側から来るものは、頭による遮断がありますので、それにより、聞きにくくなります。

特に聞こえない耳側から離れたところから呼ばれる場合や周りが騒がしい環境下で聞こえない耳側から来る音は、だいぶ聞こえづらく、ほとんど気がつかないことも多くなります。

片耳だけ聞こえていれば、困らないように思うかもしれませんが、そんなことはなく、片耳のみの難聴の方でも、困る部分は、結構、あったりします。

まとめ

片耳難聴の方の場合、問題なく聞こえているところと聞こえにくい部分がだいぶはっきり分かれます。

大体は、家やご自宅の中など、静かなところでは、あまり困ることはないのですが、職場や騒がしい環境、どこから呼ばれるかわからないような環境だと困る頻度は、上がってきます。

ですので、その人の環境によって、困りやすさは変化します。

聞こえにくさというのは、目に見えるものではなく、見た目で気づく事ができないため、このような聞こえるところと聞こえないところの差が大きい方は、どういった時に聞こえていて、どういった時に聞こえていないかが相手からすると分かりづらく、そのせいで、「あの人は話を聞く気がない」あるいは「話を聞きなさい」と変に誤解されがちです。

相手からすると、話が通じている時がありますので、聞こえていると認識しやすい訳ですね。

このような変な誤解が発生しやすい傾向がありますので、人間関係的にちょっと苦労する、あるいは、困ることが多々出てきてしまうのが、難点ですね。

片耳のみ聞こえているからと言って、全く困らないというわけではない。というのが、今回、お伝えしたかったことになります。

以上、片耳難聴でも聞きづらさが出る理由でした。

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深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。補聴器を使っている当事者だからわかること、できることを活かして、難聴の方がスムーズに日常生活を送れるよう聞こえの改善、補聴器のご相談をしています。
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