耳・補聴器のこと

経験は無駄にはならない

深井 順一|パートナーズ補聴器

補聴器による聞こえの改善は、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善は、お客様の聞こえの改善事例にまとめています。

私自身、生まれつきの難聴者で、補聴器の仕事をしていますので、たまにお店のお客さんと話し込むことがあります。

生まれつきの難聴者ですので、ここに至るまで色々な経験をしてきているわけですが、それは同時にお客さん側も色々な経験をしてきていることが多いです。

そういった話を聞くと、やはり経験というのは、多くの場合、無駄にはならないな。ということです。

実際には、経験してきたことを活かすことが大事になるのですが、その経験から何を学べたのか、その反省やら、気づきやらを得られれば、経験は無駄にはなりません。

今回は、ここについて記載していきます。

経験から肌感覚を掴み取る

私自身の強みの一つは、難聴者なので、耳関連の事から、仕事やプライベート、そういった部分まで話がしやすい事ですね。

私自身も難聴者ですし、そういったことを話す機会というのは、ほとんどの場合においてなく、さらに私自身としての興味は、難聴の方はどのようにしたら幸せになれるのか、そこがあります。

ですので、うまくいっている(と思われる)方には、特にお話を聞きながら、どのようにやっているのか、どんなことに気をつけてきたのか、などを聞いていたりします。なかなかこういったことは、他の方は、できないことだと思いますので興味本位で聞いています。

で、難聴の方が気になることの一つは、仕事ですね。どのような仕事が良いのか、この点は、別に難聴でなくても気になるところですが、難聴になると聞こえにくいことによるコミュニケーション難が出てきてしまうため、より慎重に考えていく必要が出てきてしまいます。

そういったことをよく話したりするのですが、とあるお客さんと話をしていた時に「なんだかんだ、経験って無駄にはならないよね」という話になりました。

その方は、補聴器をつけ始めた頃、そこまであまりよく改善されていなかったようなのですが、その状況でも自分なりに努力し、聞きづらい場合は、このようにする。こういった時は、このようにする……、など、ご自身なりに工夫をしていました。

その後、このお店に来られ、私なりにではありますが、最善の状態になるよう、できる限り聞こえを改善しました。その後、聞こえやすくなったことで、より仕事が楽になったとのことでした。

今まで、聞こえにくい状態、ハンディが大きい状態で仕事していたため、仕事の負荷が強く、その状態でも仕事をこなせていたので、聞こえが良くなると、より楽に仕事ができるようになり、なんだかんだ、大変な思いも意味があるんだなという話になりました。

この点は、周りはノーマルのまま走り、自分だけ、20キロの重りをつけて走っているようなもので、それが、5キロにまで減ると負担が非常に軽くなるため、今までよりだいぶ楽にできるようになったということですね。

大変な思いも実は後から見てみると、意味があった。そこから学べることがある。ということです。

人生は近くで見れば、悲劇だが、遠くで見れば喜劇である

こういった話を聞くと、チャップリンの言葉、人生は近くで見れば悲劇だが、遠くで見れば喜劇である、という言葉を思い出します。

この方がおっしゃっていたこともまさに、この点を表しており、初め、聞こえにくさがある状態で仕事をするのは、とても大変なことです。どうしてもコミュニケーション難が出てきてしまいますので、他の人が当たり前にできることが自分にはできない、と感じたことだってあったはずです。

しかし、状況を冷静に受け止め、一つ一つ、できることをしていった。

時にはがむしゃらに、時には、それしか方法がなかったということもあると思いますが、そのように一つ一つ課題をクリアしていった先は、チャップリンが言うように喜劇になるということです。

これは、私自身も同様の感覚を感じています。私の場合は、一番初め仕事をしたのは、アルバイトで、17歳の頃、めしやどん、という飲食チェーンで働いています(今は、やよい軒に名称が変更)。

しかし、初めてのアルバイトは惨敗でした。まず、飲食店では、周囲が騒がしいので、補聴器をつけていたとしても騒がしさで、周りのパートさんやアルバイトの方とうまく意思疎通ができませんでした。

幸い、オーダーを直接お客さんから受けるタイプ、聞きにいくタイプのお店ではなく、食券式になりますので、それを聞く必要はないのですが、それでも聞きにくいことで、コミュニケーション難になることによる弊害はとても大きなものがありました。

そこから自信を無くし、自分は、アルバイトすらまともにできない人間なんだ。と落ち込むことになりました。さらにその時、あまりのショックに、アルバイト先をズル休みし、その後、ドヤされ、逃げるように辞めることになります。

初めてのアルバイトは、惨敗。何もかもがうまくいかないアルバイトでした。

その後、1〜1年半後にまた、アルバイトをするようになるのですが、前回、散々失敗したので、まず、自分が働ける環境というのは、どういったところなのか、そこから考えるようにしました。

で、自分なりにですが、やっぱり耳が悪いので、飲食店のような騒がしいところ、ごちゃごちゃしたところは無理だ。という判断になりました。別に仕事に関しては、そこまで考えておらず、お金がもらえればいい、だから、自分が働けるところ、という自分中心で考えていくことにしました。

その結果、ダイソー(100円ショップ)で品出しをするというようになり、品出しや黙々とやる仕事であれば、ほとんど会話しなくていい、そういったところであれば自分でもいけるのではないか。そういった結論に至り、そういったところで働いて、次は、ここまで働く、という期日、期限まで働くことができました。

ここで初めて、やり遂げるということをしました。初めの頃からすると、だいぶ変化し、これが19歳の頃の話です。

お客さんのお話にもありましたが、辛い経験、大変な経験はのちに良い糧となるというのは、私自身も感じています。

まさに経験は無駄ではない。ということですね。

経験を活かすには?

ただ、一つだけ注意が必要なのですが、経験は経験するだけではあまり良くなくて、反省や内省など省みることが大事になります。

あの時、なぜ自分はうまくいかなかったのか、うまくいかなかったものには、うまくいかなかったものなりの理由があります。ですので、一つ、一つ、反省する。

で、次は、こうしたらいいんじゃないか?というものを試していく。その経験は自分に何を教えてくれたのか、そして、その経験から何を学べたのか。ここが大事になるということですね。

上記では私の例を出していますが、騒がしい環境やごちゃごちゃした環境では、自分は働きづらい、聞こえにくいことによるコミュニケーション難が出やすくなる、なので、そうじゃない環境で仕事をしたらいいんじゃないか?と考え、行動しています。

ここは正解かどうかが大事なのではなく、自分なりに考えて、どうしていくと良いのかを考える。その考えたことや実際に体験した経験から人は初めて学ぶことができるということです。

その経験から何を学べたのか。それを自分なりにでも良いので蓄積していく。結局、経験していくことで、何となくの感のようなものが働き、「こういうときはこうした方がいいな」というものが出てきます。

結局はその積み重ねですね。ということで、経験は無駄にはならない、でした。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
使っている人が対応している補聴器専門店・代表
1986年、7月1日生まれ。生まれつきの難聴者(感音性難聴)で小学2年生の頃から補聴器を使っています。聞こえにくい側の状況やお気持ちは、同じ難聴者や当事者にしかわからないことがある事から、このお店では、実際に補聴器を使っている私自身がご相談を承っています。

聞こえづらいことで、仕事やプライベートでお困りの方へ

初めまして、パートナーズ補聴器の深井と申します。

このお店は、生まれつき難聴で補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店です。

聞こえにくい側の状況やお気持ちは、同じ難聴者や当事者にしかわからないことがある事から、実際に補聴器を使っている当事者がご相談を承っています。

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