耳・補聴器のこと

音のイメージを膨らませる事と実際に聞いてみる事は違う

深井 順一|パートナーズ補聴器

補聴器による聞こえの改善は、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善は、お客様の聞こえの改善事例にまとめています。

先日から自立コムさんの商品、Mリンクについて記載しています。こちらを聞いた際は、色々と改めて考えさせられるものがありました。私自身最も感じたのは、知っている事と理解する事は、異なるという事です。ある意味普遍的なものであり、当たり前に感じるかもしれませんが、理解のために体験する事の価値、意味について改めて感じました。

Mリンクの経験

私自身は、Mリンクでできる事は初めから知っていました。スマートフォンという時代に革命をもたらした機器に接続する事で、動画を楽しめたり、音楽をより身近に感じたり、電話する事もできるようになります。これは、Mリンクそのものの商品概要から考えれば、すぐに思いつく事でもあります。

そして、スマートフォンそのものでできる事が増えれば、当然そのディバイスの音が気軽に聞こえるようにする事で、できる事も増えてきます。これは、仮に聞こえにくかったとしても、その方にとってスマートフォンがよりたまもしい味方になる事を意味します。ここに商品の価値がある事も見えてきます。

しかし、今回改めて感じたのは、音を聞くという経験をしているのとしていないのとでは、大きく差が出るという事でした。正直、不覚でしたが、知っている事と経験し、それを理解している事の間には、大きく開いた溝のようなものを感じます。

音の感覚は人それぞれ

それを紐解くキーワードは、音の感覚です。難聴の方は、実に様々な聞こえ方をしていますので、一概には言えません。低い音が聞こえやすく、高い音になるにつれ、聞こえにくくなる方もいれば、その反対で、低い音が聞こえにくく、高い音の方が聞こえやすい方もいます。傾向としては、低い音が聞こえやすく、高い音が聞こえにくい方の方が多い傾向がありますが、耳の聴力には、様々なものがあります。

様々な聴力があるのでしたら、むしろ、人それぞれ感じる音に関しては、違う事を意味します。私自身の場合は、以下の聴力です。

私の聴力図

私の聴力図

この場合は、低い音より、高い音の方が聞きにくい状態です。このような状況下ですと補聴器を装用し、その音から音楽を聞くと高い音を増幅した状態で、聞くことになります。

難聴者の場合

  • ベースとなる聴力
  • 補聴機器で補っている調整

この二つにより、聞こえ方は、大きく異なる事を意味します。

経験からわかる理解する事の意味

私自身は、Mリンクを使用すれば「まぁ普段聞いている感覚より高く聞こえてくるんだろうな」程度の認識しかありませんでした。補聴器を装用し、自分の聴力を補っているわけですから、その補っている数値分、聞きやすくなっているのだろうという認識です。

私の聴力は高い音ほど聞きにくくなっています。補聴器は、聞きにくくなっている部分程、重点的に補います。それが補うと言う意味であり、これは、怪我が酷い所程、集中的に治療をするのと同様です。この程度の認識でした。

が、実際に聞いてみますと、音の抑揚の部分に関しては、想定外でした。

  • 音の広がり
  • 機械から感じる音
  • 聞こえていなかった音が聞こえるという感覚

こちらに関しては、

  • 自分が想像していた事を超えていた事
  • 自分が想定していない事もあった事

これらについて感じました。想定する事は容易いのですが、実際には、想像を超えていた事もありましたし、考えてもみなかった事が起こりました。

つまりこれは、想像していたものも実際には、想定できていなかった事を意味します。そして、実際に体験する事で知識化され、初めて理解できたという事です。

いくら、聴力がわかり、調整をしている状態もわかるからといっても、実際に体験しない限り、どのように音を感じるのか、そして聞いてみた感想は、どのようなものなのか、さらに、それは良いのか、悪いのかは、わからないという事を改めて感じました。

これらの事から、私は、知っている事と理解しているところの間には、大きな溝がある事を理解しました。特に音が聞こえていない事に関しては、認識しようがありませんので、体験しないと理解のしようもありません。これは、補聴器を初めて装用する場合においても同様です。

経験から得られた教訓

こちらの経験から得られる事は、どんなものも試してみる事が必要なのだろうという事です。補聴器も同様ですし、補聴器に追加する機器で、音を聞く場合においても同じです。

そのままの感覚でいる事は確かに楽かもしれません。しかし、さらに良い聞こえを得たいと考えるのでしたら、絶えず、補聴器や補聴道具を試し、どのように感じたのかを経験し、理解していく事が必要なのだろうと思います。

「こうなるんだろうな」という想像と実際に経験する事は、全くの別物。それがこの経験で得られた教訓でした。耳に限らず、他の事にも言える事だとは思いますが、耳には、耳で感じるものがあります。

 

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ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
生まれつきの感音性難聴で小学2年生の頃から補聴器を使用。補聴器の仕事は、2006年からで、2024年現在、18年です。自分自身でも補聴器を使っていることを活かして、お客様に貢献できるお店を目指しています。お客様からは、補聴器を使っている当事者なので、状況や気持ちをわかってもらいやすい、と評価いただくことが多いです。
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