補聴器の基本・形状・調整

音場閾値測定と音場語音明瞭度測定の関係性は?

深井 順一|パートナーズ補聴器

聞こえの改善や補聴器のことについては、【FAQ】聞こえの改善と補聴器のFAQへ。お客様の改善事例は、聞こえの改善成功事例へどうぞ。

前回から聞こえの改善に関して記載しているのですが、その際に出てきた測定の一つに音場閾値測定(おんじょういきちそくてい)。というものがあります。

こちらは、補聴器を使用した状態を可視化する事で、どの音がどれくらい聞こえているのか。を調べる事ができるのですが、その測定と音場語音明瞭度測定(補聴器を使用した状態の言葉の理解度)の関係性を以前、調べていた事があります。

こちらに関しては、何も根拠がなく、あくまでも傾向。としか感じていないので、本当の意味で参考程度にしかならないのですが、結論から言いますと、こちらの数値がよくなると、それに伴って、音場語音明瞭度も上がりやすい傾向を感じています。

語音明瞭度測定じたい結構曖昧な測定(数値がブレる)ので、ちょっと不安な部分は、あるのですが、書いていこうと思います。

音場閾値測定と音場語音明瞭度測定

音場閾値測定は、補聴器を使用した時の聴力検査のようなもの。と考えていただければわかりやすいです。

補聴器をつけた状態で、各周波数の音の聞こえを調べ、その後、その音がどのくらい聞こえているのかを調べられる測定ですね。

この測定の良いところは、目標がわかり、かつ現状がわかるので、より改善するには、どこをどう調整すれば良くなるのか。がわかりやすいところです。つまり、改善案を考えやすい。というのが本当の強みです。

この測定の良いところは、目標がわかり、かつ現状がわかるので、より改善するには、どこをどう調整すれば良くなるのか。がわかりやすいところです。つまり、改善案を考えやすい。というのが本当の強みです。

この測定の良いところは、数値がわかりやすいところですね。今現在、聴力ごとにおおよそではあるのですが、改善すると良い数値がありますので、そこまで、ちゃんと各周波数入っているのか。入っていないのか。を知る事ができます。

そして、仮に入っていないのであれば、どのくらい足りないのか。もわかりやすいので、対策が立てやすい。次、改善するなら、どこを改善すると良いのか。の推測が立てやすい。というのが、大きな利点です。

もちろん、欠点もいくつかあり、かつ、聞こえの改善目標は、議論になりやすい部分ですので、それだけで補聴器の調整を決めることは、ないのですが、このようなポイントがある測定になります。

主に音声の理解度がどのくらいあるのか。を調べる測定がこちら。

主に音声の理解度がどのくらいあるのか。を調べる測定がこちら。

一方、音場語音明瞭度測定は、補聴器を装用した状態で、いくつかの音声を流し、どのくらい音声が理解できているのか。を調べられる測定です。

音の大きさは、横軸です。そこの50dB、60dB、70dBは、良く使われる声の大きさですので、効果を調べるために測定される事が多いです。

音の大きさは、横軸です。そこの50dB、60dB、70dBは、良く使われる声の大きさですので、効果を調べるために測定される事が多いです。

主に調べる事があるのは、50dB(3〜4mくらい離れたところからの会話、少し声が小さい方の声)60dB(普通くらいの声の大きさ)70dB(ちょっと声の大きい人の声)などの音の大きさです。

これらの部分を補聴器ありの状態で調べる事で、補聴器使用時にどのくらい音声が理解できるのか。を、おおよそではありますが、把握する事ができます。

こちらの場合、なかなかどこまで改善すると良いのか。の基準は、かなり難しいです。

数値がブレるというのもそうですが、補聴器を使用する人は、ほぼ感音性難聴であり、測定して、最良の明瞭度は、わかるものの、最高がどこにあるのか(その人の改善の限界がどこにあるのか)。が、非常にわかりづらいので、なかなか判断も難しくなってしまいます。

簡単にまとめますと、数値がブレる上にどこまで達成できるものなのか。というところがはっきりしない。という事ですね。

ですので、こちらは、現状確認。という事で、使われる事が多い測定です。

ただ、それぞれの音声の大きさ別にどのくらい理解できているのか。は、感覚では、わからないため、本当に改善されているのか、そして、補聴器は有効なのか。ということを調べる有力な現状確認方法の一つとして、使われているのも事実です。

音場閾値測定と音場語音明瞭度の関係性は?

さて、本題。

あくまでも傾向。として、になるのですが、まず、補聴器を装用して、音場閾値測定上、平均的に35dBくらいまで、改善している場合、だいたい50dBくらいまでは、改善度がよくなる傾向があります。

あくまでも傾向ですが、平均的に改善できている人が、良い傾向あり。特に高い音がしっかり入っている人程、数値的には、良い傾向があります。※1000Hzを含む、その先がですね。

あくまでも傾向ですが、平均的に改善できている人が、良い傾向あり。特に高い音がしっかり入っている人程、数値的には、良い傾向があります。※1000Hzを含む、その先がですね。

数値にしますと、だいたいこのくらいまで改善すると

あくまでも傾向ですが、35dBくらいまで平均的に改善されている場合は、50dBくらいまでが、全体的に良くなる傾向を感じています。

あくまでも傾向ですが、35dBくらいまで平均的に改善されている場合は、50dBくらいまでが、全体的に良くなる傾向を感じています。

音場語音明瞭度も50dB。つまり、少し小さい声の方の聞こえが良くなり、それ以上の60dB、70dBも良い傾向が出てきます。

それ以上、改善する場合、つまり40dBの部分。40dBは、小さい声の方の声の大きさになるのですが、そこまで、ある程度、改善したい。という方の場合は、

40dBほどの小さい声まで、良くする場合は、このくらいまで改善していると良くなってくる傾向があります。ただ、この数値でも、かなり音が大きく感じやすくなりますので、正直、目指すべきかどうかは、微妙なラインです。

40dBほどの小さい声まで、良くする場合は、このくらいまで改善していると良くなってくる傾向があります。ただ、この数値でも、かなり音が大きく感じやすくなりますので、正直、目指すべきかどうかは、微妙なラインです。

おおよそ、30dBくらいまで、改善する必要があります。厳密には、25dBくらい必要かと考えられますが、今現在の補聴器で、そんなに改善すると、まず感覚上、大きすぎて、つけにくくなってしまうケースが大半(聴力によりますが)ですので、正直、目指すべきかは、微妙なラインになります。

正常のラインがわかると、補聴器をつけた状態がそのような人と比べて、どんな感じなのかがわかりやすくなりますね。

正常のラインがわかると、補聴器をつけた状態がそのような人と比べて、どんな感じなのかがわかりやすくなりますね。

人の音声の理解度の正常値(健聴の人の感覚)は、中央の太い線になります。簡単に言いますと、40dBくらいからほぼ100%になり、それ以降も、しっかり聞こえている状態。という事ですね。

そこからすると、あと一歩、足りない。という状況ではあるのですが、それに徐々に補聴器での改善は、近づいてきています。

もちろん、これは、あくまでも数値上ですので、実際には、周囲の音に邪魔されたり、聞きにくい声でわかりにくかったりはする事は、あるのですが、少なくとも数値が良い方が、聞きにくさを感じるケースは、少なくなります。

まとめ

簡単にではあるのですが、まとめてみました。

あくまでも傾向であり、偶然そうなっている可能性も否定できないのですが、音場閾値測定の結果が良い方は、そのまま語音明瞭度測定も良い結果を残している傾向があるのは、感じています。

実際には、その人の言葉の理解度がどのくらいあるのか。などの耳の状況。もしくは、聴力に関して、周波数全体が改善しやすい聴力なのか。によっても、変わってきてしまうのですが、この2つが重なると、大抵、良い結果になります。

様々なケースをみてきて感じたのは、上記の通りですね。

どこまで補聴器で聞こえが改善されていると、どこまで補聴器を使用した時の明瞭度が良くなるのか。そして、音場閾値測定の結果は、どのような結果だったのか。

それを見続けた結果ではありますが、上記のような傾向を感じています。

こちら以外の別の要素も正直、いくつか考えられますので、これが全てではないのは、事実ですが、こちらでは、あくまでも、傾向。という事で、まとめてみました。

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深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。補聴器の販売員としての知識、技術に加え、一人の難聴者が自分自身の聞こえを改善した知識、技術も組み合わせながら、聞こえの改善、補聴器のご相談をしています。
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