補聴器の基本・形状・調整

補聴器の調整のPDCAを実際にどう活用したのか、その実践編

深井 順一|パートナーズ補聴器

聞こえの改善や補聴器のことについては、【FAQ】聞こえの改善と補聴器のFAQへ。お客様の改善事例は、聞こえの改善成功事例へどうぞ。

さて、先日、記載した通り、【快適に聞きやすく】老人性難聴の方、補聴器で改善しましたの例を実際に、どうPDCAを回したのか。その点に関して、まとめていきます。

補聴器の調整のPDCAに関して、重要になる点は、

  • 目標を決める
  • 使用状態を確認する

の2つしかありません。

どこまで改善すれば良いのか。そして、どのくらいまで改善できると概ね、良いのか。その点に関して、目標を決め、その後、使用状況を確認し、そこまでできる限り、改善する。それが、基本的な流れですね。

なお、のちに紹介する目標のところは、賛否両論かもしれませんが、あくまでもこのブログを書いている人は、こんな感じでやっている。という部分が参考になれば、幸いです。

目標は?

PDCAにおいて重要になってくるのが、目標ですね。それもできるのであれば、数値にするのが、望ましい。と前回は、記載しました。

M・Nさんの例では、音場閾値測定で、概ね、このくらい聞こえを改善できると良い。という目標を立てました。

音場閾値測定とは、補聴器を使用した状態で、どのくらい聞こえが改善できているのか。その点がおおよそ、把握できる測定の一つです。

欠点もいくつかありますので、それだけで判断する事は、ないのですが、補聴器を使用して、どのくらい改善できているのかが、把握しやすくなりますので、私は、よく活用しています。

赤の500〜2000Hzは、主に音声に関係しやすく、その部分が目標まできていると、改善しやすくなります。2000〜4000Hzあたりは、チャイムや周囲の音の気づきに影響しやすく、それが目標まできていると、周囲の状況もかなりわかりやすくなります。

赤の500〜2000Hzは、主に音声に関係しやすく、その部分が目標まできていると、改善しやすくなります。2000〜4000Hzあたりは、チャイムや周囲の音の気づきに影響しやすく、それが目標まできていると、周囲の状況もかなりわかりやすくなります。

中等度難聴くらいの方であれば、この音場閾値測定上で、このくらい改善できると、聞こえの改善度も上がりやすくなり、一部分の周波数のみではなく、できれば全体的に改善することができれば、聞こえの改善度も上がりやすくなります。

大事なのは、音場語音との関係性。経験上ですが、音場閾値が改善されている方は、全体的に音場語音も良くなっているケースが多いです。中等度の場合は、音場閾値が、35dBくらいになると、50dB(3〜4m離れたところ、少し声が小さい人の声)、60dB(普通くらいの声の大きさ)、70dB(ちょっと声が大きい人の声)が全体的に改善される傾向があります。

大事なのは、音場語音との関係性。経験上ですが、音場閾値が改善されている方は、全体的に音場語音も良くなっているケースが多いです。中等度の場合は、音場閾値が、35dBくらいになると、50dB(3〜4m離れたところ、少し声が小さい人の声)、60dB(普通くらいの声の大きさ)、70dB(ちょっと声が大きい人の声)が全体的に改善される傾向があります。

そして、ここからは、あくまでも経験上ですが、音場閾値測定で、35dB付近まで改善できると、50dBまでの音声の聞き取りが、よくなる傾向があり、50dB、60dB、70dBと全体的に音声を理解しやすくするために、私の場合は、中等度難聴の方の場合は、35dB付近まで改善する様にしています。

どの音声も聞きやすくするのは、人の声の大きさには、色々とあり、普通の声の音量で話す方もいれば、ちょっと声が小さい方もいるためです。全体的に、どの音声も理解しやすくなれば、それだけ、聞こえの改善度は、上がりやすくなります。

そして、補聴器の使用状態に関しては、問題なく補聴器を扱える事。こちらを目指しました。

これは、なかなか数値では把握しづらいもので、簡単に言いますと、補聴器を使う上で、問題なく使えるのか。使いづらいところは、ないのか。などの操作性、使いやすさの部分ですね。

この点は、音に関しても同様です。補聴器の音の大きさに関しても、使える範囲内を目指しました。

音を入れる量は、計測できても、その状態で使っていただいて、ちょうど良いと感じるのか、小さいと感じるのか。それとも、大きいと感じるのか。その感覚は、流石に計測できません。

上記の数値で把握できるのは、あくまでも理想の改善値で、かつ、目指せれば良い数値になります。

その数値にするとうるさすぎるケースがあったり、使用できない方もいますので、あくまでも、目指すべき数値以外に使用状態の目標も作ります。

そうする事で、バランスよく改善する事ができる様になります。

M・Nさんに関しては、目標について、この2つを作りました。

目標をできるだけ明確にする理由

目標をできるだけ明確にする理由については、明確にしないとゴールがわかりづらくなってしまうためです。

聞こえを改善する。というゴールは、あるようで、ないゴールになります。それは、どの様になったら、良いのか。が不明確だからです。

少し意地悪な感じにはなってしまいますが、補聴器を装用して、ちょっとでも改善していれば、ある意味、聞こえは改善されている。という風に捉える事もできますし

違和感が強く、とても長くは使えないけど、つければ聞こえやすくなる補聴器であれば、それもまた、聞こえを改善できている。と、捉えられるかもしれません。

ですので、そうならないためにゴールは、なるべくはっきりさせた方が良くなります。

私の場合は、”難聴の体でもなるべく人生を楽しむために”という目的を持って、行なっています。

じゃあ、そういった状態にするには、どうしたら良いか。

その一つには、使用する人の聴力から、改善できるところを明らかにし、なるべく改善できる様にする。も一つですし、

扱いやすい補聴器を提供する事で、その人が使いたい時にしっかりと聞こえる様にする。なるべく不自由を軽減できる様にする。という事も一つですよね。

補聴器の場合は、大きく分けると

  • 聞こえの効果
  • 扱いやすさ(使いやすさ)

の2つしかありませんので、この2つの部分で、目標を立てる事が、聞こえの改善に役立つ事になります。

目標と現状を見比べて、修正を繰り返す

さて次は、実際にPDCAを回して行きます。

目標を作った後にすべきことは、実行して、現状を見比べる事です。

M・Nさんの場合、目標はわかりました。そして、補聴器の使用感覚については、問題なく補聴器を使える事。こちらにしました。

実際に行動した結果がこちら。

実際に行動した結果がこちら。

そのために行動して行くわけですが、実際に補聴器を使用して、聞こえを改善した後、この様な状態でした。

行動した結果と目標を比べてみると、どこが足りていて、どこがどれだけ足りていないのかがわかりやすくなります。あとは、感覚と相談して、どのくらい改善するか。ですね。

行動した結果と目標を比べてみると、どこが足りていて、どこがどれだけ足りていないのかがわかりやすくなります。あとは、感覚と相談して、どのくらい改善するか。ですね。

この状況からすると、数値だけで判断した場合は、もう少し上げたいところです。

そのため、聞こえの改善状況に関して、お伝えした後に実際にあげても大丈夫そうか。そして、補聴器の音量を上げ下げするボリュームを搭載していた事から、日常生活上、それで操作してあ上げたい事は、あったかどうかを確認しました。

前回にも記載したのですが、全体的に音量が小さければ、音量をあげている事が多く、全体的に音量が大きければ音量を下げている事が多くなります。

つまり、上記の様な数値で、実際にどの様に補聴器を使っていたのか。それを確認してみた訳ですね。

その結果ですが、その状態でほとんど使っており、さらに上げると音が響きやすくなってしまう事から、その状態までで一旦終了としました。

響きがないようであれば、もう少し改善し、より良くしてもいいかとは、思いますが、辛くなってしまう事は、なるべく避け、そして、その中で、聞こえをなるべく改善させる事で、

  • できる限り、聞こえを改善する
  • 問題なく補聴器を扱える様にする

の2つの目標をクリアする様にした訳ですね。

まとめ

さて、簡単にではあるのですが、PDCAのサイクルに関して、記載してみました。

基本的な流れとしては、目標を作り、それに沿って聞こえを改善していく。という流れになります。

書き忘れてしまったのですが、PDCAの注意点としては、目標がないとPDCAが回せなくなってしまう事。(何を改善及び、修正したら良いかわからない)。

そして、現状を把握する方法がないと、良くなっているのか、あまり変わっていないのかがわからない事。

さらに目標は、なるべく明らかにしないと(Checkできるものにしないと)現状を把握しづらく、PDCAが機能しづらくなる事。これらがあります。

この3つには、注意しましょう。

M・Nさんのケースでは、これらの確認をして、聞こえの改善をしてみました。

そのポイントもまさに、目標を作り、PDCAを回す事で、できた訳ですね。

こちらについては、こんな風に補聴器屋さんは、改善しているんですよ。という事が伝われば幸いです。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。補聴器の販売員としての知識、技術に加え、一人の難聴者が自分自身の聞こえを改善した知識、技術も組み合わせながら、聞こえの改善、補聴器のご相談をしています。
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