補聴器の必要性ってどう考えると良いの?
お客様からよくご質問いただくことの2つは、自分自身の耳の状況、聞こえの状況を知りたい、ということと、補聴器はあった方が良いのか、それともまだ早いのか。こちらになります。
基本的に補聴器は、このぐらいまで聞こえにくくなったら必要。と一言で言えるようなことはありません。理由は単純で、聞こえにくさに困るのは、何も聴力だけで決まるわけではないからです。
ですので、結論だけ書いてしまえば、聞こえにくさに困っているなら考える、困っていないなら今の所は不要。そのようにお考えになることをお勧めします。
結論から
まず、結論からお伝えしていければと思うのですが、仮に補聴器はあった方が良いのか、それともなくても良いのか。という点に関しては、一言で言うことが難しいです。
これは、このぐらいまで聞きにくくなったら補聴器を考える、という基準が決められているわけではないこと、そして、聞こえにくさによる困り度は、聴力×環境によって決まること、この2つがあげられます。
例えば、軽度の難聴の方がいらっしゃるとします。軽度の方の特徴は、問題なく聞こえることもあるが、特定の環境下になると困る、というものです。
よくあるのは、家の中では、困ることはほとんどないけれども職場や仕事の際に困ることが多い、というものです。
家の中の場合は、静かなこともあり、そして、ご自身のことを知っていることが大半なのでそこまで困らないことが多いのですが、仕事となると周りが騒がしくなったり、声が小さい人がいたり、会議があったりなど、複雑な環境が出てきます。
そういった時に困ってくる、ということですね。ですので、軽度の方の場合、家の中にいることが多い人は、そんなに困る頻度はないが、仕事をしていたりすると、そういったところで困ることが増えてきます。
これは、言い換えれば、家の中にいることが多い人は、困る頻度が少ないため、補聴器の必要性、もっというと聴力的に聞こえにくさはあるかもしれないけれども、困ることが少ないので、聞こえにくさを改善しようという動機が薄くなります。
一方、軽度の難聴の方でも仕事をしていたり、人と接する機会が多い方は、聞こえにくいことによって困る頻度が多くなります。すると、補聴器の必要性、聞こえにくさを改善しようとする動機は強くなります。
このように聞こえにくいことによって困るレベルというのは、聴力だけで決まるわけではなく、厳密には、聴力と環境によって変わります。なので、聴力だけでは判断できない、というのが現状になります。
聴力の低下と補聴器の必要性
一応、聴力に関して、記載していきますと、今現在、分類として、
- 軽度の難聴(26〜39dB)
- 中等度の難聴(40〜69dB)
- 高度の難聴(70〜90dB)
- 重度の難聴(91dB〜)
の4つがあります。
ここで無理やり聴力だけでみていくと、基本的には、軽度の難聴は、必要になるかどうかは状況による、になり、中等度の難聴から、ほぼ必須になります。
中等度の難聴から、日常生活から仕事まで、聞こえにくいことによって困る頻度がだいぶ多くなってきますので、生活をするためにも仕事をしていくためにも聞こえの改善は、必須になってくることが多くなります。
重度の難聴にまでなると補聴器というよりも人工内耳というものの世界になってくるのですが、このような状況になってくることが多いですね。
必要性をどう考える?
私の場合、あくまでも補聴器屋でかつ自分自身が補聴器をつけている身ではあるのですが、そんな人間が思うのは、困っているなら考える、困っていないなら不要、でいいんじゃないかと感じています。
ここには、そもそも補聴器は使おうとする意思がない人は使えないこと、聞こえにくさに困っているか困っていないかは、聴力×環境によること、の2つが大きな要素です。
まず、上記の通り、聞こえにくさに困っているか、困っていないかは聴力によって決まるわけではありません。上記の通り、聴力だけではなく環境も入ってきます。
そして、補聴器で大事になってくるのは、補聴器はそもそも使おうとする意思がない人は使えないこと、厳密には使いづらいことです。
補聴器をつけると良くも悪くも色々な音が聞こえるようになります。それは、今まで聞こえにくかった人の声もそうですし、今まで聞こえなかった身の回りの音も聞こえるようになります。
ですので、聞こえを改善したい、もっというと聞こえにくさを改善したいという人は、聞こえやすくなってよかった、となるのですが、それを求めていない人は、補聴器をつけると「うるさい」「なんか色々な音がする」となってしまいます。
大事なのは、補聴器は、自分にとって都合よく聞こえるようにしてくれる機器ではない、ということです。一応、良い補聴器、高額な補聴器には抑制機能をつけて、色々と手助けしてくれる機能がありますが、それでも限度があります。
ですので、改善を求めている方は、壁を越えられる傾向があるのに対し、そこまで求めていない方は、その壁を越えづらいというのがあります。
ここで、聞こえの改善を求めていない人が補聴器をつけることなんてあり得るの?と疑問を浮かんだ人がいるかもしれません。これについては、Yesです。その代表格は、ご家族が聞きにくいケースです。
例えば、ご両親が年齢によって聞きにくくなり、娘さん、息子さんが意思疎通、会話をするのに大変になってきた。なので、ご両親に補聴器をつけて欲しい、などが典型的なケースになります。
難聴というのは、聞こえにくくなった本人だけが影響するわけではありません。聞こえにくくなった人と意思疎通をする必要がある人、コミュニケーションする人、全体に影響します。それは、ご本人ももちろん影響しますが、それと同時にその周りの人も影響を受けます。
ですので、聞こえの改善を求めていない人、という不思議な文章になってしまうのですが、難聴というのは、このようにご本人が聞こえにくさに困っているからつける、という目的のもの以外でも使われたりします。
そういったこともあり、私自身は、シンプルに、困っているなら考える、困っていないなら不要、で考えられると良いのではないかと考えています。
まとめ
さて、まとめになります。補聴器の必要性に関して、どのように考えるか、こちらですが、これに関する答えはありません。私なりの答えを出すと、困っているなら考える、困っていないなら不要となります。
補聴器の必要性は、上記に記載した通り、聞こえにくさに困ることというのは、聴力だけで決まるわけではなく、その方が置かれている環境、状況によっても変わってくるため、聴力だけでは決めようがない、というのが実際のところです。
その事から、私の場合は、困っているなら考える、困っていないなら不要で考えられると良いのではないかと思います。実にシンプルですね。
ということで、こちらの内容は以上になります。