補聴器の調整のPDCAを実際にどう活用したのか、その実践編
さて、先日、記載した通り、【快適に聞きやすく】老人性難聴の方、補聴器で改善しましたの例を実際に、どうPDCAを回したのか。その点に関して、まとめていきます。
補聴器の調整のPDCAに関して、重要になる点は、
- 目標を決める
- 使用状態を確認する
の2つしかありません。
どこまで改善すれば良いのか。そして、どのくらいまで改善できると概ね、良いのか。その点に関して、目標を決め、その後、使用状況を確認し、そこまでできる限り、改善する。それが、基本的な流れですね。
なお、のちに紹介する目標のところは、賛否両論かもしれませんが、あくまでもこのブログを書いている人は、こんな感じでやっている。という部分が参考になれば、幸いです。
目標は?
PDCAにおいて重要になってくるのが、目標ですね。それもできるのであれば、数値にするのが、望ましい。と前回は、記載しました。
M・Nさんの例では、音場閾値測定で、概ね、このくらい聞こえを改善できると良い。という目標を立てました。
音場閾値測定とは、補聴器を使用した状態で、どのくらい聞こえが改善できているのか。その点がおおよそ、把握できる測定の一つです。
欠点もいくつかありますので、それだけで判断する事は、ないのですが、補聴器を使用して、どのくらい改善できているのかが、把握しやすくなりますので、私は、よく活用しています。
中等度難聴くらいの方であれば、この音場閾値測定上で、このくらい改善できると、聞こえの改善度も上がりやすくなり、一部分の周波数のみではなく、できれば全体的に改善することができれば、聞こえの改善度も上がりやすくなります。
そして、ここからは、あくまでも経験上ですが、音場閾値測定で、35dB付近まで改善できると、50dBまでの音声の聞き取りが、よくなる傾向があり、50dB、60dB、70dBと全体的に音声を理解しやすくするために、私の場合は、中等度難聴の方の場合は、35dB付近まで改善する様にしています。
どの音声も聞きやすくするのは、人の声の大きさには、色々とあり、普通の声の音量で話す方もいれば、ちょっと声が小さい方もいるためです。全体的に、どの音声も理解しやすくなれば、それだけ、聞こえの改善度は、上がりやすくなります。
そして、補聴器の使用状態に関しては、問題なく補聴器を扱える事。こちらを目指しました。
これは、なかなか数値では把握しづらいもので、簡単に言いますと、補聴器を使う上で、問題なく使えるのか。使いづらいところは、ないのか。などの操作性、使いやすさの部分ですね。
この点は、音に関しても同様です。補聴器の音の大きさに関しても、使える範囲内を目指しました。
音を入れる量は、計測できても、その状態で使っていただいて、ちょうど良いと感じるのか、小さいと感じるのか。それとも、大きいと感じるのか。その感覚は、流石に計測できません。
上記の数値で把握できるのは、あくまでも理想の改善値で、かつ、目指せれば良い数値になります。
その数値にするとうるさすぎるケースがあったり、使用できない方もいますので、あくまでも、目指すべき数値以外に使用状態の目標も作ります。
そうする事で、バランスよく改善する事ができる様になります。
M・Nさんに関しては、目標について、この2つを作りました。
目標をできるだけ明確にする理由
目標をできるだけ明確にする理由については、明確にしないとゴールがわかりづらくなってしまうためです。
聞こえを改善する。というゴールは、あるようで、ないゴールになります。それは、どの様になったら、良いのか。が不明確だからです。
少し意地悪な感じにはなってしまいますが、補聴器を装用して、ちょっとでも改善していれば、ある意味、聞こえは改善されている。という風に捉える事もできますし
違和感が強く、とても長くは使えないけど、つければ聞こえやすくなる補聴器であれば、それもまた、聞こえを改善できている。と、捉えられるかもしれません。
ですので、そうならないためにゴールは、なるべくはっきりさせた方が良くなります。
私の場合は、”難聴の体でもなるべく人生を楽しむために”という目的を持って、行なっています。
じゃあ、そういった状態にするには、どうしたら良いか。
その一つには、使用する人の聴力から、改善できるところを明らかにし、なるべく改善できる様にする。も一つですし、
扱いやすい補聴器を提供する事で、その人が使いたい時にしっかりと聞こえる様にする。なるべく不自由を軽減できる様にする。という事も一つですよね。
補聴器の場合は、大きく分けると
- 聞こえの効果
- 扱いやすさ(使いやすさ)
の2つしかありませんので、この2つの部分で、目標を立てる事が、聞こえの改善に役立つ事になります。
目標と現状を見比べて、修正を繰り返す
さて次は、実際にPDCAを回して行きます。
目標を作った後にすべきことは、実行して、現状を見比べる事です。
M・Nさんの場合、目標はわかりました。そして、補聴器の使用感覚については、問題なく補聴器を使える事。こちらにしました。
そのために行動して行くわけですが、実際に補聴器を使用して、聞こえを改善した後、この様な状態でした。
この状況からすると、数値だけで判断した場合は、もう少し上げたいところです。
そのため、聞こえの改善状況に関して、お伝えした後に実際にあげても大丈夫そうか。そして、補聴器の音量を上げ下げするボリュームを搭載していた事から、日常生活上、それで操作してあ上げたい事は、あったかどうかを確認しました。
前回にも記載したのですが、全体的に音量が小さければ、音量をあげている事が多く、全体的に音量が大きければ音量を下げている事が多くなります。
つまり、上記の様な数値で、実際にどの様に補聴器を使っていたのか。それを確認してみた訳ですね。
その結果ですが、その状態でほとんど使っており、さらに上げると音が響きやすくなってしまう事から、その状態までで一旦終了としました。
響きがないようであれば、もう少し改善し、より良くしてもいいかとは、思いますが、辛くなってしまう事は、なるべく避け、そして、その中で、聞こえをなるべく改善させる事で、
- できる限り、聞こえを改善する
- 問題なく補聴器を扱える様にする
の2つの目標をクリアする様にした訳ですね。
まとめ
さて、簡単にではあるのですが、PDCAのサイクルに関して、記載してみました。
基本的な流れとしては、目標を作り、それに沿って聞こえを改善していく。という流れになります。
書き忘れてしまったのですが、PDCAの注意点としては、目標がないとPDCAが回せなくなってしまう事。(何を改善及び、修正したら良いかわからない)。
そして、現状を把握する方法がないと、良くなっているのか、あまり変わっていないのかがわからない事。
さらに目標は、なるべく明らかにしないと(Checkできるものにしないと)現状を把握しづらく、PDCAが機能しづらくなる事。これらがあります。
この3つには、注意しましょう。
M・Nさんのケースでは、これらの確認をして、聞こえの改善をしてみました。
そのポイントもまさに、目標を作り、PDCAを回す事で、できた訳ですね。
こちらについては、こんな風に補聴器屋さんは、改善しているんですよ。という事が伝われば幸いです。