片耳のみ補聴器を装用する場合、一般的に考えたら、自分が聞こえにくく感じている耳側につけて改善したい。と考える方は、多いかもしれません。
聞こえにくい耳側が改善すれば、それだけ、全体的に改善しやすくなるためです。
しかし、この考えは、半分正解で半分不正解です。
補聴器で聞こえを改善する場合、一番初めに考えなければならないのは、どのようにしたら改善度が高くなるかであり、聞こえにくい耳側につけることではありません。
聞こえにくい耳側に補聴器をつけた方が、改善度が高くなるのであれば、それで良いですし、逆に聞こえにくい耳側ではなく、まだ、聞こえる耳側につけた方が、改善度が高くなるのであれば、そちらにつけた方が、改善度は、上がります。
補聴器は、どのような耳の状況(聴力など)でも、改善度が同じことはなく、基本的に聴力低下が大きかったり、言葉を聞かせた際に、理解度が大きく下がっている場合は、効果が見込みづらくなります。
補聴器は、効果が見込める耳に装用するのが原則
まず、補聴器で聞こえを改善して行く際に、重要なのは、効果が見込める耳に装用する事です。
これは、聴力が大きく低下している。というのとは、別の判断軸となります。
基本的に耳のデータには、上記のような聴力測定と
言葉を聞こえる音量から調べ、音を大きくすると、音声がどれだけ理解できるのかを調べる測定があります。
この2つの測定は、2つとも、重要なのですが、補聴器での効果を推測する場合、基本的には、明瞭度測定を使います。
この明瞭度測定の数値が良いと良いほど、補聴器の効果は、上がりやすくなります。逆に、低いと低いほど、補聴器の効果が出にくくなります。
例えば、聴力がこのような状態で、

明瞭度がこのような状態だったとします。
明瞭度に関しては、正解数の最良値を参照し、どちらの耳の方が、良いかを調べていきます。補聴器の適性は、50%以上で、この数値以下の場合は、残念ながら、補聴器をつけても、音は、わかるけれども、言葉は、わからない。となりがちです。

最良値を見てみると、右耳の方が、数値は、良い状態ですね。

聴力だけをみると、左耳の方が、下がっているので、人によっては、そちらにつけたい。と、考える方もいるかもしれません。
しかし、基本的には、明瞭度が高い方につけた方が、聞こえの改善度は、上がる傾向にあります。

なお、仮に上記のように両耳とも同じくらいであれば、どちらでも大丈夫です。
同じ場合は、よく活用する方につけたり、電話をとる方につけたり、どちらにつけたら、使いやすいのか。その観点から、装用耳を考えていければ、改善及び、使いやすくすることができます。
※仮に片耳にのみ補聴器をつける場合になります。基本的には、両耳とも補聴器の適性があるのであれば、そちらの方が、聞こえの改善は、しやすくなります。
その他の改善思考
その他、補聴器業界には、60dBに近い方に補聴器をつける。という考え方(簡易判断法)があります。※片耳にのみ補聴器をつける場合の思考となります。

例えば、上記のような聞こえの方の場合、より聞こえにくい右耳側に補聴器をつけ、全体的に聞こえを改善していきます。
そうした方が、聞こえの改善がしやすくなるためですね。

上記のような場合は、まだ聞こえる右耳側に補聴器をつけて、改善していきます。聴力低下が大きすぎる耳は、聞こえを補える範囲も限定的ですし、効果も聞こえている耳側より、えにくいためです。
この60dBに近い方に補聴器をつける。で、判断すると、比較的簡単に判断することができます。
ただ、できればではありますが、耳の状況に関して、測定した後、どのように改善したら良いのかを調べられるとベストです。
この方法ですと、たまに見誤ることがあります。
まとめ
基本的に補聴器は、聴力で決める。というよりも、耳の状況を把握し、その状況をどのように改善したらよりよくなるのか。という改善思考で考えていきます。
どうしても聞こえにくい人側からすると、聞こえにくい側が改善されれば、それだけ聞きにくさが改善される訳ですから、改善度を大きくする。と、考えた場合、そのように考えても仕方がありません。
しかし、補聴器は、どのような聴力でも、どのような明瞭度でも、効果が同じになることはありません。基本的に聴力が軽ければ軽いほど、明瞭度もよければ、良いほど、聞こえの改善度は、高くなり、聴力及び、明瞭度が低くなれば、それだけ、改善しづらくなります。
このように聞こえの効果及び、得られるものについては、一定ではありませんので、効果が出る方法で改善する。という考えが非常に重要です。
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