老人性難聴の事例

90代の老人性難聴の方、補聴器で改善しました

深井 順一|パートナーズ補聴器

聞こえの改善や補聴器のことについては、【FAQ】聞こえの改善と補聴器のFAQへ。お客様の改善事例は、聞こえの改善成功事例へどうぞ。

老人性難聴の方を補聴器で改善しましたので、参考程度。には、なってしまうのですが、その際にやった事について、まとめていきたいと思います。

こちらの方は、90代の方で、元々、別に補聴器を使用されており、その補聴器の聞こえがよくないことから、ご親戚の方に連れられて、ご来店された方となります。

耳の状況や補聴器に関して、相談させていただき、

  • 以前の状態より、より聞こえるようになった
  • 聞こえやすくなり、行動しやすくなった

とのお言葉をいただきました。

今回、こちらでは、どのように聞こえの改善をしていったのか。その点について、まとめていきます。

お客様の状況

まず、こちらの方の状況ですが、

  • お名前:K・Bさん
  • 年齢:90代
  • 性別:女性
  • 聴力:左右とも中等度難聴
  • 症状:老人性難聴により、低下
  • 使用:補聴器は、CIC補聴器を両耳に使用
  • 備考:補聴器については、だいぶ前から使用中

となります。

聴力は、このようになります。左右とも、そこまで聞こえの違いはなく、両方とも聞こえづらい状態です。

80代ぐらいから聞こえにくさを感じ、その頃から補聴器を使うようになったため、補聴器については、いくつか使用されている状態でした。

今現在の聞こえについては、ご本人も聞こえづらさを感じており、特に男性の声を中心として聞きづらい。という事でした。周りのご家族の方、そして、親戚の方も、聞こえにくい事で意思疎通がしづらい状況でした。

ちょうど補聴器に関しては、少し年数が経過しており、より聞こえを改善できるなら、新しい補聴器について考えたい。という事で、この状況を最大限、改善していくことになります。

K・Bさんの聞こえの改善案

さて、聞こえの改善案を考えていくのですが、そのために色々と調べ、そこから、改善案を導き出していきます。

こちらでは、

  • 現状の確認
  • ご高齢の方の改善で大事な事

の2つに分けて、記載していきます。

現状の確認

まずは、どんなケースでも、現状の確認から始めていきます。

聴力に関しては、上記の通りですが、では、補聴器を使用した聞こえの状況は、どうなのか。それを調べていきます。

※基本的に補聴器は、この補聴器での聞こえで聞こえの大半(8割ぐらい)は、決まります。

補聴器を使用した状態で、どのぐらい聞こえているのか。を調べることができる測定があったりするのですが、その結果は、こちらの通りです。

K・Bさんの場合、聴力的に補えていると良い数値は、概ね、このぐらいです。すると、少し全体的に低く、かつ、いくつかは、大きく下がっています。

お話をお伺いした際に男性の声を中心に聞きにくい。と言っていたのですが、男性の声が影響しやすいのは、500Hz(場合によっては、250Hzも)あたりになり、その辺りは、グッと下がっている状態ですね。

補聴器の聞こえの調節に関しては、何度か補聴器屋さんで相談してみたことは、あったようですが、通っても、あまり改善される様子がみられないことから、こちらを訪ねてきた経緯があり、この辺りを改善できれば、より聞こえを改善できるかもしれない。というあたりをつける事になります。

聴力的には、このぐらいまで改善できると、よりベストです。

意外に聴力上、低い音が下がっているので、そこの部分は、聞こえるようにしつつ、左右両方ともバランスよく改善できるようになると、今以上に聞こえは、改善しやすくなります。

ただし、あくまでも、ここまで補えると良いというラインですので、無理に改善する必要は、なく、どこまで音を入れられるのか。それを探りながら、最善の状態にしていく事が、大事です。

ご高齢の方の改善で大事な事

次ですが、全体的な改善案の部分になります。

まず、ご高齢の方の場合、耳の状況もそうなのですが、音声を理解する力が、低下している傾向があり、音は、聞こえるけれども、音声が理解できない。というような症状が強く出がちです。

これは、補聴器を装用することで、音が聞こえにくい事によっておこる聞き取りにくさ。は、改善できるものの、それも一定で、どうしても、理解が難しい場面も出てきます。

この部分は、残念ながら補聴器で耳を治す事は、できない。という事ですね。

ですので、ご高齢の方の場合は、聞こえを改善する。という考えより、聞こえの改善を含む、ご本人が理解しやすい環境を作ることをお考えになった方が、巡り巡って、ご本人及び、周りの方の対応のしやすさ。に繋がります。

具体的には、K・Bさんの場合、補聴器で無理のない範囲で聞こえの改善をすると共に、電話での聞きにくさは、テレアンプⅢ、というもので改善していき、K・Bさんの聞こえにくさを改善すると共にK・Bさん本人が話しやすい、会話しやすい環境を作っていきました。

聞こえの改善と聞きやすい環境を整える。これらの事をしていただくと、ご本人にとってわかりやすく、ご本人がわかりやすいという事は、ご本人に話しやすい、伝えやすい。となりますので、周りの方の負担も軽減することができます。

実際のご対応

初回

はじめにお会いした時は、まずは、現状を把握させていただき、どのようにしたらより改善できるのか。その点について、相談していきました。

この内容は、上記にあるK・Bさんの聞こえの改善案に記載した通りです。

補聴器で無理のない範囲で聞こえを改善する事。そして、聞こえの環境を整える事。の2つですね。

状況によっては、補聴器より、聞きやすい道具とかもありますので、そういったものを活用しながら、自分自身の環境を整えていく。という風に表現した方がわかりやすいかもしれません。

そして、補聴器に関するご相談ですが、まずは、実際にどのぐらい改善できるのか、試聴を通じて、確認していく事になります。

聴力的にですが、低い音の部分が結構、落ちているので、そういった部分も補えるもので、一度、改善させていただき、

結果は、こんな感じでした。低いところを改善するようにして、500Hzのあたりは、改善するようにしたところ、だいぶ聞こえの改善は、される傾向は、感じたようでした。

そこで、今まで、耳あな形補聴器を使用されていた事から、実際に耳あな形補聴器を製作し、本格的に改善していく事になります。

補聴器の形状選定

ここで、K・Bさんにおける補聴器の形の選定について、お話していきます。

K・Bさんの場合は、聴力的に、ほとんどの補聴器が合います。

K・Bさんが使用されていたのは、CIC補聴器で、小型のタイプの耳あな形補聴器を使用されていました。

取り扱いは、全く問題なく、むしろ、非常に上手に使用されていました。

それよりも前は、カナル型と呼ばれているタイプを使っており、音量を自分で操作しながら使ったり、色々とされている様子でした。

CIC補聴器の場合は、小さい形状という事もあり、そういった音の操作。というものがほぼ皆無になります。(お持ちのものではできず)

カナル型の補聴器は、もうちょっと形状が大きくなる事で、音量の操作や音の操作ができるタイプになります。

だいぶ長い事、補聴器を使っていた事から、操作性は、ほとんど問題なく、今回は、カナル型で作る事になります。

カナル型で作り、少し音が小さかったり、大きかったりした際に気軽に音を変え、その場に合わせられるようになる事で、聞こえの改善にプラスして、使いやすさも、向上させよう。という考えです。

なお、形状選定に関して、ご高齢の方のポイントをお話しますと、まず、ご本人が使いたいと思う形状、そして、扱えるものを選ぶのが、一番のポイントです。

どうしても聞こえの改善に目がいったり、中には、見えづらさ。というところを見てしまうかもしれませんが、それ以上に使いやすさ。というのは、非常に大事です。

どんなに良いものでも、使いづらいと、補聴器を使うたびにストレスを感じてしまいますので、ご自身が使いやすいものを選ぶ事が、何よりも大事です。

幸い、K・Bさんは、そんなに見た目を気にしておらず、聞こえる事が一番。とお考えでしたので、耳あな形のカナル型の補聴器で改善する事になります。

補聴器の製作試聴と補聴器の最終調整

さて、カナル型の補聴器を作り、試聴を続けていくのですが、それと同時に、どこまで改善できるのか。その聞こえの改善の限界値も探っていきます。

その結果ですが、カナル型の補聴器では、このぐらいまで、改善する事ができました。

補聴器での聞こえの改善は、この補聴器での聞こえの改善値によって、ほとんど聞こえの改善状況が決まります。

幸いにも、K・Bさんの場合は、補聴器を長く使用しており、補聴器の音にも慣れていることもあって、このぐらい入れても、全然、大丈夫な方でした。

あとは、左右のバランスについては、補聴器で聞こえる感覚の部分も確認しつつ、測定の方でも確認して、なるべく違和感が出ないようにしていきました。

あくまでも、無理のない範囲で聞こえを改善し、ここぐらいまで聞こえは、改善する事ができました。

なお、補聴器での聞こえは、こちらの通りなのですが、それ以外には、電話も聞きづらい。という事でした。

こちらに関しては、このテレアンプⅢというものを使い、より楽に聞こえを改善するようにしました。

こちらは、電話機に直接、つける事で、電話の音声をより大きくできる機器です。電話機の音を大きくした方が、聞こえやすくなるケースは、多くありますので、K・Bさんも、こちらで、電話に関しては、聞きやすくしました。

これにて、聞こえの改善は、終了です。

お客様の声

実際にこちらにご来店されて、どうだったのか。お客様の声を実際にいただきました。参考程度にしてみてください。


ご相談前は、どのようなことでお悩みでしたか?

補聴器を実際にお使いになってみて、いかがでしょうか

実際のアンケート

アンケートにご協力いただき、誠にありがとうございます。

ご親戚の方に連れられ、ご来店いただいたのですが、実は、少し遠いところから来られていたことから、しっかりと改善する事を目標に対応させていただきました。

補聴器での聞こえの改善は、思ったより、音を入れる事ができ、その結果、より良くでき、こちらとしては、本当に何よりでした。

ご親戚の方もおっしゃっていましたが、聞こえにくい状態だと、なかなかご本人に伝えたい事があっても、うまく伝わらなかったり、何度か大きい声で話すなどすると、お互いに疲れてしまったりする事があります。

ですので、お互いの意思疎通を円滑にするためにも、なるべく改善できる範囲で、聞こえの方は、改善させていただき、後は、お互いに楽に意思疎通できるようにする事。それを考えながら、対応させていただきました。

補聴器で聞こえを改善するのは、その一つですので、他の道具と組み合わせて、お互いに意思疎通がしやすくなれば、より負担なくお話、もしくは、内容を伝えやすくなります。

そこのところを考えながら、対応させていただき、より現状が改善されたのであれば、本当に何よりです。

K・Bさんの改善ポイント

K・Bさんの改善ポイントは、

  • 補聴器でに改善は、できる範囲で改善した事
  • ご本人がわかりやすい環境を整える。という考えをした事

の2つです。

補聴器での改善は、できる範囲で改善した事

一つ目は、こちら。補聴器での改善は、できる範囲で改善した事です。

補聴器での聞こえの改善は、あまり無理にやりすぎると音が辛く感じてしまったり、ただうるさいだけの補聴器になってしまいますので、あくまでも、無理のない範囲で聞こえを改善する事が大事です。

特にご年配の方の中には、ある程度、音を大きくすると音が響いてしまい、余計に聞こえづらくなるケースもありますので、ただ音を聞こえさせれば良い。という訳ではないところが難しい点ですね。

その事から、あくまでも改善できる範囲で聞こえを改善し、より良い状態を目指していく事が大事になります。

さらに補聴器については、使いやすいものを選び、自立して使えるものが望ましいです。

聞こえの改善とプラスして、ご自身が使いやすいものを選ぶ。この2つが何よりも大事になります。

K・Bさんについては、この2つを意識して、補聴器での聞こえの改善は、していきました。

ご本人がわかりやすい環境を整える。という考えをした事

上記に記載した通り、ご高齢の方の場合、どうしても補聴器のみでの改善では、改善しきれない部分もあります。

そのため、普段の人の声、お話などは、もちろん、補聴器で改善していくのですが、周りの方がゆっくり話すようにしたりだとか、後は、話す際には、合図をするようにして、気を一旦、話者に向けさせ、その後、お話する。などをすると、聞こえにくい方は、よりお話がわかりやすくなります。

大事なのは、一つの事をするのではなく、良いことを複数重ねていくことです

金融のお話にはなってしまうのですが、単利で考えるのではなく複利で考えると、実は、補聴器の改善も底を上げやすいのです。

補聴器の場合の複利とは、聞こえの改善は、補聴器で行う。さらに周りの方も、少しお話する際に気をつける。そして、電話やテレビは、それ専用のわかりやすいものを使う。などです。

これらの事をすると、補聴器のみで全て改善しようとするより、だいぶご本人もわかりやすくなりますし、ご本人がわかりやすくなるという事は、それだけ、周りの方が、伝えやすくなる。という事でもあります。

補聴器で聞こえを改善することは、大事ですが、それだけでは、どうしても改善しづらい部分もありますので、複利形式で、積み重ねていくと、より状況の改善は、しやすくなります。

このように環境を整える。という考えをした方が、結果的には、よくなる事が多いですね。

まとめ

さて、すみません。長くなってしまいました。90代の方の聞こえを改善するためにしてきた事について、こちらには、記載していきました。

大事なことは、補聴器では、使いやすいものを選び、かつ、改善できる範囲で聞こえを改善する事。さらに、できれば、それぞれ改善しやすいものを活用しながら、聞こえを改善して、改善の底を上げていく。という事ですね。

ご年配の方の場合、補聴器では、聞こえの改善が難しい部分も出てきてしまいますので、そういった部分は、より改善しやすいものを使ったり(ある場合)して、少しでも改善の幅を広げられると良いです。

全て補聴器で改善する。というよりも、それ以外のものを活用しながら、より聞こえを改善していけると、ご本人にとっても、周りの方にとっても、良い環境を作りやすくなります。

という事で、こちらの内容が参考になったのであれば、幸いです。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。補聴器の販売員としての知識、技術に加え、一人の難聴者が自分自身の聞こえを改善した知識、技術も組み合わせながら、聞こえの改善、補聴器のご相談をしています。
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