耳・補聴器のこと

補聴器とスマホを連動させるアプリについて、考えてみた

深井 順一|パートナーズ補聴器

補聴器による聞こえの改善は、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善は、お客様の聞こえの改善事例にまとめています。

今現在、音声認識に関する内容が増えてきていますね。実際に、難聴の方、聴覚障害の方、向けに音声認識技術を利用したシステムを提供しているところもあります。技術が日々進化する事により、様々な事ができるようになってきました。

ここで、私自身もスマートフォンを利用したアプリに関して考えてみました。単に「こんなものは、どうだろうか」というものです。音声認識の欠点やその他の製品がなぜ失敗しているのかを考えたうえで、考えたものを今回は、テーマにしていきます。意外に良い線行っていると思うのですが、どうでしょうか?

それでは、見ていきましょう。

単に声を伝えるアプリ

私自身が考えたのは、単に音声を伝えるアプリです。ただし、アプリのダウンロード者は、難聴者ではなく、難聴者の付近にいる人です。言い換えれば、普段から難聴の方と接する機会がある方になります。

機能としては、アプリを立ち上げるとスマートフォンが音声の送信機となり、それに話しかけるだけで音声が補聴器に直接伝わるようになる……というものです。近くだけではなく、ある程度離れていても伝わるようにできると良いですね。わかる人にしか伝わらない表現で申し訳ないのですが、簡易FM機器、あるいはRogerになります。FM機器やRogerについては、こちらをご覧になるとよく理解できると思います。

リンク:難聴児の聞こえを改善させるFM機器、Rogerとは

このアプリがあれば、話したい人が話したい時に音声を伝える事ができます。呼ぶ際にも、離れたところから何度も呼べば疲れてしまいますので、アプリを起動して伝えられば、相手にとっても伝わりやすくなります。例えば、ご飯ができて離れたところで「ご飯できたよ〜」と何度も呼ぶより、アプリを起動して「ご飯できたよ〜」と伝えた方が楽に伝える事ができます。近くでお話しする際にもアプリを起動してお話しすれば、聞き返される頻度も少なくなります。そうなれば、お話しする方にも難聴の方にもメリットがあります。

相手がダウンロードするという発想

多くのものは、難聴者、あるいは、聴覚障害者に使わせようとしますが、個人的には、それがうまく行かない理由だと考えています。音声認識、FM機器、どちらでも構わないのですが、使って欲しい人は、難聴者、あるいは聴覚障害者です。しかし、実際に使用する人は、その周囲にいる方です。もし、本当にこれらの機器を流行らせたい、使用してもらいたいと考えるなら、使って欲しい人達にメリットを伝えるのではなく、実際に使用する人達にメリットを伝える必要があります。実際に使用する人達にメリットがなければ、残念ながら実際に使用する人達は動きません。

その際に考えなければならないのが、実際に使用する人達に対するメリットです。そして、それを考えたのが上記のアプリです。このアプリは、難聴者のためにあるのではなく、難聴者に自分の声を聞かせたい人のためにあるアプリです。

このアプリの欠点

さて、このように見てみますとこのアプリには、欠点が見えてきます。それは、知っている方ならアプリが入っていて会話がしやすくなるのですが、そうでない方、例えば初対面の方には、使えない方法となります。それもそのはず、そもそも難聴の人向けに作っているのではなく、難聴の方とお話ししたい人のために作っているのですから、当然の結果となります。

ここが欠点ですね。ですので、ご家族の方と良くお話しする、あるいは、限られた方々とお話しする方にとっては、良いかもしれませんが、どこかに出かける機会が多かったり、異なる人と会う機会が多い方には、向きません。補聴器は、自分の聞こえを良くしますが、このアプリは、相手が伝えたい事を支援するアプリです。ここが欠点となります。

どんなものにも欠点はありますので、ここは仕方がありません。しかし、限られた方々とお話しする方にとっては、今まで以上にコミュニケーションしやすくなるのでは?と思います。

あとがき

自分なりにアプリを考えてみました。今あるものの延長線上にあるアプリですので、真新しい事はないのですが、音声認識がうまく行かない理由、それ以外の失敗する理由から、どのようにしたら良いかを考えたうえで、記載してみました。

音声認識やFM機器、Rogerといった支援機器は、難聴者のために作られているのはわかるのですが、実際に使用する人、負担を強いられる人は、周囲の人という少し歪な構造になっています。このような状況では、どんなに性能が良くなっても喜んで使用してくれたり、爆発的に使用者が増えるというのは、難しいと考えています。現に、FM機器やRogerは、お願いしやすい教育現場のみでしか主に使われていません。会社でも使用して欲しいと考える方はいますし、さらに使った方が良く聞こえるようになる方は、山ほどいます。

その際、考えていく必要があるのは、使用者側の負担をどう減らすか、あるいは、使用者側のメリットをどう伝えるかになります。それを考慮したうえで、考えたのが、上記のアプリでした。今現在、スマートフォンを持っている方は、多くいます。システム設計次第ですが、ボタン一つで、呼び出せる、あるいは、お話しが通じやすくなるなら、それは、使用者にとってメリットにもなります。何度も聞き返されずに済みますし、お話しも通じやすくなります。それができるようになれば、スムーズにコミュニケーションできるようになり、話しする人にとっても難聴の方にとってもメリットとなるでしょう。

今後は、このように相手にとっていかにメリットが出せるかが重要になってくると個人的には、考えています。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
使っている人が対応している補聴器専門店・代表
1986年、7月1日生まれ。生まれつきの難聴者で小学2年生の頃から補聴器を使っています。聞こえにくい側の状況やお気持ちは、同じ難聴者や当事者にしかわからないことがある事から、このお店では、実際に補聴器を使っている私自身がご相談を承っています。

お店のご紹介

初めまして、パートナーズ補聴器の深井と申します。

このお店は、生まれつき難聴で補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店です。

聞こえにくい側の状況やお気持ちは、同じ難聴者や当事者にしかわからないことがある事から、実際に補聴器を使っている当事者がご相談を承っています。

お店の詳細は、以下のページへどうぞ。

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