2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

補聴器におけるベント(空気穴)について


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補聴器には、ベントと呼ばれる空気穴を設ける事があります。この空気穴は、快適性を上げてくれる大変良いものではあるのですが、その代わり、欠点もあります。

ベントは、非常に効果がある反面、デメリットも強く出ます。やり過ぎに注意すると共に、デメリット部分が強く感じるようであれば、再度補聴器屋さんに相談してみましょう。どのような処置をしてくださるかはわかりませんが、現状に対し、何らかの処置をしてくださると思います。

なお、ベントについては、必要な方とそうでない方に分かれます。基本的には、低い音が比較的聞こえやすく高い音が聞こえにくい方に有効なものですので、誰にでも有効なものではありません。主な対象者は、軽度〜中等度難聴くらいであり、それ以上の聴力は、ベントを設ける事、そのものができない場合もあります。その点だけご注意ください。

では、ベントとはどのようなものでしょうか。早速、見ていきましょう。

ベントとは

ベントとは、冒頭の通り、空気穴の事です。通気のためにも使用される穴であり、この穴があると、耳の穴の中で響く感覚や低い音が軽減される感覚があります。低く響く感覚が軽減されますので、スッキリした聞こえになるのが、特徴です。特に低い音は比較的聞こえており、高い音がより聞こえにくい方は、スッキリとした感覚を得やすい傾向があります。

どの補聴器にも適応されるもので、主に耳のあなの中に入れる部分に加工されます。耳あな形補聴器であれば、耳の中に入れる部分、耳かけ形補聴器、ポケット形補聴器であれば、耳せん、あるいは、イヤモールドと呼ばれる自分専用の耳せんに加工されます。ちょうど私もイヤモールドを持っていますので、見てみましょう。

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水色の形をしたものがイヤモールドです。少しわかりづらいのですが、イヤモールドの左下に小さな穴が空いているのがわかりますでしょうか。その穴の先端は、補聴器の音が出る部分と繋がっています(このイヤモールドの場合は、その穴の先端が補聴器の音の通り道と繋がっています、全てのイヤモールドが繋がっているわけではありません)。このように小さい穴を設ける事で、低い音を逃がしたり、通気を良くする事ができます。

こちらは、イヤモールドですが、一般の耳あな形補聴器もこのような小さい穴を設け、通気を良くしたり、低い音を逃がしています。もちろん、通常の耳せんでも加工次第では、できますので、小さい穴を設け、通気を良くしているケースがあります。

ベントの利点、欠点

上記には、ベントの概要について載せてみましたが、改めて、利点、欠点について見てみましょう。ベントは、効果がある分、デメリット部分も強く出てしまう諸刃の剣です。やり過ぎ注意な代物であり、考えて使用する事が必要です。

なお、以下の利点、欠点は、どの補聴器でも起こる利点、欠点です。基本的には、音を逃がす事によって起こる利点、欠点となりますので、どの補聴器にも起こりえる事となります。

利点

ベントの利点としては

  • 声の響きを軽減できる
  • 聞こえがスッキリする

この二つがあります。それぞれについて見ていきましょう。

声の響きを軽減できる

ベントの効果として有名なのは、声の響きを軽減できる事です。補聴器を装用すると必ず耳を塞がなければなりません。補聴器に限らず、音を聞くものは、必ず耳を何らかの方法で塞ぎます。イヤホンを耳に入れたり、ヘッドホンを使用する際を思い浮かべていただければ、わかりやすいと思います。

しかし、耳の穴を塞ぐと自分の声が、頭の中で反響しやすくなります。耳を手のひらで軽く覆っていただき、声を出してみると、耳を塞いでいるのに関わらず、状況によっては、塞いだときの方が、声が大きく聞こえてきます。このように耳を塞ぐと、反って自分の声が大きく聞こえやすくなります。

これを防ぐには、完全に塞がなくする事です。少し隙間を意図的に作る事により、軽減する事ができます。そのような役割があるのがベントです。

ベントの効果としては、こちらが最も有名なところであり、この目的でベントを空ける、大きく空ける方が多くなります。

聞こえがスッキリする

これは、私自身が補聴器を装用して感じる事ですが、ベントを設けると、例え補聴器側が同じ音の調節をしていたとしても感じる音の感覚が変わります。基本的に、ベントを設けると低い音が逃げていきやすくなりますので、その音を軽減してくれます。すると、補聴器から感じる音もスッキリとした感覚になります。

低く響く感覚が軽減されている事に加え、補聴器から聞こえてくる音もスッキリ聞こえてきます。私自身は、声の響きをあまり気にしない人間ですので、ベントの効果としては、こちらの方が大きいと考えています。

欠点

ベントの欠点としては

  • 補聴器の効果を感じにくくなる
  • ハウリングを起こしやすくなる

この二点があります。ベントを少し空ける程度であれば、デメリット部分は、強く出る事はありません。しかし、空けすぎるとこの二つの事が起こりやすくなります。

補聴器の効果を感じにくくなる

ベントを空ける際、少しであれば、上記のような利点になるのですが、大きく空けてしまうと補聴器の効果が感じにくくなります。空けると空ける程、補聴器で増幅した音が逃げてしまい、音を増幅しているのに関わらず、しっかりと音が、耳に届かなくなります。

ベントは、空けると空ける程、快適性が増します。その代わり、聞こえにくさも増します。この点がベントで最も注意すべき事です。補聴器は聞こえるようになるために装用しているのですから、聞こえない補聴器を装用しても、効果を期待する事はできません。

ハウリングを起こしやすくなる

補聴器には、ハウリングと呼ばれる現象があります。主に、補聴器から音が漏れている際に起こる事であり、意図的に音を漏らすベントは、漏らす量が増えれば増える程、ハウリングの危険性が増します。

補聴器の中には、この音のみを抑制させるハウリングキャンセラーという機能があります。しかし、こちらにも限度がありますので、その点は注意が必要です。こちらは、補聴器の構造上仕方がありません。

やり過ぎに注意

ベントには、上記の通り、利点、欠点があります。少しであれば効果として期待できるのですが、やりすぎるとデメリット部分が気になるようになります。特に、音を感じにくくなるデメリットは、かなり強く「快適性は上がったけれども、その代わり聞こえにくくなった」という方をたまにお見かけします。

何かの処置をし、聞こえにくくなったなと思う場合は、再度補聴器屋さんに相談してみるのも良いでしょう。元に戻すか、それ以外の処置をしてくれるか、どちらになるかはわかりませんが、何らかの施策を施してくださると思います。

なお、自分の声が響く感覚については、ある程度容認する事も重要です。ベントを大きくする事によって軽減する事は可能なのですが、その変わり、聞こえにくい補聴器が出来あがります。効果を出すか、快適性を出すか、この場合、二つに一つしかありません。幸い、声の響きに関しては、使用していく内に、響いて聞こえる感覚そのものに馴染んできますので、使い続ける事で、どんどん使用できるようになります。ただ、この馴染むとは、響いた感覚が消えるのではなく、響いていても気にならなくなる事を指します。

ベントは、快適性を高めてくれる良い方法ではあるのですが、空け過ぎ、やり過ぎると補聴器の効果そのものを薄めてしまったり、ハウリングというリスクが一気に高まります。良い点だけではなく、このようなデメリット部分にも目を向けるようにしましょう。

あとがき

補聴器のベントに関する内容を載せてみました。ベントは、非常に効果的なものなのですが、デメリット部分もあります。たまに、お客さん、患者さんの要望を聞きすぎて、デメリット部分が最大まで増幅された補聴器を見ましたので、載せてみました。どのようなものも正しく使用する事が大切です。

やりすぎてデメリット部分が最大まで増幅された補聴器は、補聴器屋にとっても補聴器を装用する方にとっても良いものではありません。ハウリングしやすい補聴器は、快適性に欠けますし、補聴器はそもそも聞こえるようになりたいから装用するものです。これらの部分は、強調されても、装用者のためにならないと個人的には、考えています。そのためには、少なからず、受け入れていただくところも出てきます。

基本的には、聞こえを優先させたいか、快適性を優先させたいかの二択になります。私の場合は、聞こえを優先させたいため、ベントは、ほんの少ししか空けていません(ベントの利点のみを利用している状態です)。少し、声が響く感覚は感じていますが、響くというだけで、その響く感覚が嫌な感覚ではありません。言い換えますと響く感覚があっても気にしていないという事です。

聞こえか、快適性か、どちらを選択するかは、自由です。私は、聞こえを優先させました。これらの内容が聞こえ改善に役立てば幸いです。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:初めて補聴器を装用する時に意識したい2つの事

リンク:初めて補聴器を使用する時、場所はどこからが良いのか

リンク:補聴器から聞こえるノイズや仕様による音を理解しておこう

リンク:補聴器を活用するために必要なアフターフォローの知識


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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