補聴器の基本・形状・調整

適切な補聴器を理解する補聴器評価ポイントまとめ

深井 順一|パートナーズ補聴器

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補聴器の評価は、どのようにすれば良いのでしょうか。音の評価、操作の評価、考えられるものはたくさんあります。そして、それらを見るポイントは、どのようなところがあるのでしょうか。

こちらでは、そんな補聴器の評価をまとめて記載していきます。補聴器の評価には、大きくわけて、主観評価と客観評価があります。それぞれの内容を理解いただければ、どのように補聴器は評価しているのか、どのようなポイントに気をつければ良いのかがわかるようになります。

少しでも補聴器に関する理解が深まる事、適切な補聴器に巡り会えるようになれば幸いです。

補聴器評価方法

補聴器の評価方法に関しては

  • 主観評価
  • 客観評価

この二つがあります。主観評価は、主にご自身が補聴器を装用(使用)して感じた評価になります。一方、客観評価とは、検査を通じて、どのくらい音が聞こえるようになっているかの評価となります。

では、この二つに関して、さらに掘り下げていきます。

主観評価

補聴器の評価方法の一つには、主観評価があります。こちらは、主に

  • 補聴器を装用した感覚
  • 補聴器を操作した感覚

の二つを評価するものです。主観評価では、補聴器を使用してみて、どのような感覚を感じたのか、そしてそれは良いのか、悪いのかを評価します。そして、実際に、それは使用できると判断してよいのか、そうでなく別の補聴器を検討した方が良いのかも評価します。

補聴器を装用した感覚

補聴器を装用した感覚には、

  • 補聴器を装用して感じた音の感覚
  • 補聴器を装用して感じる耳の感覚

この二つがあります。

補聴器を装用して感じた音の感覚

音の感覚とは、補聴器の音を聞いて、どのように感じたかの評価です。補聴器の評価としては

  • 音が強く聞こえすぎないか
  • 特定の音が響きすぎないか

の二つがあります。補聴器を調整した後、実際に補聴器を装用いただき、これらの内容を確認します。音が強く聞こえすぎているようでしたら、耳に負荷がかかっている場合もありますので、音を下げたり、音が響きすぎている場合は、できる限り改善させていきます。これらの事をするのが音の感覚の評価です。

なお、音に関しての評価は、非常に難しい部類であり、人により大きく変化します。耳の状況によっては特定の音が強く感じたり、不快な響きを感じるケースもあります。そのような場合、できる限り改善させていくのですが、中には、難しく、ある程度の受け入れをしていただく必要もあります。

基本的に補聴器は、その人の耳の感覚を一般の人に近づけるようにします。一般の方が小さいと感じる音は、難聴の人も小さいと感じるように、一般の方がちょうど良いと感じる音は、難聴の方もちょうど良いと感じる音量に、一般の方がうるさいと感じる音は、難聴の方もうるさいと感じるようにします。

補聴器は、難聴の方に耳に合わせるのではなく、あくまでも一般的な耳の感覚を再現するように作られています。それらを行いつつ、上記の二点が感じにくくなれば最もベストになります。

補聴器を装用して感じる耳の感覚

こちらは、主に補聴器を装用した装用感覚です。装用感覚と言ってしまいますと補聴器の音を聞いた感覚も入りそうですが、こちらでは、音と物は、分けて記載していきます。

耳に補聴器を装用し

  • 耳が痛くなる感覚がない
  • 耳から補聴器が外れる感覚がない

この二つを確認します。合わない補聴器を装用していますと耳の中のどこかが不当に刺激を受け、耳の中が痛くなってしまったり、傷ついてしまう事があります。そのような事がないかを確認します。

また、耳の形状によっては、外れやすい場合もあります。耳から補聴器が外れる事がなく、しっかり装用できる補聴器が最もベストです。外れやすい補聴器は、失くしやすいというのもそうですが、耳にしっかり音を補う事も難しくなります。

この二つがないかを確認し、ある場合は、より良い補聴器は何かを考える材料にします。

補聴器を操作した感覚

補聴器を操作した感覚では、

  • 補聴器を耳に装用できるか
  • 補聴器の電池を交換できるか
  • 補聴器の電源の入れ切りはできるか

これらの点を確認します。三つは補聴器を使用するうえで非常に重要であり、この三つができないと残念ながら補聴器を使用し続けていく事はできません。耳に装用できなければ、使う事ができませんし、補聴器の電池は、機器にもよりますが、2〜3週間ほどで交換するものが多くありますので、交換できないと使用し続けていく事ができません。さらに、電源の入れ切りは、使用に関わる部分です。

若い方は、考えずに良い点ですが、ご高齢の方の場合、この点をしっかり考える必要があります。

なお、厳密には、操作に関しては、この他、音を大きくするボリューム、音を切り換えるプログラムスイッチなるものが存在します。しかし、これらのものは、操作したい方が使用するものですの、操作ができなくても構いません。上記の三つさえできれば、補聴器は活用し続ける事ができます。

主観評価のまとめ

主観評価では、これらのものがあります。主には、装用してみて感じた感覚であり、それが良いか、悪いかの判断をするのが、主観評価となります。

客観評価

補聴器の客観評価は、補聴器を装用した状態でどのくらい聞こえているのかを調べる事を指します。補聴器の場合

  • 音場閾値測定
  • 語音明瞭度測定

この二つがあります。この二つは、それぞれの測定の基準と比較する事で、補聴器の効果を客観的に判断します。

客観評価は、補聴器を装用しただけでは音の判断ができないためにある測定です。難聴の方は、補聴器を装用する事で、聞こえるようになった感覚こそわかりますが、その聞こえが果たしてどのくらい聞こえるようになっているのか、良い聞こえなのか、もっと良くできる聞こえなのかはわかりません。それらの判断をするために、客観評価があります。

音場閾値測定

音場閾値測定(おんじょういきちそくてい)とは、補聴器を装用した状態で、どのくらいの音が聞こえているのかを調べる測定です。補聴器を装用していない状態を△で表し、補聴器を装用している状態を▲で表します。オージオグラムで表現しますと以下のようになります。

補聴器装用時の効果見本

補聴器装用時の効果見本

効果の見方に関しましては、人により異なりますが、おおよそ、30〜40dB以内に補聴器を装用している状態で入っている事が望ましいとされています。※聴力により目指す数値は異なります。

耳鼻咽喉科には、補聴器適合指針と呼ばれる補聴器の適性を理解する指針があるのですが、こちらでは、1000Hzが35dBであるか、聴力の半分が改善できれば良いとされています。聴力の半分とは、仮に80dBであった場合は、40dBのところまで聞こえるようになっていれば良いと意味になります。

基本的には、目指せるのであれば35dB、難しい場合は、聴力の半分の改善です。軽度〜中等度難聴の方は、35dBを目指す事が多いのですが、高度難聴以降は、聴力の半分改善させる事を目標にするケースが多くなります。

語音明瞭度測定

こちらは、補聴器を装用した状態での語音明瞭度測定(ごおんめいりょうど)になります。耳には、聴力を測定する検査の他、語音明瞭度測定と呼ばれる言葉がどれだけ理解できるかを調べる測定があります。それが、この語音明瞭度測定です。補聴器を装用した状態で、どれほど聞こえるようになっているかを調べられると補聴器の効果も理解する事ができるようになります。

こちらの測定の基準は、ご自身の言葉の理解力になります。予め補聴器を装用していない状態でどのくらい音声が理解できるのかを調べておき、補聴器を装用した状態で、その理解力に±0〜-15%以内であれば適合するとしています。理解力に関しては、補聴器を装用していない状態の最良値を基準にします。

なお、この理解力は、調べる音の強さによって変わりますので、音量が大きくなると理解力も上昇する事、いくつかの音量で調べ、それぞれの音量でどのくらいの理解力があるのかを調べたうえ、しっかりと効果があるのか、出ていないのかを判断します。

耳鼻咽喉科の補聴器適合指針に関しても同様です。と言いますのも、こちらに乗せている内容は、基本耳鼻咽喉科の補聴器適合指針を元に記載しています。

客観評価 まとめ

客観評価には、

  • 音がどれだけ聞こえるかを調べる
  • 音声がどれだけ理解できるかを調べる

これらのものがあります。

基本的に人は客観評価をしなければ適切に効果を判断する事ができません。メガネやコンタクトレンズを装用して視力検査を行うと、どのくらい目が見えるようになっているかがわかるように、状況を適切に理解するうえでは、客観評価は、非常に有効です。

また、補聴器を耳に装用するだけでは効果はわかりませんので、ご自身の状況を適切に理解するためにも重要になります。

補聴器の評価は主観+客観

補聴器の評価方法は、主観評価と客観評価を組み合わせて評価します。主観評価のみでは、どのくらい音が聞こえるようになったかがわかりませんし、補聴器の効果もわかりません。客観評価のみでしてしまいますと、実際に結果が出ていても、しっかり使用できる補聴器なのか、補聴器に関してどのように感じているのかがわかりません。

補聴器の評価に関しては、この二つの評価を組み合わせる事で

  • しっかりと操作ができる
  • しっかりと補聴器の効果が出ている

これらが理解できます。補聴器は、この二つを確認する事がとても大事になります。

逆に言いますと、この二つができる補聴器であれば、何でも良いとなります。こちらにプラスして、ご自身が気に入る形状の補聴器を選ばれても良いですし、こちらの内容を重視したうえで、最低限の金額のものをご購入になるのも良いでしょう。

これらの内容が少しでも補聴器の理解に繋がれば幸いです。

 

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リンク:初めて補聴器を使用する時、場所はどこからが良いのか

リンク:音場閾値測定で目指す補聴器を装用した聞こえの目安

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深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。補聴器の販売員としての知識、技術に加え、一人の難聴者が自分自身の聞こえを改善した知識、技術も組み合わせながら、聞こえの改善、補聴器のご相談をしています。
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