耳・補聴器のこと

原因論と目的論を知る

深井 順一|パートナーズ補聴器

補聴器による聞こえの改善は、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善は、お客様の聞こえの改善事例にまとめています。

こんにちは、パートナーズ補聴器の深井です、ご覧いただき、ありがとうございます。

さて、今回は、原因論と目的論を知る。ということで、最近、立て続けに書いているアドラー心理学 嫌われる勇気から、難聴の方が知っておけると良いことについて、今現在、こちらにまとめています。

その一つが原因論と目的論です。原因論とは、◯◯が原因だから、変えられない。というもので、目的論とは、◯◯を回避したいから、行動しない。とみる考え方ですね。

個人的には、ここの理解もかなり大事だなと思いますので、今回は、ここをまとめていきます。

原因論と目的論

今現在、アドラー心理学 嫌われる勇気を読み返し中なのですが、アドラー心理学の中でも、わりと画期的な考えが、この原因論と目的論です。

原因論とは、簡単に言いますと、こういった原因があるから、行動できない。というものです。わかりやすい例は、トラウマですね。以前、こういった経験をしたから、こういったトラウマがあるから、行動できない。というものです。

それに対し、目的論は、そのような原因があるから、行動できないのではなく、自分の中で回避したい何かがあるから、行動できない。とするものです。

わかりやすく言えば、原因論は、過去を焦点とするのに対し、目的論は、未来を焦点にします。トラウマに関しては、過去経験したことですよね。ですので、原因論は、過去を焦点にしていると言えます。

そして、目的論は、こういったことをすると、それをした先は、こうなるのでは?うっ!それはしたくない……と、行動した先のことを回避するものです。つまり、目的論は、未来を焦点にしています。

で、ここからが大事なのですが、原因論は非常にわかりやすいですよね。こういったトラウマがあるから行動できない。その点に関して、思い当たる節がある方もいると思います。

しかし、原因論で物事を考えていくと、今を変えることが非常に困難になってしまいます。というのも、こういったトラウマがあるから、行動できない。とすると、そのトラウマ、あるいは、その出来事はなかなか変えられません。

変わりたいと思っていても、行動しようとすると過去のことがフラッシュバックする。なので、行動できない。

でも、アドラーはそこに「本当にそうかな?」と考えたわけです。

つまり、本当の目的は、過去あったことのように傷つきたくないから、行動できないのではないか。と考えました。まさに過去ではなく、未来の目的、自分自身が傷つきたくないという未来の目的があるから、行動できない。と考えたわけです。

この本の中には、赤面症の女性が出てきます。赤面症の女性は、ある方に告白したい。でも、自分には、赤面症があるから告白できない。なので、直してほしい。と考えている。こんなシチュエーションの内容が出てきます。

それに対し、アドラー(哲人?)は、「私はあなたの赤面症は治しません。だって、あなたは赤面症を必要としているからです」と伝えます。

この場合も原因論で考えると、赤面症があるから告白できない。となるのですが、目的論で考えると、告白してもそれが成功するかどうかわからない。失敗するリスクだってある。だから、告白した際の未来(特に失敗した際のこと)というのを回避するために、赤面症がある。と考えることができます。

これが原因論と目的論ですね。アドラーは、実際に言ったかどうかまではあやふやなのですが、嫌われる勇気の本の中には、トラウマを否定しています。トラウマなど存在しない。過去は、いつだって捏造されるのだから。と。

過去の話は、一旦隅においておいて、個人的には、これは自分のことに当てはめてみるとだいぶ思い当たる節があります。そして、この考えは、難聴の方も持っておいて損はないと思っています。

自分のことや難聴の方に当てはめてみる

難聴の方の中には、ご自身の耳のこと、補聴器のことを他の方に言えない方がいます。

私は割とあっさり言えてしまう方なのですが、それは、生まれつき難聴で、子供の頃から、耳や補聴器のことを周囲に伝えてきた。という経験が大きいです。

子供の頃から、周囲の人に伝えていると、あまり興味というか「なんで急にそんなことを?」というような反応もあれば、「そうなんだ。じゃあ、僕にできることはある?」とまるで聖人のような反応をする方。大半は「そうなんだ」ぐらいで済んでしまうのですが、耳や補聴器のことを伝えた時に帰ってくる反応は、さまざまです。

ここで大事なのは、人によって異なるということと、全ての人がそれに対し、拒否反応を示すわけではない。ということです。これを子供の頃から、伝えてきた経験から、わかっていたことでした。

私は同じように聞こえにくさにお困りの方の聞こえの改善、生活の改善を仕事にしていますが、このような仕事をしていると、周りの方に伝える方とそうじゃない方で、見事に分かれます。

ここは性格的なものや考え方的なものも入りますので、自分が伝えなくても良いと考えている人は除き、「恐らく、伝えたほうがいいんだろうな。でも勇気が出ない」という方にも会ってきました。

初め、私はそのような方々の気持ちがよくわからなかったのですが、原因論、目的論を読んだ今ならよくわかります。そして、なぜ、私は平気なのかもです。

それは、目的。つまり、耳のことを伝えたり補聴器のことを伝えると変な人だと思われるんじゃないか。という不安、恐怖。そういったものが強く、それを回避したい。なので、なかなか行動できない。というものです。

それはもしかしたら、いきなり、自分としては、人というカテゴリーの中にいるかもしれませんが、急に障害者扱いされたり、ハンディキャップがある人というカテゴリーに分類されるという心配、落第といったそういった部分を感じる方もいるかもしれません。

私が割と平気な理由は、上記のように「それを伝えたとしても、案外みんなあっさりしている」ということを知っているからですね。

特に初めの一歩は、そういったことを言った時にどんな反応が来るのかがわからないから、とても怖くなります。ですので、変な人だと思われたくない、特殊な人だと思われたくない、そういった部分があり、それを回避するために言えないのだと思います。

私から伝えられること

私自身から言えることは、もし、伝えられるのであれば、伝えたほうが良い。ということです。そして、それを伝えたとしても割と皆、あっさりしている。ということですね。

特に心配になるのは、就職する際、アルバイトやパートの際に耳のこと、補聴器のことを伝えたほうがいいのだろうか。とか、よくお付き合いする方には、伝えたほうがいいのかどうか、などですね。

一番初めはものすごく緊張するかもしれませんが、意外と皆、気にしない。というのが私の経験上です。意外とそういったのを気にしているのは、自分だけ。というのは、経験上感じます。

逆にそういった場合は「耳が聞こえにくいので、補聴器をつけています。このように対面であればきちんとお話しできます」とか、伝えられると良いです。

もし、気になっている方は、そのようにして伝えられると良いのかな。と思います。そして、原因論の場合は、変えづらいかもしれませんが、目的論の場合は、変えることが可能ということです。

アドラー心理学 嫌われる勇気の中では、トラウマを否定します。トラウマなんてない。だから、変えられる。ということです。

一番初めは、とても気になるかもしれません。もし、悩んでいる方は、トラウマやこんなことになるんじゃないかという不安が先に来ているんだと思います。

そこを「ああ、今、自分は目的論で行動がしづらいんだろうな」と自分の立ち位置を見直すことができると、少し冷静になることができると思います。

まとめ

今回は、原因論、目的論、ということで、こちらに関して記載してみました。

原因論は、トラウマなど非常にわかりやすいのですが、原因がわかっても、非常に変えづらいという欠点が存在します。「その原因がわかって、で、どうしたらいいの?」という具合にです。

しかし、トラウマや目的論であれば、それを変えることができます。はじめの一歩は、とても難しいかもしれませんが、行動してみて、どう反応するのか。それは、もしかしたら、否定のケースもあるかもしれませんし、受け入れてくれるケースなのかもしれません。

しかし、一歩を踏み出すと、案外、自分は、些細なことで悩んでいたんだな。ということに気づくと思います。

その一歩をどう踏み出すかが難しいところなのですが、トラウマなどなく、自分が傷つく目的を回避しようとしている。そのことに気づくだけでも意識の転換がしやすくなると思います。

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
使っている人が対応している補聴器専門店・代表
1986年、7月1日生まれ。生まれつきの難聴者で小学2年生の頃から補聴器を使っています。聞こえにくい側の状況やお気持ちは、同じ難聴者や当事者にしかわからないことがある事から、このお店では、実際に補聴器を使っている私自身がご相談を承っています。

お店のご紹介

初めまして、パートナーズ補聴器の深井と申します。

このお店は、生まれつき難聴で補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店です。

聞こえにくい側の状況やお気持ちは、同じ難聴者や当事者にしかわからないことがある事から、実際に補聴器を使っている当事者がご相談を承っています。

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