補聴器におけるベント(空気穴)の概要と注意点
補聴器には、ベントと呼ばれる空気穴を設けることがあります。この空気穴は、耳を塞いだ時に生じるこもった感覚、閉塞した感覚を軽減してくれるもので、適量で使えると、快適性をあげることができます。
しかし、こちらは、あまりにも空けすぎると、補聴器の効果が薄れてしまう。という大きなデメリットもあります。
そのため、あくまでも適量で使うのが、大切です。
こちらでは、ベントに関して、まとめていきます。
ベントとは
ベントとは、冒頭の通り、空気穴の事です。
上記のような写真のように主に耳あな形の補聴器、イヤモールドにつけられるもので、この穴が空いていると、耳を塞いだ際に起こりやすいこもった感覚、自分の声が大きく聞こえる感覚、これらを軽減してくれます。
補聴器は、耳を塞いで使うものですので、どうしても、自分の声が低くこもった感覚に感じてしまったり、自分の声が内側で大きく聞こえる、響いて聞こえる感覚があります。
そのような感覚を軽減させるのが、ベントになります。
私自身も補聴器を使用していますが、ベントで少し穴を開けています。そのようにすることで、低く響く感覚が軽減され、すっきりとした聞こえに感じます。
ベントの欠点
ベントの欠点は、やりすぎてしまうと
- 補聴器の効果が薄れる
- ハウリングが起こりやすくなる
の2つが起こりやすくなる事です。
ベントを開けるということは、音を外に逃がすことを意味し、補聴器の効果が薄れたり、ハウリングが起こりやすくなり、使いづらくなってしまいます。
補聴器の効果が薄れる
ベントを過剰に開けることのデメリットは、補聴器の効果が薄れることです。
補聴器は、基本的に聴力別に補えると良い部分まで、しっかりと音を補うことで、聞きにくさを改善していきます。
補聴器を使用した時に起こりやすい事は、上記の通り、耳を塞ぎますので、自分の声が内側で大きく聞こえたり、こもった感覚で音が聞こえてしまう事です。
その際、先ほどの感覚を軽減する事に力を注いでしまうと、ベントを大きくすることになり、結果的に、補聴器の聞こえまで、薄くなります。
ベントは、音を逃がす働きがあります。それは、音を逃がすことによって、不快感が軽減されるのも逃がすことによるものですし、逃がしすぎると、音が、耳に伝わりづらくなり、聞こえの改善は、しづらくなるのも、音を逃がすことによるものです。
ハウリングが起こりやすくなる
もう一つの欠点は、ハウリングが起こりやすくなる事です。
ハウリングとは、補聴器が出した音を補聴器が拾う事で、ピーっ!となる現象の事です。
この音は、結構、大きい音で、ハウリングがしていると、自分も含めて、周りの方も気がつき、高い音がするため、少々、うっとうしく感じます。
ハウリングは、耳がしっかり塞がれておらず、補聴器から出た音を補聴器が拾うことによって、起こっていることが大半です。
ベントを開けることによって、ハウリングもしやすくなり、かつ、ハウリングがしやすいと、これもまた、音を補いづらくなります。
今現在、補聴器の調整では、ハウリングがしていても、ハウリングキャンセラーというものを使うことによって、ハウリングを抑えられるようになっています。
しかし、このハウリングキャンセラーは、ハウリングこそ止めてくれるのですが、あまりにも抜ける音の量が多いと上記の通り、音を抑えてしまうことで、聴力を補うのに必要な数値まで、改善させることができ無くなってしまいます。
その結果、必要とする音量まで、あげられなかったり、必要とする音量まで、補えなければ、それだけ、聞きにくさも出やすくなってしまいます。
ハウリングがしやすいと、このような欠点もあります。
やりすぎに注意
あくまでもベントは、適量を行うのであれば、非常に良いものです。
自分の耳の閉塞感、自分の声の大きさを抑え、かつ、すっきりとした聞こえにしてくれます。
しかし、ご自身の声が気になる。ということで、あまりにもベントを大きく開けたり、補聴器自体を緩く作ったりすると、音がしっかり伝わらなくなったり、ハウリングしやすくなり、結果的に、聞こえを補いづらくなります。
この点は、実際の状況によって、変わってきてしまうのですが、表現すると、このようになります。
こちらは、あくまでも、私の感覚ですが、自分の声が少し大きい程度で、かつ、使える範囲内であれば、良好です。
そのくらいであれば、ベントのサイズは、そこまでに抑えておき、なるべく聞こえの改善がしっかりできるような状態にした方が、最終的に改善できる量は、増えやすくなります。
ベントは、適量にするのが、改善のためには、重要な部分になります。