補聴器の効果をプラスαするための環境整備の思考
補聴器を使う際に知っておきたい事の一つとして、環境の整備があります。
補聴器は、聞こえにくい状態を改善してくれるものの、残念ながら耳が治るレベルまでの改善はできないため、どうしても、少し聞きにくさが出たり、聞き間違えてしまうことが出てしまいます。
しかし、聞こえの改善プラス、ご自身の耳の事を周囲の方に伝えたりできると、仮に聞こえなかった時のセーフティになり、誤解などを減らすことができます。
聞こえにくさの改善にプラスして、どうすればより環境を改善できるかを考えられるようになると、より状況を改善することにつながります。
補聴器を使うと同時に環境を整える
冒頭の通り、残念ながら、補聴器を装用するだけでは、今現在、耳を治すことは、できないため、どうしても聞きにくさが出てしまいます。
そのため、聞こえの改善にプラスして、環境を整えることができると、より状況を改善しやすくなります。
この場合の環境を整えるとは、
- 自分の耳の事を伝えて、相手に聞こえにくい事を知らせる
- 聞き返し方を「え?」ではなく、一工夫を加える
などになります。
耳のことは、相手に伝えられるようになると、セーフティネットになることがあります。
わかりやすく言えば、聞きにくくても、一種の予防線、もしくは、聞こえにくかったとしても、聞こえなかったことによる理由が理解できていれば、それによる被害は、抑えられるようになります。
これは、仮に聞こえにくかった際に、元々、聞こえにくい事を知っている場合と聞こえにくい事を知らない場合では、相手が受ける印象が変化するためです。
聞こえにくい事を知らない場合は、なぜそんな事をするのかがわからないため、意図的にそれをしていると見なされることがあり、聞こえにくい事を知っていれば、意図的にそれをしている訳ではない事が理解できます。
耳の事を伝えることが、苦手な方もいるかもしれませんが、状況を理解できている場合と理解できていない場合では、解釈が、180度異なってしまうため、伝えることは、非常に重要です。
また、聞き返し方も同様で、どうしても「え?」と聞き返してしまうと、一番初めから、全てを話さなければならないため、相手に負担がかかるようになり、負担がかかるようになると、相手方としても、話す事が面倒になってしまいます。
そのため、「え?」だけではなく、聞きにくかったところだけ、聞き返したり、「すみません、今、なんて言いましたか?」など、様々な言い回しを覚えておけると、より負担を軽減させる事ができます。
このように聞こえの改善だけではなく、そのほかの事も行えるようになると、より環境をよりよくすることに繋がります。
補聴器を使用するのもの、ご自身の聞こえにくい環境をよくするためであり、この環境を整える。という大きな枠組みの中では、同じ事を行なっていると言えます。
補聴器を使う事の意外な効果
まずはじめは、できる方からで良いのですが、ご自身の耳の事を周囲の方に伝えるところから、できるとベストです。
ご自身の状況を受け入れている方は、機会があれば、すすんで行なっていただき、耳の事を伝えづらい方は、聞かれた際に、答える。だけでも、立派な伝えることの一つです。
補聴器を使用する事の意外な効果の一つは、補聴器が見えることにより、難聴が可視化されることにあります。(耳が聞こえにくい事が相手にわかる)
残念ながら、耳が聞こえにくい事は、見た目では、わからないため、何もない状況では、相手からすると、理解する事ができません。
しかし、補聴器をつけていると、補聴器が見える事で、わかる人からすれば、聞こえにくい事がわかったり、予め、耳の事を伝えておけば、補聴器を見た時に「ああ、そういえば聞きにくいって言っていたな」と思い出していただける事が増えます。
そして、一番の効果は、相手から耳の話題をふってもらえる機会が増える事です。この点が一番重要なのは、耳の事を相手に伝える際、一番問題になりやすいのは、話すタイミングだからです。
この点は、私自身も生まれつき難聴で補聴器を使用しているためよくわかるのですが、話す内容よりも、伝えるタイミングが非常に難しいと、個人的に感じます。
何気ないときにいきなり伝えても「え?急にどうしたの?」となりますし、かと言って聞きにくかった時に伝えると、言い訳がましく伝わるようになり、逆効果になることもあります。
補聴器をつけることにより、難聴が見えるようになると「補聴器をつけているんだ」や「耳につけているそれは、何?」というような事があれば、それを利用して、さりげなく耳の事を伝える機会が増えます。
耳の事は、できれば、聞きにくくて何か重大な事が起こる前に伝えられると良く(大きな失敗の後の場合、言い訳がましく伝わってしまい、逆効果になるため)、その確率を高められるようになれば、トラブルや誤解も自ずと減らせるようになります。
少しずつ、耳の事を伝えられるようになろう
耳の事に関して、伝え慣れている方の場合は、良いのですが、苦手な方は、まずは、ご自身の耳の事を伝えられるようになる事から、初めてみてください。
自分から積極的に耳の事を伝えるのが難しい場合は、耳の事を聞かれた際や補聴器の事を聞かれた際に伝えるだけでも大丈夫です。
そして、自分のために伝えるのには、相手に自分の都合を押し付けるようで抵抗があるとお考えの場合は「相手のために伝える」と考えてみてください。
これは、少し考えていただければわかるのですが、相手からすると話したのにかかわらず、反応がないと、無視しているのではないか、と誤解を与える事になります。
無視されれば基本的に人は、あまり良い感情を感じません。その感情を相手に与えないようにする。と考えて、お伝えしてみてください。
これは、あくまでも私がよくやっていた伝え方ですが「すみません、耳が聞こえにくいので、補聴器を使用しています。なるべく聞こえるようにしているのですが、時には、聞こえないこともあります。もし、反応がなくても、無視しているわけではありません。伝える場合は、少し近づいていただいて、話すか、軽く肩でも叩いていただければ、大抵わかります」と伝えていました。
この場合のポイントは2つあります。それは、
- 聞こえていなかったとしても無視しているわけではない事
- 相手がどのようにすると、自分に伝わりやすいのかを伝える事
この2つです。
この2つを伝えられるようになると、相手にとっても、自分にとっても良い状況にしやすくなります。
なお、耳の事を聞かれた場合は、「ああ、生まれつき耳が悪いので、補聴器を使っています。一応、それなりに改善は、しているのですが、たまに聞きづらいこともあります。ですので、もしかしたら、呼ばれた際に気がつかないことがあるかもしれません。そのような事があった時のために、予め、謝っておきます。もし、そんな時があれば、近くに来て話したり、気が付いていないようだったら、肩でも軽く叩いていただいて、話していただければ大体わかります」というような事を伝えています。
これらは、あくまでも私の例ですが、上記に出した
- 聞こえていなかったとしても無視しているわけではない事
- 相手がどのようにすると、自分に伝わりやすいのかを伝える事
の2つに関して、ご自身なりに伝える方法があれば、それでも構いませんし、私がしている内容をそのまま、ご自身なりにアレンジしても大丈夫です。
一番初めは、伝えるのに緊張したり、勇気がいるかもしれませんが、伝えられるようになってくると、徐々に慣れてきます。
初めだけ、少し辛いかもしれませんが、徐々に環境を整えられるようになると、誤解もトラブルも減らす事につながりますので、自分の事を伝えられるようになるというのは、大きなメリットになります。
まとめ
聞きにくさを改善する際には、同時に自分の環境を整えることも行なっていけると相乗効果を狙えます。
どうしても耳を治すレベルまで、改善させる事ができないため、補聴器以外にも一工夫ができると、それだけ、状況の改善にも繋がります。
その一つが自分の耳の事を伝える事です。さらにもしできるのであれば、聞き返しの際に「え?」だけではなく、ここが聞こえなかった、「今、なんて言ったの?」と違う言い回し、聞き返し方を理解できると、さらによりよくすることもできます。
初めのうちは、難しいかと思いますので、まずは、耳の事を伝えられるようになった後に聞き返しの部分まで、できるようになると、理想ですね。
私自身も耳の事を伝えられるようには、随分、慣れてきましたが、聞き返しに関しては、そこまでうまいやり方を思いついておらず、日々、負担ない聞き返し方を心がけています。
補聴器で聞こえを改善させる際は、補聴器での聞こえの改善にプラスして、環境の整備の方まで意識できると、より改善させる事に繋がります。
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