2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

クロス補聴器の形状(組み合わせ)の種類と理解したい3つの特徴比較


クロス補聴器には、いくつか種類がありますが、補聴器と音を送信するクロス、この二つの組み合わせにより特徴が異なります。

こちらでは、クロス補聴器の形状、組み合わせの全体像から、それぞれの組み合わせ別、特徴についてまとめていきます。その中には、私自身がいくつかお客様に試して見てわかったことがありますので、その点も含めて記載していきます。

なお、当店で扱っているフォナックのクロス補聴器を中心に記載していきます。その点だけ、ご了承ください。

クロス補聴器の形状の全体像

補聴器には、

  • 耳あな形
  • 耳かけ形

の二つがあります。これは、クロス補聴器も同様なのですが、クロスの場合、厳密には、補聴器の形状とクロスの形状の組み合わせにより、特徴がいくつか変化します。まず全体像を説明するため、

  • 両耳とも耳かけ形
  • 耳かけ補聴器、耳あなクロス
  • 両耳とも耳あな形

の全3つの組み合わせについて紹介します。※耳あなクロスは、現在、フォナック社しかありませんので、それ以外のメーカーは、両耳とも耳かけ形しかありません。

両耳とも耳かけ形

両耳とも耳かけ形のクロス補聴器は、

両方とも耳かけ形を使うクロス。クロスといえば一般的には、このような形状をしたものを指す。

両方とも耳かけ形を使うクロス。クロスといえば一般的には、このような形状をしたものを指す。

このような形状をしています。両方ともにたような形状をしていますが、左側が補聴器、右側がクロス補聴器です。

補聴器及び、クロスの本体は、耳の裏に隠れる。それが、耳かけ形の特徴。

補聴器及び、クロスの本体は、耳の裏に隠れる。それが、耳かけ形の特徴。

このように耳にかけて使用するのが、耳かけ形の特徴です。

補聴器側(音を受け取る側)先端の耳せんについては、穴が空いており

聞こえる耳側を塞がないようにしています。このようにすることで、聞こえる耳側は、聞こえにくくならないようにします。※耳かけ形に限らず、どのクロスもこのようにして、聞きにくくならないようにします。

赤で囲まれた二つの縦長のあながマイクのあな。ここから音を拾っている。

赤で囲まれた二つの縦長のあながマイクのあな。ここから音を拾っている。

音を拾うのは、この部分になります。

赤い丸で潰している部分に補聴器のマイクがある。このあたりから音を拾うため、一般的な耳の感覚とは、少々異なる。

赤い丸で潰している部分に補聴器のマイクがある。このあたりから音を拾うため、一般的な耳の感覚とは、少々異なる。

耳にかけると分かる通り、少し上の位置で音を拾うようになります。そのため、上からの音や後ろからの音は、入りやすい傾向があります。

これが両耳とも耳かけ形のクロスになります。

耳かけ補聴器、耳あなクロス

こちらは、私のお店の中では、よく出る形状で

耳かけ補聴器と耳あなクロスの組み合わせ。現行機種ではなく、過去の機種となる。現行機種は、このような組み合わせができない。

耳かけ補聴器と耳あなクロスの組み合わせ。現行機種ではなく、過去の機種となる。現行機種は、このような組み合わせができない。

このような形をしています。

耳あなのクロスを装用したイメージ。

耳あなのクロスを装用したイメージ。

クロス側は耳につけてみるとこんな感じです。

耳あな形の方は、耳の型を採取し、その方、専用のクロスを作ります。

マイクの位置は、ここになります。音を拾う位置としては、一般的な耳と同様で非常に理想的な状態です。

両耳とも耳あな形

こちらは、両耳とも耳の型を採取して作るタイプのクロスです。

主にこのような形になります。耳に装用した状態は、主に耳かけ補聴器、耳あなクロスと同様です。

両方とも耳の中に入るため、補聴器そのものが邪魔にならないのが一番の特徴です。

それぞれの特徴と理解したい3つのポイント

では、上記に紹介した組み合わせですが、どのような特徴があるのか。三つの視点で比較したのが、こちらになります、

クロス補聴器で気になる、なりやすいのは、この三つ。それぞれについてまとめてみた。

クロス補聴器で気になりやすいのは、この三つ。それぞれについてまとめてみると、このようになる。

  • 気になりやすい聞こえの部分
  • 耳に装用した感覚は、どうなのか
  • 使い続ける上で考える必要がある電池の持ち

それぞれの比較は、上記の通りです。

聞こえの部分

一番気になるのは、聞こえの部分です。こちらに関しては、上記の通り、両方とも耳あな形が◯+、耳あなクロス、耳かけ補聴器は、◯、両耳とも耳かけは、△となります。まず、聞こえの効果としては

  • 両方とも耳あな形
  • 耳あなクロス、耳かけ補聴器

の二つが今のところ、評価が良い状態です。ただ、この評価というのは、あくまでも耳かけ形より良いという意味になります。

一般的にクロス補聴器というのは、昔から両方とも耳かけ形の形状を使うのが一般でした。しかし、フォナック社が耳あな形を出したこと、そして、耳かけのクロスを使用している方々から、もう少し聞こえを改善できないか。そのような声をいただくようになり、一度、頭の中をリセットし、”そもそもクロスの組み合わせごとにどう変化があるのか””実際に聞きやすくなるのは、どの組み合わせなのか”それを調べることになります。

実際には、クロスの組み合わせで考えられる限りのものを一通り、お客様に試していただき、どれが良いのか。それを選んでいただく。ということをしていました。

繰り返し、繰り返し試してみると、どうも聞こえない耳側に耳あな形を使った方が、評価が高い傾向があることがわかりました。その評価というのは、騒がしいところでの会話や少しざわついたところでの会話、そして、静かなところでも気がつきやすい、というように聞くことが多かった状態でした。

では、次に

  • 両方とも耳あな形
  • 耳あなクロス、耳かけ補聴器

の二つでは、どう異なるのか。この点に関して調べる事になったのですが、聞こえの効果だけ見れば、両方とも耳あな形の方が良い評価が多かったです。ただ、こちらは、逆に聞こえる耳側が聞きにくくなるということが起こりやすくなります。

そのため、私としては、両方とも耳あな形が◯+、耳あなクロス、耳かけ補聴器は、◯、両耳とも耳かけは、△と評価しています。あくまでも聞こえない側からの音の理評価は、このようになりました。

耳への装着感

こちらは、何かと言いますと、補聴器を装用する際、耳にものを詰めるようになりますので、耳が詰まった感覚、もしくは、耳が塞がった感覚が出やすくなります。この感覚は、主に聞こえる耳側に出やすく、聞こえない耳側も少し聴力が残っていると感じるようになります。

耳を塞がないタイプ、耳かけ形を使えば、それは非常に感じにくく、耳あなのような耳を塞ぐタイプは、感じやすくなります。

ということで両方とも耳あな形が△、耳あなクロス、耳かけ補聴器は、◎、両耳とも耳かけは、◎となります。耳あな形は、耳を塞ぐので、それが起こりやすく、耳かけ形は、塞がないようにするため、感じにくくなります。

電池の持ち

電池の持ちに関しては、両方とも耳あな形が◯+、耳あなクロス、耳かけ補聴器は、△、両耳とも耳かけは、◯となります。

クロス補聴器の電池時間に関するまとめ。両耳とも耳かけ、耳あなの方が全体的に使用できる時間は、長い。

クロス補聴器の電池時間に関するまとめ。両耳とも耳かけ、耳あなの方が全体的に使用できる時間は、長い。

それぞれの形状に小型タイプと大型タイプがあり、それをまとめてみますと、上記のようになります。

両方とも耳あな形及び両耳とも耳かけは、耳あなクロス、耳かけ補聴器より、最新式になりますので、電池の寿命は長くなります。耳あなクロス、耳かけ補聴器は、ここのみ欠点ですね。

まとめ

クロス補聴器を使用する場合、もしくは、どのクロス補聴器を選ぼうかと考える際に理解しておきたい三つの部分に関しては、

実際には、目の前にクロス補聴器の組み合わせを用意しながらすると、よく理解しやすい。

実際には、目の前にクロス補聴器の組み合わせを用意しながらすると、よく理解しやすい。

の通りとなります。実際に見て触ったりして、どのようなものなのか。試聴してみて、どのような感じなのかを体験できると、より実感できたり、この比較表の意味がわかるようになります。

私自身が今現在、お勧めしているもの

最後に私自身がお勧めしているものについて記載していきます。それは、もしかしたら薄々気がついているかもしれませんが、耳あなクロス、耳かけ補聴器の形状のものです。

形状としては、こちらですね。それには、訳があります。

まず、上記に記載した通り、私自身も初めは、クロスの基本形である耳かけ形のクロスをメインに扱っていました。しかし、聞きにくさを感じやすいこと、そして、本当の意味で、どれが一番改善できるのか。その点を私自身も知りたいこともあり、お客様に協力いただきながら、調べていくことになります。

実際には、クロス補聴器の組み合わせにある三つのものを試していただきながら、選定していくことになるのですが、そこで得られたことは、まず、両耳とも耳かけのクロスは、周囲の音がよく入るようで、騒がしくなると聞きにくいということを伺います。また、補聴器によっては、マイクの位置が耳の後ろに来てしまい、後ろの音がより入ったり、周囲の音がよく入る。というように聞きます。

では、その状態をどう改善させるか。ということを考えた際に、そもそも音の拾い方が自然な耳あなのクロスは、どうなのか。と考えるようになります。耳の後ろにマイクはないし、人の耳は、前方を中心として聞くように作られているためです。

集音に関するイメージ。実際には、もう少し耳かけ形は、後ろからの音が入りやすい傾向がある。補聴器により異なるかもしれないが……

集音に関するイメージ。実際には、もう少し耳かけ形は、後ろからの音が入りやすい傾向がある。補聴器により異なるかもしれないが……

少々、大雑把ではありますが、音の拾い方に関しては、このようになります。試聴を続けていてですが、耳あな形クロスの方は、周囲に紛れて聞きにくくなる感覚は、耳かけよりも薄れてくる。こちらの方が、騒がしい中は聞きやすい。という声を聞くようになりました。そこから、耳あなのクロスの方が聞こえが良いということがわかってきたのですが、その次に考えたのは

  • 両耳とも耳あなのクロス
  • 耳かけ補聴器、耳あなクロス

のどちらがいいのだろうか?ということです。耳あなのクロスを使うのは、この二つがありますので、どちらが良いのか。どうせ買うなら、聞こえが良い方がいいに越したことはありませんので、今度は、この二つの検証を行うようになります。

その際、わかって来たことですが、まず、両耳とも耳あなクロスを使う場合

  1. 自分の声が大きく聞こえる
  2. こもった感覚を感じるようになる
  3. 聞こえる耳側が聞こえにくくなる

の三つがあることです。これは、特に聞こえる耳側で起こることなのですが①、②については、一般的な補聴器でもあるので、おおよそは理解していました。そして、③については、もしかしたら……と思っていた矢先、起こりました。

この感覚に関しては、軽減しようとメーカーさんに形状変更のお願いをしたりしていましたが、残念ながら、改善する見込みも、改善する兆しも見えず、こちらでは、断念しました。特に③についてはメーカーさんに聞く限り、結構、多くの方が聞きにくくなるようで、同じようなケースもあるということを伺いました。

クロス補聴器を装用した状態▲と補聴器なしの状態△。実際にどのくらい聞こえにくくなるのか。それを可視化するとだいたいこんな感じになることが多い。低い音は軽減されないが、高域が結構低下する。

クロス補聴器を装用した状態▲と補聴器なしの状態△。実際にどのくらい聞こえにくくなるのか。それを可視化するとだいたいこんな感じになることが多い。低い音は軽減されないが、高域が結構低下する。

ちなみに聞こえる耳側が聞きにくくなるという件は、実際どのくらい聞きにくくなるのか。というところも全てこちらで確認しました。それが上記の結果です。

こちらは、補聴器を装用した状態を確認する音場域値測定という測定です。これは、補聴器の有無をどのくらい変化があるかを見るものですが、クロス補聴器を使用し、仮に聞きにくくなるなら、この測定を行うことで、必ず変化があるはずだということで調べました。

※本来は、補聴器を装用し、どのくらい聞こえるようになったかを調べる測定で、このように使う測定ではありません。

それが上記の内容です。まず、見方に関して説明しますと、縦軸が音の大きさで、下に下がると下がるほど聞きにくくなります。そして、横軸が、周波数で音の高さになります。左側が低い音で、右側が高い音です。だいたい1000Hzくらいは、大丈夫なのですが、2000Hzからは、30~35dBくらいまで聞きにくくなることがわかりました。

赤で囲んであるのが一般の人が聞こえている範囲。そして、青で囲んでいるのが、正常の範囲。先ほどの図をみてみると、正常の範囲から飛び出ているのがわかる。つまり、何らか聞こえにくく感じてもおかしくない状態であることがわかる。

赤で囲んであるのが一般の人が聞こえている範囲。そして、青で囲んでいるのが、正常の範囲。先ほどの図をみてみると、正常の範囲から飛び出ているのがわかる。つまり、何らか聞こえにくく感じてもおかしくない状態であることが想像できるだろう。

これだけだと「これがどう問題なの?」となりますので数値の意味に関して記載すると、一般的な人が聞こえている数値は、0~10dBで、どの周波数もこの数値内に入ります。そして、健聴の範囲内は、0~25dBの間となります。これ以上、低下した場合は、聞きにくくさを感じるようなるため、難聴という分類になります。

改めて数値をみてみよう。高域だけ、正常の範囲から出ているのがわかる。数値は、基準を理解すること、その数値が意味することを理解することが重要だ。

改めて数値をみてみよう。高域だけ、正常の範囲から出ているのがわかる。数値は、基準を理解すること、その数値が何を意味するのか。その点を理解することが重要だ。

上記の内容では、2000Hz以上の音は、30~35dBまで下がりました。簡単に言えば健聴の範囲を超えた状態です。では、これは、数値上だけ下がっているのか。それとも本当に聞きにくくなっているのか。それに関しても試して見たのですが、結果としては、聞こえる耳側でも

  • 小さい声の方がわからなくなった
  • 聞こえる側なのに聞こえないことがあった

などと、聞こえる耳側が聞きにくくなるということがわかりました。そのため、消去法で、耳あなクロス、耳かけ補聴器をお勧めしています。

実際には、電池の持ちに関して、少々難点がありますので、形状を重視する場合は

こちらの小さいタイプ、少々大きくても良いなら、バッテリーの持ちが約2倍になる

こちら。というように分けています。そのようにして、今現在は、対応しています。

二つとも比較したのは、こちらです。

なお、全員が全員、こちらを使用している訳ではなく、実際には、お話をお伺いしながら、クロス補聴器については、選定しています。

まとめ

クロス補聴器の組み合わせには

  • 両耳とも耳かけ形
  • 耳かけ補聴器、耳あなクロス
  • 両耳とも耳あな形

の三つがあります。そして、それぞれの特徴は、

実際には、目の前にクロス補聴器の組み合わせを用意しながらすると、よく理解しやすい。

の通りです。実際には、実物を見ながら、操作したり、体験してみることで、よりどんなものかがわかりやすくなります。上記の内容を頭の隅に入れつつ、実際に触って見たり、聞いて見たりした後、選定していきましょう。徐々に理解しつつ、選ぶことで、自分にとって良い補聴器というのは、わかるようになってきます。

クロス補聴器を装用しても耳が治るわけではありませんが、聞きやすくなることにより、日々のストレス、反応するきっかけ、そのような部分を得ることができます。

こちらの内容が状況改善に役立てば幸いです。

 

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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