2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

補聴器を装用する前に確認したい8つの事


underground-1081975_640

補聴器を装用する前にぜひとも確認したいものがあります。それは、禁忌八項目と呼ばれるものです。この禁忌八項目は、補聴器を装用する前に耳の状況を確認し、お客さんにとってより良い改善をするために、設けられました。

基本的に耳の改善に関しては、耳鼻咽喉科で治るものであれば治療を行い、治療しても改善しない、治療しきれなかったものに関しては、補聴器を装用して聞こえを補っていきます。この考えが忠実に再現されたのが、禁忌八項目です。

では、この禁忌八項目とは、どのようなものが当てはまるのでしょうか。一緒に見ていきましょう。

禁忌八項目を見てみよう

禁忌八項目とは、このような内容になります。

kinki8_a4

補聴器販売店協会より引用

補聴器販売店協会が出しているもので、簡単に言いますと、補聴器を装用する前に、耳を確認した方が良いケースをまとめたものです。見にくい方のために、こちらにも記載します。その内容は

  • 耳の手術などによる耳の変形や傷がないか
  • 中耳炎などで過去90日以内に耳漏がなかったか
  • 過去90日以内に突発性または進行性の聴力低下がなかったか
  • 過去90日以内に左右どちらかの耳に聴力低下がなかったか
  • 急性または慢性のめまいがないか
  • 耳あかが多くないか
  • 外耳道に湿疹、痛みまたは不快感がないか
  • 500、1000、2000HZの聴力に20dB以上の気骨導差がないか

さて、この内容のみでわかる方はわかるかもしれませんが、恐らくほとんどの方は、わからないですよね。という事で、解説していきます。

これらの内容に当てはまる方は、補聴器販売店より先に、耳鼻咽喉科へ相談に行きましょう。

耳の手術などによる耳の変形や傷がないか

耳の変形や傷がある場合とは、昔に耳の手術をしていたり、あるいは、今現在の耳に傷がある場合を指します。昔に耳の手術をしていた場合は、傷の状態を確認したり、現状の状況を確認し、補聴器を装用しても良い状態なのかを確認します。ご本人からすれば、痛みがない、あるいは、違和感がないから良いのではないかと思いがちですが、現状がわからないため、念のため確認させていただく必要があります。これは、変に悪化させないためでもあります。

耳の中に傷がある場合、まず傷を治してから装用する事になります。補聴器は、基本耳の中に入れて使用するものです。傷口に補聴器が当たれば痛いですし、返って治りづらくなったり、悪化するケースもあります。

これらの事を防ぐため、確認をしています。

なお、それ以外には、耳の形を採取する行為があるのですが、その際にもこの要素は、非常に重要な要素となります。ですので、もし耳の手術をしている場合は、補聴器販売店の方にも申し出ると良いでしょう。

中耳炎などで過去90日以内に耳漏がなかったか

耳漏は、じろうと読みます。簡単に言いますと耳垂れです。中耳炎とは、耳の中に細菌が入り、急に耳が痛くなったり、耳垂れが出る病気です。多いのは、子ども(1〜5歳くらい)ですが、大人の方でもなります。察しはつくと思いますが、このような場合は、補聴器より先に耳を治す必要があります。補聴器の装用を考えている場合ではありません。

耳垂れが出る原因には、大きく分けますと

  • 耳のいじり過ぎ
  • 中耳炎

この二つがあります。

耳のいじり過ぎとは、湿疹や耳がかゆくなった時、耳の中をいじりすぎてしまい、皮が剥け、そこから耳垂れが出るようになってしまった状態です。耳垂れには、このようなタイプもあります。

中耳炎の場合も、耳垂れが出てきます。中耳と呼ばれる鼓膜の向こう側に膿や分泌物が溜まる事で、鼓膜が膨張し、破れます。すると、中耳に溜まっていた分泌物、膿みが耳垂れとなって出てきます。

耳垂れが出ている状態では、補聴器を装用する事はしません。まず、その状態を治す事から始めます。中耳炎になり、鼓膜が破れた場合は、それによって聞きにくい場合もあります。鼓膜が破れる事によっても音は聞きにくくなりますので、仮にそれによるものでしたら、耳を治療する事により、聞きにくさを改善できる可能性もあります。

これらの理由により、まず耳を診察し、治療に専念します。

過去90日以内に突発性または進行性の聴力低下がなかったか

これは、急に聞こえにくくなったか、または、聞こえにくさが徐々に重くなってきていないかという事になります。このような場合は、まず耳鼻咽喉科に行き、現状を確認する必要があります。そして、治療が可能であれば、まず耳を治療し、補聴器に関しては、残念ながら治療が不能であった場合、あるいは、治療したけれどもあまり改善できなかった場合に考えます。

急に聞こえにくくなる難聴の一つには、突発性難聴というものがあります。この難聴の特徴は

  • 片耳が聞こえにくくなる
  • 突然聞きにくくなる
  • 耳が詰まった感覚がある
  • 耳鳴りがする
  • めまいが起こる

このような症状が起こります。片耳が聞こえにくくなる事が多いようですが、稀に両耳に起こる事もあるようです。耳鳴りは8割ほどに見られ、めまいは3割ほどに見られる事がわかっています。このような症状が起こった場合は、悠長な事を言っている場合ではなく、すぐに耳の治療を始める必要があります。突発性難聴の場合は、発症より、2週間以内に治療を始める必要があり、それを超えてしまうと治癒率が大きく下がってしまう事もわかっています。この難聴の場合は、できれば1週間以内に耳鼻咽喉科に行くのが望ましいとされています。

あまり知られていない事ですが、耳の場合、早急に治療を始める事で、治療が可能な病気がいくつかあります。逆に放置してしまうと治らなくなってしまいます。このような場合は、すぐに耳鼻咽喉科にかかり、まず治療できるのか、できないのかを確認する必要があります、できるのでしたら、少しでも改善する方が、耳は良くなります。

過去90日以内に左右どちらかの耳に聴力低下がなかったか

こちらも先ほどの「過去90日以内に突発性または進行性の聴力低下がなかったか」と同様です。基本的には、治療できる物は、治療し、治療できなかった場合において補聴器は装用します。

急性または慢性のめまいがないか

めまいがあり、難聴になる症状としては、

  • メニエール病
  • 突発性難聴
  • 聴神経腫瘍

と呼ばれる症状があります。めまいがある場合は、まず耳鼻咽喉科にかかり、耳の状態を見ていただく事が大切です。めまいがあるというのもそうですが、そもそも病気そのものを見ていただき、治療ができるなら治療していただく事が重要です。治療に関しては、めまいの部分になりますが(難聴は改善されない事が多いようです)、まずは、治す部分は治してから、補聴器を装用する場合は、装用します。

恐らくめまいがある状態で、補聴器を装用したいと思う方はいないとは思いますが、このような理由により、禁忌八項目には記載されています。ひと言で言いますと補聴器を装用を考えている場合ではないという事ですね。

耳あかが多くないか

意外かもしれませんが、耳垢が多くて、耳が聞こえにくくなっている方はいらっしゃいます。そのような場合は、補聴器を装用するまでもなく、耳鼻咽喉科で耳垢をとってもらうと聞こえやすくなります。

耳垢で耳が詰まっている場合、

  • 音が聞こえにくく感じる
  • 自分の声が響く感覚がある

この二つの症状が起こります。これらがある場合は、耳鼻咽喉科で一度見ていただく事をお勧めします。

現在、耳垢で聞こえにくくなっている方の数は、40歳以上で、1割ほどいるとされています。意外と多くの方が、耳垢詰まりで聞こえにくくなっていますので、注意したいところです。

なお、自分自身で無理に取ろうとすると、さらに奥に耳垢を押し込んでしまったり、耳の中を傷つけてしまう事もあります。面倒でも耳鼻咽喉科に伺い、診ていただいた方が、安全です。

外耳道に湿疹、痛みまたは不快感がないか

これは、言うまでもないとは思いますが、そのような状態で補聴器を装用するより、まずは、耳鼻咽喉科に行きましょうという事になります。湿疹や痛みがある場合は、まずそれらを治療してから、補聴器を考えます。

500、1000、2000Hzの聴力に20dB以上の気骨導差がないか

さて、こちらのみ何を言っているのかさっぱりわかりませんね。これは、聴力を調べた際、ヘッドホンをして音を聞く方法(これを気導検査と呼びます)と黒い塊を耳の裏に押し当てて音を聞く方法(これを骨導検査と呼びます)で、その差がそれぞれ20dB以上あった場合を意味します。

聴力検査には、上記の通り、二つの検査方法があります。このような事を行っている理由は、耳のどこに聞こえにくい要因が潜んでいるかを探るためです。ヘッドホンをして調べる検査と黒い塊を耳の裏に押し当てて調べる検査の差がない場合は、感音性難聴と呼ばれる難聴であり、差がある場合は、伝音性難聴と呼ばれます。

伝音性難聴は、大抵のものが治療可能な難聴であり、この差が見られる場合、耳を治療できる可能性があります。そのため、このような傾向があった場合は、補聴器を装用するより前に、耳鼻咽喉科で耳を見てもらう事が重要です。もっとも、この内容は、自分自身では理解しようがありませんので、主に補聴器販売店が意識する内容となります。

補聴器はあくまでもセーフティネット

耳が聞こえにくくなったから補聴器……と考える方は、意外にいらっしゃるのですが、補聴器は、あくまでもセーフティネットになります。基本的には、耳が治療可能でしたら、初めに治療を行います。その後、治らなかった場合、治療しきれなかった場合において補聴器を装用します。そのようにする方が、聞こえの効果も高いですし、何より金額も安く済みます。まさに補聴器は、耳が治療できなかった方のためにあるセーフティネットと言えますね。

禁忌八項目については、治療を優先した方が良いケースを載せています。もちろん内容によっては、補聴器の装用を考えている場合ではないケースもあります。しかし、忘れてはならないのは、どのようにしたら最もよく耳を改善できるかを考えて作られている事です。

もし、当てはまる内容があれば、まずは、耳鼻咽喉科に行き、相談してみましょう。補聴器を装用する前に耳を確認いただく事は、とても大切です。

あとがき

補聴器を装用する前に確認したい8つの事という事で、禁忌八項目の内容を載せてみました。耳を初めに見ていただいた方が良いのは、耳を見ていただく事で、治療可能なものがあるからですね。耳鼻咽喉科に行かず、直接補聴器販売店に行く方もいらっしゃいますが、できる限り、耳鼻咽喉科には、行っていただいた方が耳の状況もわかりやすくなりますし、改善もしやすくなります。

これらの内容が少しでも聞こえの改善に役立てたなら幸いです。

 

この内容をご覧になった方は、こちらの内容もお勧めです。

リンク:聴力を補う際に理解しておきたい感覚を補うという意味

リンク:難聴の方に対し、補聴器はどう音を大きくしているのか

リンク:耳あな形補聴器の特徴とこの補聴器が合う人

リンク:補聴器は、土台と性能と加点方式で考えよう


この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、聞こえの改善を行なっています。私に関する内容は、書いている人の詳細になります。当店の情報は、こちらにまとめています。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

補聴器で耳を改善させる手引き書、作りました

聞こえにくい事でお悩みの方のために、補聴器で耳を改善させる手引き書を用意しました。

  • 自分の症状に合う補聴器は何か
  • 自分の聴力に合う補聴器は何か
  • 補聴器の種類、性能、違いを知りたい

などお考えでしたら、こちらをご覧下さい。補聴器で耳を改善させる内容のみに絞って記載してみました。お役に立てば幸いです。

お困りごとのご相談、承ります

Webサイトに訪れる方のご要望にお応えするため、東京都墨田区に店舗を構えました。

  • 聞こえにくい事で困っている
  • どこに相談したら良いかわからない
  • お使いの補聴器でうまく聞こえない

などお悩みがございましたら、お気軽にご相談下さい。当店で行なっていること、よくいただくご相談は、リンク先の通りです。

〜更新情報のお知らせ〜
こちらのいずれかにご登録いただきますと更新時、お知らせします。お気軽にご登録ください。なお、Twitterでは、私自身が興味を持った記事や自分のエントリーについてツイートしています。もしよろしければフォロー、ご登録いただけるとうれしいです!
検索フォーム