補聴器を装用する前に確認したい8つの事
補聴器を装用する前にぜひとも確認したいものがあります。それは、禁忌八項目と呼ばれる内容です。
この禁忌八項目は、補聴器を装用する前に耳の状況を確認し、聞こえにくい方にとってより良い改善をするために、設けられました。
基本的に耳の改善に関しては、耳鼻科さんで治るものであれば治療を行い、治療しても改善しない、治療しきれなかったものに関しては、補聴器を装用して聞こえを補っていきます。
この考えが忠実に再現されたのが、禁忌八項目です。
では、この禁忌八項目とは、どのようなものが当てはまるのでしょうか。一緒に見ていきましょう。
禁忌八項目を見てみよう
※補聴器販売店協会より引用
禁忌八項目は、補聴器販売店協会が出しているもので、簡単に言いますと、補聴器を装用する前に、耳を確認した方が良いケースをまとめたものとなります。
その内容は、
- 耳の手術などによる耳の変形や傷がないか
- 中耳炎などで過去90日以内に耳漏がなかったか
- 過去90日以内に突発性または進行性の聴力低下がなかったか
- 過去90日以内に左右どちらかの耳に聴力低下がなかったか
- 急性または慢性のめまいがないか
- 耳あかが多くないか
- 外耳道に湿疹、痛みまたは不快感がないか
- 500、1000、2000HZの聴力に20dB以上の気骨導差がないか
の8つです。
耳の状況を確認しないでいきなり補聴器で改善。という考えになる方は、あまりいないとは思いますが、こちらの解説も載せていきます。
耳の手術などによる耳の変形や傷がないか
耳の変形や傷がある場合とは、昔に耳の手術をしているケースです。
昔に耳の手術をしていた場合は、傷の状態を確認したり、現状の状況を確認し、補聴器を装用しても良い状態なのかを確認します。
ご本人からすれば、痛みがない、あるいは、違和感がないから良いのではないかと思いがちですが、現状がわからないため、補聴器を装用しても良い状態なのか。この点を確認していきます。
耳の状況によっては、まずは、耳の状況を落ち着かせてから、聞こえを改善していくケースもあります。
中耳炎などで過去90日以内に耳漏がなかったか
耳漏(じろう)とは、耳垂れの事で、中耳炎を発症している場合、耳垂れが出てくることがあります。
このようなケースは、まず耳の治療を行うことが重要になります。治療を行なった後、それでも聞きにくさが残る場合は、補聴器。と、考えていきます。
中耳炎になることによって聞きにくさが出ることもあり、さらに中耳炎を治すことによっても聞こえの改善は、ある程度されます。
そのため、まずは、治療を行い、状況をよくしていきます。
過去90日以内に突発性または進行性の聴力低下がなかったか
これは、急に聞こえにくくなったか、または、聞こえにくさが徐々に重くなってきていないかという事になります。
このような場合は、まず耳鼻科さんに伺い、現状を確認する必要があります。そして、治療が可能であれば、治療し、補聴器に関しては、残念ながら治療が不能であった場合、あるいは、治療したけれどもあまり改善できなかった場合に考えます。
急に聞こえにくくなる難聴の一つには、突発性難聴というものがあります。この難聴の特徴は
- 片耳が聞こえにくくなる
- 突然聞きにくくなる
- 耳が詰まった感覚がある
- 耳鳴りがする
- めまいが起こる
このような症状が起こります。片耳のみ聞こえにくくなることが多いのですが、両耳とも発症することもあります。
このようなことが起こった場合は、まず、治療をして、少しでも現状をよくしていく必要があります。
あくまでも補聴器は、聞こえにくさが治療などにより、改善できなかったケースに使用する機器です。
過去90日以内に左右どちらかの耳に聴力低下がなかったか
こちらも先ほどの「過去90日以内に突発性または進行性の聴力低下がなかったか」と同様です。
基本的には、治療できる物は、治療し、治療できなかった場合において補聴器は装用します。
急性または慢性のめまいがないか
こちらは、補聴器を装用する前に、まず耳をみていたただき、状況の改善ができるのであれば、していただき、残念ながら、改善できない場合は、補聴器での改善を行なっていく必要があります。
めまいがあり、難聴になる症状としては、
- メニエール病
- 突発性難聴
- 聴神経腫瘍
と呼ばれる症状があります。
これらの症状は、まずは、耳鼻科さんで治療できるのであれば、治療していただくのが大切です。
治療に関しては、めまいの部分が中心になりますが(難聴は改善されない事が多い傾向があります)、まずは、治す部分は治してから、補聴器を装用する場合は、装用します。
恐らくめまいがあり、かつ、聞きにくさがある状態で、いきなり補聴器を装用したいと思う人はいないとは思いますが、耳をみていただくことが大切です。
耳あかが多くないか
耳垢が多くないか。に関しても、耳鼻科さんでみていただくことが大切です。
意外かもしれませんが、耳垢が多くて、耳が聞こえにくくなっている方はいらっしゃいます。そのような場合は、耳鼻咽喉科で耳垢をとってもらうと聞こえやすくなります。
耳垢で耳が詰まっている場合、
- 音が聞こえにくく感じる
- 自分の声が響く感覚がある
この二つの症状が起こります。これらがある場合は、耳鼻咽喉科で一度見ていただく事をお勧めします。
現在、耳垢で聞こえにくくなっている方の数は、40歳以上で、1割ほどいるとされています。意外と多くの方が、耳垢詰まりで聞こえにくくなっていますので、注意したいところです。
なお、自分自身で無理に取ろうとすると、さらに奥に耳垢を押し込んでしまったり、耳の中を傷つけてしまう事もあります。
少し手間がかかってはしまいますが、耳鼻科さんに伺い、診ていただいた方が、安全に改善ができます。
外耳道に湿疹、痛みまたは不快感がないか
外耳道とは、耳の穴の事です。その部分に痛みや湿疹がないか。になります。
流石に耳に痛みを感じていて補聴器を考える方は、いないかと思いますが、耳の状況で気になることがあれば、まずは、耳鼻科さんでみてもらうことが大切です。
500、1000、2000Hzの聴力に20dB以上の気骨導差がないか
こちらは、聴力を調べた際に、気導聴力、骨導聴力を調べ、この聴力差が20dB以上、離れている場合は、耳鼻科さんでみてもらった方が良い。という内容です。
耳の測定には、普段私たちが聞いている音の通路を使って調べる気導聴力検査と骨を伝って聞こえを調べる骨導聴力検査があります。
耳の治療ができない事で有名な感音性難聴というものは、気導聴力も骨導聴力も同じような位置に出てくるのですが、
治療が可能なケースがある伝音性難聴は、気導聴力と骨導聴力に差が出ます。
そのため、そのようなケースは、耳の治療が可能なのか。一度、耳をみていただいた方が良い状態になります。
繰り返しになりますが、補聴器は、あくまでも治療ができない方が使用する機器で、治療が行え、かつ、聞きにくさを改善できるのであれば、そちらの方が、改善されます。
補聴器はあくまでもセーフティネット
耳が聞こえにくくなったから補聴器……と考える方は、あまりいないとは思いますが、補聴器は、あくまでもセーフティネットになります。
基本的には、耳が治療可能でしたら、初めに治療を行います。その後、治らなかった場合、治療しきれなかった場合において補聴器を装用します。
そのようにする方が、聞こえの効果も高いですし、何より金額も安く済みます。補聴器は、ある意味、セーフティネットのようなイメージです。
禁忌八項目については、治療を優先した方が良いケースを載せています。もちろん内容によっては、補聴器の装用を考えている場合ではないケースもあります。
しかし、忘れてはならないのは、どのようにしたら最もよく耳を改善できるかを考えて作られている事です。
もし、当てはまる内容があれば、まずは、耳鼻咽喉科に行き、相談してみましょう。補聴器を装用する前に耳を確認いただく事は、とても大切です。
このページに関連する内容
https://l-s-b.org/2016/01/troubled-hearing-loss/
https://l-s-b.org/2017/07/early-hearing-aid/
https://l-s-b.org/2015/11/before-you-can-use-hearing-aid/
https://l-s-b.org/2015/04/sound-collector-or-hearing-aid/
補聴器に関する他の内容
https://l-s-b.org/hearing-ability-improvement-summary/
基本的な改善思考
https://l-s-b.org/2018/10/basics-of-improvement-hearing-aid/
https://l-s-b.org/2018/09/an-idea-of-improvement/
補聴器の形状
https://l-s-b.org/2018/10/shape-and-feature-of-hearing-aid/
補聴器の性能
https://l-s-b.org/2018/10/basics-of-hearing-aid-performance/
補聴器の調整
https://l-s-b.org/2018/10/adjust-the-hearing-aid/
補聴器の適正
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補聴器の効果を上げる思考
https://l-s-b.org/2019/06/environmental-arrangement/
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