2つの視点を持つ人が書いている耳・補聴器ブログ

東京都墨田区で補聴器の販売をしている難聴者のブログ。補聴器や耳に関する事を書いています

高い補聴器と安い補聴器の違いを理解する3つのポイント

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補聴器は、高いものですと一つ50万程し、価格を抑えているものですと数万円です。この金額の違いは、一体どこから来るのでしょうか。高い補聴器には、宝石でも入っているのでしょうか

補聴器の金額の違いは、主に性能の部分になります。良い性能のものは、音を大きくする機能から、余計な音を抑制する機能、音声をなるべく聞きやすくしてくれる機能まで補聴器そのものに搭載されており、音を大きくする機能しかないものは、金額が抑えめになっています。これが大きな違いです。

こちらでは、大まかに金額の違いについて記載していきます。

補聴器は性能により金額が違う

結論から言いますと、補聴器は、性能により、金額が異なります。厳密には、形状の違いによっても金額は、異なるのですが、それ以上に影響があるのが、性能による違いです。

そして、その性能とは、金額を積めば聞きやすくしてくれるというよりも、いかに自分の耳の能力を下げないかになります。

補聴器の性能は、主にこの三つによって決まる

補聴器の性能は、主にこの三つによって決まる

この図のように補聴器の性能は、主に

  • 音を調節する機能
  • 騒がしい中での聞き取りをなるべく低下させない機能
  • 音を快適にしてくれる機能

の三つに分かれます。この三つの総合で、補聴器の金額が決まります。そして、これらの能力が高いと高い程、自分の耳の力を低下させずに済みます。

補聴器の歴史

この三つによって金額が決まるのには、補聴器の歴史を見てみると理解しやすくなります。結論から言いますと、耳に音を合わせるだけでは、改善が難しいところがあるため、それ以外の機能も開発されました。

わかりやすく一目で確認できるようにするとこうなります

わかりやすく一目で確認できるようにするとこのようになる。コンピュータを入れる事で、不快な音(波形)を感知し、徐々に抑制できるようになってきた。

補聴器も昔は、アナログの補聴器でした。アナログの補聴器は、耳の聴力に合わせて、音をおおよそ程度に合わせていました。そして、音を合わせる機能しか搭載されていませんでした。今のデジタル補聴器のように聴力ごとに細かく合わせられる事も少なく、耳に補聴器を合わせるのではなく、補聴器に耳を合わせるような状態でした。

アナログ補聴器を調節すると音量が大きくなり、聞きやすさが増すのですが、聞こえにくくなった部分を増幅する調整のみでは、対応しづらいところがありました。それが、

  • 騒がしいところでのお話し
  • 特定の音が気になる

の二つです。騒がしいところでのお話しは、周囲の音が大きすぎて、聞きたい音声をかき消してしまうため、聞き取る事が難しい状況でした。そして、補聴器の基本は音響機器ですので、ザワザワした音(暗騒音)や、風の音、食器の音などが非常に強く入りやすく、装用すると不快に感じる方も多くいました。

補聴器を装用した感覚を表現しますと、ビデオカメラで撮影した映像の音声に似ています。これらで撮影した時、上記に上げた風の音が非常に大きく入ったり、マイクを触ると非常に大きな音がしたり、なぜかザワザワしたような音が入ったり、食器、あるいは、大きい音が非常に響いて聞こえる感覚があります。音響機器で音を大きくして聞く場合、どうしても特有の現象が起こりやすく、これらにより、不快感を感じる方がいました。

これらを改善させようとした際、アナログの補聴器は、そのまま音を大きくしたり、小さくしかできないため、これ以上改善させる事ができませんでした。時代は、デジタルになり、特定の波形や音を感知すると、その音を大きくする前に抑制したり、特定の波形を検知すると、必要以上に大きくしないようにできるようになりました。マイクから入ってきた音が何なのかを徐々に理解できるようになってきたからです。まさに、必要な音は入れ、不要な音はなるべく入れないという考えを、補聴器はしています。

音を調整する機能の他に②と③があるのは、聞き取りの低下をなるべく抑えるため、あるいは、より快適にしやすくするためになります。この二つは、聴力ごとに音量を調整するだけでは、改善しにくい事から、開発された機能です。

なお、誤解なきようお願いしたいのですが、周囲に発生する音は、必要な音です。ここでいう不要な音とは、音響機器上で発生しやすいサーッやざわざわといった暗騒音、風の音、突発的に起こる大きな音の響きなどになります。これらは、一般の人には、感じていない音であり、補聴器特有の音になるためです。車の音や周囲の音は、必要な音ですので、基本的に消しません。

基本的な三つの機能

では改めて見ていきましょう。

三つの機能は

  • ①音を調整する機能
  • ②指向性機能
  • ③抑制機能

の三つになります。

音を調整する機能

こちらは、補聴器の根幹である音を調節する機能になります。補聴器には、どれだけ細かく調整できるかをch(チャンネル)あるいは、バンドという表記で、表現しています。

赤で囲んだ部分に20個の別々のチャンネルがある

赤で囲んだ部分に20個の別々のチャンネルがある

これは、補聴器の調整画面です。この画面を見てみますと、横におびただしい量の数値が並んでいますね。この数がchになります。多いものは、この数値ごとに調整ができます。

チャンネルが多いとピンポイントに調整する事もできるようになる

チャンネルが多いとピンポイントに調整する事もできるようになる

例えば、ここだけ調整する。あるいは、ここだけ調整するなどができます。これによって変わるのは

  • 聴力の形によっては多い方が良い
  • まんべんなく調整できる事の利点

の二点です。

聴力の形によっては多い方が良い

聴力の形によっては、多い方がよいタイプが存在します。

チャンネルが必要なのは、低域の聴力に差がある場合とそれぞれの聴力に高低差がある場合

チャンネルが必要なのは、低域の聴力に差がある場合とそれぞれの聴力に高低差がある場合

このような周波数ごとに違いが大きい方の場合や低い周波数の聴力の差が大きい方は、多い方が耳に必要な音量を入れやすくなり、かつ抑制もしやすくなります。ひと言で言えば耳に合わせやすくなるという事ですね。完全に音を調整する人の視点ではありますが、このような特徴があります。

まんべんなく調整できる事の利点

ch数が多いものと少ないものの違いは、聴力を補う優先順位にあります。chの割り振りが、チャンネル数が少ないものは、調整する機会が多い、高域側にchの割り振りがされています。chが多いものは、まんべんなく割り振りがあります。

チャンネル数が多いとまんべんなく割り振られる

チャンネル数が多いとまんべんなく割り振られる

これが20chで

チャンネル数が少ないと高域側に若干偏る

チャンネル数が少ないと高域側に若干偏る

が8chです。そのため、20chの補聴器より低い音が調整しづらいという特徴があります。これが何に影響するかと言いますと、周囲の騒音です。周囲の騒音を抑制するには、300Hz以下を抑制するのが良好で、その部分以降を抑制するとすると、ch数が低いものは、人の音声まで影響を与えて低下させてしまいます。

例の一つ、チャンネルの一つだけでこれだけの範囲内で調整ができる

例の一つ、チャンネルの一つだけでこれだけの範囲内で調整ができる

が20ch

数が少ないと範囲も広くなってしまい、調整したいところ以外にも影響を与えやすくなる

数が少ないと範囲も広くなってしまい、調整したいところ以外にも影響を与えやすくなる

が8chです。

このように狙った部分ごとに音を下げる事ができるか、できないかがch数の違いになります。それが、耳に合わせる効果に直結します。

指向性機能

指向性機能とは、騒がしい中で聞き取りをなるべく低下させないようにする機能です。静かなところと騒がしいところでは、基本的に騒がしいところの方が、聞きにくくなります。その聞きにくくなるものをなるべく低下させないようにしてくれるのが、この指向性機能です。

補聴器の性能、その②は、指向性機能。指向性とは、後方の音を抑制し、前方の音を聞きやすくさせる機能。主に騒がしい中で聞き取りの改善を行うための機能となる。

補聴器の性能、その②は、指向性機能。指向性とは、後方の音を抑制し、前方の音を聞きやすくさせる機能。主に騒がしい中で聞き取りの改善を行うための機能となる。

具体的には、図のように後方、もしくは周囲から来る音を抑制し、前方の音の中でさらに音声以外の音を軽減させ、音声を聞きやすくしてくれる機能です。この機能がある理由は、上記の通りです。

騒がしいところでの会話は、聞き取りの改善が難しいという事と補聴器装用者が最も改善したいと考える状況ともあり、この機能が補聴器の価値の多くを占めるといっても過言ではありません。

高額なものは、今現在できる技術を詰め込み、聞こえが低下しないよう最大限にサポートしてくれます。それなりのものは、少し効果があるか、あまり感じないかになります。こちらは、搭載されている機能により、大きく変化します。

なお、指向性機能は、あくまでも騒がしい中で聞き取りをなるべく低下させないようにする機能ですので、いくら良いものを装用しても、完全に騒がしい中でも聞き取れるというわけではありません。その点だけ、ご注意ください。ただし、高額なものは、効果を感じやすい傾向があります。

抑制機能

補聴器の快適性を上げてくれる機能が、この抑制機能です。

補聴器は様々な音が聞こえる。そのため、補聴器が考える抑制させた方が良い音を抑制する機能もある。

補聴器は様々な音が聞こえる。そのため、補聴器が考える抑制させた方が良い音を抑制する機能もある。

抑制機能には、様々なものがあり

  • 突発的な大きな音を抑制
  • 風の音を抑制
  • 騒音(ノイズ)を抑制
  • 反響を抑制

などがあります。突発的な音を抑制する機能は、突然発生する大きな音を抑制する機能です。例えば、手を叩いた時に発生する大きな音、ヒールの音これらが該当します。それらの音は不快感を感じやすい音であり、大きい状態で聞く必要もない音ですので、不快感を感じないように軽減してくれます。

風の音を抑制する機能は、マイクに風が当たると非常に大きい音がするものを抑制してくれます。これは、ビデオカメラでも起こる事で、マイクに何かが当たると、例えそれが風でも非常に大きい音がします。これらを抑制し、これまた不快感を軽減してくれます。

騒音(ノイズ)を抑制する機能は、一定時間続く定常音を抑制します。エアコンの音や補聴器を装用すると聞こえる暗騒音(ビデオカメラでも聞こえます)などが対象になります。エアコンの音は、ともかく暗騒音は、騒がしいところにいくといく程(音の数、量が増えると増えるほど)大きくなりますので、騒がしい感覚を和らげてくれます。

反響を抑制する機能は、単に反響しやすい環境下で、反響する感覚を軽減してくれます。音が反響すると音声の輪郭が掴みにくくなり、音は聞こえるけれど、何といっているかわからない、となりやすく、そのような事をなるべく減らすようにしてくれます。こちらは、聞き取りに影響する部分ですね。

高額なものほど、上記のものは入っており、抑えめの価格のものは、騒音を抑制する機能のみしかありません。また、騒音を抑制する機能のものは、高額な補聴器と価格を抑えめの補聴器では、効果が異なります(内部の設定が異なります)。

金額の違いは、主に補聴器を装用した時の快適性に出てきます。それが抑制機能です。

補聴器は金額によっても異なる

このように補聴器は、金額によって大きく変化します。価格が抑えめなものは、音を調整する機能のみが搭載され、抑制する機能、指向性に関してはあるものの、これらの機能も抑えめなものとなっています。言い換えれば必要最低限のもののみ用意している状態です。

高額な補聴器は、音を調整する機能の他に指向性機能、抑制する機能も優れたものが搭載され、なるべく聞き取りを軽減させず、さらに聞こえてくる音の環境の快適性を上げてくれます。

補聴器は、単に耳に合わせる事だけをしているのではありません。補聴器を通して音を聞く際に感じる不快感や聞きにくさの軽減を和らげる事もしています。それらの効果が高いと高い程、金額は高額になります。

これが補聴器の金額の違いになります。

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この記事を書いた人:深井 順一
自己紹介
聞こえにくい人を支援するお店、パートナーズ補聴器、代表。生まれつきの難聴者である事、補聴器の販売をしている事、この二つの視点で、ブログを書いています。お店では、耳の状態を理解した後、効果的な補い方を導き出し、お客様の聞こえを改善しています。私に関する内容は、書いている人の詳細をご覧下さい。当店の特徴は、こちらです。場所は、東京都墨田区の本所吾妻橋駅(都営浅草線)より徒歩3分のところにあります。

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