補聴器には、どのようなものにも指向性と呼ばれる機能があります。
これは、周囲が騒がしくなった際に周りの音になるべく邪魔されないようにすることで、聞きにくさを改善させる機能です。
補聴器の金額は、この機能の良し悪しにより、大きく金額が動くといっても良いほどで、それだけ、重要な機能になります。
こちらの概要に関して、まとめていきます。
目次
騒がしい環境下でもなるべく聞こえにくくならないために
補聴器は、基本的に聞こえを改善させる機器です。
補聴器で聞こえを改善する際、聴力別に補えると良い部分があり、そこまで、改善させることにより、聞こえの改善は、しやすくなります。
しかし、この部分に関しては、あくまでも静かなところでのみになります。
聞こえを改善させると、様々な音が入るようになり、時には、周りの音が邪魔してしまい、聞きづらいことがあります。
その邪魔される感覚をなるべくなくすために作られたのが、この指向性機能になります。
補聴器の機能には、大きく分けて、
- 聞こえを改善する機能
- 聞こえを改善した後の問題を改善する機能
の2つになります。
この聞こえを改善した後の問題を改善する機能の一つが、指向性機能です。
指向性機能がしている事
基本的な指向性の機能は、聞こえる音の範囲を狭めて、音を拾う事です。
前方を向き、会話している人の方向からの音は、優先的に拾い、それ以外の部分は、なるべく音を抑えることにより、なるべく、音を邪魔されないようにして、聞き取りを改善します。
もしかしたら「なぜ範囲?」と感じる方もいるかもしれません。その理由は、音にしてしまうと、人の会話が多い時に聞き取りを改善できないためです。
音環境を思い出してみると、基本的に騒がしいところというのは、人が多いところが多いです。人が様々なところで、お話ししていたりすると、皆、声が大きくなり、徐々に周りが騒がしくなってしまい、聞きづらくなります。
ここで、仮に音に注目してしまうと、音声を抑えることになり、聞きたい人の声も抑えることになります。
人は、前を向いてお話する習性がありますので、それを利用し、なるべく前方からくる音は、そのまま聞こえるようにし、周りの音は、少し下げる。そのようにすることで、優先的に前方から、音を聞けるようにしました。
これが、指向性です。
今現在は、さらに進化して、音の方向だけでなく、音声を感知して、その方向からの音は、入れるが、それ以外のノイズと思われる音は、なるべく入れない。というようにし、聞き取りをよくする指向性機能も出てきました。
そして、金額が高くなるほど、聞く音の範囲だけで抑制するのではなく、人の声と外のノイズを聞き分け、なるべく人の声の部分は、抑えないようにして、音を入れ、ノイズと思われる部分を抑制することにより、音声を聞きやすくしてくれます。
騒がしい中での聞き取りの補助をしてくれるのが、指向性機能です。
騒がしい中での聞き取りは、なぜ難しいのか
騒がしい中での聞き取りが難しい理由は、
- 耳の問題
- 機械的な問題
の2つがあります。
耳の問題
基本的に難聴になると、ノイズの中にある言葉を聞き分ける能力は、低下します。
基本的に補聴器をつける方は、感音性難聴であることが多く、感音性難聴は、音が聞こえにくくなるほか、言葉の聞き取りも悪くなる傾向があります。
感音性難聴は、内耳の中にある蝸牛が損傷することによって起こる難聴で、蝸牛の働きの一つには周波数分解能と周波数選択性があります。
難聴になると、この2つの機能が失われるため、ノイズの中にある言葉が抽出しづらくなり、結果、補聴器で聞こえを改善しても、静かなところでは、聞き取りは、良いものの、騒がしくなると、わかりづらい。という現象が起こります。
こちらは、難聴のレベルが低下すると低下するほど、大きくなり(厳密には、外有毛細胞の損傷度によります)、内耳が損傷することによって起こる感音性難聴の場合、どうしても、耳の問題により、騒がしい中での聞き取りが改善しづらくなります。
機械的な問題
もう一つは、機械的な問題です。
補聴器は、音響機器ですので、一般的な音響機器であるビデオ、録音機器、Youtubeなどの動画で起こることは、基本的に補聴器でも起こります。
例えば、外で録画などすると、周りの音がよく入ったり、一部の物音が非常に大きく聞こえたり、機械を通して、物音を聞くと非常に大きいことがあります。
普段、正常な人の耳の場合は、音を拾いながらも無意識的に音を抑えているのですが、機械は、当然、そのようなことはしません。そのため、ある意味、生のまま入ります。
風の音が大きく入ったり、一部の音が大きく入ったりするのは、機械的な部分も大きいです。
ただ、この部分は、補聴器の機能がだんだん、よくなり、徐々に改善できるようになってきた部分でもあります。
しかし、大きな音と声が重なったりすると、かき消されたような感覚になってしまい、かなり聞きづらくなるのは、録画などでもよくあることです。
聞きにくくなる要因には、このような部分もあります。
まとめ
騒がしい中で聞きにくいのは、これらの要因があります。機械的な部分もありつつ、耳の状態もあります。この中で、割合が特に大きいのは、耳の状態です。
軽度の難聴でも、周波数分解能の機能が失われると、それだけで、騒がしい中での聞き取りは、低下することがわかっていますので、その部分が低下することにより、聞きづらさが出てしまいます。
その状況を少しでも改善させようと、指向性機能は、開発されてきました。
指向性の注意点
もしかしたら、薄々感じている方もいるかもしれないのですが、指向性機能は、あるに越したことはないのですが、それを使うことによって、どのような時も聞こえるようになる。という代物ではありません。
上記に記載した通り、機械的な問題と耳の機能的な問題があり、どちらもなるべく軽減するような働きは、してくれるのですが、いかせん、使用する人の聴力(耳の状況)によって、大きく変わりますので、その点に注意です。
基本的に指向性機能は、軽度の難聴の方ほど、効果が高く、中等度難聴、高度難聴、重度難聴と難聴のレベルが大きくなるほど、効果が薄くなります。
その点に注意です。
まとめ
指向性機能は、難聴の人がどうしても聞きにくさを感じやすい騒がしいところでの会話の改善を目的として、作られた機能になります。
こちらを機能を使用することによって、少しは、聞き取りにくさを減らすことは、できるようになってきました。
ただ、補聴器の性能により、大きく変わる部分と耳の状況によって、大きく変わるため、あくまでも、そのような傾向がある。程度しかいうことができません。
上記の通り、比較的効果を感じやすいのは、軽度の難聴ほど、効果は感じやすく、聴力が重くなると重くなるほど、聞こえの改善の実感は、湧きづらくなります。
なるべく聞き取りにくさを減らすための機能として、指向性は、あります。
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