言葉が理解しにくい方に高額な補聴器は、どうか?


少し前に補聴器の機能の一つ、指向性の効果を感じにくい人という内容を記載した。こちらの内容は、音声の理解がしにくい方は、指向性の効果を感じにくくなってしまうというものだ。補聴器を装用する方は、感音性難聴の方が多く、どうしても音声が理解できない事がある。そして、その方の耳の状態により、補聴器の機能も影響を受ける。

補聴器の一つに指向性機能というものがある。これは、騒がし中での聞き取りをなるべく下げないようにする機能で、高額な補聴器は、この機能の性能が高く設定されている。

すると、一つ疑問が浮かぶ。それは、音声が理解しにくい方には、高額な補聴器は、無意味なのか、不要なのか、という点だ。結論から記載すると「必ずしもそうではない」となる。

これは、どうしてだろうか。今回はこちらについて記載していく。初めに答えを言ってしまえば、高額な補聴器は、それ以外にも色々してくれるので「その価値をどう感じるか」それによって変わる。

どこに価値をおくかで変わる

結論から記載すると上記の通り、一概に不要とは言えない。補聴器の性能には主に、

  • ①音を調節する機能
  • ②騒がしい中で聞き取りを下げない機能
  • ③補聴器から聞こえる音を快適にしてくれる機能

の三つがある。厳密には、これよりもあるが、概ねこの三つに分けられる。冒頭のほうで出た指向性とは、②に当たる機能だ。こちらは、残念ながら音声の理解度が低い方は、効果を感じにくい。上限が低いためだ。

では、それ以外の部分はというと、①は聴力の状況により変わり、③については、どんな方も得られる効果だ。①についてだが、平坦な聴力だったり、補聴器から聞こえてくる音に対して受け入れが良い方は、恩恵を感じにくい。補聴器の音の微調整をする機会が少なくなるからだ。

また、これは他メーカーもそうかわからないが、低い周波数のところを調整する機会があまりない方も恩恵は受けにくくなる。高額な補聴器とコストを抑えた補聴器では、傾向として、低い音の部分にチャンネル(周波数別の音量を調整するメーター)が振り分けられているか、そうでないかがある。特に私の方で扱ってるフォナックというメーカーはそうだ。

逆に補聴器から聞こえてくる音に対し、違和感を感じやすい方や低い音を調整する機会が多い方は、①の機能が優れているほうが、自分にとってよりよく調整されやすい。①については、このような違いがある。

③については、ほぼほとんどの方が感じる事ができる効果で、補聴器から聞こえてくる音の感覚を和らげてくれるものだ。代表的な例は、暗騒音(補聴器をつかうと聞こえる、ザーッやさー、ざわざわした音)や風の音(がさがさ、ヴォーヴォー聞こえる音)、そして突発的に起こる大きな音(ドアを閉める、皿を落とすなど)で、これらのものを抑制してくれる。補聴器から聞こえてくる音そのものに直接影響を与えるため、実は、かなり重要なところである。

そのため、①、③について金額の違いを感じ、それに対して払う価値があると考えている方なら、たとえ音声の理解が低い方であっても価値を感じる事だろう。そこは、自分の感覚とお財布の相談になる。実際にその部分に関して価値を感じ、支払う方もいる。

どこにお金を支払うか

このように、価値を感じる部分は、どこかによって異なる。仮に音声の理解を……というところを最も希望する方に関しては、残念ながら価値を感じる事は難しい。コストを抑えたものでも、聞こえ方は変わるが、補聴器の効果に関しては、さほど変わりはない。

しかし、上記のような部分で価値を感じるのなら、高額な補聴器でも良いだろう。補聴器で重要な点は、自分が使えるものとなる。これは、補聴器から聞こえてくる音の感覚も自分が使えるものとなる。補聴器は、効果だけではなく、聞こえてくる音の感覚も評価の一つだ。

補聴器は音響機器とあり、マイクに触ったり、マイクが風が当たれば大きな音がするし、暗騒音は多いし(特に周囲が騒がしいと余計に増幅される)、突発的に発生する大きな音は、強い音に感じる。つまり、不快に感じる要素は、意外に多い。

これは、私自身使用しているのでよくわかる。これらの部分を快適にする事で耳への負担が減ったり、音が聞こえすぎて辛いという事が減れば、それも大きな価値だ。価値は必ずしも聞こえる事だけに存在するわけではない。

音声が理解にくい方であっても効果を感じる部分はある。シンプルにいえば、どの部分にお金を払うか。ただそれだけである。