補聴器の基本・形状・調整

高い補聴器と安い補聴器の違いを理解する3つのポイント

深井 順一|パートナーズ補聴器

毎月25日にお送りしているお店からのお便り(ニュースレター、メルマガ形式)のご登録はこちらよりどうぞ。https://l-s-b.org/news-letter/

補聴器による聞こえの改善は、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善は、お客様の聞こえの改善事例にまとめています。

補聴器は、高いものですと、片耳で50万ほどし、価格が抑えられたものは、14〜18万くらいします。

価格の差が大きく、これらの金額の違いは、主に中に搭載されている性能によるものです。

高額な補聴器は、聞こえを改善すると共に改善した後に不快に感じやすい部分を抑制したり、騒がしい中で聞き取りが難しくなりやすい状況をなるべく聞きやすくしてくれる機能が入っています。

一方、価格が抑えられている補聴器は、基本的な聞こえの改善のみを行うようになっており、この違いが、補聴器の性能、しいては、金額の違いに出てきます。

高い補聴器と安い補聴器、どのように違うのか。その点に関して、まとめていきます。

補聴器は、性能により、金額が変化する

冒頭の通り、補聴器は、性能により、金額が変化します。厳密には、形の違いによっても、金額は、異なるのですが、金額の幅は、性能によるものが大半です。

そして、その性能とは、金額を積めば聞きやすくしてくれるというよりも、いかに自分の耳の能力を下げないようにしてくれるか。になります。

補聴器の性能は、主にこの3つによって構成されていることが多いです。

補聴器の性能は、主にこの3つによって構成されていることが多いです。

この図のように補聴器の性能には、主に

  • 音を調整する機能
  • 騒がしい中でなるべく聞き取りを低下させない機能
  • 音を快適にしてくれる機能

の3つに分かれます。この3つの総合により、補聴器の金額が決まります。

そして、これらの機能の能力が高いと、ご自身の耳の力を下げなかったり、耳を活かしやすくなります。

感音性難聴の耳と補聴器の性能の進化

まず、なぜ上記のような機能があるのか。という話になるのですが、この点を簡単に記載しますと、聞こえを補うだけでは、改善が難しかったから。というのが、理由です。

まず、感音性難聴の耳は、音が聞こえにくくなる他、言葉の聞き取りが低下してしまったり、その他、周波数分解能と周波数選択性が低下します。

周波数分解能と周波数選択性は、内耳の中にある蝸牛の機能で、様々な音を分解して、必要な音は、脳に送り、必要でない音は、脳に送らない。など、周波数を分解したり、分解した周波数を選び、どれを脳に送るか。などの選択をしています

そのようにすることで、数多くの音の中から、ノイズと音声を聞き分けていたりします。

内耳が何らかの損傷を受けたりすると、感音性難聴になり、上記の部分が低下するため、一般的な音も感じづらくなるのと同時に騒がしい中での聞き取りも悪くなってしまいます(ノイズと音声を分けられなくなる)。

補聴器は、昔こそ、聞こえの改善のみしていました。

しかし、それだけですと、騒がしい中での聞き取りは、改善しづらく、少しでも、そのような場面でも改善するため、騒がしい中でも、なるべく邪魔されないようにする機能(指向性)が開発されました。

その他、補聴器で音を大きくすると、機械的な部分もあり、不快に感じやすいいくつかの音やそれらの音が聞こえることにより、聞き取りが阻害されることもありました。

そのことから、快適性を高めるとともに、そのような音を抑えるための機能も開発されました。

それが性能となり、今日、聞こえを改善させる基本的な機能にプラス、様々な抑制機能が作られています。

これらの抑制機能ができた理由は、そもそもの問題として、感音性難聴をいかに改善させるか。という観点です。

感音性難聴は、音が聞こえづらくなるだけでなく、音声までもが理解しづらくなり、さらには騒音下での聞き取りも健聴の人より、悪くなりがちです。

そのため、上記のような機能が作られ、なるべく聞きにくくならないよう、開発されてきました。

この性能の有無が金額に如実に出てくるようになっています。

基本的な3つの機能

基本的には、

  • 音を調整する機能
  • 指向性機能
  • 抑制機能

の3つがあります。

なお、結論から記載しますと、高い補聴器とやすい補聴器は、これらの部分で差があるのですが、基本的な聞こえの改善は、どの補聴器でも、できるようになっています。

音を抑制する機能(ch、チャンネル)

こちらは、補聴器の根幹である音を調整する機能です。

補聴器には、どれだけ細かく調整できるのか。を示す、ch(チャンネル)もしくは、バンドという表記で、記載しています。

こちらは、補聴器の調整ソフトの画面です。今現在、補聴器は、聴力ごとにどのくらい改善すると良いのか、そして、現状は、どうなのか。それらが画面でわかるようになっています。

こちらは、補聴器の調整ソフトの画面です。今現在、補聴器は、聴力ごとにどのくらい改善すると良いのか、そして、現状は、どうなのか。それらが画面でわかるようになっています。

今現在、補聴器で聞こえを改善していく場合は、ほとんどの補聴器の場合、どの部分まで改善できると良いのか。その改善目標値が表示されるようになっています。

その部分まで、改善させることができると、聞き取りは、改善しやすくなり、これは、どの補聴器でもできるようになっています。

chは、上記のような周波数別にどれだけ、細かく調整できるか。を数値で表したものです。上記の場合は、12chのものですので、周波数が、12等分されています。

チャンネル数が多いと何が良いのか。という部分ですが、簡単に言いますと、微調整がしやすくなります。

補聴器を装用した状態で、どのくらい聞こえているのか。を調べる測定があったりするのですが、

仮に補聴器での改善目標値と現在値を比較すると、上記のような状態だった場合、1000Hzくらいまでは、補えているので、高い音に関して、少し足りておらず、もう少しこの部分を改善してみよう。とした場合にchが多いと、その部分だけ、あげることが容易になります。

仮に補聴器での改善目標値と現在値を比較すると、上記のような状態だった場合、1000Hzくらいまでは、補えているので、高い音に関して、少し足りておらず、もう少しこの部分を改善してみよう。とした場合にchが多いと、その部分だけ、あげることが容易になります。

それらで、すこし足りない部分があった際に、足りなかった部分のみをあげたり、気になる音があった場合にその部分の周波数を下げたりし、快適性を高めたり。これらの部分が、しやすくなります。

そして、基本的に12chほどあれば、大半の事は、できるようになります。

そのことから、各メーカー、ch(チャンネル)に関しては、その辺りくらいの補聴器をスタンダードにしている印象があります。

https://l-s-b.org/2015/04/hearing-aid-channel/

指向性機能

指向性機能とは、騒がしい中でも、なるべく聞き取りを低下させないようにする機能です。

上記の通り、感音性難聴の耳は、騒がしい中では、聞き取りが難しくなりやすく、この部分は、聴力低下が大きいと、大きいほど、低下しやすくなります。

そのことから、聞く音の方向を定め、それ以外のところからくる音を抑制し、なるべく聞き取りを阻害されないようにして、改善するようにしました。

それが、指向性機能です。

人は、前方を向いてお話ししますので、前方の音は、そのまま入れ、周りの音は、抑制することで、なるべく前からくる音を優先的に拾います。

今現在、より良いものですと、聞く音の範囲だけではなく、音声を感知して、音声の部分は、入れるようにし、ノイズの部分は、抑制して、音を通すようにする補聴器も出てきました。

指向性機能は、良いと良いほど、騒がしい中でも、なるべく聞きづらくなりにくくしてくれます。

https://l-s-b.org/2016/03/directivity-the-reason/

抑制機能

補聴器の快適性をあげる機能が、この抑制機能です。

抑制機能には、様々なものがあり、

  • 突発的な大きな音を抑制
  • 風の音を抑制
  • 騒音(ノイズ)を抑制
  • 反響を抑制

などがあります。どれも快適性を高めると共に、音声が邪魔されにくくなるところを補助する目的で作られています。

例えば、ドアをバタンッ!と閉めた場合に大きな音がしますが、そのような突然大きな音がした際も、強く入らず、優しくしてくれたり、風の音は、ヴォーヴォーと大きく入る傾向があるのですが、それを和らげたり、主に快適性をあげる役割が、こちらの機能です。

その他、騒音(ノイズ)を抑制したり、反響音を抑制する機能もあります。

金額が高くなると、様々な機能がつけられたり、個々の抑制機能が高くなり、快適性が上がります。

その結果、補聴器が快適に使いやすくなります。

補足:聞こえの改善に性能は、どうか

少し補足をさせていただきたいのですが、性能は、あくまでも、耳の機能を落とさないものになり、聞こえの改善度をあげる機能ではありません。

補聴器の聞こえの改善度は、基本的に聴力に対し、必要な音の音量を補えているほど、効果が上がりやすい傾向があります。

補聴器の聞こえの改善度は、基本的に聴力に対し、必要な音の音量を補えているほど、効果が上がりやすい傾向があります。

上記にちらっと記載したのですが、今現在、補聴器は、聴力別に補えると良い部分というものがあり、この聞こえの改善が、できるとできるほど、聞こえが改善しやすくなります。

この部分は、どのような補聴器でもできるようになっており、

補聴器の主な金額表。聞こえの改善は、聴力別に必要な音を補うことですので、実は、どの補聴器でも改善ができます。金額の差は、上記に記載した通り、あくまでも聞こえを改善した後の問題をどれだけ改善する機能が搭載されているか。により、変わることが多いです。

補聴器の主な金額表。聞こえの改善は、聴力別に必要な音を補うことですので、実は、どの補聴器でも改善ができます。金額の差は、上記に記載した通り、あくまでも聞こえを改善した後の問題をどれだけ改善する機能が搭載されているか。により、変わることが多いです。

例えば、こちらがフォナック。と呼ばれるメーカーの補聴器なのですが、一番下でも一番上のものでも、できるようになっています。

感音性難聴の耳を改善させるために音そのものを聞こえやすくする機能は、どの補聴器にも付いています。

性能は、主に聞こえを改善した後に気になりやすい音を抑制したり、騒がしい中で聞き取りが阻害されやすい環境をなるべくしないようにしてくれたり、という部分で、大きく性能(金額)が変化します。

性能が良いものほど、改善がしやすいのは、間違いではないのですが、あくまでも、ご自身の耳の機能を落としづらくするのが、性能です。聞こえの改善そのものの根本の部分ではありません。

その点に注意です。

https://l-s-b.org/2018/10/adjust-the-hearing-aid/

補聴器は、金額によっても、異なる

このように補聴器は、金額によって、大きく変化します。

価格が抑えめなものは、基本的な聞こえを改善する、音を調整する機能のみが入っており、一応、抑制する機能、指向性に関しても入ってはいるものの、こちらの機能も控えめになっています。

こちらは、言い換えれば、必要最低限のものを用意している。という状態です。

高額な補聴器は、聞こえの改善にプラスして、聞こえを改善した後に気になりやすい音や不快に感じやすい音を抑制することにより、快適性をあげ、さらに、騒がしいところで、どうしても聞きにくくなりやすい部分をなるべく邪魔されないようにしてくれたりします。

この部分が、高い補聴器と安い補聴器の違いです。

全ては、感音性難聴の耳を改善するには、どうしたら良いか。の観点から始まっており、改善した後の問題も、なるべく改善するようにしたのが、高額な補聴器になります。

このページに関連する内容

https://l-s-b.org/2018/10/basics-of-hearing-aid-performance/

https://l-s-b.org/2015/09/same-amount-of-money-different-value/

https://l-s-b.org/2016/06/expensive-hearing-aid/

https://l-s-b.org/2015/04/hearing-aid-channel/

https://l-s-b.org/2016/03/suppression-of-sound/

https://l-s-b.org/2016/03/directivity-the-reason/

https://l-s-b.org/2016/03/function-know-howling/

https://l-s-b.org/2019/01/i-improve-moderate-hearing-loss-performance/

補聴器に関する他の内容

https://l-s-b.org/hearing-ability-improvement-summary/

基本的な改善思考

https://l-s-b.org/2018/10/basics-of-improvement-hearing-aid/

https://l-s-b.org/2018/09/an-idea-of-improvement/

補聴器の形状

https://l-s-b.org/2018/10/shape-and-feature-of-hearing-aid/

補聴器の性能

https://l-s-b.org/2018/10/basics-of-hearing-aid-performance/

補聴器の調整

https://l-s-b.org/2018/10/adjust-the-hearing-aid/

補聴器の適正

https://l-s-b.org/2014/10/measure-hearing-aid/

補聴器の効果を上げる思考

https://l-s-b.org/2019/06/environmental-arrangement/

補聴器で改善した事例

補聴器の使い方

https://l-s-b.org/2018/12/use-a-hearing-aid-smoothly/

補聴器に慣れる

https://l-s-b.org/2018/12/getting-used-to-hearing-aids/

耳が痛くなる場合は?

https://l-s-b.org/2018/12/i-feel-pain-in-my-ears/

耳から外れる場合は?

https://l-s-b.org/2018/10/to-improve-out-of-ears/

大きい音が辛い

https://l-s-b.org/2016/07/relieve-sound/

補聴器がハウリングする

https://l-s-b.org/2018/10/harrowing-countermeasures/

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
1986年7月1日生まれ。生まれつきの難聴者で小学2年生の頃から補聴器を使っています。専門分野は、感音性難聴と老人性難聴で、私自身が補聴器を使っている当事者であることを活かして、お困りの方に貢献できるようお店作りをしています。
記事URLをコピーしました