補聴器の慣れる、慣れないの問題と補聴器調整者ができる事
補聴器における、慣れる、慣れないは、非常に難しい問題で、中には、補聴器の音に慣れない耳もあります。
そのため、私の場合は「補聴器の音に慣れましょう」「補聴器の音に慣れてください」という言葉は、今まで言った事がありません。
補聴器を使っている私自身からすると、気のせいか、補聴器の音に慣れる、という事が神格化し過ぎているように感じますので、こちらに関して、私自身が、感じることに関して、記載していきます。
頑張れば補聴器の音に慣れるは、本当?
結論から記載してしまうと、冒頭の通り、実際には、補聴器の音に慣れるケースと慣れないケースが存在します。
聴力が低下すると、上記のように高い音が聞こえにくくなる事が多く、補聴器は、下がっている聴力の部分ほど、聞こえを補い、なるべく改善しようとします。
この場合ですと、高い音の方が増幅度が高い状態になりますので、補聴器を使っている人からしたら、感覚的には、今までより、より高く感じ、さらに機械的な感覚も加わるようになります。
聞こえを改善し、かつ使用できる範囲内の音量で使い続けることにより、少しずつ、その音に順応してくるのですが、中には、慣れない音、慣れにくい音も存在します。
そして、実際には、人により、聴力ごとの改善目標値から、実際に改善できる数値まで、変化しますので、現状を見つつ、目標の修正をする事もあります。
一つ言えることは、慣れにくいケースには、いくら「慣れてください」と言っても、そもそもの問題として、慣れにくいため、それを伝える事は改善策には、ならない。という事です。
慣れにくい耳、慣れにくい音の感覚
大きく分けると
- 突発性難聴、メニエール病の耳
- 元々の耳の状態が響く、耳鳴りがあるなど
- 自分の声の響き
があります。
突発性難聴、メニエール病の耳
補聴器の音に慣れにくい、どんなに補聴器を調整しても、厳しい耳に比較的見られる症状は、突発性難聴やメニエール病により、低下したケースです。
途中から大きく聞こえにくくなった症例の方は、耳そのものが音を感じた際に歪んで聞こえてしまうケースもあり、耳の状況によって変化してしまうのですが、一部の方では、補聴器が全く適合しないケースもあります。
これらのケースは、補聴器の音に慣れる、慣れないの問題を大きく凌駕しており、限られた聴力で、どのようにしたら、聞こえを補えるか。無理なく補えるかを考えて、改善していく必要があります。
元々の耳の状態が響く、耳鳴りがあるなどの方
耳の状況の中には、元々も耳が響いてしまっていたり、耳鳴りが強く感じ、聞こえてくる音の感覚がわかりづらい方もいます。
自分の声が低くこもって聞こえたり、自分の声が常に響いて聞こえる方も同様で、そのような方の場合、補聴器からの音は、上記の症状がない方に比べ、少し慣れづらい傾向を感じます。
こちらのケースも、状況を見つつ、入れられるところは、いれ、様子を見ながら、改善できるところは、改善していく事が必要なケースです。
自分の声の響き
補聴器をつけることによる一つの欠点は、自分の声が内側で響くような感覚を得やすいことです。
この感覚は、正直、不快に感じやすく、かつ、慣れにくい感覚の一つです。
イヤホンを耳に装用した状態で、声を発すると、頭の内側、自分の体の内側で、大きく低く響くような感覚を感じるようになります。
この感覚は、人によっては、非常に大きく感じやすく、なかなか慣れない方もいます。
一応、この感覚は、軽減させる事が可能ですので、なるべく減らすようにはするのですが、限度もあります。
この場合、なるべく補聴器を使用できる範囲内におさえめ、使えるようにしていく事が大切になります。
補聴器調整者ができる事
補聴器を調整する人ができる事は、補聴器の使用状況を見ながら、改善プランを考える事だと感じます。
- 改善のプランニング
- 難しい方のプランニング
その点に関して、2つに分けて記載していきます。
改善のプランニング
私の場合は、改善のプランニング、もしくは、聞こえの改善のデザイン、なんて、言い方をしたりするのですが、これは、単純に、どう聞こえを改善していくかのプランニング(計画)そのものです。
例えば、補聴器を使用し始めの頃は、聴力に対し、補えると良い部分まで、いきなりあげることは、難しいため、少し抑えめにして、使っていただき、使用時間を見たり、お客さんの意見を聞き、少しずつ、改善度をあげるようにします。
この際に重要になるのは、前回、私がしている適切な補聴器を提供するためのPDCAの回し方で書いた通り、目標と確認の共有で、状況を明らかにしながら、使える範囲内で、なるべく改善すると良い部分まで、改善するようにしていきます。
あくまでも、私自身の感覚ではありますが、特殊な聴力や耳の状況でなければ、7〜8割くらいが、この方法で、改善ができます。
難しい方のプランニング
難しそうなケースでも、基本となるプランニングは、上記の内容と同じです。
目標と確認を共有し、なるべく改善できるところまで、改善していくようにしていきます。
ただし、少しずつ改善していき、不快閾値測定(大きな音を聞き、どのくらい大きい音だと不快に感じるかのテスト)を行い、大きい音が必要以上に音が入らない環境を始めに作ったのち、徐々に改善度を大きくしていくようにします。
目的を忘れないようにする
補聴器を販売する人の目的は、あくまでも聞こえを改善し、聞こえにくい方がより前を向いて歩いていけるようにする事です。
上記に記載した通り、補聴器の状況や耳の状況によっては、音に慣れない方もいます。そのような方には、残念ながら「音に慣れましょう」と言っても、その状況を改善させる事ができません。
手段と目的を履き違えない事が重要で、なるべくどのようにしたら改善できるのか。その点を考えることから、改善は、始まります。
ということで、自分が感じていることを記載してみました。
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https://l-s-b.org/2018/10/improve-hearing-with-a-hearing-aid/
https://l-s-b.org/2014/11/about-the-difference/
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https://l-s-b.org/2015/09/air-vent-hearing-aid
https://l-s-b.org/2014/07/family-benchmark
補聴器に関する他の内容
https://l-s-b.org/hearing-ability-improvement-summary/
基本的な改善思考
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https://l-s-b.org/2018/09/an-idea-of-improvement/
補聴器の形状
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補聴器の性能
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補聴器の調整
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補聴器の適正
https://l-s-b.org/2014/10/measure-hearing-aid/
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補聴器で改善した事例
補聴器の使い方
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https://l-s-b.org/2018/12/getting-used-to-hearing-aids/
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