補聴器の基本・形状・調整

補聴器の慣れる、慣れないの問題と補聴器調整者ができる事

深井 順一|パートナーズ補聴器

聞こえの改善や補聴器のことについては、【FAQ】聞こえの改善と補聴器のFAQへ。お客様の改善事例は、聞こえの改善成功事例へどうぞ。

補聴器における、慣れる、慣れないは、非常に難しい問題で、中には、補聴器の音に慣れない耳もあります。

そのため、私の場合は「補聴器の音に慣れましょう」「補聴器の音に慣れてください」という言葉は、今まで言った事がありません。

補聴器を使っている私自身からすると、気のせいか、補聴器の音に慣れる、という事が神格化し過ぎているように感じますので、こちらに関して、私自身が、感じることに関して、記載していきます。

頑張れば補聴器の音に慣れるは、本当?

結論から記載してしまうと、冒頭の通り、実際には、補聴器の音に慣れるケースと慣れないケースが存在します。

聴力が低下すると、上記のように高い音が聞こえにくくなる事が多く、補聴器は、下がっている聴力の部分ほど、聞こえを補い、なるべく改善しようとします。

▲は、補聴器を装用した時の聞こえの状態です。補聴器は、基本的に低下している部分ほど、強く補う傾向があります。

▲は、補聴器を装用した時の聞こえの状態です。補聴器は、基本的に低下している部分ほど、強く補う傾向があります。

この場合ですと、高い音の方が増幅度が高い状態になりますので、補聴器を使っている人からしたら、感覚的には、今までより、より高く感じ、さらに機械的な感覚も加わるようになります。

聞こえを改善し、かつ使用できる範囲内の音量で使い続けることにより、少しずつ、その音に順応してくるのですが、中には、慣れない音、慣れにくい音も存在します。

そして、実際には、人により、聴力ごとの改善目標値から、実際に改善できる数値まで、変化しますので、現状を見つつ、目標の修正をする事もあります。

一つ言えることは、慣れにくいケースには、いくら「慣れてください」と言っても、そもそもの問題として、慣れにくいため、それを伝える事は改善策には、ならない。という事です。

慣れにくい耳、慣れにくい音の感覚

大きく分けると

  • 突発性難聴、メニエール病の耳
  • 元々の耳の状態が響く、耳鳴りがあるなど
  • 自分の声の響き

があります。

突発性難聴、メニエール病の耳

補聴器の音に慣れにくい、どんなに補聴器を調整しても、厳しい耳に比較的見られる症状は、突発性難聴やメニエール病により、低下したケースです。

途中から大きく聞こえにくくなった症例の方は、耳そのものが音を感じた際に歪んで聞こえてしまうケースもあり、耳の状況によって変化してしまうのですが、一部の方では、補聴器が全く適合しないケースもあります。

これらのケースは、補聴器の音に慣れる、慣れないの問題を大きく凌駕しており、限られた聴力で、どのようにしたら、聞こえを補えるか。無理なく補えるかを考えて、改善していく必要があります。

元々の耳の状態が響く、耳鳴りがあるなどの方

耳の状況の中には、元々も耳が響いてしまっていたり、耳鳴りが強く感じ、聞こえてくる音の感覚がわかりづらい方もいます。

自分の声が低くこもって聞こえたり、自分の声が常に響いて聞こえる方も同様で、そのような方の場合、補聴器からの音は、上記の症状がない方に比べ、少し慣れづらい傾向を感じます。

こちらのケースも、状況を見つつ、入れられるところは、いれ、様子を見ながら、改善できるところは、改善していく事が必要なケースです。

自分の声の響き

補聴器をつけることによる一つの欠点は、自分の声が内側で響くような感覚を得やすいことです。

この感覚は、正直、不快に感じやすく、かつ、慣れにくい感覚の一つです。

イヤホンを耳に装用した状態で、声を発すると、頭の内側、自分の体の内側で、大きく低く響くような感覚を感じるようになります。

この感覚は、人によっては、非常に大きく感じやすく、なかなか慣れない方もいます。

一応、この感覚は、軽減させる事が可能ですので、なるべく減らすようにはするのですが、限度もあります。

この場合、なるべく補聴器を使用できる範囲内におさえめ、使えるようにしていく事が大切になります。

補聴器調整者ができる事

補聴器を調整する人ができる事は、補聴器の使用状況を見ながら、改善プランを考える事だと感じます。

  • 改善のプランニング
  • 難しい方のプランニング

その点に関して、2つに分けて記載していきます。

改善のプランニング

私の場合は、改善のプランニング、もしくは、聞こえの改善のデザイン、なんて、言い方をしたりするのですが、これは、単純に、どう聞こえを改善していくかのプランニング(計画)そのものです。

例えば、補聴器を使用し始めの頃は、聴力に対し、補えると良い部分まで、いきなりあげることは、難しいため、少し抑えめにして、使っていただき、使用時間を見たり、お客さんの意見を聞き、少しずつ、改善度をあげるようにします。

この際に重要になるのは、前回、私がしている適切な補聴器を提供するためのPDCAの回し方で書いた通り、目標と確認の共有で、状況を明らかにしながら、使える範囲内で、なるべく改善すると良い部分まで、改善するようにしていきます。

あくまでも、私自身の感覚ではありますが、特殊な聴力や耳の状況でなければ、7〜8割くらいが、この方法で、改善ができます。

難しい方のプランニング

難しそうなケースでも、基本となるプランニングは、上記の内容と同じです。

目標と確認を共有し、なるべく改善できるところまで、改善していくようにしていきます。

ただし、少しずつ改善していき、不快閾値測定(大きな音を聞き、どのくらい大きい音だと不快に感じるかのテスト)を行い、大きい音が必要以上に音が入らない環境を始めに作ったのち、徐々に改善度を大きくしていくようにします。

目的を忘れないようにする

補聴器を販売する人の目的は、あくまでも聞こえを改善し、聞こえにくい方がより前を向いて歩いていけるようにする事です。

上記に記載した通り、補聴器の状況や耳の状況によっては、音に慣れない方もいます。そのような方には、残念ながら「音に慣れましょう」と言っても、その状況を改善させる事ができません。

手段と目的を履き違えない事が重要で、なるべくどのようにしたら改善できるのか。その点を考えることから、改善は、始まります。

ということで、自分が感じていることを記載してみました。

このページに関連する内容

https://l-s-b.org/2018/10/adjust-the-hearing-aid/

https://l-s-b.org/2018/10/improve-hearing-with-a-hearing-aid/

https://l-s-b.org/2014/11/about-the-difference/

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https://l-s-b.org/2015/09/air-vent-hearing-aid

https://l-s-b.org/2014/07/family-benchmark

補聴器に関する他の内容

https://l-s-b.org/hearing-ability-improvement-summary/

基本的な改善思考

https://l-s-b.org/2018/10/basics-of-improvement-hearing-aid/

https://l-s-b.org/2018/09/an-idea-of-improvement/

補聴器の形状

https://l-s-b.org/2018/10/shape-and-feature-of-hearing-aid/

補聴器の性能

https://l-s-b.org/2018/10/basics-of-hearing-aid-performance/

補聴器の調整

https://l-s-b.org/2018/10/adjust-the-hearing-aid/

補聴器の適正

https://l-s-b.org/2014/10/measure-hearing-aid/

補聴器の効果を上げる思考

https://l-s-b.org/2019/06/environmental-arrangement/

補聴器で改善した事例

補聴器の使い方

https://l-s-b.org/2018/12/use-a-hearing-aid-smoothly/

補聴器に慣れる

https://l-s-b.org/2018/12/getting-used-to-hearing-aids/

耳が痛くなる場合は?

https://l-s-b.org/2018/12/i-feel-pain-in-my-ears/

耳から外れる場合は?

https://l-s-b.org/2018/10/to-improve-out-of-ears/

大きい音が辛い

https://l-s-b.org/2016/07/relieve-sound/

補聴器がハウリングする

https://l-s-b.org/2018/10/harrowing-countermeasures/

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。補聴器の販売員としての知識、技術に加え、一人の難聴者が自分自身の聞こえを改善した知識、技術も組み合わせながら、聞こえの改善、補聴器のご相談をしています。
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