言葉が理解しづらい方へ高額な補聴器は、意味があるのか?
補聴器を装用する方の中には、音声の理解度(以下、明瞭度が低い、と記載)が著しく低く、補聴器を装用したとしても、なかなか言葉がわかりづらい人もいます。
そのような方に高額な補聴器は、意味があるのか。この点に関しては、Yesでも、Noでもあります。
高額な補聴器で変化する部分は、音の抑制機能です。それにより、快適性を高めてくれます。
そのため、聴き心地がなるべく良い、自然な感覚で補聴器を使いたい、となった場合は、Yesですし、言葉を聞きやすくするため、聞こえの改善のために払いたい、という場合は、Noになります。
高額な補聴器と抑えめな補聴器の違いは?
補聴器の機能は、大きく分けて、上記のように
- 耳の聞こえを改善するための機能
- 聞こえを改善した後の問題を改善する機能
の2つに分かれます。
耳の聞こえを改善するための機能というのは、主にチャンネルと呼ばれる、音を調節する機能の事です。
高額な補聴器ほど、数が多くなり、調整の自由度が高くなるのですが、改善度は、そこまで上がりません。
元々、補聴器は、聴力ごとに聞こえを改善できると良い部分があり、そこまでは、どの補聴器でも改善できるようになっています。
チャンネルの機能が多いことにより、調整する自由度は、確かに上がるのですが、補聴器で改善できる部分には、限りがあります。
この部分が多ければ、改善しそうなイメージがありますが、必ずしもそうではありません。
次は、聞こえを改善した後の問題を改善する機能です。
補聴器で聞こえを改善していくと、様々な音が聞こえるようになります。そのため、一部の不快に感じやすい音を抑制したり、周りの音により、阻害されてしまう感覚を軽減する機能があります。
この部分は、高額な補聴器ほど、抑制機能が非常に働き、快適性を高めてくれるようになります。逆に価格を抑えている補聴器には、ほとんどなく、そのまま音が入ってきます。
どのような金額のものでも基本的な改善は、できるのですが、価格の違いは、聞こえを改善した後に起こる問題を改善する機能が、どれだけ入っているかです。
不快に感じやすい音や周りの音に阻害されて、聞きづらくなりやすい環境で、なるべく聞きにくくならないようにする機能が、どれだけ、入っているのかにより、補聴器の金額は、大きく変わってきます。
言葉の聞こえが低い方が恩恵を受けるところ、受けづらいところ
はじめに結論から記載しますと、恩恵を受けるところは、快適性や使い心地の部分で、恩恵を受けづらいところは、聞こえの改善度です。
恩恵を受けやすいところ
恩恵を受けやすいところは、快適性や補聴器の使い心地の部分です。これらの部分は、良くなる事が増えます。
上記に紹介した通り、補聴器の金額は、抑制機能により、大きく変化します。
補聴器で聞こえを改善していくと、実に様々な音が聞こえ、中には、不快に感じやすい部分の音もあります。
例えば、こちらの中には、大きな音が入った際にその大きな音だけ、抑制し、快適にしてくれる機能があります。
補聴器は、音響機器ですので、突然、大きな音がすると、かなりきつく感じたりするのですが、その感覚を楽にしてくれたり、抑制機能が優れることで、なるべく機械的な感覚ではなく、自然な音として、聞こえるようにもなったりします。
これらの部分は、比較的、感じやすい部分になります。
恩恵を受けづらいところ
恩恵を受けづらいところは、聞こえの改善度です。
ポイントとして
- 聞こえの改善度は、明瞭度で決まる事が多い
- 抑制機能は、明瞭度をあげる機能ではなく、下げない機能
の2つです。
聞こえの改善度は、明瞭度で決まる事が多い
補聴器の聞こえの効果は、補聴器の性能や調整ももちろんあるのですが、それ以上にその人の耳の状態、即ち、耳の明瞭度により、決まる事が多いです。
耳の明瞭度が良い方であれば、価格が抑えめな補聴器でもしっかり改善できると良い部分まで改善する事で、効果が出やすくなります
しかし、逆に明瞭度が低い方は、どんなに良い補聴器を使ったとしても、聞こえの改善は、限定的になってしまいます。
音声を理解できるか、できないかは、補聴器というよりも、その人の耳の状態、耳のポテンシャルによって、変わる事が多いです。
抑制機能は、明瞭度をあげる機能ではなく、下げない機能
上記に紹介した聞こえを改善した後の問題を改善する機能として、抑制機能をあげました。
こちらは、厳密には、言葉の明瞭度をあげる機能ではなく、下げない機能です。
例えば、静かなところでは、90%の明瞭度、騒がしいところに行くと、40%。でも、高額な補聴器を使ったら、65%まで、きた。となった場合は、90%→65%です。
明瞭度が低い方が、使った場合を想定して見ますと、静かなところでは、50%、騒がしいところに行くと、10%、高額な補聴器を使ったら、30%まで、来た、となった場合は、50%→30%です。
ここで重要な点としては、元々の明瞭度以上に改善することは、できない事です。
ですので、抑制機能は、明瞭度をあげる機能ではなく、厳密には、元々ある明瞭度を下げない機能になります。
なお、明瞭度が低い方が、高額な補聴器があまり改善度に影響しにくい問題は、数値で表すと良くわかります。
例えば、先ほどの静かなところで、50%、騒がしいところで10%、高額なものを使ったら、30%まで、上がったとしても、30%は、上記の通り、日常会話においても読話や筆談の併用が必要のレベルになります。
10%が30%に上がったとしても、そもそもの問題として音声のみで理解できるには、素の状態で、60〜70%は、必要ですので、そこまで達しません。
高額な補聴器を使っても元々の明瞭度以上に改善する事は今現在、ほぼできず、かつ、改善できたとしても、数値が低いため、効果を感じにくいのが、現状です。
まとめ
このことから、高額な補聴器に関しては、どこにお金を払うか。になります。
補聴器を使う感覚、自然に使えるような補聴器が良い。という場合は、投資しても良いと思います。
しかし、聞こえの改善度をあげるために、高額な補聴器にしたい。という場合は、その望みは、少々、得にくくなります。
こちらを理解しておかないと、時にトラブルになることもありますので、注意が必要です。高い補聴器を購入すれば、聞こえが改善できるのではないか。とお考えの方は、多いと思います。
明瞭度が低い方が高額な補聴器を購入することによって得られるのは、上記の通り、補聴器を使った感覚を楽にする事、自然な感じで使えるようになる事です。
その点に関して、支払いたい。という場合は、高額な補聴器がオススメになります。
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