補聴器の基本・形状・調整

最近の補聴器にみられる防滴(防水)加工の注意点

深井 順一|パートナーズ補聴器

補聴器による聞こえの改善は、聞こえの改善と補聴器のFAQ、にまとめています。また、個々の症状(症例)ごとの改善は、お客様の聞こえの改善事例にまとめています。

最近の補聴器は、ほぼ全ての補聴器に防水加工が加わり、昔の補聴器より、故障しづらくなってきました。

補聴器は、汗や湿気といった水系に弱く、それらによる故障が頻発していました。そのため、各社、故障を減らそうと、防水加工をするようになりました。

しかし、この防水加工ですが、基本的に防滴程度に考えた方がよく、水の中に入れても大丈夫。というところまでは、きていません。

その点に注意が必要です。

補聴器の防塵、防水

最近の補聴器には、上記のように防水、防塵加工がされており、その耐久性が書かれていたりします。

防塵機能は以下の通りです。

補聴器の防塵保護等級

補聴器の防塵保護等級

wikiより引用

防水機能に関しては、以下の通りです。

補聴器の防水保護等級

補聴器の防水保護等級

wikiより引用

この表記の仕方は、IP68は防水補聴器(防塵は6級、防水は8級)、IP67は防滴補聴器(防塵は6級、防水は7級)になります。

最近の補聴器には、どのような耐久性があるのか、記載されていることが多いです。

最近の補聴器には、どのような耐久性があるのか、記載されていることが多いです。

最近の補聴器は、IP68隣、防塵も、防水もしっかりできるようになってきています。

防水補聴器に関する注意点

このように記載すると、もう壊れないような、何をやっても壊れないような印象を受けますが、実際には、音が聞こえなくなったり、故障したりすることは、普通にあります。

その理由は、大きく分けて

  • 部品の劣化により、中に浸水
  • 機械以外の聞こえなくなる原因
  • 衝撃などは、そのまま受ける

の3つがあります。

防水補聴器は、あくまでもIPのテストに合格しただけで、故障しない事を保証しているわけではありません。その点に注意です。

部品の劣化により、中に浸水

補聴器を長く使用していると、部品が劣化し、わずかな隙間から、中に汗がしみこんだり、しみこんだものが、徐々に蓄積されていったりすると、故障することがあります。

また、入りづらいものは、一旦、入るとなかなか抜けづらくなりますので、防水補聴器のようなガッチリしたものは、一旦、入ると、徐々に故障してくる傾向があります。

部品の劣化は、補聴器を使い続ける上で、どうしても起こってしまう事で、この部分は、ある意味、仕方がない部分でもあります。

機械以外の聞こえなくなる原因

補聴器は、機械以外で聞こえにくくなる要因がいくつかあります。

比較的、要因として多いのは、

  • レシーバーが塞がる
  • 電池への酸素供給不足
  • マイクが塞がる

の3つです。

レシーバー(イヤホン)が塞がる

補聴器の中には、このような先端にフィルターがついていたりします。

この部分は、耳垢や埃など、汚れが多くなると、目詰まりを引き起こし、音が聞こえづらくなります。

この部分は、基本的に交換する道具があったりしますので、なるべく交換する方法も理解しておいた方が、補聴器は、活用しやすくなります。

電池への酸素供給不足

補聴器の電池は、空気電池を使用して、稼働しています。※充電型は、除く。

電池の名前の通り、空気電池は、電池内に空気(厳密には、酸素)を継続的に取り込むことによって、発電するようになります。

そのため、補聴器には、空気を通す穴があります。例えば、上記の補聴器だとわかりやすいですね。

防水補聴器の場合は、水は、通さないけれども、空気は、通すフィルターが張られている事が多く、それにより、酸素を供給できるようになります。

しかし、この部分が目詰まりしたり、一時的に汗や水により、塞がってしまうと、電池に酸素が供給しづらくなり、補聴器の電池が切れたような動作をしたり、電池の残量が少ない時になるアラームを鳴らしたりします。

これは、故障ではないのですが、そのような動作を引き起こす事があります。

対処方法は、蓋を開けて、電池に酸素を入れる(蓋を開けるだけで良いです)、汗などで補聴器が濡れていれば、汗を拭いてあげる、などすれば、大丈夫です。

空気孔が塞がれなければ、しっかり稼働しますので、それらの部分を確認すれば、大丈夫です。

マイクが塞がる

こちらもレシーバーと同じなのですが、マイクも埃や水で埋まる事があります。

補聴器のマイクは、この部分にあり、どの補聴器もマイクの入り口は、小さくなっています。

その部分が何らか埃で埋まってしまったり、汗の雫がそのままマイクに直撃し、マイクが汗で埋まってしまうような事があると、水が音を通す部分を邪魔しますので、その分、聞こえにくくなります。

この部分は、定期的に詰まらないように補聴器屋さんで見てもらうか、聞きにくいと感じた際にマイクは、どうなのか。を、ご確認いただければ大丈夫です。

衝撃を受ける

衝撃も補聴器の故障の一つになります。

機械に関しては、どうしても衝撃には、まだ弱く、徐々に強くなってきているものの、落としたり、衝撃を加えたりすると、そのショックで、補聴器が壊れる事があります。

床が絨毯など柔らかければ、衝撃が加わることは少ないのですが、下がコンクリートのような硬いところですと、操作している時に手が滑って落としてしまった。というのを何回もやると、それだけ、故障に関しては、しやすくなる傾向はあります。

まとめ

補聴器が故障する要因、聞こえなくなる要因は、何も機械の故障だけではありません。

機械の故障ではなく、補聴器が動く動作上の問題(電池への酸素供給など)や物理的なもの(レシーバー、マイクが塞がる)もあります。

防水補聴器を使う時、意識したい事

今現在、ほとんどの製品が、防水補聴器化してきていますので、ある意味、全ての補聴器に共通することになってしまうのですが、

  • できれば補聴器のケアをする
  • 水の中には、入れない
  • オーバーホールを行う

の3つです。

機能を過信せず、しっかりとケアや使い方に関して、適切に行えば、耐久性が良い補聴器となり、使い勝手は、よくなります。

できれば補聴器のケアをする

補聴器を購入したり、使い続けていく際にしてほしいことの一つは、乾燥剤を使用することです。

補聴器は、汗や湿気に弱く、防水補聴器とはいえど、実際には、影響を受けます。

そのため、夜寝る前や長時間使用しない場合は、乾燥ケースに入れ、ケアしましょう。

それだけでも、故障は、しづらくなります。

https://l-s-b.org/2016/04/to-not-annoy-hearing-aid/

水の中には入れない

防水補聴器でも、実際に水の中に入れないようにするのが重要です。

雨の日に使う程度なら、大丈夫なのですが、水の中にポチャンと入るくらいのものは、正直、やめておいた方が無難です。

補聴器に少し水がかかる程度は、全然大丈夫ですので、防水というより、防滴というイメージで使っていただくと、わかりやすいです。

オーバーホールを行う

補聴器には、メーカーにお送りし、中の状態をチェックしてもらったり、劣化している部品を交換してもらう、オーバーホールがあります。

これは、もしできれば、ということになるのですが、年に一度くらいお願いできると、防水性を維持しやすくなります。

お店によっては、補聴器の修理期間中、オーバーホール期間中、代わりの補聴器を貸してくれるところもあります。

そのようなところで、相談できると、オーバーホールも行いやすくなります。

保証期間中の場合は、無償で行え、有償でも、@5000(非課税)で行えます。

まとめ

防水補聴器に関して、まとめてみました。補聴器には、防水補聴器があり、かつ、今現在、多くのものが、防水補聴器になってきており、わざわざ防水補聴器と言わなくなってきています。

実際には、水の中でも使用できる特殊な防水補聴器もあり、これは、ごく僅かです。

多くのものは、上記に紹介した防滴程度の補聴器になります。

上記には、そんな補聴器に関する事をまとめてみました。防水機能に過信しなければ、耐久性の良い補聴器となり、その恩恵を受けることができます。

補聴器を購入した後は、なるべくケアもしていきましょう。

このページに関連する内容

https://l-s-b.org/2014/06/ric-crt/

https://l-s-b.org/2015/07/feature-bte/

https://l-s-b.org/2016/02/ite-summary-hearing-aid/

https://l-s-b.org/2016/09/hidden-in-the-ear/

https://l-s-b.org/2018/10/basics-of-hearing-aid/

https://l-s-b.org/2018/12/benefits-of-charging-type-hearing-aids/

https://l-s-b.org/2016/01/mask/

https://l-s-b.org/2014/05/ear-mold/

https://l-s-b.org/2019/01/moderate-i-who-am-hard-of-hearing-improve-hearing-shape/

補聴器に関する他の内容

https://l-s-b.org/hearing-ability-improvement-summary/

基本的な改善思考

https://l-s-b.org/2018/10/basics-of-improvement-hearing-aid/

https://l-s-b.org/2018/09/an-idea-of-improvement/

補聴器の形状

https://l-s-b.org/2018/10/shape-and-feature-of-hearing-aid/

補聴器の性能

https://l-s-b.org/2018/10/basics-of-hearing-aid-performance/

補聴器の調整

https://l-s-b.org/2018/10/adjust-the-hearing-aid/

補聴器の適正

https://l-s-b.org/2014/10/measure-hearing-aid/

補聴器の効果を上げる思考

https://l-s-b.org/2019/06/environmental-arrangement/

補聴器で改善した事例

補聴器の使い方

https://l-s-b.org/2018/12/use-a-hearing-aid-smoothly/

補聴器に慣れる

https://l-s-b.org/2018/12/getting-used-to-hearing-aids/

耳が痛くなる場合は?

https://l-s-b.org/2018/12/i-feel-pain-in-my-ears/

耳から外れる場合は?

https://l-s-b.org/2018/10/to-improve-out-of-ears/

大きい音が辛い

https://l-s-b.org/2016/07/relieve-sound/

補聴器がハウリングする

https://l-s-b.org/2018/10/harrowing-countermeasures/

ABOUT ME
深井 順一|パートナーズ補聴器
深井 順一|パートナーズ補聴器
使っている人が対応している補聴器専門店・代表
1986年、7月1日生まれ。生まれつきの難聴者で小学2年生の頃から補聴器を使っています。聞こえにくい側の状況やお気持ちは、同じ難聴者や当事者にしかわからないことがある事から、このお店では、実際に補聴器を使っている私自身がご相談を承っています。

お店のご紹介

初めまして、パートナーズ補聴器の深井と申します。

このお店は、生まれつき難聴で補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店です。

聞こえにくい側の状況やお気持ちは、同じ難聴者や当事者にしかわからないことがある事から、実際に補聴器を使っている当事者がご相談を承っています。

お店の詳細は、以下のページへどうぞ。

記事URLをコピーしました