補聴器の基本・形状・調整

耳あな形補聴器がお勧めな人と形状によるメリット、デメリット

深井 順一|パートナーズ補聴器

聞こえの改善や補聴器のことについては、【FAQ】聞こえの改善と補聴器のFAQへ。お客様の改善事例は、聞こえの改善成功事例へどうぞ。

耳あな形補聴器とは、耳の穴の中に入れて使用するタイプの補聴器です。

耳の穴の中に入ってしまう補聴器から、耳の入り口を塞ぐタイプ、耳そのもの覆って使用するタイプまで様々なものがあります。こちらでは、そんな耳あな形補聴器の特徴から利点、欠点について記載していきます。

耳あな形補聴器は、耳の穴の中に入れるだけあって多くの恩恵を受けられると同時に、使えない方からお勧めできない方もいます。

耳あな形補聴器全般について記載していきますので、補聴器を選ぶ際に役立てば幸いです。

結論から

結論を申し上げますと、合う方は

  1. 聞こえの効果を重視する方
  2. 邪魔にならない補聴器が良い方
  3. 電話がしやすい補聴器が良い方

の三つになります。

①聞こえの効果を重視する方

耳あな形補聴器は、耳かけに比べ、ノイズが少し入りづらいという特徴があります。

耳あな形補聴器は、耳かけに比べ、ノイズが少し入りづらいという特徴があります。

耳あな形補聴器の良い所は、耳の形そのもの(耳介)を利用できる事と耳の中に入る事です。

これらを利用できると、音響的に発生しやすいノイズを軽減しやすく、ノイズなど、余計な音が入りづらい分、聞き取りが阻害されにくくなり、結果的に聞き取りは、しやすくなります。

こちらは、耳にかけるタイプの補聴器です。耳の上にのり、さらに上にマイクがあるため、そこに当たるものは、ノイズが入ります。

こちらは、耳にかけるタイプの補聴器です。耳の上にのり、さらに上にマイクがあるため、そこに当たるものは、ノイズが入ります。

耳あな形以外の補聴器には、耳かけ形補聴器があるのですが、こちらは、耳の上に乗るため、髪の音や風の音が入りやすい傾向があります。それらの音は、耳あな形の方がしづらく、ノイズにより、邪魔されることが少なくなります。

補聴器で聞こえを改善していく際、重要になるのは、音を拾う事ではなく、いかに邪魔する音を拾わないかになります。

その点は、耳かけ形より耳あな形の方が優れていますので、少しでも聞こえの効果を重視する場合は、こちらがお勧めです。

②邪魔にならない補聴器が良い方

耳の中に補聴器が入ると、重なるものがないため、他のものが邪魔にならず使える。というメリットがあります。

耳の中に補聴器が入ると、重なるものがないため、他のものが邪魔にならず使える。というメリットがあります。

耳あな形の良い所は、耳の中に製作する事です。これにより、耳にかけるもの、耳に重なるものがあった場合は、重ならなくなりますので、楽に使えるようになります。

対象となるのは、メガネやマスク、ヘルメット、帽子などです。耳にかかるものや耳の根元付近まで、何かが被さるものは、邪魔にならなくなります。

これらのものを業務で使用する場合は、耳かけ形ですと邪魔に感じる可能性が強くなりますので、このような場合は、耳あな形の方がお勧めです。

③電話がしやすい補聴器が良い方

耳あな形補聴器の特徴は、耳そのものに補聴器を入れていることです。

マルで囲んでいるのが、補聴器のマイクです。ここから、音を拾うため、電話の場合は、今まで通り、自然にできる。という特徴があります。

マルで囲んでいるのが、補聴器のマイクです。ここから、音を拾うため、電話の場合は、今まで通り、自然にできる。という特徴があります。

そのため、電話に関しては、今まで通りの感覚で行うことができます。

耳にかけるタイプの補聴器ですと、音を拾うマイクが上にあるため、仮に電話の際も使いたい場合は、少しコツが必要なのですが、耳あな形は、今まで通りの感覚で行うことができます。

電話のしやすさ、改善のしやすさも大きな特徴です。

まとめ

耳あな形補聴器が良いのは、上記の3つです。

これらの部分が、耳あな形補聴器の場合は、優秀で、それらの部分にメリットを感じるのであれば、耳あな形補聴器の方が、使いやすくなります。

逆にあまりメリットに感じないのであれば、デメリットの方が強く感じやすいので、耳かけ形の方がおすすめです。

耳あな形補聴器の特徴

耳あな形補聴器とは、冒頭の通り、耳の穴の中に作る補聴器です。耳の型を採取し、その人、専用の耳あな形補聴器を作ります。

これが私の耳の型

耳あな形補聴器を作るのに必要な耳の型、不思議な形をしている

耳の型とは、このようなものです。耳の中に印象剤といわれる液体を入れ、その人の耳の型を採取します。その後、その型に合わせて、補聴器を作ります。

耳あな形の形状には、主にこの三つがある

耳あな形の形状には、主にこの三つがある

耳あな形の補聴器には、主にこの三つの形状があります。左から

  • 小さい形状を代表するCIC形
  • 耳あな形で最も使われるカナル型
  • 高度の難聴の人にも対応できるフルカナル型

となります。

CIC補聴器は、このくらいのサイズで、今現在、小型の補聴器の中でも小型で、主に目立ちにくいものが良いという方に好んで使われます。

標準サイズのカナル型補聴器は、このくらいのサイズです。標準的なサイズで、しっかりと聞こえを補いたい方に使われる傾向があります。

そして、一番大きいタイプがフルカナル型の耳あな形補聴器です。こちらは、聴力低下が大きい方(高度難聴の方)で、耳あな形補聴器を使いたい。という方に使われる形状です。

補聴器は、形状ごとに補える聴力が決まっており、耳あな形補聴器の場合は、特にご自身の聴力を補えるタイプの補聴器(形状)にする必要があります。

そうしないと、聞こえを補えない可能性があるからです。

耳あな形の概要をまとめますと

  • 聴力:軽度〜中等度、高度難聴
  • 特徴:耳の穴の中に入れる事による利点、欠点
  • 金額:高額。同じ性能同士で比較すると金額は上
  • 備考:この補聴器を作れない人もいます

耳あな形補聴器は、対象となる人も多いのですが、一部の人にはお勧めできない形状をしています。

一つは、聴力でもう一つは、耳の状態です。金額が高い傾向があり、効果も高い傾向があるのですが、合わない人には合いません。仮に合わない場合は、素直に耳かけ形補聴器をお勧めします。

形状ごとの適応聴力は、

  • CIC形:軽度〜中等度難聴くらいまで
  • カナル形:中等度難聴〜一部の高度難聴くらいまで
  • フルカナル形:高度難聴くらいまで

おおよそ、上記の通りです。基本的に補聴器は、形状ごとに適応できる聴力が異なります。

耳あな形補聴器の利点

この補聴器の利点は

  • 音響機器上のノイズが入りにくい
  • 物の邪魔になりにくい

の二つがあります。

音響機器上のノイズが入りにくい

補聴器は、聞きたい音や周囲の音の両方を拾うようになります。

しかし、聞こえてくる音の中には、音響機器上、仕方なく聞こえてくるものがあります。

代表格は

  • 暗騒音(あんそうおん)
  • 風の音
  • マイクに物が当たる音

の三つです。

暗騒音(あんそうおん)とは

暗騒音とは、音響機器で音を録音したり、ビデオカメラで映像を撮影したりする時に、サーっといった音やざわざわ……とした音が聞こえると思うのですが、この音を暗騒音と言います。

補聴器は、音響機器ですので、このような音も聞こえます。

とはいえ、最近は、ノイズキャンセラーの能力も高くなってきましたので、騒がしければ当然聞こえますが、暗騒音は、少しずつ抑えられるようになってきているのも事実です。

風の音が入りにくい

風の音は、風がマイクに当たる事により、ヴォーヴォーと大きい音がします。

風の音の根本的改善は、風がマイクに当たらないようにする事です。他の業界では、マイクに防風カバーを付けたり、マイクにポップガードを付けて、対処します。

しかし、補聴器の場合は、そのようなものは付けられませんので、耳の中に入れる事で、風をなるべくマイクに当たらないようにします。

耳かけ形の場合、マイクがむき出しなため風に当たりやすく、ヴォーヴォーうるさく感じやすいのですが、耳あな形補聴器にし、耳の中に作れるようになると、軽減しやすくなります。

暗騒音と風の音に関しては、一般的に言われる耳(耳介)の部分による効果で、余計なノイズ(音)が少なくなります。すると、その分だけ、聞き取りも邪魔されなくなり、音声の理解がしやすくなります。

マイクにものが当たる音

こちらは、主に髪の音やメガネをかけた際に聞こえるカチカチといった音です。

耳かけ形ですと耳にかける部分に補聴器のマイクがあるため、髪を触ったり、髪が風で動くと、ガサガサいうようになります。

また、メガネをかけている人ですと、メガネのツルに補聴器が当たり、カチカチ細かい音が聞こえる事もあります。

こちらは、補聴器そのものがマイクなため、聞こえる事です。補聴器の近くに何らかのものがあるとマイクを刺激したり、本体に当たる事で細かな音がします。

しかし、耳あな形の場合、耳の中に入れてしまいますので、そのような事は極力起こりにくくなります。

物の邪魔になりにくい

上記の結論に記載しましたが、物の邪魔になりにくいという点が利点です。耳の中に作りますので、

  • マスクを使う方
  • メガネを使う方
  • ヘルメットをかぶる方
  • 帽子をよくかぶる方

などは、耳あな形の方が邪魔にならなくなります。

耳あな形補聴器は、様々なものの邪魔になりにくい補聴器ですので、私自身は、日常生活を送るうえで最も適した補聴器だと考えています。

耳あな形補聴器の欠点

こちらは

  • 使えない、お勧めできない方がいる
  • こもりやすい

の二つがあります。

使えない、お勧めできない方がいる

耳あな形補聴器は、耳の中に入れるため

  • 耳の中が変形している
  • 耳垢が湿性
  • 耳垢が多い
  • 耳垂れが出る

のいずれかに当てはまる場合は、お勧めしません。

耳の中が変形している場合、耳の型を採取する事ができず、耳あな形補聴器を作る事ができません。こちらに当てはまるのは、何らか耳を手術した人が対象です。

ほとんどの人は、耳の型を採取する事ができますが、ごく一部の人はできない場合があります。

その他の部分については、このような耳の状況ですと、補聴器の音が止まったり、故障そのものが多くなります。

代替機を用意しておいたり、ご自身でケアできない場合は、あまりお勧めできません。故障や音が止まる事が多くなってしまい、その分、困る事になってしまいます。

こもりやすくなる

補聴器を装用する際、耳を塞ぐ必要があるため、耳が塞がった感覚、耳の中が詰まっている感覚が出ます。

そして、自分の声がこもったような感覚、あるいは、耳のところで響いているような感覚も出てきます。こちらは、どの補聴器でも起こる事ですが、耳あな形補聴器が最も起こりやすくなります。

いくらか軽減する施策を行いつつ、製作は行うのですが、ある程度、このような感覚は感じる傾向があります。

耳あな形補聴器の適合まとめ

耳あな形補聴器のまとめですが、

  1. 聞こえの効果を重視する方
  2. 邪魔にならない補聴器が良い方
  3. 電話がしやすい補聴器が良い方

にお勧めです。

逆に

  • 使えない、お勧めできない方に当てはまる
  • 補聴器を装用するとこもりが強い

という方は、お勧めできません。このような場合は、素直に耳かけ形補聴器を装用した方が快適に補いやすくなります。

耳あな形補聴器の場合、気をつけていただきたいのは、必ず、ご自身の聴力を補えるものを選ぶことです。

耳あな形補聴器は、耳かけ形補聴器に比べると適合聴力範囲が狭いため、補えるものにしないと、聞こえを改善できず、すぐに新しいものに買い替えになることもあります。

しっかりと補えるものを選び、ご自身にとって扱いやすいものを選べると、聞こえは、改善しやすくなります。

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深井 順一|パートナーズ補聴器
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補聴器を使っている人が対応している補聴器専門店・代表
補聴器のお店には珍しい難聴の補聴器販売員です。生まれつきの難聴者で7歳の頃から補聴器を使っています。補聴器の販売員としての知識、技術に加え、一人の難聴者が自分自身の聞こえを改善した知識、技術も組み合わせながら、聞こえの改善、補聴器のご相談をしています。
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